レガシーシステムのモダナイゼーションの製品・サービスは、クラウドネイティブ型、自動変換ツール型、SIer伴走支援型の3つに大別できます。
自社の資産との相性で候補を絞り、契約前の確認とPoCで最終判断するのが、選定の基本的な流れです。各テーマの詳細は、関連記事もあわせてご覧ください。
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レガシーシステムのモダナイゼーション製品・サービスの3つの分類

製品・サービスは、クラウドネイティブ型、自動変換ツール型、SIer伴走支援型に大別できます。3つの型は、支援の範囲や得意とする資産が異なります。ただし、実際には複数の性質を併せ持つサービスもあります。そのため、分類名だけで決めず、自社が保有する資産の種類と相性を確かめる必要があります。
クラウドネイティブ型(ハイパースケーラー提供のモダナイゼーション基盤)
クラウド事業者が提供する基盤で、アセスメントからコード変換、クラウド上での稼働までを一貫して支援します。
移行先のクラウドがすでに決まっている企業や、既存のクラウド契約と一体で進めたい企業に向いています。
自動変換ツール型(COBOL資産を自動変換するツール)
COBOLやPL/Iなどのプログラム資産を解析して、Javaなどの言語へ自動で変換するツールです。移行先の基盤を比較的柔軟に選べる場合が多い一方で、変換後のコードの保守性はベンダーによって差があります。
変換の正確性を保証する回帰検証の体制は、ベンダーごとに確認が必要です。
SIer伴走支援型・特定資産特化型
アセスメントから移行後の運用まで、大規模プロジェクト全体を伴走して支援する形態です。
国内の商習慣や規制対応に詳しい点が特徴で、採用するツールやパートナーは案件ごとに異なります。
特定のミドルウェア資産に特化した現代化基盤もあります。その場合は、自社資産との適合を見極める必要があります。
製品を比較するときの共通軸

自社システムへの適合は、機能一覧を見るだけでは判断しにくいものです。そのため、対応範囲と自動変換率に加えて、移行後の保守性や回帰検証の網羅性も比べます。
詳しい評価手順は、レガシーシステムのモダナイゼーションの選定ポイントで解説しています。
対応範囲と自動変換率の確認
まず、対象言語が自社の資産と合うかを見ます。COBOL、PL/I、Assemblerなどが確認の対象になります。
また、対象となる基盤も照合します。メインフレーム、オープン系、クラウドなどの対応状況を見ることが必要です。
「自動変換率〇割」と打ち出す場合は、その根拠になった案件を確認します。そのうえで、自社の資産構成でも同程度になるかを、デモやPoCで確かめる必要があります。
移行後の保守性と回帰検証の網羅性の確認
変換後のコードが、自社のエンジニアにとって読みやすく、保守しやすい構造になっているかを見ます。
新旧システムが同じ入力に同じ結果を返すかを確かめる回帰検証も比較します。ただし、どこまで自動化できるかは製品によって差があります。
変換速度だけを見て選ぶと、移行後に想定外の不具合対応が必要になるおそれがあります。そのため、検証工程の充実度も合わせて確認しておきたいところです。
レガシーシステムのモダナイゼーション主要製品・サービス6選
2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品・サービスを取り上げます。
掲載順はランキングではありません。
対応資産や進め方の考え方は製品ごとに異なります。たとえば、クラウド事業者、変換技術に特化したベンダー、プロジェクトを請け負うSIerでは、確認すべき論点も変わります。
自社の状況に照らして比べてください。
AWS Transform
AWS Transformは、AWSを利用している企業が既存の契約と合わせて検討したい場合の候補です。
- 提供元と製品:Amazon Web Servicesが提供する、AIエージェント搭載のワークベンチ
- 主な支援:メインフレームのアセスメントからコード生成まで、一貫して支援
- 対応環境:.NET/Windowsの現代化、VMware移行、Java・Node.js・Pythonなどへのコード変換
- 契約と料金:AWS利用企業は既存の契約やサポートと合わせて検討しやすく、料金はPricingページで確認できる
AWS Mainframe Modernization
AWS Mainframe Modernizationは、既存資産の移行に加えて、提供条件も合わせて確認しておきたい製品です。
- 移行支援:メインフレームの再プラットフォーム化や、COBOL・PL/Iアプリの移行
- ツールチェーン:公式サイトによると、Micro FocusとNTT DATAのツールを統合したもの
- 対応機能:Assemblerコードの自動変換と、データのほぼリアルタイム複製
- 移行方針:既存のメインフレーム資産を、大きく作り替えずに移行する方針
- 提供条件:2026年6月30日以降、Self-Managed Experienceは新規顧客の受け入れを終了する予定。最新情報の確認が必要
Xenlon~神龍 Migrator(TISI)
候補になるのは、国内のメインフレーム資産をJavaへ移したい企業です。ただし、料金は個別見積もりです。
- 提供元と変換先:TISI株式会社が、COBOL・PL/IのレガシーコードをJavaへ変換
- 自動変換:公式サイトでは、業務ロジックを100%まで機械的に変換できると標榜
- 変換後の性能:独自の特許技術により、性能を維持できると説明
- 支援内容:アセスメント、マイグレーション、DX企画、DX実装を提供
- 削減効果:フルスクラッチによる再構築との比較で、開発期間・費用とも約50%の削減を見込めるとしている
Astadia(Amdocsグループ)
Astadiaは、メインフレーム移行の専門知見を重視する企業にとって候補のひとつです。現在はAmdocsグループに属しています。
- 事業領域:メインフレームモダナイゼーションの専業企業
- 製品:CloudTurn、DataTurn、CobolBridgeなどを提供
- 移行実績:金融機関や政府機関など大規模組織の、メインフレームからクラウドへの移行実績を公式サイトで紹介
- 料金:公式サイトに料金の記載がなく、個別の相談が必要
Adabas & Natural(Software AG)
公式サイトによると、Adabas & NaturalはSoftware AGが提供する現代化基盤です。
Adabas・Natural資産を保有し、作り替えずに現代化したい企業にとって、選択肢のひとつになります。
- 稼働環境:Adabas・Natural資産を、IBM Z、Linux、クラウドで稼働
- API対応:REST・OpenAPIによるエンドポイント化
- 連携・処理:zIIPへのワークロードオフロード、VSAM・IMS・Db2との連携
- 利用案内:無料トライアルや無料のIT健全性チェックを用意。料金の詳細は個別に確認が必要
Application and Mainframe Modernization(NTT DATA)
NTT DATAは、アプリケーションやメインフレームのモダナイゼーションを含む、複数のサービスを提供しています。
公式サイトによると、コスト削減と技術的負債の最小化を目的としています。加えて、アセスメントから移行後の運用まで一気通貫で支援する体制を敷いているとされています。
国内外の大規模プロジェクトを自社だけで抱えきれない企業に向く候補です。なお、料金は記載がなく、個別の問い合わせが必要です。
自社の状況別に候補を絞る方法
6つの製品・サービスを一律に細かく比べるより、保有資産と社内体制を軸に絞るほうが効率的です。
メインフレーム資産が中心の場合
COBOL・PL/Iの大規模なメインフレーム資産があり、移行先のクラウドも検討している場合が対象です。その場合は、AWS TransformやAWS Mainframe Modernizationが候補になります。
国内の商習慣に沿った進め方や、自動変換の実績を重視する場合は、Xenlon~神龍 Migratorが候補になります。
メインフレーム専業として長年培った知見を重視する場合は、Astadiaも比較対象になります。
特定ミドルウェア資産やハイブリッド運用が中心の場合
Adabas・Natural資産を作り替えずに現代化したい場合は、Adabas & Naturalが第一に検討したい候補です。
社内にプロジェクト全体を進める体制がない場合や、規制・商習慣への配慮が必要な大規模案件では、NTT DATAの伴走支援型サービスも検討の対象になります。
料金・契約前の確認事項
紹介した製品・サービスは、公式サイトに具体的な料金が示されておらず、個別見積もりが基本です。公開価格がないため、条件をそろえて比べないと、想定外の費用で契約してしまうおそれがあります。
料金が発生する対象
たとえば、クラウドネイティブ型は、利用したコンピューティング資源やサービス量に応じた従量課金が基本になりやすい傾向です。自動変換ツール型やSIer伴走支援型は、対象プログラムの本数や工数に応じた個別見積もりになりやすい傾向があります。
そのため、初期アセスメント、変換・移行、移行後の保守のうち、どこまでが含まれるかを確かめておく必要があります。そのうえで、各社に同じ条件を提示してもらうと比べやすくなります。
データ・セキュリティと契約終了時の扱い
契約前には、データの管理方法と、契約終了時に資産を受け取る条件を確かめておく必要があります。
- 対象データ:業務上重要な情報や顧客情報が含まれることが一般的
- 保管とアクセス:変換中とクラウド稼働中の所在と、触れられる人の範囲
- 契約終了時:ソースコードや変換後資産を受け取る形式
- 移行の自由度:独自形式への依存は、次の移行先の選択肢を狭める
デモ・PoCによる最終候補の絞り込み

資料で2〜3製品に絞り込んだあとは、自社資産の一部を使ったデモやPoCで最終確認します。
実際の資産の一部を使った変換・検証
自社が実際に運用しているプログラムの一部を提供し、変換の結果を具体的に見ることが目的です。
- 変換時間:自社プログラムの変換にかかる時間
- コードの可読性:変換後コードの読みやすさ
- エラー内容:エラー箇所とその原因
- 回帰テスト:新旧ロジックが同じ結果を返すか、自動化の範囲
削減効果の実測と意思決定への活用
PoCの前後で、変換工数、手作業による修正箇所数、想定期間との差異を記録しておきます。そのうえで、一般的な削減率は参考にとどめ、自社資産で得た実測値を本格移行の投資判断に使いましょう。
製品比較で押さえておきたいポイント
買い切り型かどうかや機能数に加えて、資産構成と利用規模を同じ条件で比べます。そのうえで、選定時に判断が分かれやすいのは、買い切り型の要否、1製品に絞る考え方、料金の比べ方です。
買い切り型が必要な場合の考え方
ここで紹介した製品・サービスは、利用契約や個別見積もりを前提とする形態が中心です。
自社サーバーへの導入を前提とする買い切り型が必須であれば、ツールの提供形態を個別に確かめる必要があります。
必要に応じて、個別開発やハイブリッド構成も比較の対象に加えられます。
おすすめの1製品と状況による違い
全企業に共通する唯一の正解はありません。資産の種類、移行先クラウドの有無、社内体制によって、適した候補は変わります。そのため、誰にでも当てはまる1製品を探すより、自社の条件から候補を絞るほうが現実的です。
必須要件を満たす2〜3製品に絞り、同じ条件のPoCで比べる方法が有効です。
総保有コストによる料金の比較
公開価格がない製品が中心です。そこで、各社に同じ資産規模と移行範囲を示し、総保有コストで比べます。その際は、アセスメント、変換・移行、移行後の保守運用までを費用に含めます。
初期費用だけで選ぶと、移行後の保守体制やサポート範囲で追加費用が生じることがあります。
まとめ
製品・サービス選びは、3つの分類を手がかりに、自社資産との相性を見極めるところから始まります。
紹介した6製品・サービスは、対応言語や基盤、進め方の考え方がそれぞれ異なります。
資産構成の把握から2〜3候補への絞り込み
まず、言語と基盤の資産構成や社内体制を整理します。次に、対応範囲と自動変換率、保守性と回帰検証の観点から候補を比べます。
この順で比べれば、広告的な訴求に左右されず、現実的な候補に絞り込めます。
実際の資産を使ったPoCによる最終確認
実資産の検証で効果と課題を把握し、必要に応じて不足する領域への対応も検討します。
- 意思決定:変換・検証で削減効果と残る課題を確かめたうえでの判断
- 対応が難しい領域:独自業務や複数資産が複雑に絡む基幹連携では、riplaがフルスクラッチ開発を支援
- 支援内容:製品比較で分かった不足領域の整理や、自社業務に合わせたモダナイゼーションの構築
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
