インフラコンサルとは?|考え方/特徴/仕組み/目的を解説

インフラコンサルとは、サーバーやネットワークから、オンプレミスとクラウドを組み合わせた基盤まで、ITインフラの設計・構築・最適化を専門に支援するコンサルティングです。インフラの見直しを検討する社内の立場によって、悩みの中身も異なります。情報システム部門は日々の運用対応に追われ、経営層は投資対効果を気にし、現場は「今のシステムが止まらないか」を不安視します。

このテーマの全体像は、以下の記事で詳しく解説しています。

▼全体ガイドの記事
・インフラコンサルの完全ガイド

  • サーバー設計とネットワーク構成設計
  • 可用性・冗長化設計とセキュリティインフラ
  • 要件定義・設計書作成から事前検証・試験までの進め方
  • 環境構築と移行支援を含む主な支援内容

インフラコンサルの全体像と特徴

インフラコンサルの全体像を確認する担当者

インフラコンサルは、特定の製品を売り込む立場とは異なり、サーバーやネットワーク、ストレージなどをどう組み合わせるかという技術的な判断そのものを支援する専門家です。インフラ刷新の経験が社内に少ない場合は、複数のクラウドやハードウェアの提案を受けても、性能や料金の説明に判断が引っ張られがちです。

そこでインフラコンサルは、現状のシステム構成とトラフィックの特性を見える形に整理し、可用性・拡張性・コストのバランスを踏まえた設計案を示します。さらに、構築から移行まで技術面で伴走します。

サーバーからハイブリッド構成までを含む技術レイヤー全体

インフラコンサルが扱う範囲は、単一のサーバー増強にとどまりません。ネットワーク構成や可用性・冗長化設計、セキュリティインフラに加え、データセンターやクラウドのリージョン・アベイラビリティゾーン(AZ)の選定まで、技術要素全体を対象とします。

自社がすでにクラウドを使っていても、オンプレミス環境を残していても、両者をまたいだ全体設計として捉えるのが特徴です。特定のクラウドサービスへの移行だけを目的とせず、「どこにどのワークロードを置くのが自社にとって最適か」という配置そのものから検討することも少なくありません。

たとえば、基幹システムは可用性要件の高いオンプレミスに残し、負荷変動の大きいWebフロントはクラウドの自動スケーリングに任せる、といった判断があります。こうした判断は、インフラ全体を俯瞰できる立場でなければ下しにくい意思決定です。

IT戦略コンサルやクラウドコンサルとの立ち位置の違い

混同されやすい言葉に、IT戦略コンサルとクラウドコンサルがあります。IT戦略コンサルは、情報システム部門が主体となって中期IT計画やIT投資計画、ITガバナンス体制を策定する、経営・情シス視点の上位レイヤーの支援です。

クラウドコンサルは、クラウドへの移行やクラウドネイティブ化そのものに特化した支援を指すことが一般的です。一方、インフラコンサルは、オンプレミスも含むITインフラ基盤全般を対象とする技術専門領域です。

中期計画の策定やクラウド移行の判断そのものよりも、それを技術的にどう実現するかという設計・構築の層を担う点が、ほかの2つのコンサルティングとの大きな違いです。

ポイント

依頼先がインフラコンサルとして頼れるかは、特定の製品に偏らず、サーバーからハイブリッド構成までを一体で設計できるかで判断するとよいでしょう。

インフラコンサルが扱う技術領域

インフラコンサルが扱うサーバーとネットワークの技術領域

インフラコンサルの技術領域は、大きくサーバー・ネットワークの構成設計と、可用性・セキュリティの設計に分けられます。

どちらも一度決めたら終わりではなく、事業の成長やトラフィックの変化に応じて見直す必要がある点が共通しています。

サーバー設計とネットワーク構成設計の一体的な検討

サーバー設計では、想定するアクセス数や処理負荷から、必要なスペックとサーバー台数を割り出し、スケールアップとスケールアウトのどちらを基本にするかを決めます。

ネットワーク構成設計では、拠点間の接続方式を決めるほか、社内ネットワークとクラウド環境をつなぐVPNや専用線を選びます。セグメント分割によるアクセス制御も検討します。データセンターやクラウドのリージョン・AZをどこに置くかは、災害時の事業継続や通信遅延に直結するため、設計の段階で合わせて判断します。

ハイブリッド構成では、双方の接続点をどこに置き、どちらのデータを正とするかも設計する必要があります。オンプレミス感覚のままクラウド側にも同等のスペックを確保すると、余剰な処理能力を抱えたまま運用コストだけが膨らむことがあります。そのため、実際のトラフィックパターンに基づいた設計が求められます。

可用性・冗長化設計とセキュリティインフラの組み合わせ

可用性・冗長化設計では、複数のAZにまたがってサーバーを配置するマルチAZ構成や、障害時に処理を自動で切り替えるフェイルオーバーの仕組みを検討します。どこまでの障害に耐える設計にするかは、止まったときの事業への影響と冗長化にかけられる費用のバランスで決まるため、業務側と技術側の両方から要件をすり合わせる必要があります。

セキュリティインフラでは、ファイアウォールや侵入検知の仕組みに加えて、通信の暗号化やアクセス権限の最小化まで、ネットワーク構成やサーバー設計と矛盾しない形で組み込みます。セキュリティ対策を後から足すと既存の構成に手戻りが生じやすいため、設計の初期段階から前提条件として織り込んでおくことが望まれます。

インフラコンサルの標準的な進め方

インフラコンサルの進め方とフェーズ構成

インフラコンサルの一般的な進め方は、ヒアリングから要件定義、設計、検証、構築、試験、移行までを順に積み上げる流れです。途中の段階を飛ばして構築に着手すると、後工程で仕様の食い違いが表面化しやすくなります。

ヒアリングから要件定義・設計書作成まで

最初のヒアリング・提案フェーズでは、現行システムの構成や想定される利用者数を確認します。将来の拡張計画や予算感も、この段階で聞き取ります。

続く要件定義書作成のフェーズでは、可用性やセキュリティに関する非機能要件を数値や条件として明文化し、関係者の間で認識をそろえます。そのうえで、ネットワーク構成、データセンターやリージョン・AZの選定、サーバー設計などを盛り込んだ設計書を作成します。

ヒアリングから設計書作成までの工程に全体工数の2〜3割程度を充てることで、後工程での手戻りを防げるという考え方が、実務ではよく参照されます。

事前検証・環境構築・試験から移行支援まで

設計が固まったら、事前検証・負荷検証でPoC環境を用意し、想定した構成が性能要件を満たすかを確かめます。特にデータ移行を伴う場合は、通信帯域の見積もりが甘いと移行時の遅延につながるため、ピーク時のトラフィックを想定した精緻な検証が求められます。

検証に問題がなければ環境構築に進み、フェイルオーバー試験などの結果をまとめた試験報告書を提出したうえで、本番システムの移行支援に移ります。移行支援では、切り替え当日の手順書作成やリハーサル、万一の際の切り戻し手順の準備まで含めることが一般的です。

移行後も一定期間は稼働状況を注視し、想定外の挙動がないかを確かめたうえで、通常の運用体制へ引き継ぎます。

ポイント

依頼範囲は、要件定義や設計を飛ばして構築に進まないよう、ヒアリングから移行までの流れのうち、社内に足りない工程から決めるとよいでしょう。

インフラコンサルが提供する主な支援内容

インフラコンサルが提供する支援内容の全体像

支援の中身は事業者によって幅がありますが、大きく分けると、設計・構想のドキュメント作成を支える支援と、検証・試験に関わる実務支援の二つがあります。

まず、自社に不足している工程がどちらなのかを見極めることが、依頼範囲を決める出発点になります。

構成設計書・アーキテクチャ図の作成支援

ネットワーク構成図、サーバー構成図、データフロー図といったアーキテクチャドキュメントの作成は、インフラコンサルの中心的な成果物のひとつです。

これらのドキュメントは、構築を担当するエンジニアだけでなく、監査やセキュリティ点検の場面でも参照されます。そのため、専門用語に頼りすぎず、非エンジニアの担当者にも読み解ける粒度になっているかを確かめる価値があります。

負荷検証・フェイルオーバー試験の実施支援

設計書上は問題がなくても、実際に負荷をかけてみると想定と異なる挙動が見つかることは珍しくありません。負荷検証では、想定ピーク時のアクセスを模擬的に発生させ、応答時間やリソース使用率を確認します。

フェイルオーバー試験では、サーバーやネットワーク経路を意図的に切り離し、想定した経路へ処理が自動で切り替わるかを確かめます。また、こうした検証を第三者の視点で設計し、実施できる点も、インフラコンサルに依頼する価値のひとつです。

導入目的と期待できる効果

インフラコンサル導入の目的を整理する会議

インフラコンサルを導入する目的は、構築作業を外注することだけではありません。手戻りのリスクを抑え、運用コストを適正に保ち、将来の拡張にも耐えられる基盤を最初から設計することにあります。

要件定義段階での手戻りの防止と、開発フェーズのコスト抑制

インフラの構築が始まってから非機能要件の見落としに気づくと、設計をやり直す手間だけでなく、すでに投入した構築工数の一部も無駄になります。要件定義段階で直すより、構築段階以降で直すほうが対応コストは大きく膨らみやすいという経験則は、インフラ領域でも広く共有されています。

インフラコンサルが第三者の視点で要件を整理し、抜け漏れを事前に洗い出せば、この手戻りのリスクを直接抑えられます。

オーバースペックの回避と中長期のTCOの適正化

クラウドは物理的なメンテナンスこそ不要になりますが、パッチ適用や監視対応にかかる人件費は残ります。そのため、5年程度の総保有コスト(TCO)で見ると、初期の開発費と同等以上になることも珍しくありません。

オンプレミス感覚で余裕を持たせたスペックをクラウド上でも確保すると、従量課金の額が積み上がり、想定以上のランニングコストにつながります。

インフラコンサルは、実際の利用パターンに合った適正なスペックを見極めます。そのうえで、初期費用だけでなく運用フェーズまで含めた総保有コストの観点から、設計を提案します。

ポイント

導入の目的が、手戻りを抑えることと、運用コストや将来の拡張を見据えて基盤を最初から設計することにあるかを、依頼前に社内で話し合っておくと判断しやすくなります。

他のコンサル・支援サービスとの違い

インフラコンサルと他の支援サービスの違い

インフラコンサルは、IT戦略コンサルやクラウドコンサル、SIerの受託開発と、役割が重なって見えることがあります。ただし、それぞれが担う工程と専門性の重心は異なります。

IT戦略コンサルとの違い:計画レイヤーと技術レイヤー

IT戦略コンサルは、中期IT計画やIT投資計画、ガバナンス体制の構築といった経営・情シス視点の意思決定を支援します。一方、インフラコンサルは、その計画で示された方向性を、どのサーバー構成・ネットワーク構成で実現するかという技術的な実装計画を担います。

中期計画そのものに不安があればIT戦略コンサル、計画は固まっているが技術的な実現方法に不安があればインフラコンサルというように、抱えている課題のレイヤーで使い分けます。

クラウドコンサル・SIerとの対象範囲の違い

クラウドコンサルは、クラウドへの移行やクラウドネイティブ化そのものに特化した支援を指すことが一般的です。インフラコンサルは、そのクラウド部分も含み、オンプレミスやハイブリッド構成まで対象とする、より広い技術範囲を扱います。

SIerの提案は特定のパッケージや自社サービスの導入を前提とするのに対し、複数の選択肢を比べたうえで最適な構成を検討できるかどうかも、見極めの判断材料になります。

自社に合う依頼先を具体的に比較したい場合は、インフラコンサルの選定ポイントで評価軸を解説していますので、あわせてご確認ください。

インフラコンサル導入前に確認しておきたいポイント

インフラコンサル導入前に確認しておきたいポイント

インフラコンサルを導入するかどうかは、自社が今どのフェーズでつまずいているかを整理して判断します。サーバーの台数や予算も、そのうえで見ておきたい要素です。どこまでを内製で担い、どこから外部の専門知見を借りるのかを決めておくと、依頼範囲や費用感の見通しを立てやすくなります。

設計フェーズと実務フェーズの見極め

社内に構築作業を担える人がいても、非機能要件を数値にして設計に落とし込んだ経験が少ない場合は、要件定義・設計フェーズの支援が優先度の高い依頼範囲になります。

反対に、設計方針は固まっているものの、負荷検証やフェイルオーバー試験の実施経験がない場合は、検証・構築フェーズに絞って依頼する選択肢もあります。

オンプレミスとクラウドの軸足の事前すり合わせ

依頼先によっては、特定のクラウドサービスへの移行提案に偏りやすい事業者もあります。

そこで、自社がオンプレミスを維持する事情を抱えているのか、全面的なクラウド移行を目指すのか、ハイブリッド構成を前提とするのかを、事前に整理しておきます。依頼先の提案がその前提と矛盾していないかも、あわせて確かめるとよいでしょう。

規模に応じた費用感と見積もりの取り方

検証環境や単一のWebサーバー環境の構築なら、数十万円程度で収まることもあります。一方で、複数拠点を持つ基幹システムのハイブリッド構成や大規模プラットフォームの刷新になると、費用は数百万円から数千万円規模まで大きく変わります。

自社の規模感を伝えないまま相場だけを聞くと、実態とかけ離れた見積もりになりがちです。そのため、想定するシステム規模と可用性要件を具体的に示したうえで、見積もりを依頼することが大切です。

ポイント

依頼するかどうかは、つまずいているフェーズと内製で担う範囲を整理して決めます。設計と実務のどちらが不足しているかで、依頼範囲も変わります。

まとめ

インフラコンサルの要点をまとめる担当者

インフラコンサルは、ITインフラの設計・構築・最適化を専門に支援するコンサルティングで、対象はサーバーやネットワークからハイブリッド構成まで広く及びます。

ヒアリングから移行まで一貫して伴走し、手戻りのリスクを抑えながら、中長期の運用コストまで見据えた基盤づくりを支援します。

技術レイヤーの意思決定を支える役割

IT戦略コンサルが描く中期計画や、クラウドコンサルが提案する移行方針を、実際に動く構成として形にするのがインフラコンサルの役割です。

インフラコンサルが早い段階で技術的な実現可能性を確かめておけば、計画と実装のあいだにずれが生まれにくく、プロジェクト全体の手戻りを防ぐことにつながります。

現状のインフラ構成の洗い出し

まずは、現在のサーバー・ネットワーク構成のどこに老朽化やボトルネックがあるか、可用性要件をどこまで満たせているかを洗い出してください。課題が明確になると、依頼すべき支援範囲と社内で対応する範囲を線引きしやすくなります。

標準的なクラウド構成やパッケージ的な支援では吸収しきれない独自要件が多い場合は、既存システムとの連携を含めたフルスクラッチ開発も選択肢になります。riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、インフラ設計の検討段階での要件整理や、既存システムと連携するインフラ構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。