モダナイゼーションのパッケージ/クラウド製品一覧

モダナイゼーション製品は、変換ツール、移行基盤、Java変換機能の3つに分けて見ると、自社の課題に合う候補を選びやすくなります。

提供形態はパッケージ型とクラウド型に大きく分かれ、対象言語や料金の決め方も製品ごとに異なります。そのため、まず課題を決めてから候補を比べるのが現実的です。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。

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・モダナイゼーションの完全ガイド

パッケージ型とクラウド型モダナイゼーション支援ツールの違い

パッケージ型は、ベンダーが持つ独自の変換エンジンやノウハウを、個別プロジェクトとして提供する形態を指すことが多いです。一方、クラウド型は、ハイパースケーラーが提供する移行・評価プラットフォームをオンラインで利用する形態です。

公開情報を比べやすいのは、クラウド型と特定領域に特化したベンダー提供ツールです。そのため、この2種類を中心に見ていきます。

ベンダー提供の変換ツールと対象言語の適合

変換ツールが自社に合うかは、製品の強みと自社システムとの相性を並べて判断します。

  • 対象言語との適合:COBOLやPL/Iなどに特化したツールは、変換精度や保守性に強みを持つ傾向があります
  • 対応範囲の事前確認:事前アセスメントで自社の言語・環境と自動化範囲を照らし合わせないと、期待した自動変換率が得られない場合があります
  • 個別改修の影響:方言の多いCOBOLや、長く手を入れてきたシステムでは、標準ロジックで対応できない箇所が残ることがあります

クラウド事業者のプラットフォームによる評価から移行までの一体化

AWS、Google Cloud、Microsoft Azureは、資産の検出と評価を行います。そのうえで、移行の実行やモダナイゼーションまでを、1つのプラットフォームで提供する傾向があります。

移行先がすでに決まっているなら、その事業者のプラットフォームから検討を始めると、周辺サービスとの連携も合わせて考えられます。

プラットフォームの利用料は無料の場合が多いものの、移行後のコンピューティングやストレージ、パートナー製ツールには別途費用がかかります。

ポイント

パッケージ型は個別プロジェクトとして任せる形、クラウド型はオンラインで使う形です。移行先が決まっているなら、その事業者のプラットフォームから先に比べると、判断の手間が減ります。

製品比較で共通に見る観点

モダナイゼーション支援製品を対象領域、自動化範囲、料金体系、稼働後の保守性で比べる図解。
同じ問いを並べると、製品ごとの差を追いやすくなります。

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社のシステムに適合するかを判断できません。そのため、同じ質問で各製品を見ることが近道です。

対象領域と自動化範囲、料金体系、稼働後の保守性を共通の質問に置き換えると、候補を同じ条件で比べられます。

対象領域と自動化範囲をそろえた比較

比較では、同じ観点で候補を見比べます。基準は、対象領域と自動化範囲、料金体系、稼働後の保守性の4つです。

  • 対象領域:自社の環境が標準機能の対象に入るか
  • 自動化範囲:変換と評価のどこまでを自動化するか
  • 料金体系:無料枠と従量課金の条件
  • 稼働後の保守性:コード保守や周辺連携を続けやすいか

対象領域は、メインフレームやVMwareなどの仮想化基盤、.NETやJavaのアプリケーション、オンプレミスのサーバー群ごとに分けて見ると、自社の資産がどこに当たるかを確かめやすくなります。

「自動変換対応」と書かれていても、業務ロジックをほぼそのまま変換する方式と、評価とコード生成を支援して大部分を人手で見直す方式では、必要な工数が異なります。

デモで自社コードの一部を持ち込み、変換結果を目で見られるかを依頼すると、公開情報では分からない実力を確かめられます。

料金体系と稼働後の保守性の確認

無料枠のある製品でも、評価規模や変換行数が増えると、従量課金に切り替わることがあります。

変換後のコードについては、自社のエンジニアが保守しやすいか、周辺システムとの連携やCI/CDへの組み込みが容易かを比べます。

評価の進め方は、モダナイゼーションの選定ポイント・選び方・種類で詳しく扱っています。

ポイント

機能の数より、対象領域と自動化範囲を先に比べると、候補の差が見えやすくなります。料金と保守性は、無料枠の条件と保守の担い手まで含めて判断します。

モダナイゼーション支援の主要製品5選

2026年7月時点で、現行の公式ページと対象業務を確認できた5製品を取り上げます。掲載順は、優劣を示すランキングとは別のものです。

対象言語・環境や料金体系は製品ごとに異なるため、自社のシステム構成と照らして比べてください。

AWS Transform

移行したい資産の種類によって、AWS Transformで使う機能が変わります。

  • メインフレーム:システム全体の評価からコード生成まで支援
  • VMware環境:ストレージ移行に対応
  • .NETアプリケーション:アプリ、UIフレームワーク、データベースを横断するフルスタックのWindowsモダナイゼーションに対応

AWS公式サイトには、Windowsモダナイゼーションの特定事例で処理速度が数倍向上したと記載されています。ただし、この効果が自社にも当てはまるとは限りません。

公式ページには具体的な料金の記載がなく、個別見積もりが必要になります。

Amazon Q Developer(Javaモダナイゼーション変換機能)

Amazon Q Developerは、レガシーJavaのバージョンアップを支援する開発者向けサービスです。Java変換の対象行数や利用人数に応じて、プランを見極める必要があります。

  • Free tier:月50件のエージェンティックリクエストと、月1,000行までのJava変換
  • Pro tier:月額19ドル(1ユーザーあたり)。Java変換は月4,000行まで、アカウント全体で共有
  • 超過分:1行あたり0.003ドル

継続的にJavaのバージョンアップが必要な企業では、変換作業の一部を自動化できます。ただし、最新の料金と提供条件は公式サイトで確認してください。

Xenlon~神龍(TIS株式会社)

Xenlon~神龍は、TIS株式会社が独自に開発したマイグレーターです。メインフレームのオープン化を進める場合は、変換からDX導入までの支援範囲が判断材料になります。

  • 変換:COBOLやPL/IからJavaへ、業務ロジックをほぼ自動で変換
  • 支援フェーズ:アセスメントやマイグレーションからDX計画立案、DX導入までの4段階
  • 対象:メインフレーム環境のオープン化

TIS公式サイトでは、一般的なリビルド開発と比べて約50%のコストで移行できるとしています。

TIS公式サイトには具体的な料金の記載がなく、対象システムの規模や複雑さで条件が変わるため、個別見積もりでの確認が必要です。

Google Cloud Migration Center

Google Cloud Migration Centerは、クラウド支出を見積もるプラットフォームです。資産の検出と評価、TCO(総所有コスト)レポート、移行計画と実行までを一体で扱います。

Google Cloud公式サイトによると、基本機能は無料で、無料クレジットを使ってプルーフオブコンセプト相当の検証もできます。

移行後に稼働するCompute Engineなどの個別サービスには、別途利用料金がかかります。

Azure Migrate

Azure Migrateで移行計画を立てる場合は、対象資産と移行元環境が対応しているかを確かめます。

  • 対象:サーバー、データベース、Webアプリの検出・評価・移行・最新化
  • 移行例:オンプレミスのVMware・Hyper-V環境や物理サーバー、SQL ServerからAzure

Microsoft公式ドキュメントによると、Azure Migrate自体は無料です。また、移行は1つのポータルで行えます。

移行の実行時に連携するパートナー製ツールや、移行先Azureリソースの利用には、別途費用がかかります。

自社の課題別に候補を絞る方法

5製品を細部まで一斉に比べるより、最大の課題を一つ決めて必須要件で候補を減らすほうが効率的です。

メインフレームの塩漬け解消、レガシーJavaの継続的な更新、マルチクラウドを見据えた移行の可視化では、適した製品タイプが異なります。

メインフレーム・レガシー言語からの脱却を急ぐ場合

COBOLなどのレガシー言語で書かれたシステムをオープン化したい場合は、Xenlon~神龍やAWS Transformが候補になります。

  • 対象言語に特化:Xenlon~神龍はCOBOLなどの変換を支援
  • メインフレーム全体を評価:AWS Transformは評価からコード生成まで支援

自社システムの言語や環境が各製品の対応範囲に入るかは、アセスメント段階で確かめてください。

長年の個別改修がある大規模システムでは、変換後の動作確認や性能検証にかかる工数も見積もる必要があります。

Javaの継続的な刷新やクラウド移行の可視化を重視する場合

Javaのバージョンアップを続けていく場合は、Amazon Q Developerの変換機能が候補になります。

移行先のクラウド事業者が決まっているなら、Google Cloud Migration CenterやAzure Migrateが候補に挙がります。

マルチクラウドを含む資産全体を一覧にして計画を立てたい場合も、この2つを検討対象にします。ただし、純正の基盤はその事業者のサービスへの移行を前提に設計される傾向があるため、マルチクラウドでは依存度を確かめる必要があります。

ポイント

最大の課題を一つ決めれば、必須要件で候補を減らせます。課題が複数あるときは、優先順位を社内で決めてから比べてください。

料金・契約前の確認事項

総保有コストの確認範囲として、課金単位、変換後の保守、将来の解約・移行を積み重ねた図解。
契約時の単価以外にも、運用と移行に関わる確認点があります。

無料枠や基本機能の無料表示を見て、安いと判断するのは早計です。対象規模や変換行数が増えると従量課金に切り替わるため、想定外の費用が生じることがあります。

判断は、単価に加えて、導入準備、変換後の保守、将来の解約・移行まで含めた総保有コストで行います。

課金単位の確認

クラウド製品では、課金単位が製品によって異なります。変換行数やユーザー数のほか、評価対象の資産数や移行先リソースの利用量が対象になることもあります。

見積もりを依頼するときは、現在の対象規模に加えて、今後の変換予定行数や移行対象の増加見込みも伝えてください。そのうえで、無料枠の境界と超過時の従量課金を同じ条件で見積もってもらうと、比較しやすくなります。

非公開または要問い合わせの製品も多いため、確認できない具体額は比較表に推測で入れないようにします。

変換後のコードとロックインの条件

契約前には、生成コードの権利関係と、自社エンジニアや他ベンダーへ保守を引き継げるかを確かめます。

変換後の構成が、特定クラウドの独自サービスに強く依存していないか、将来は別のクラウドへ移行しやすい構成を保てるかも比べます。

契約が終わるときには、プロジェクトデータや評価レポートをどの形式で受け取れるかを確認しておくと、ベンダーを変える際の引き継ぎが円滑になります。

ポイント

無料枠の有無より、課金単位と超過時の条件を比べるほうが、想定外の費用を防ぎやすくなります。見積もりは、今の対象規模と増加見込みを同じ条件で伝えるとよいでしょう。

デモとPoCによる製品候補の絞り込み

候補を2〜3製品に絞り、デモまたはPoCで回帰テストと変換率・修正工数の実測を行う流れ。
自社のテストケースと実測値が、候補を比べる材料になります。

資料で比べて2〜3製品に絞り込んだら、自社システムの一部を使ってデモまたはPoCを行います。

情報システム部門に加えて、保守担当のエンジニアと業務部門も参加すると、導入後の行き違いを減らせます。

機能等価性の回帰検証

自動変換後のコードが、変換前と同じ処理結果を返すかどうかが、機能等価性の中心になります。

目視で一部を見るだけでなく、既存のテストケースやサンプルデータを使い、想定どおりの結果になるかを回帰テストで確かめます。

変換率と工数の実測と稟議での活用

PoCの前に、対象システムの規模、想定される手動修正の範囲、現状の保守工数を記録しておきます。

そのうえで、PoC後の変換率や修正工数と比べて効果を確かめます。公開事例の効果は参考にとどめ、自社の規模と人件費で削減見込みを算出します。

ポイント

PoCでは、自社コードの一部を使って変換結果を目で確かめることが、絞り込みの近道になります。実測した結果は、稟議の材料として使えます。

モダナイゼーション製品比較で押さえておきたいポイント

無料枠やおすすめ順位だけでなく、自社のシステム構成と対象言語を同じ条件で比べることが大切です。選定時に判断が分かれやすい点も、あわせて見ておきます。

特定クラウド事業者に依存しない構成の選び方

クラウド事業者純正のプラットフォームは、その事業者自身のサービスへの移行を前提に設計される傾向があります。

マルチクラウドを維持したい場合は、変換後のコードや構成が特定サービスに強く依存していないかを、デモの場で具体的に質問してください。

対象システムごとのおすすめ製品の違い

全企業に共通する1位の製品はなく、メインフレームのオープン化、Javaの継続的な刷新、マルチクラウド移行の可視化など、最優先課題に合う製品が候補になります。

まず対象言語と環境で候補を絞り、そのうえで同じシナリオのPoCで比べてください。

料金情報の最新確認

本記事の料金は、2026年7月時点で公式サイトに掲載されていた内容です。

クラウド製品の料金プランは改定されることがあるため、契約前に各公式サイトで最新の料金と提供条件を確認してください。

まとめ

モダナイゼーション製品を比べるときは、組織や人材も含む広い変革のうち、システム面の刷新を支援するツールやクラウドサービスに対象を絞るのが現実的です。

紹介した5製品は、メインフレームの評価・変換、Javaの継続的な刷新、クラウド移行の可視化などで違いがあります。

課題診断から2〜3製品への絞り込み

メインフレームの塩漬け、レガシー言語の維持負担、クラウド移行の可視化不足の中から、最優先課題を決めます。

対象領域と自動化範囲、料金体系、変換後の保守性の4点を同じ質問で比べると、広告的な訴求に左右されず候補を絞れます。

自社データによるPoCでの確認

資料の数字は、どの会社のシステムでも同じ結果になるとは限りません。そのため、自社データを使ったPoCで、製品ごとに確かめておく必要があります。

  • 機能等価性:資料に載った変換率より、自社システムでの検証結果を重視
  • 工数削減効果:自社データを使い、削減される工数を実測
  • 不足機能への対応:既存製品で独自業務ロジックや基幹連携を吸収できない場合は、個別開発やハイブリッド構成も検討対象になります

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、不足機能の整理や、自社業務に合わせたシステム構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。