Infor CloudSuiteは業種特化型クラウドERPとして高い評価を受けていますが、グローバルERPである特性上、その導入を外部パートナーに発注・外注する際には、国産パッケージや中小企業向けERPとは異なる注意点があります。「Infor導入を外注する場合、どこに発注すべきか」「発注プロセスはどのように進めるのか」「外注時の注意点は何か」といった疑問を持つ担当者の方も多いでしょう。
本記事では、Infor導入の外注・発注・依頼・委託の方法について詳しく解説します。認定パートナーの種類・発注プロセスの進め方・グローバルERP特有の注意点を網羅的にお伝えします。
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Infor導入を外注するメリット

Infor CloudSuiteのような高度なグローバルERPを導入する場合、社内のIT部門だけで対応することは現実的ではありません。認定パートナーへの外注には以下のメリットがあります。
メリット①:専門知識・認定資格の活用
Inforの認定パートナー(Certified Implementation Partner)は、製品の設定・開発・プロジェクト管理について体系的なトレーニングを受け、認定を取得した専門家集団です。業種特化型ERPの複雑な設定(生産スケジューリング・コスト計算・規制対応など)には、製品認定資格を持つコンサルタントの知識が不可欠です。また、過去の多数の導入実績から得た「業種ベストプラクティス」を活用できるため、自社だけでは気づかない改善機会や落とし穴を事前に回避できます。社内で一から人材を育成するよりも、迅速かつ高品質な導入が可能です。
メリット②:プロジェクトリスクの低減
ERPプロジェクトは失敗リスクが高いことで知られています。Gartnerの調査では、ERPプロジェクトの75%が予算・スケジュールを超過すると言われています。経験豊富な認定パートナーに外注することで、プロジェクト管理の体制化・リスクの早期発見・問題解決の迅速化が期待できます。特にInforのような複雑なグローバルERPでは、実装ミスによる稼働後のトラブルが業務に直接影響するため、実績ある外部パートナーへの委託が安全です。契約上の責任範囲・損害賠償規定を明確にすることでリスクを分散できる点もメリットです。
メリット③:導入スピードの向上
認定パートナーはInfor導入に特化した方法論・テンプレート・ツールを保有しており、自社のみで進めるよりも大幅に短い期間での稼働が可能です。例えば、業種特有のフィットギャップ分析テンプレートや標準設定パッケージを活用することで、要件定義・設定工程を20〜40%短縮できることがあります。早期稼働による業務効率化・競争優位の獲得につながり、遅延リスクも低下します。
Infor外注先の種類:認定パートナー/グローバルSI

Infor導入の外注先は大きく3種類に分類されます。自社の規模・要件・予算に応じて最適な外注先を選びましょう。
種類①:Infor認定実装パートナー
Infor Inc.から正式認定を受けた実装パートナーです。Infor製品の実装・カスタマイズ・サポートに関する認定(Infor Partner Network認定)を持ち、Inforからのテクニカルサポートへの優先アクセスが付与されています。業種特化の深い知識を持つパートナーが多く、中堅企業向けの実装に強みを持つ専門会社も含まれます。日本国内では数社〜十数社程度の認定パートナーが活動しています。製品知識の深さとコストパフォーマンスのバランスが良く、中堅・中小企業に特に適しています。
種類②:グローバルSI(システムインテグレーター)
アクセンチュア・デロイト・IBMなどのグローバルSI/コンサルティングファームは、Inforのグローバルアライアンスパートナーとして大規模導入を得意とします。業務改革(BPR)とITの両面から支援でき、複数国展開・M&A後の統合・グローバルテンプレート展開などの複雑な案件に対応できます。コンサルティングフィーは高めですが、プロジェクト品質・リスク管理・グローバルサポートの観点では最高水準の支援を受けられます。売上1,000億円以上の大企業や、グローバル展開が必要な企業に適しています。
種類③:国内大手SIer
NTTデータ・富士通・NEC・日立製作所などの国内大手SIerは、既存システムとの連携・国内法規制対応・安定したプロジェクト管理の観点から強みを持ちます。Infor製品のみならず、周辺システム(生産管理・物流・会計・人事)の統合設計や、既存のレガシーシステムからの移行・連携において豊富な実績があります。国内製造業・流通業など、Inforと既存システムを組み合わせた複合的な導入を検討している企業に適しています。
Infor導入の発注プロセス

Infor導入の発注プロセスは、一般的なシステム開発の発注と同様の流れで進みますが、グローバルERPならではの特有のステップがあります。
ステップ1:情報収集・RFI発行(1〜2か月)
まずInfor Japan・認定パートナー各社に「情報提供依頼書(RFI:Request for Information)」を送付し、製品概要・導入実績・会社情報・概算費用などを収集します。RFIでは「自社の業種・規模・課題」を明確に記載し、各社からの回答を比較評価します。並行して、Inforの製品デモを複数パートナーから受け、自社業務との適合度を確認します。この段階で候補パートナーを3〜5社程度に絞り込みます。
ステップ2:RFP(提案依頼書)作成・提出(1〜2か月)
RFI回答で選定した候補パートナーに「提案依頼書(RFP:Request for Proposal)」を送付します。RFPには①自社の業務要件(業種・業務フロー・対象モジュール)、②プロジェクトスコープ(期間・体制・成果物)、③評価基準(技術力・実績・費用・サポート体制)、④回答期限・提案プレゼン日程を明記します。Infor導入特有の注意点として、製品ライセンス契約(Infor直接orパートナー経由)・SaaS利用条件・グローバルサポートの範囲も記載することが重要です。
ステップ3:提案評価・パートナー選定(1か月)
各パートナーの提案書・プレゼンテーションを評価し、最終パートナーを選定します。評価基準として、①業種実績(同業種・同規模での導入事例数)、②提案の具体性(業務フィット度・課題解決策)、③チーム体制(アサイン予定のコンサルタントの資格・経験)、④費用の妥当性・透明性、⑤稼働後サポート体制の5点を中心に採点します。最終候補2社に絞ってPoC(概念検証)やプロトタイプデモを実施し、実際の業務適合度を確認してから発注先を決定します。
ステップ4:契約締結(1か月)
選定パートナーとの契約締結では、①業務委託契約(実装・コンサルティング)、②SaaSライセンス契約(Infor直接契約またはパートナー経由)、③秘密保持契約(NDA)の3種類の契約が必要です。契約書には作業範囲・成果物・スケジュール・費用・変更管理プロセス・損害賠償条件を明確に定義します。グローバルERPのSaaS契約では、データ所在地・セキュリティ基準・サービスレベル(SLA)・解約条件の確認が特に重要です。
Infor導入外注の注意点:グローバルERP特有の考慮点

InforはグローバルERPであるため、外注時には以下の特有の注意点があります。
注意点①:SaaS契約の継続性とベンダーロック
Infor CloudSuiteはSaaSモデルのため、利用を継続する限りライセンス費用が発生し続けます。契約解除時のデータエクスポート方法・移行サポートの有無・データ保持期間を契約前に確認しておくことが重要です。また、Inforが将来的に製品方針を変更した場合(M&Aや製品統廃合など)の影響についても、パートナーに確認しておきましょう。長期利用を前提とした複数年契約の場合は、途中解約条件・価格改定ルールも確認が必要です。
注意点②:日本語対応・国内法規制への対応確認
Inforは米国製品のため、一部の機能・帳票・ドキュメントが英語のままの場合があります。また、日本固有の法規制(消費税・インボイス制度・電子帳簿保存法・労働基準法に基づく給与計算など)への対応が必要な場合、パートナーが対応可能か、追加費用がどれくらいかかるかを事前に確認しましょう。特に電子帳簿保存法への対応は2024年以降に要件が変わっており、最新の法改正に対応しているかの確認が必要です。
注意点③:スコープ管理と追加費用の防止
ERP導入プロジェクトでは、進行中に要件の追加・変更(スコープクリープ)が発生し、当初見積もりを大幅に超過するケースが多くあります。契約書に「変更管理プロセス(チェンジオーダー)」を明記し、追加要件が発生した際の意思決定フロー・費用算定基準を事前に合意しておくことが重要です。要件の追加は必ずスコープ確認書(Change Request)に記録し、費用・スケジュールへの影響を可視化した上で承認する運用を徹底しましょう。
まとめ:Infor導入の発注を成功させるために
Infor導入を外注・発注する際の成功ポイントを改めて整理します。
①自社業種・規模に合った外注先を選ぶ:認定パートナー・グローバルSI・国内SIerの中から、自社の要件に最適なパートナーを選定する
②RFI→RFP→評価→契約のプロセスを丁寧に進める:時間をかけてもパートナー選定を慎重に行い、複数社を比較する
③契約内容を詳細に定義する:スコープ・成果物・変更管理・SLA・SaaS契約条件を明確化する
④日本語対応・法規制対応を事前確認する:グローバルERPならではのローカライズ課題を発注前に把握する
⑤社内体制を整備する:発注後も、発注側のプロジェクトオーナー・PMO・キーユーザーの関与が不可欠
Infor導入は大きな投資ですが、適切な外注先と発注プロセスで進めることで、業種特化ERPの真の価値を引き出せます。まずはInfor Japan・認定パートナー・コンサルティング会社への相談から始めることをお勧めします。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
