レガシーシステムのモダナイゼーションのパッケージ/クラウド製品一覧

レガシーシステムのモダナイゼーションの製品・サービスを調べると、ハイパースケーラーが提供するクラウドネイティブなモダナイゼーション基盤、COBOL資産を自動変換するツール、大規模プロジェクトを一気通貫で支援するSIerの伴走型サービスなど、性質の異なるものが混在していることに気づきます。名称や機能一覧だけで選ぶと、自社が保有するメインフレームや言語環境に対応できず、比較検討そのものをやり直すことになりかねません。

本記事では、2026年7月時点で現行の公式情報を確認できた主要6製品・サービスを、クラウドネイティブ型・自動変換ツール型・SIer伴走支援型という3つの分類で紹介します。各サービスの対応範囲、比較すべき共通軸、料金・契約時の確認事項、デモ・PoCの進め方まで解説しますので、候補を絞り込む際の基準としてご活用ください。掲載する製品・サービスは、公式サイトで現行の情報を確認できたものに限定しており、提供終了の疑いがあるものや料金が確認できないものは除外しています。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・レガシーシステムのモダナイゼーションの完全ガイド

レガシーシステムのモダナイゼーション製品・サービスの3つの分類

レガシーシステムのモダナイゼーション製品を分類する担当者

レガシーシステムのモダナイゼーションに関わる製品・サービスは、大きく分けるとクラウドネイティブ型、自動変換ツール型、SIer伴走支援型の3つに整理できます。実際のサービスは複数の性質を併せ持つ場合もあるため、分類名よりも自社が保有する資産の種類との相性を確認することが重要です。

クラウドネイティブ型(ハイパースケーラー提供のモダナイゼーション基盤)

クラウド事業者自身が提供するモダナイゼーション基盤を指します。アセスメントからコード変換、クラウド上での稼働までを一気通貫で提供する点が特徴で、移行先のクラウド基盤がすでに定まっている企業や、既存のクラウド契約と一体的に進めたい企業に向いています。

自動変換ツール型(COBOL資産を自動変換するツール)

既存のCOBOLやPL/Iといったプログラム資産を解析し、Javaなどの言語へ自動変換することに特化したツールです。移行先の基盤を比較的柔軟に選べる場合が多い一方、変換後コードの保守性や、変換の正確性を保証する回帰検証の体制はベンダーによって差があります。

SIer伴走支援型・特定資産特化型

大規模プロジェクト全体をアセスメントから移行後の運用まで伴走支援する形態です。国内の商習慣や規制対応に精通している点が特徴ですが、実際に採用するツールやパートナー企業は案件ごとに異なるため、個別に確認する必要があります。また、特定のミドルウェア資産に特化した現代化基盤を提供するベンダーもあり、自社が保有する資産の種類と一致するかを見極めることが重要です。

製品を比較するときの共通軸

レガシーシステムのモダナイゼーション製品の比較軸を整理する会議

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社のシステムに適合するかを判断できません。対応範囲・自動変換率と、移行後の保守性・回帰検証の網羅性という2つの軸で比較することが重要です。詳しい評価手順は、レガシーシステムのモダナイゼーションの選定ポイントで解説しています。

対応範囲と自動変換率を確認します

対象となるプログラム言語(COBOL、PL/I、Assemblerなど)、対象となる基盤(メインフレーム、オープン系、クラウドなど)が自社の資産と一致するかをまず確認します。「自動変換率〇割」といった訴求を見かけた場合は、その数値がどのような案件を根拠にしているのか、自社の資産構成でも同程度の変換率が見込めるのかを、デモやPoCを通じて確認することが欠かせません。

移行後の保守性と回帰検証の網羅性を確認します

変換後のコードが自社のエンジニアにとって読みやすく保守しやすい構造になっているか、新旧システムが同じ入力に対して同じ結果を返すことを確認する回帰検証をどこまで自動化できるかは、製品によって差が大きい部分です。変換の速さだけに注目すると、移行後に想定外の不具合対応へ追われる可能性があるため、検証工程の充実度もあわせて比較します。

レガシーシステムのモダナイゼーション主要製品・サービス6選

レガシーシステムのモダナイゼーションの主要製品を一覧で検討する様子

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品・サービスを紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。対応する資産や進め方の思想が異なるため、自社の状況と照らして比較することが重要です。同じ「モダナイゼーション」という言葉を掲げていても、クラウド事業者自身が提供するのか、変換技術に特化した専業ベンダーが提供するのか、大規模プロジェクトを丸ごと請け負うSIerが提供するのかによって、検討時に確認すべき論点は変わってきます。

AWS Transform

AWS Transformは、Amazon Web Servicesが提供するAIエージェント搭載のモダナイゼーション向けワークベンチです。公式サイトによると、メインフレームのアセスメントからコード生成までを一貫して支援するほか、.NET/Windowsアプリケーションの現代化、VMware環境の移行、Java・Node.js・Pythonなどのカスタムコード変換にも対応するとされています。すでにAWSを利用している企業であれば、既存の契約・サポート体制と一体的に検討しやすい候補です。料金は個別のPricingページの確認が必要です。

AWS Mainframe Modernization

AWS Mainframe Modernizationは、メインフレームアプリケーションの再プラットフォーム化や、レガシーCOBOL・PL/Iアプリケーションの移行を支援するサービスです。公式サイトによると、Micro FocusおよびNTT DATAのツールチェーンを統合しており、Assemblerコードの自動変換やデータのほぼリアルタイム複製にも対応するとされています。既存のメインフレーム資産を大きく作り替えずに移行したい企業に向いた選択肢です。なお、公式サイトには2026年6月30日以降、Self-Managed Experienceの新規顧客受け入れを終了する予定である旨の記載があり、検討時には最新の提供形態を確認する必要があります。

Xenlon~神龍 Migrator(TISI)

Xenlon~神龍 Migratorは、TISI株式会社が提供する、COBOLやPL/Iで書かれたレガシーコードをJavaへ自動変換するツールです。公式サイトによると、業務ロジックを100%自動変換することを標榜し、独自の特許技術により変換後も性能を維持できるとしています。アセスメント、マイグレーション、DX企画、DX実装というサービスラインナップを備え、フルスクラッチによる再構築と比較して開発期間・費用とも約50%の削減を見込めるとしています。国内のメインフレーム資産をJavaへ移行したい企業の候補になります。料金は個別見積もりです。

Astadia(Amdocsグループ)

Astadiaは、現在Amdocsグループの一員となっているメインフレームモダナイゼーション専業企業です。公式サイトによると、CloudTurn、DataTurn、CobolBridgeなど複数のモダナイゼーション製品を保有し、金融機関や政府機関など大規模組織のメインフレームからクラウドへの移行を支援してきた実績が紹介されています。長年にわたるメインフレーム移行の専門知見を重視する企業にとって有力な候補です。料金は本文に記載がなく、個別の相談が必要です。

Adabas & Natural(Software AG)

Adabas & Naturalは、Software AGが提供する、Adabas・Naturalで構築された資産をIBM Z、Linux、クラウドの各環境で現代化して稼働させるための基盤です。公式サイトによると、REST・OpenAPIによるエンドポイント化、zIIPへのワークロードオフロード、VSAM・IMS・Db2との連携に対応するとされています。すでにAdabas・Natural資産を保有する企業にとっては、資産を作り替えずに現代化する選択肢になります。料金は本文に記載がなく、無料トライアルや無料のIT健全性チェックの案内があります。

Application and Mainframe Modernization(NTT DATA)

NTT DATAは、アプリケーション・メインフレームのモダナイゼーションを含む複数のアプリケーションサービスを提供しています。公式サイトによると、コスト削減と技術的負債の最小化を目的として、アセスメントから移行後の運用まで一気通貫で支援する体制を敷いているとされています。国内外の大規模プロジェクトを自社だけで抱えきれない企業にとって、伴走支援を重視した候補になります。料金は本文に記載がなく、個別の問い合わせが必要です。

自社の状況別に候補を絞る方法

自社の状況からモダナイゼーション製品候補を絞るチーム

6つの候補を一律に細部まで比較するより、自社が保有する資産の種類と、社内でどこまで対応できるかを軸に絞り込む方が効率的です。

メインフレーム資産が中心の場合

COBOL・PL/Iで構築された大規模なメインフレーム資産を保有し、移行先のクラウド基盤もあわせて検討したい場合は、AWS TransformやAWS Mainframe Modernizationのようなクラウドネイティブ型が候補になります。国内の商習慣に沿った進め方や、自動変換の実績を重視する場合はXenlon~神龍 Migratorが、長年のメインフレーム専業としての知見を重視する場合はAstadiaが比較対象になります。

特定ミドルウェア資産やハイブリッド運用が中心の場合

すでにAdabas・Naturalで構築された資産を保有し、資産を作り替えずに現代化したい場合は、Adabas & Naturalが直接的な候補になります。自社だけでプロジェクト全体を推進する体制が整っていない場合や、規制対応・商習慣への配慮が必要な大規模案件では、NTT DATAのような伴走支援型サービスを軸に検討すると進めやすくなります。

料金・契約前に確認すべきこと

モダナイゼーション製品の料金と契約条件を確認する担当者

本記事で紹介した製品・サービスはいずれも、公式サイトに具体的な料金は掲載されておらず、個別見積もりが基本です。公開価格がない分、比較を怠ると想定外の費用感で契約することになりかねません。

何に対して料金が発生するかを確認します

クラウドネイティブ型は利用したコンピューティング資源やサービス利用量に応じた従量課金が基本になりやすく、自動変換ツール型やSIer伴走支援型は、対象となるプログラム本数や工数に応じた個別見積もりになりやすい傾向があります。同じ「モダナイゼーション費用」という言葉でも、初期のアセスメント費用、変換・移行の実施費用、移行後の保守費用のどこまでが含まれるのかを、各社に同じ条件で提示してもらい比較することが重要です。

データ・セキュリティと契約終了時の扱いを確認します

移行対象には、業務上重要なデータや顧客情報が含まれることが一般的です。変換作業やクラウド上での稼働中に、データがどこに保管され、誰がアクセスできるのか、契約が終了した際にソースコードや変換後の資産をどのような形式で受け取れるのかを、契約前に確認しておく必要があります。特定ベンダーの独自形式に依存したまま契約を終えると、次の移行先を選ぶ自由度が狭まってしまいます。

デモ・PoCで最終候補を絞る

モダナイゼーション製品のデモとPoCを実施するチーム

資料上の説明で2〜3製品まで絞り込んだら、実際の資産の一部を使ったデモやPoCで最終確認を行います。

実際の資産の一部を使って変換・検証を試します

汎用的なサンプルコードではなく、自社が実際に運用しているプログラムの一部を提供し、変換にかかる時間、変換後コードの可読性、エラーとなった箇所とその原因を確認します。あわせて、新旧のロジックが同じ結果を返すかを検証する回帰テストを、どこまで自動化した状態で提示できるかも比較のポイントになります。

削減効果を実測して意思決定に使います

PoCの前後で、変換にかかった工数、手作業による修正箇所の数、想定していた期間との差異を記録します。ベンダーが公開する一般的な削減率をそのまま採用するのではなく、自社の対象資産で得られた実測値をもとに、その後の本格移行の投資判断に活用することが重要です。

製品比較で押さえておきたいポイント

レガシーシステムのモダナイゼーション製品比較に関する質問を確認する担当者

製品一覧から候補を選ぶ際は、買い切り型の有無や単純な機能数の多さだけでなく、自社の資産構成と利用規模を同じ条件で比較する必要があります。ここでは、選定時に判断が分かれやすいポイントを整理します。

買い切り型が必要な場合の考え方

今回紹介した製品・サービスは、いずれも利用契約や個別見積もりを前提とする形態が中心です。自社サーバーへの導入を前提とした買い切り型の製品が必須という場合は、対象とするツールの提供形態を個別に確認したうえで、必要に応じて個別開発やハイブリッド構成もあわせて比較してください。

おすすめの1製品は状況によって変わります

全企業に共通する唯一の正解はなく、保有する資産の種類、移行先のクラウド基盤の有無、社内で対応できる体制の範囲によって適した候補は変わります。まず自社の資産構成で必須要件を満たす2〜3製品へ絞り、同じ条件のPoCで比較することをおすすめします。

料金は総保有コストで比較します

公開価格がない製品が中心のため、同じ資産規模・移行範囲を提示したうえで、アセスメント、変換・移行、移行後の保守運用までを含めた総保有コストで比較してください。初期費用の安さだけで選ぶと、移行後の保守体制やサポート範囲で想定外の追加費用が発生することがあります。

まとめ

レガシーシステムのモダナイゼーション製品選定方針をまとめるチーム

レガシーシステムのモダナイゼーションの製品・サービス選びでは、クラウドネイティブ型・自動変換ツール型・SIer伴走支援型という分類を手がかりに、自社が保有する資産の種類との相性を見極めることが出発点になります。今回紹介した6製品・サービスにも、対応する言語や基盤、進め方の思想に明確な違いがあります。

資産構成の把握から2〜3候補へ絞り込みます

自社が保有する言語・基盤の資産構成、社内で対応できる体制の範囲を整理したうえで、対応範囲・自動変換率、保守性・回帰検証の網羅性という共通軸で候補を比較すれば、広告的な訴求に左右されず現実的な候補へ絞り込めます。

最後は実際の資産を使ったPoCで確認します

資料上の訴求ではなく、自社の実際の資産を使った変換・検証で削減効果と残る課題を確認したうえで決定してください。既存の製品・サービスでは対応が難しい独自業務や、複数の資産が複雑に絡み合う基幹連携が必要な場合、riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足領域の整理や、自社業務に合わせたモダナイゼーションの構築を支援しています。

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。