新規事業コンサルの保守・運用費用・ランニングコストについて

新規事業コンサルの継続支援費用は、月額20万円程度から500万円以上まで幅があります。金額を左右するのは、契約形態、実務への関与度、担当者の職位の3つです。

実行予算に悩む経営企画・事業開発部門にとっては、相場と費用要因を押さえ、現実的な予算の判断軸を持つことが欠かせません。

▼全体ガイドの記事
・新規事業コンサルの完全ガイド

新規事業コンサルの「保守・運用」の意味(システム運用保守との違い)

継続支援の業務を、事業計画の更新、営業の実行支援、KPIの確認、ピボット判断に分けた図。
事業の状況に応じて、4つの業務を組み合わせて支援します。

ランニングコストを正しく見積もるには、「保守・運用」が指す業務範囲を明確にすることが欠かせません。システム開発でいう保守・運用は、リリース後のソフトウェアを正常に稼働させ続けるための技術的な維持管理を指します。一方、新規事業コンサルの継続支援は、この保守・運用とは性質が異なります。ただし費用の位置づけとしては、その継続支援の費用が、システム開発でいう保守・運用費用に当たります。

事業計画を立てた後も、事業を軌道に乗せて成長させるには、継続的な伴走が欠かせません。この違いを押さえることが、費用感を正しくつかむ出発点になります。

継続的な伴走支援が対象とする業務範囲

継続支援には、業種を問わず共通する4つの業務があります。定型作業と違って、事業の状況に応じて内容が変わるのが特徴です。

  • 事業計画の更新:市場の反応と計画のずれをもとに、収益モデルや顧客を設定し直します。
  • 営業の実行支援:見込み顧客への接触の設計と、初期商談への同席、商談の進め方の型づくりを担います。
  • KPIの確認:顧客獲得数、売上、継続率などの数字を一覧にし、月次・週次の軌道修正に使います。
  • ピボット判断:仮説が機能しない場合に、成立へ向けた変更点か撤退かを客観的に見極めます。

IT新規事業開発・システム運用保守との違い

費用感を混同しないよう、ITプロダクトを中心に事業を創るIT新規事業開発で生じるシステム保守と、事業の継続支援を比べてみます。

  • システム保守:リリース後の監視、セキュリティ更新、バグ修正を担い、費用は規模やアーキテクチャによって差が出ます。
  • 事業の継続支援:事業の成立や軌道修正を支える経営判断と実務が対象で、費用はシステムの有無や規模と直接連動しません。
  • 事業に応じた支援:店舗であれば店舗運営、製造業の新製品であれば販路開拓が対象となり、経営と実務の両面に伴走します。
  • 予算の考え方:システム保守は月額固定で見積もりやすい一方、継続支援は進捗に応じて稼働量が変わります。

システム開発の保守費用の考え方を継続支援にそのまま当てはめると、予算計画がずれる場合があります。当初の見積もりから費用が変わるのは、支援の量を事業の進み方に合わせて調整するからです。たとえば、事業が早く軌道に乗れば支援を縮め、想定外の課題があれば一時的に支援を厚くします。

ポイント

継続支援の費用は、システム保守のような固定の月額では捉えないことが判断の目安です。事業の進み方で稼働量が変わるため、予算には幅を持たせておくのが現実的です。

契約形態別の費用相場

契約形態ごとの特徴と費用感を知っておくと、自社の状況に合う形を選びやすくなります。まず、各形態の主な稼働と金額を見ていきます。

常駐・半常駐伴走型と月額顧問型

伴走型はチームに入って実務を進めるのに対し、顧問型は社内の実行を助言で支えます。稼働と費用の違いを比べると、必要な関与度を判断できます。

  • 常駐・半常駐型:週2〜3日、40〜60%稼働で月額100万〜300万円程度です。
  • 大手ファームの週5日稼働:マネージャークラスでは月額300万〜500万円以上の場合があります。
  • 月額顧問型:月2〜4回の会議やチャット相談が中心で、月額20万〜100万円程度です。

常駐・半常駐伴走型(PMO・実務支援型)は、プロジェクトチームに加わって進める準委任契約です。計画の改善や営業同行、市場検証を、自社のメンバーと一緒に進めます。データ収集も同じ体制で行います。

社内に実行部隊があっても経験やスキルが不足し、早く事業を軌道に乗せたい企業に多く選ばれます。そのため、助言だけでなく、一緒に手を動かして結果を出す支援への期待が高い形態です。

月額顧問型(アドバイザリー契約)では、営業や資料作成は自社の担当者が行います。そのぶん、コンサルタントはKPIの確認や戦略の修正、ピボット判断を客観的な立場から支えます。

成果報酬型(レベニューシェア)契約

成果報酬型(レベニューシェア・サクセスフィー型)では、新規事業で生まれた顧客数や売上高、利益などのKPI達成度に応じて報酬を支払います。実際には、固定費と成果報酬を組み合わせる形が現実的です。

  • 固定費との併用:月額数十万円程度のリテイナーに、成果額の10〜30%程度を加えます。
  • 完全成果報酬:固定費ゼロで成果だけに連動する契約は、引き受けてもらえることが稀です。
  • 形態の組み合わせ:3つの契約は互いに排他的ではなく、状況に応じて併用できます。

新規事業は失敗リスクが非常に高いため、最低限の稼働を担保する固定費を併用するのが業界の慣行です。

成果報酬があると、コンサル側に成果への強い動機が生まれ、踏み込んだ提案を期待できます。ただし、KPIの定義や計測方法が曖昧だと、成果の解釈をめぐってトラブルになることがあります。

売上、粗利、顧客獲得数など、成果の定義は業種で異なります。そのため、事業に合うKPIを丁寧にすり合わせておくことが、契約の前提になります。

立ち上げ初期は伴走型で型を作り、軌道に乗ったら一部を成果報酬型へ移すこともできます。また、月額顧問を基本に、重点施策だけ成果報酬を加える方法もあります。

資金に余裕のあるスタートアップは、初期投資を厚くして早期拡大を狙えます。一方、資金繰りに制約のある中小企業は固定費を抑えます。

資金状況やリスク許容度に応じて成果連動分を調整すると、費用と成果のバランスが取れ、無理のない支援体制を築けます。

ポイント

形態を比べるときは、月額の金額よりも、社内でどこまで手を動かせるかを基準にすると判断しやすくなります。社内に実行部隊がない場合は、伴走型の費用が上がりやすい点を見込んでおく必要があります。

費用を左右する要因

継続支援費用に関わる工数、担当者の職位や実績、支援内容と経験の適合を並べた図。
委託範囲と求める経験を具体化すると、見積もりの根拠を整理できます。

継続支援費用は、契約形態だけでなく支援内容によっても大きく変動します。費用を押し上げる代表的な要因を、順に見ていきます。

「泥臭い実務」への関与度合い

新規事業の立ち上げ期には、「泥臭い実務」が数多く発生します。そのため、外部にどこまで任せるかによって、必要な工数や月額費用が変わります。

  • 任せる範囲:テレアポリストや見込み客へのヒアリングから、LP改善、店舗のチラシや販促物の作成まで委託できます。
  • 社内で担う範囲:自社に実行人員がいれば、助言や進捗確認に絞って費用を抑えられます。
  • 工数の確認:月次報告書やタイムシートで業務ごとの作業量を把握し、翌月の役割の見直しに使います。

実行部隊がいない場合や既存業務で手一杯の場合は、外部に任せる工数が膨らみ、月額費用が数百万円単位で上がることもあります。

契約前に自社とコンサルタントの担当範囲を線引きしておくことが大切です。口頭の合意だけに頼らず、稼働を定期的に確認する仕組みを契約に含めると、想定外の増額を防ぎやすくなります。

コンサルタントの職位・実績

担当者の職位や実績も単価に影響します。そのため、求める支援と経験に合っているかを、契約前に確かめることが欠かせません。

  • 必要な経験:ピボットや投資継続の判断には、立ち上げ経験者の関与が必要です。
  • 重視する経験:大手のブランドや方法論を重んじるか、ゼロイチ(0→1)の実務を知る人を選ぶかを決めます。
  • 担当者の確認:提案の段階で過去の業種や規模を尋ね、実際に担当する人の経歴も確かめます。

事務作業や情報収集は、若手でも対応できます。一方、高度な経営判断には、シニアマネージャーやパートナークラスが必要になり、そのぶん単価も上がります。

グロース期では、教科書的な枠組みよりも、似た規模や業種での実体験に基づく助言が役立つ場合があります。

営業担当と実務担当が別の人である会社もあるため、契約前に担当者本人と面談しておく必要があります。

ポイント

担当者の職位で単価を判断するときは、求める支援の中身に、その人の経験が合っているかを基準にします。高度な経営判断が必要かどうかで、必要な職位は変わります。

ランニングコストを抑えるポイント

半常駐型での立ち上げから顧問型への移行、KPIレビュー、3か月ごとの契約見直しを時系列で示した図。
移行時期と契約の見直し条件をあらかじめ置く流れです。

投資回収を見通しにくい新規事業では、費用が膨らむのを防ぎながら、自社で成長を続けるための体制をつくることが欠かせません。実務で使われている費用の抑え方を、順に紹介します。

PMF期の半常駐型から月額顧問型へのフェードアウト

よく使われるのは、事業の段階に合わせて、支援の濃さを計画的に変えていく方法です。

  • 立ち上げから3〜6か月:半常駐型で、営業や仮説検証の型を作る期間です。
  • 勝ち筋が見えた後:実働を減らし、支援を顧問型へ移します。
  • 契約の見直し:レビュー条項をもとに、内容を定期的に再検討します。

この時期は、PMF(プロダクト・マーケット・フィット、事業とニーズの合致)を探る段階にあたり、初期投資はかさみます。ただし、事業の勝ちパターンを最短で見つけるための、効果的な投資です。

勝ち筋が見えたら、実働を切り離し、月1〜2回のKPIレビューと戦略改善を行う、月額数十万円程度の顧問型へ切り替えます。移行後は、費用を抑えながら得たノウハウを自社に定着させられます。

ただし、契約時に移行時期を決めておかないと、高額な伴走契約が惰性で続くおそれがあります。たとえば、契約書に「3か月ごとに支援形態を見直す」と明記しておけば、双方から見直しを切り出せるため、惰性化を防げます。

独立系ファーム・フリーランス専門家の活用

新規事業に強い独立系ファームや、起業・立ち上げの経験があるフリーランスを直接起用する方法もあります。予算を抑えたい企業にとって、選択肢の一つになります。

  • 類似案件の実績:近い業種での経験や、実務支援の中身を見ておきます。
  • 組織的な支援:複数人のチームや代替要員を組めるか尋ねます。
  • 契約と機密管理:委託範囲と、NDAを結んでいるかどうかを確かめます。

大手のブランドや体系化された方法論より、ゼロイチの実務を知る個人の経験が、成否を分けることもあります。

実務に即した支援を受けながら、大手ファームに比べて単価を半額から3分の1程度に抑えられる場合も多くあります。そのため、スタートアップや中小企業にとって有力な選択肢です。

一方、独立系は組織的なバックアップが薄い場合があります。連絡が取れないときや体調を崩したときに備え、緊急連絡先と、代わりに動ける人の有無も確認しておきます。

ポイント

移行の目安は、勝ち筋が見えた時点に置くのが基本です。その時期を契約の段階で見直し条件に組み込んでおくと、判断が遅れにくくなります。

まとめ

新規事業コンサルの継続支援は、事業を成長させるための経営と実務の伴走支援です。システムの技術的な維持管理とは性質が異なります。

費用の目安は、常駐・半常駐型が月額100万〜300万円、顧問型が月額20万〜100万円です。成果報酬型では、固定費に成果額の10〜30%程度を加える形が現実的です。

費用を左右するのは、実務への関与度と担当者の職位です。半常駐型から顧問型への移行や、独立系専門家の活用によって、費用を調整できます。

まずは、自社で担う実務と外部に頼る業務を分けて整理し、複数のコンサルティング会社に相談します。そのうえで、事業の段階に応じた支援内容と費用の変化を、ロードマップにまとめておきます。

▼全体ガイドの記事
・新規事業コンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。