Infor導入では、米国発の業種特化型クラウドERP「CloudSuite」が業務に合うかを、契約前のPoCと試作で確かめ、その結果を本格導入計画に反映します。対象を1部門か1業務プロセスに絞って実データを試し、標準機能で足りない要件は簡易モックアップで実現の見込みを把握します。
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Infor導入におけるPoC・プロトタイプ検証の全体像

Infor導入前のPoCでは、契約前に現場の担当者が実際に使いこなせるか、どれほどスムーズに操作できるかを、実データを使って確かめます。カタログやデモ画面では、自社固有の業務ルールや既存システムとの連携を確認できないため、こうした検証が欠かせません。
Inforには15以上のCloudSuiteエディションがあります。そのため、業種に近いものを起点にすると、ゼロから項目を洗い出すより効率よく現場受容性を確かめられる場合があります。
エディションの選択肢が多くても、PoCは省けません。丁寧な検証で自社に合うエディションと業務との適合度を確かめておくことが、想定外のカスタマイズやトラブルを防ぎ、本格導入を進めるうえでの前提になります。
PoC・プロトタイプ検証の目的
PoCは、導入の投資対効果を左右する意思決定プロセスとして扱います。目的は大きく2つあり、1つ目は現場での使いやすさ、2つ目は標準機能で要件を満たせる範囲です。
- 現場受容性:操作や業務ルールとの整合
- カスタマイズ削減:標準機能で満たせる要件の見極め
現場受容性は、担当者がUIや操作フローに馴染めるかを、実データを使ったテスト運用で見ます。2つ目では、フィット&ギャップ分析を使い、譲れない要件が選定エディションの標準機能で満たせるかを確認します。
標準機能で不足する要件へのカスタマイズは、初期導入費用の3〜4割程度を占め、最大のコスト増要因とされています。そのため、契約前に不足を見極めておけば追加を防げ、後工程の費用と期間を左右します。
クラウドネイティブだからこそ可能なスピーディーなPoC環境構築
クラウドネイティブなInforには、PoCを早く始めやすい特性があります。
- 環境準備:クラウド環境を短期間で用意できる
- 比較検討:複数エディションを試す時間をとりやすい
オンプレミス色の強いパッケージでは、検証用サーバーの準備に相応の期間がかかることがあります。一方で、ベンダーやパートナーが提供するクラウド環境を利用できます。
ただし、PoCの着手が早まっても、検証そのものには別途時間が必要です。項目を絞りすぎると、現場受容性やフィット&ギャップを十分に見極められない恐れがあります。環境構築で得た余裕は、検証の質を高めるために使います。
PoCの進め方・期間・費用

Infor導入前のPoCは、対象範囲を絞って段階的に進めるのが推奨されます。全業務を対象にすると検証項目が膨らみ、現場受容性の確認が曖昧になりやすいためです。
そこで、候補を1つか2つのCloudSuiteエディションに絞り、1部門または1業務プロセスで実データを試します。この範囲で、業務との一致度や、現場担当者が違和感なく操作できるかを確認します。
標準機能で対応できない要件は、簡易モックアップで実現可能性と開発規模感を把握します。最後に、結果をフィット&ギャップ分析のレポートにまとめ、本格導入の範囲や概算期間・費用を決めます。
PoCの進め方(標準的なステップ)
Infor導入前のPoCは、対象の設定、環境準備、実データでのテスト、結果の整理という4つのステップで進めます。
- 検証スコープの設定:候補エディションと対象の業務・部門を絞り、現場受容性や連携可否などの確認項目を挙げる
- 検証環境の準備:クラウド環境を用意し、実データまたは近いサンプルデータを投入する
- 実データでのテスト運用:現場担当者が操作し、業務が回るか、標準機能で不足する部分がないかを見る
- 分析結果のとりまとめ:標準機能、追加開発、運用で対応する範囲を分け、本格導入計画に反映する
各段階を丁寧に進め、確認した内容を次の計画に反映しておくと、契約後の手戻りを防げます。
期間・費用の目安
期間と費用は、検証範囲や社内メンバーの関与によって変わります。
- 期間:限定スコープなら2〜4週間程度
- 費用削減:自社主体なら30万〜80万円程度
- 導入全体:海外調査の実装費は20万〜100万ドル規模
期間の目安が2〜4週間程度となるのは、ベンダーやパートナーの実機検証環境を使い、対象を1部門・1業務プロセスに絞るケースです。一方で、複数拠点や複数業種にまたがる本格的な検証は、数ヶ月単位を要することもあります。
外部コンサルタントに委託せず、自社の中心メンバーが主体で進めると、30万〜80万円程度の費用を削減できるとされています。反対に、スコープを外部に任せきりにすると費用がかさみ、現場の当事者意識も育ちにくくなります。また、PoCの段階から現場のキーパーソンを巻き込むことも、費用対効果の面で大切です。
海外調査の20万〜100万ドルは、標準的なエンタープライズ導入全体の実装費で、PoC単体の費用ではありません。為替や海外市場を前提とした数値のため、そのまま国内PoCの費用に当てはめないよう注意します。そのうえで、国内パートナーから個別見積もりを取り、絞り込んだ検証スコープに合わせて判断します。
Infor固有のPoC手法

一般的なクラウドERPのPoCに加えて、Inforには固有の検証手法があります。CloudSuiteのフィット確認と、Infor OS上のAI・分析機能の試作は、他のクラウドERPにはないアプローチです。
複数のCloudSuiteエディションを比較検討するフィット確認
15以上あるCloudSuiteエディションから複数の候補を選び、実データで比較できます。単一製品ラインのERPで業務フローから検証する場合と違い、自社業務に近い候補同士を比べて選べます。
- 標準機能に合う業務:そのまま利用する
- 標準機能と異なる業務:運用変更か固有要件かを見極める
比較した候補のなかから、業務プロセスに近いものを選びます。乖離部分は、運用で標準機能に寄せられるか、固有要件として残るかを切り分けます。この切り分けが、Infor特有のフィット確認です。
特に、切り分けの精度が高いほどカスタマイズ範囲を絞れ、本格導入の期間と費用を抑えやすくなります。比較対象が増えると検証期間が長くなりやすいため、候補は2〜3エディション程度に絞ります。
Infor OS上のAI・分析機能を試すプロトタイピング
もう一つの手法は、統合プラットフォームInfor OSに標準搭載されたAI機能Colemanや分析基盤Birstを試作することです。
- 需要予測:実データから意味のある示唆が得られるか
- ダッシュボード:画面イメージを現場と共有し、要件を確かめる
分析基盤Birstは、プログラミングの専門知識が必要な範囲が限られるため、比較的短期間で試せます。現場から判断材料として不十分との声が出た場合は、本開発の前に要件を修正でき、手戻りを防げます。
AI・分析機能を試さずに本開発へ進むと、稼働後に期待ほど役立たず、投資対効果が合わないこともあります。そこで、PoCでInfor OS上の機能を試しておけば、導入判断の確度を高められます。
PoCでの失敗パターンと対策
Infor導入前のPoCでは、典型的な失敗パターンが繰り返し報告されています。
典型的な失敗パターン
失敗を防ぐには、選定の段階で見落としやすい現場の参加、比較の範囲、データ連携、業務の粒度を先に確かめておく必要があります。
- 現場を巻き込まない:稼働後に操作への反発が起きる
- 候補を絞らない:比較が広がり受容性の確認が曖昧になる
- Excel連携を軽視する:CSV変換で文字化けや列ズレが起きる
- 業務の粒度が合わない:計画を手作業で作り直すことがある
機能の豊富さや価格だけを基準に経営層や情報システム部門が選ぶと、稼働後に現場がExcelのほうが使いやすいと感じる場合があります。入力が滞り、データが蓄積されないこともあります。
選択肢が多いことはInforの強みです。ただし、多数を並行して比べると項目が膨らみ、現場受容性の確認が曖昧になりがちです。
クラウドからの出力にCSV変換が必要な場合、作業が二度手間になることがあります。時間単位の計画が必要な現場で、エディションが日単位でしか扱えないと、担当者が計画を作り直すことになります。
PoCを成功させるためのポイント
PoCを成功させるには、現場の参加、対象の絞り込み、分析結果の記録という3点を押さえておくことが大切です。
- 現場を巻き込む:操作担当者の意見を計画に反映する
- 段階的に検証する:候補と範囲を絞り、小さく始める
- 結果を文書化する:導入範囲と見積もりの前提を揃える
PoCの企画段階から現場のキーパーソンを巻き込むと、稼働後の定着率に影響します。また、候補エディションと範囲を絞ったうえで、まずは基本的なERP機能の定着を目標に置きます。一度に全機能や全エディションを扱わず、段階的に成功体験を積むことが現場受容性を高めます。
分析結果では、標準機能、追加カスタマイズ、運用で対応する範囲を切り分け、導入計画に反映します。切り分けが曖昧なままだと、本格導入の見積もりも曖昧になり、後工程のトラブルにつながります。
PoCでは導入可否だけでなく、成功につながるエディションと導入方法まで具体化します。エディションの比較や課題を文書に残しておくと、複数のパートナーに相見積もりを依頼する際の共通材料になります。各社の前提をそろえて比べられるため、判断の精度も高まります。
まとめ
Infor導入前のPoC・プロトタイプ・モックアップ開発について、目的、進め方と費用、固有の手法、失敗対策を扱いました。期間は、限定範囲なら2〜4週間、本格的な検証では数ヶ月単位になる場合があります。
15以上のCloudSuiteを比べることや、Infor OSのColemanとBirstを試作することは、他のクラウドERPにはない検証手法です。また、クラウドネイティブのため、検証環境を短期間で用意しやすい点も特徴です。
現場を巻き込み、候補と範囲を絞り、分析結果を文書化して、本格導入計画に反映します。
Infor固有の導入実績や国内事例は限られるため、海外調査と中堅向けの一般的な相場は参考値として扱います。そのうえで、断定を避けた判断の材料を示します。詳細は、検証実績が豊富なパートナーに相談します。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
