HUE導入の選定ポイント/選び方/種類

HUE導入では、人事・給与領域ならCOMPANYを比較の軸にし、対象規模・業務範囲・提供形態の3つの視点で候補を分けます。そのうえで評価軸を比べ、PoCと並行稼働テストで実業務に合うかを確かめます。

全体像を先に確認したい場合は、次のガイドもご覧ください。

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・HUE導入の完全ガイド

HUE導入検討前に整理すべき自社の課題

HUE導入前に整理する課題を、法改正追随コストと属人化、グループ会社間の分断、組織規模の拡大余地の3項目で示した図。
課題を業務と組織の両面から整理できます。

製品を比べる前に、人事・給与業務の負荷と法改正への対応リスクを業務ごとに洗い出します。その際、人事部門に加えて経理と情報システム部門も課題整理に加わると、必要な機能の見落としを減らせます。

既存システムの法改正追随コストと属人化

独自システムでは、税制改正や社会保険料率の変更のたびに改修費用が発生します。

直近数年の対応内容と費用、期間を記録して、改修が特定の担当者に頼っていないかを確かめます。

グループ会社間の分断と組織規模の拡大余地

会社ごとに人事システムが異なると、グループ全体の人員配置や人件費を把握しにくくなります。そこで、給与規定と就業規則を会社間で並べ、共通化できる範囲と法人固有の例外を分けて整理します。

組織拡大やM&Aで法人数が変わる見込みも、将来の選定条件に含めます。

比較の前に整理する「HUE」という名称

「HUE」は2014年に発表されたAI型ERPブランドです。2019年8月の会社分割後、人事給与領域はCOMPANYへ承継されました。

一方、HUEブランドは会計・SCMを中心とする非HR領域で存続しています。同じ名前でも対象領域が違うため、比較資料では対象製品と提供会社を先に確認します。

現行の対象領域と経緯は、HUE導入とは?考え方・特徴・仕組み・目的を解説でも確認できます。

人事・給与領域の比較対象はCOMPANY

人事・給与基盤の刷新では、COMPANYを比較の起点にします。

稟議書やRFPに「HUE」とだけ書くと対象があいまいになるため、COMPANYが対象だと分かる表記を添えます。

過去の提案書は、作成時期を確かめたうえで、製品名と提供会社を現行の情報に照らしてから比べます。

会計・SCM領域の刷新で対象となる現行HUE

会計・SCMの刷新では、株式会社ワークスアプリケーションズが提供する現行HUEが比較対象です。

COMPANYとは評価の前提が異なるため、部門ごとに検討テーマを分けます。さらに、複数の部門を同時に刷新する場合は、人事給与のCOMPANYと会計・SCMのHUEを呼び分けて扱います。

ポイント

人事・給与領域の比較はCOMPANY、会計・SCM領域の比較は現行HUEを対象にします。両方を同時に刷新する場合は、検討テーマを部門ごとに分けるのが判断の目安です。

統合HRシステムを分類する3つの視点

統合HRシステムを、従業員数と法人数、業務範囲、クラウドSaaS・パッケージ・フルスクラッチの提供形態で分類した図。
自社に近い条件から比較対象を絞れます。

COMPANYのような大手・上場企業向けの統合HRシステムは、次の3軸で分けると、比較対象を絞り込みやすくなります。

  • 対象規模:従業員数と法人数が、製品の前提に合うかどうか
  • 業務範囲:人事・給与・就業・タレントマネジメントをまとめて扱う統合型か、特定領域に特化した製品か
  • 提供形態:クラウドSaaS、パッケージ、フルスクラッチの3方式

まずは、自社の状況に最も近い軸から優先して検討します。

対象規模による分類:大手向けと中堅・中小向け

数千名から数万名規模の大手・上場企業やグループ会社群を対象とする製品は、単一法人向けの製品と前提が異なります。

中堅・中小向けの汎用クラウド人事労務SaaSは比較的シンプルな給与体系を想定しており、両者は設計思想そのものが異なります。COMPANYは前者に位置づけられ、複雑な給与規定や複数法人にまたがる就業規則、大規模な組織階層への対応を前提としています。

自社の従業員規模と法人数が、どちらの前提に近いかをまず確かめてください。

業務範囲と提供形態による分類

業務範囲は、人事・給与・就業・タレントマネジメントを幅広くカバーする統合型と、給与計算などの特定領域に特化した単機能型に分かれます。提供形態には、クラウドSaaS、オンプレミス中心のパッケージ、自社専用のフルスクラッチ開発があります。

3方式では、初期費用と導入期間、カスタマイズ性が大きく異なり、ランニングコストの構造も違います。なお、COMPANYは統合型かつクラウド提供に位置づけられ、公式サイトでは法改正対応を含めた定額の運用費用という考え方が案内されています。

自社では、次章の評価軸と合わせて、統合型が必要か、特定領域だけの刷新で足りるかを見極めます。

ポイント

従業員規模と法人数で大手向けか中堅・中小向けかを先に見て、統合型が必要か、特定領域だけで足りるかを重ねて判断すると、比較対象を絞り込めます。

製品選定で比較すべき評価軸

候補となる統合HRシステムは、5つの軸で比べます。具体的には、Fit&Gap適合度と法改正対応方針、料金体系とTCO、データ移行性とサポート体制です。各社に同じ質問を出し、デモや提案資料での回答をそろえると、営業説明の分かりやすさに評価が引っ張られにくくなります。

Fit&Gap適合度と法改正対応方針

第一に、自社の給与規定・手当体系・就業規則のうち、どこまでが標準機能(パラメータ設定)で対応でき、どこからがアドオン開発になるかを見ます。独自手当や複数子会社ごとの規定を多く抱える企業ほど、この見極めが選定の成否を左右します。

第二に、法改正への対応方針を比べます。ライセンス費用に法改正対応が含まれる定額制なのか、改修のたびに追加費用が発生する方式なのかは、長期的なTCOに直結する論点です。

COMPANYの公式サイトでは、法改正対応を含めた定額の運用費用という考え方が案内されています。ただし、他の候補製品についても同じ条件で確かめてください。

料金体系・データ移行性・サポート体制

第三に、料金体系は初期費用と年間保守費用に加え、ユーザー数課金か包括契約による定額制かを見ます。多くの候補製品は公式サイトに具体的な金額を掲載せず、個別見積もりが基本です。そのため、想定利用人数と機能範囲をそろえ、複数社へ同じ条件で見積もりを依頼します。

第四に、既存システムからの異動履歴・評価履歴の移行は、標準ツールで移せる範囲と、手作業でのクレンジングが要る範囲を分けて確かめます。

第五に、並行稼働テストや本番稼働後のサポートについて、専任の運用コンサルティングが標準サポートに含まれるか、追加費用になるかを明確にしておきます。こうした回答は「デモで確認」「提案書で確認」のように証拠を残し、未確認の事項は評価から保留にすると、選定後の認識違いを防げます。

ポイント

候補は、標準機能で足りる範囲と法改正への対応をまず見極めます。そのうえで料金、データ移行、サポートを同じ条件にそろえて比べると、判断の差が見えやすくなります。

フルスクラッチ・パッケージ・クラウドSaaSの選び分け

提供形態によって、初期費用や導入期間の長さ、カスタマイズの自由度が大きく変わり、ランニングコストにも差が出ます。

クラウドSaaSは初期費用を抑えやすく、開発・導入期間も半年から1年程度に収まりやすい方式です。

標準機能に業務を合わせるぶん、カスタマイズ性は低くなります。一方で、法改正対応やセキュリティ更新は自動化されるため、長期的な運用負荷は最も低くなります。

パッケージ(オンプレ・アドオンあり)は、初期費用も導入期間も大きくなりやすい方式です。カスタマイズ性は高いものの、ライセンス費に加えてアドオンの保守費も上乗せされます。

フルスクラッチは、初期費用と開発期間が最も大きくなりやすい方式です。カスタマイズ性は無限大ですが、法改正のたびに改修費が継続して発生します。

フルスクラッチが避けられやすい理由

人事・給与領域では、税制改正や社会保険料率の変更、労働基準法の改正が毎年発生します。フルスクラッチでは、これらへの追随改修をすべて自社コストで行う必要があり、技術的負債化しやすい方式です。現在の大企業では、極めて特殊な理由がない限り選ばれにくくなっています。

パッケージ+アドオン開発では、アドオンを積み重ねすぎると、本体の更新時に動かなくなることがあります。そのたびに改修費用が発生し、ベンダーロックイン状態に陥るリスクもあります。

「Fit to Standard」の考え方による選び分け

現在は大企業でも、莫大なコストと技術的負債を避けるためにSaaSを選ぶ場合があります。こうした背景から、標準機能に業務フローを合わせるFit to Standardが主流になりつつあります。

COMPANYのような定額制クラウド型統合HRシステムは、法改正対応やセキュリティ更新が自動化されています。そのため、長期的な運用負荷が低く、包括契約による費用の固定化を重視する大企業のニーズにも合います。

発注側は、自社が本当に独自開発でしか実現できない業務ロジックを持っているのか、それとも標準機能への適応で十分なのかを、選定の早い段階で切り分けることが大事です。

ポイント

自社だけでしか実現できない業務ロジックがあるかで、フルスクラッチを検討するかを決めます。それ以外は、標準機能に業務を合わせるクラウドSaaSから先に検討するのが目安です。

PoCと並行稼働テストの進め方

候補製品を対象法人に絞って実データでPoCし、その後に既存システムと新システムの並行稼働テストを行う流れの図。
対象を絞った試行から本番前の照合へ進みます。

資料で候補を絞ったあとは、実際のデータと業務シナリオを使ったPoCと並行稼働テストで、最終判断を行います。デモの説明からは、標準機能の限界や運用時の負荷は見えにくいものです。

PoCの対象を特定の事業部・法人に絞る方法

PoCでは、複雑な給与計算ロジックや多層的なマトリクス組織、兼務構造が標準機能でどこまで網羅できるかを検証します。あわせて、大量の給与計算処理や一斉打刻が規定時間内にエラーなく終わるかも確かめます。

PoCは、特定の事業部や一つのグループ会社に絞って、実データを使ったテスト運用を行います。

大手向けシステムは、パラメータ設定が膨大なため、PoC環境の構築だけで相応の期間を要することもあります。

並行稼働テストでの1円のズレの確認

並行稼働テストでは、既存システムと新システムの両方で給与計算を走らせ、1円のズレもないことを確かめます。並行稼働テストは、統合HRシステムの導入で最も重い工程とされます。軽視すると、本番稼働後に給与計算の誤りが発覚するリスクがあります。

既存システムから抽出したデータの表記揺れや形式の不統一を放置すると、検証が行き詰まります。この典型的な失敗は、PoCの段階から解消しておく必要があります。

具体的な製品候補は、HUE導入のパッケージ・クラウド製品一覧でも確認できます。

ポイント

PoCは特定の事業部や一法人に対象を絞って実データで試し、並行稼働テストで既存システムと1円単位まで突き合わせると、運用時の負荷を見極めやすくなります。

HUE導入選定前に確認しておきたいポイント

候補を絞ったあとも、名称の取り違えや規模のミスマッチ、隠れコストを事前に確かめておくと、導入後の想定外を減らせます。

従業員規模が小さい場合の検討価値

単一法人で従業員数がそれほど多くなく、給与規定もシンプルな場合は、汎用クラウド人事労務SaaSが適することがあります。

COMPANYの導入価値は、複数法人にまたがる複雑な給与規定や大規模な組織階層を抱える場合に大きくなります。

定額の運用費用にある隠れコスト

法改正対応や機能変更が定額の範囲に含まれていても、手厚いサポートや専任の運用コンサルティングは、別契約になることがあります。

発注側は、標準サポートの範囲と追加費用が発生する境目を、契約前に明確にしておく必要があります。

PoCの対象範囲の決め方

PoCの対象は、給与規定が比較的複雑な事業部や、複数子会社のなかでも規模の大きい1法人に絞るのが一般的です。

実データを用いて検証すると、標準機能の限界とパフォーマンス面の両方を確認できます。対象を選ぶ際は、独自手当や例外処理が多い部署をあえて含めると、標準機能の限界をより早い段階で洗い出せます。

まとめ

HUE導入の選定では、まず「HUE」の名称が会社分割を経て人事給与領域ではCOMPANYに引き継がれた経緯を整理します。そのうえで、既存システムの法改正追随コストとグループ会社間の分断を自社課題として特定します。

次に、対象規模・業務範囲・提供形態という3つの視点で製品群を分類し、候補をFit&Gap適合度、法改正対応方針、料金体系とTCOで比べます。さらに、データ移行性とサポート体制も比較対象に含めます。

実データを用いたPoCと並行稼働テストで、標準機能の限界と運用負荷を確かめることが大切です。

フルスクラッチ、パッケージ、クラウドSaaSの選択は、機能の多さではなく、独自開発でしか実現できない業務ロジックを自社が持っているかどうかで判断します。

既製のクラウドSaaSでは複雑な承認フローや基幹システム連携を吸収しきれない場合、無理に標準機能へ合わせ込むと現場の運用に無理が生じます。評価軸を一つずつ潰していく地道な比較が、結果的に導入後の手戻りを最も減らす近道になります。

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、統合HRシステム選定前の要件整理を支援します。既製SaaSと基幹システムの連携や、独自業務に合わせた個別開発にも対応します。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。