mcframe導入とは?|考え方/特徴/仕組み/目的を解説

生産管理や原価管理の仕組みを見直そうとするとき、標準原価と実際原価の差異が月次決算までつかめない、海外拠点ごとに異なるシステムが乱立している、といった悩みを抱える製造業の担当者は少なくありません。mcframeとは、原価管理に強みを持つ国産の生産管理・原価管理パッケージであり、原価の可視化と海外拠点を含む基幹業務の統合管理を実現する仕組みを指します。ビジネスエンジニアリング株式会社が開発・提供しており、発売から約30年にわたって製造業の現場で使われてきました。

本記事では、mcframe導入の基本的な考え方と特徴、原価計算を中心とした仕組み、主要機能、導入によって得られる目的とメリット、他の基幹システムとの違いを順に解説します。mcframeという言葉を初めて調べている担当者の方でも、自社の原価管理や海外拠点展開の課題に合う仕組みかどうかを判断できるよう、実際の業務フローに沿って整理します。

mcframeとは何か?提供元と製品の全体像

mcframeの全体像を確認する担当者

mcframeは、ビジネスエンジニアリング株式会社が開発・提供する生産管理・原価管理パッケージです。1996年に「MCFrame」として発売され、2016年に表記を「mcframe」へ統一しており、国産パッケージとしては老舗の部類に入ります。単体の会計システムや生産管理システムではなく、原価計算を軸に据えた基幹システムとして設計されている点が特徴です。

国産の老舗パッケージとしての位置づけです

mcframeを提供するビジネスエンジニアリング株式会社は、もともと東洋エンジニアリングの産業システム事業本部を前身とし、1999年に「東洋ビジネスエンジニアリング株式会社」として事業を開始した会社です。2019年10月、開業20周年を機に社名から「東洋」の冠を外し、現在の「ビジネスエンジニアリング株式会社」に変更しています。2018年には親会社が保有株式を売却しており、独立性の高い経営体制のもとで製品開発を続けている点も、長期利用を前提にパッケージを選ぶ企業にとって確認しておきたい背景情報です。

同社は1991年にERPビジネスを開始し、1993年には国内第一号となるSAPユーザーの導入支援を担った実績を持ちます。その経験を踏まえて自社製パッケージとして開発されたのがmcframeであり、発売から約30年という長い年月の中で、医薬品業界を中心に約100社の導入実績があるとされるほか、食品・機械・化学など複数業種での採用例が積み重ねられています。

生産・販売・原価・会計を横断する製品群です

mcframeという名称は一つの製品を指すのではなく、生産管理・販売管理を担うSCM、原価管理を担うPCM、製造実行を担うLiteMES、製品単位のCO2排出量を算定するCFPという4つの機能で構成される「mcframe 7シリーズ」を中核に、クラウドERPのmcframe X、海外グループ会社向けの会計・ERPパッケージであるmcframe GA、海外拠点の生産・販売・原価管理を担うmcframe CSなど、複数の製品群の総称として使われています。導入を検討する際は、自社がどの業務範囲をmcframeでカバーしたいのかを最初に整理しておくと、後述する機能や選定ポイントの理解がスムーズになります。

mcframe導入の考え方―原価管理を軸にした基幹整備

原価管理を軸にした基幹システムの考え方

mcframe導入を検討する企業の多くは、生産管理そのものよりも、原価をどこまで正確に把握し、経営判断や価格交渉に生かせるかという点を重視しています。mcframeは、複数の原価計算方式を標準機能として備え、業種や生産方式が異なる企業でも自社に合う計算ロジックを選べるように設計されている点が、他の基幹システムと導入の考え方を分ける部分です。

4つの原価計算方式に対応する設計です

mcframeは、標準原価シミュレーション、予算原価シミュレーション、実績原価(速報原価)計算、実際原価計算という4つの方式に対応しています。見込みで原価を試算する段階から、月次で実績を反映する段階、確定値としての実際原価を算出する段階までを一つの製品でカバーできるため、原価管理の精度を段階的に高めていく運用がしやすくなっています。

生産方式についても、連続的に同じ製品を作る総合原価計算と、個別受注に応じて計算する個別原価計算の両方に対応しているため、量産型の工場と受注生産型の工場が混在するグループ企業でも、業態ごとに計算方式を使い分けながら同じ基盤で管理できる点が導入の考え方として評価されています。

生産・販売・会計を一体で扱う統合設計です

mcframe導入のもう一つの考え方は、原価計算を単独の機能として切り出すのではなく、生産管理・販売管理と一体化させることで、転記や二重入力を減らす点にあります。受注や生産の実績データがそのまま原価計算のインプットになる流れを標準機能として備えており、算出された原価データは会計システムとのインターフェースを通じて外部の会計処理へ引き継ぐ設計になっているため、部門をまたいだ数値の突合作業を減らせます。

mcframeの仕組みと業務データの流れ

受注から原価計算までの業務データの流れ

mcframeを導入した後の実務では、受注・生産・購買といった上流工程の情報が、原価計算や差異分析にどうつながるかを理解しておくことが欠かせません。ここでは、標準的な業務データの流れと、原価を可視化する仕組みについて整理します。

受注・生産・購買のデータが原価計算に連動します

mcframeでは、受注情報や生産計画、購買実績といった上流工程のデータが、そのまま原価計算のインプットとして引き継がれます。BOM(部品構成表)や工程情報と紐づけることで、材料費・労務費・経費といった原価要素を品目単位・製品単位で積み上げる仕組みになっており、担当者が原価計算のためだけに追加でデータを入力する手間を抑えられます。

この連動が機能するためには、品目マスタや工程マスタ、原価マスタといった基礎データを正しく整備しておくことが前提になります。導入プロジェクトの初期段階でマスタ整備に時間をかけるほど、稼働後の原価計算結果の信頼性が高まるという関係にある点は、mcframeに限らず原価管理パッケージ全般に共通する仕組み上の特徴です。

配賦計算と差異分析で原価を可視化します

mcframeは、部門間配賦、品目別配賦、配賦係数による配賦など複数の配賦方法に対応しており、共通費用をどの製品・部門にどのように按分するかを柔軟に設定できます。算出された実際原価と標準原価・予算原価を比較し、価格差異・数量差異・時間差異・配賦率差異という4種類の差異に分解して分析できる点も、原価の可視化を重視する企業から評価されている仕組みです。

差異分析の結果は、製品別・得意先別の利益分析にもつながります。どの製品がどの得意先向けにどれだけの利益を生んでいるかを、原価データに基づいて確認できるようになるため、値上げ交渉や取扱品目の見直しといった経営判断の材料として活用しやすくなる点が、mcframeの仕組み面での特徴です。

mcframeの主要機能とプラットフォーム構成

mcframeの主要機能とプラットフォーム構成

mcframeの機能は、7シリーズと呼ばれる中核製品群と、クラウドERPのmcframe X、周辺業務を補うIoT・PLM・BIシリーズに大きく分けられます。自社がどの機能をどこまで使うかによって、導入範囲やプロジェクトの規模が変わってきます。

SCM・PCM・LiteMES・CFPで構成される7シリーズです

mcframe 7シリーズは、生産・販売管理を担うSCM、原価管理を担うPCM、製造実行を担うLiteMES、原材料調達から生産までの範囲で製品単位のCO2排出量を算定するCFPという4つの機能群で構成されています。生産・販売の実績を起点に原価計算を行い、算出した原価データを会計システムとのインターフェースで外部へつなげるという流れを、これらの機能の組み合わせで実現している点が特徴です。どの機能から段階的に導入するかは、自社の課題が生産管理側にあるのか、原価の可視化側にあるのか、あるいは脱炭素対応側にあるのかによって変わってきます。

mcframe XはDeveloper Platformで拡張できるクラウドERPです

mcframe Xは、クラウド型のERPとして提供されており、ノーコード・ローコードで機能を拡張できる「Developer Platform」を搭載しています。組立加工型の製造業からプロセス製造業まで幅広い業種に対応し、日本語・英語・タイ語・インドネシア語・中国語の5言語に対応している点も特徴です。標準機能で足りない部分を、パッケージの改修ではなくノーコード・ローコードの範囲で補えることで、パッケージでありながらある程度の個別要件に対応しやすい設計になっています。

IoT・PLM・COCKPITなど周辺シリーズも用意されています

mcframeには、現場のセンサーデータや稼働情報を取り込むIoTシリーズ(SIGNAL CHAIN、RAKU-PAD)、設計情報や部品構成を管理するPLMシリーズ(Visual BOM、EM-Bridge)、経営データを可視化するBIツールのmcframe COCKPITといった周辺製品も用意されています。基幹の生産・原価管理だけでなく、設計から現場、経営層への報告までを同じ製品群でつなげたい企業にとっては、これらの周辺シリーズをどこまで組み合わせるかも導入範囲を決めるうえでの検討材料になります。

mcframe導入の目的と期待できる効果

mcframe導入の目的を整理する会議

mcframeを導入する目的は、単に生産管理をシステム化することではありません。原価の可視化によって収益管理を高度化することと、海外拠点を含めたグローバルな管理体制を整えることの2点が、他の国産基幹システムと比べたときのmcframe特有の導入目的として挙げられます。

原価の可視化による収益管理の高度化です

標準原価・実際原価・差異分析までを一気通貫で扱えることで、これまで月次決算後にしか把握できなかった原価のブレを、より早いタイミングで確認できるようになります。製品別・得意先別の利益分析まで踏み込めることは、原価計算を単なる決算のための作業ではなく、日々の経営判断に使えるデータとして活用する目的に合致しています。どの工程でコストが膨らんでいるかを差異分析から特定できれば、値上げ交渉や生産方式の見直しといった具体的なアクションにもつなげやすくなります。

海外拠点展開に伴うグローバル管理体制の構築です

ビジネスエンジニアリング株式会社は、中国(上海)、タイ(バンコク)、シンガポール、インドネシア(ジャカルタ)、米国(シカゴ)の5拠点に海外現地法人を持ち、グローバル展開する製造業を支援する体制を整えています。加えて、海外拠点向けには生産・販売・原価管理を担うmcframe CSと、会計・ERP機能を担うmcframe GAという専用パッケージを提供しており、mcframe GAは33の国と地域で1,500社を超える導入実績があるとされています。この2製品を組み合わせることで、海外拠点の会計機能まで含めたワンストップの体制を構築できる点が、グローバル展開を進める製造業がmcframeを選ぶ目的の一つになっています。

具体的には、本社の基幹システムをオンプレミスで運用しながら、海外拠点はクラウドのmcframe Xを利用するという組み合わせや、その逆のパターンも選択肢になります。mcframe GAには、日本本社から海外拠点の財務・販売・購買・在庫データへアクセスし、拠点データを一元化できる機能があり、グループ全体の状況を連結で把握したいという目的とも親和性が高い部分です。ただし、mcframe X単体が「ハイブリッドクラウド製品」であると公式に明記されているわけではなく、mcframe Xとmcframe 7を拠点ごとに使い分けられる構成として理解しておく方が実態に近い表現になります。

他の基幹システムとの違い

mcframeと他の基幹システムの違いを整理する担当者

mcframeは、会計システム単体や生産管理システム単体、あるいは汎用的なERPパッケージと機能が重なる部分もあります。ただし、それぞれの中心的な設計思想は異なるため、既存システムをすべて置き換えるかどうかも含めて整理しておくことが重要です。

会計システム単体・生産管理システム単体とは範囲が異なります

会計システム単体は、仕訳、債務、支払い、決算といった会計処理を中心に扱いますが、標準原価と実際原価の差異分析や、製品別・得意先別の原価配賦までを担うことは通常ありません。生産管理システム単体も、工程管理や在庫管理には強みがあっても、原価計算までを一気通貫で扱えるとは限りません。mcframeは、これらの機能を横断して原価計算を軸につなぐ点が、単体システムの組み合わせと異なる部分です。

国内における会計処理については、mcframe 7シリーズは会計システムとのインターフェースを備え、算出した原価データを外部の会計システムへ連携する構成が基本になります。一方、海外グループ会社向けにはmcframe GAが会計・ERP機能そのものを提供しており、国内と海外で会計処理の担い方が異なる点も、mcframeを検討するうえで押さえておきたい違いです。

汎用ERPパッケージとは原価管理への特化度が異なります

汎用的なERPパッケージも生産管理や原価管理の機能を備えていますが、標準原価・予算原価・実績原価・実際原価という4方式を業種を問わず柔軟に選べる点や、差異分析の細かさは製品によって差があります。mcframeは原価管理の精度と多様性を強みとして開発されてきた経緯があるため、原価の可視化そのものを課題としている企業にとっては、汎用ERPの原価機能を追加開発で補うよりも検討する価値があるといえます。具体的な選定ポイントや比較の進め方については、mcframe導入の選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

mcframe導入前に確認しておきたいポイント

mcframe導入前に確認しておきたいポイントを整理する担当者

mcframeを導入するかどうかは、原価管理の課題の大きさだけで決まるものではありません。自社の原価計算方式との適合度、海外拠点の有無、導入形態といった観点を事前に整理することで、導入後のギャップを防ぎやすくなります。

自社の原価計算方式とのFit&Gapを確認します

自社が現在採用している、あるいは今後採用したい原価計算方式が、標準原価シミュレーション、予算原価シミュレーション、実績原価計算、実際原価計算のどれに近いか、また総合原価計算と個別原価計算のどちらを基本とするかを整理しておくと、mcframeの標準機能でどこまで対応できるかを判断しやすくなります。独自の配賦基準や差異分析の運用がある場合は、標準機能での再現度をFit&Gap分析の段階で確認しておくことが重要です。

海外拠点の有無と対応方式を検討します

海外に現地法人や拠点を持つ企業は、生産・販売・原価管理を担うmcframe CSと、会計・ERP機能を担うmcframe GAを組み合わせて導入できるかを確認します。現地の会計制度や商習慣への対応範囲、多言語・多通貨対応のレベル、国内本社とのデータ連携方法まで含めて検討しておくと、グローバル展開後に個別の追加開発が膨らむリスクを抑えやすくなります。

オンプレミスかクラウドかの導入形態を選択します

mcframe 7シリーズはオンプレミスでの運用を選択できる一方、mcframe Xはクラウド型として提供されています。初期投資を抑えて短期間で立ち上げたいのか、自社独自の要件に合わせて長期的にカスタマイズしていきたいのかによって、適した導入形態は変わります。拠点ごとに異なる形態を組み合わせる場合は、運用・保守の管理項目が増える点もあわせて確認しておく必要があります。

まとめ

mcframe導入の要点をまとめる担当者

mcframeは、ビジネスエンジニアリング株式会社が提供する国産の生産管理・原価管理パッケージであり、標準原価・予算原価・実績原価・実際原価という4つの原価計算方式と、部門別・品目別配賦、多角的な差異分析を通じて原価を可視化する仕組みを持っています。生産・販売・会計を一体で扱う設計と、海外5拠点を背景にしたmcframe GA・mcframe CS、mcframe Xによるグローバル対応の柔軟性が、他の基幹システムとの主な違いです。

原価管理とグローバル展開の課題がある企業に向いています

自社の課題が、原価の可視化や収益管理の高度化、あるいは海外拠点を含めたシステムの統合にある場合、mcframeは検討に値するパッケージです。一方で、標準機能で吸収しきれない独自の原価計算ロジックや業務フローが競争力の源泉になっている場合は、パッケージの標準機能をどこまで活用し、どこから追加開発やフルスクラッチ開発で補うかを見極める必要があります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、既製パッケージでは対応しきれない業務要件の整理や、既存システムとの連携を含む構築を支援しています。

次のステップとして自社の業務フローを整理します

mcframe導入を具体的に検討する際は、まず自社の原価計算方式と海外拠点の有無を整理したうえで、標準機能とのFit&Gapを確認することから始めてください。製品選定を進める段階では、評価軸や比較の進め方をmcframe導入の選定ポイント・選び方・種類で、具体的な製品ラインナップはmcframe導入のパッケージ・クラウド製品一覧で確認できます。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。