新規事業コンサルとは?|考え方/特徴/仕組み/目的を解説

新しい事業の柱を作ろうと社内で号令がかかっても、市場調査のやり方から事業計画の書き方、投資判断の基準までを自社だけで組み立てられる人材がいないという企業は少なくありません。新規事業コンサルとは、業種を問わず新規事業の市場調査・事業計画策定・投資判断までを外部の専門家が伴走支援する経営コンサルティングを指します。ITの活用を前提とせず、あらゆる業種の事業戦略そのものを扱う点に特徴があります。

本記事では、新規事業コンサルの基本的な考え方と特徴、市場調査から投資判断までの支援の仕組み、主要な支援メニュー、導入目的、そしてITプロダクトを軸にした事業創出を支援するIT新規事業開発や、個別のシステム・アプリを実装するプロダクト開発との違いを順に解説します。新規事業コンサルという言葉を検討し始めたものの、何をどこまで頼めるサービスなのか判断がつかない担当者の方に向けて、実務の流れに沿って整理します。

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新規事業コンサルとは何か?全体像と特徴

新規事業コンサルの全体像を確認する担当者

新規事業コンサルが扱うのは、製造業、小売、金融、医療、飲食、サービス業、建設、人材、教育など、業種・業態を問わない新規事業の事業戦略と事業性検証です。市場調査、事業計画策定、収益モデル設計、投資判断のための意思決定資料を成果物とする点が特徴で、ITシステムやアプリそのものを作ることは前提としていません。ITの活用が手段として登場する場合はあっても、それは新規事業コンサルの必須要件ではない点を押さえておく必要があります。

業種横断でITの活用を前提としない経営助言です

「コンサル」と名の付くサービスにはIT導入支援やシステム開発の上流工程を担うものも多く存在しますが、新規事業コンサルはそれらとは異なり、特定の技術領域に依存しません。既存事業とはまったく異なる市場に参入する場合も、既存の顧客基盤を生かした新サービスを立ち上げる場合も、業種特有の商習慣や規制を踏まえた市場調査と事業計画の策定が中心的な役割になります。

そのため、支援するコンサルタントに求められるのは特定のプログラミング言語やシステム基盤の知識ではなく、市場分析のフレームワーク、収益モデルの設計手法、投資判断の考え方といった、業種を横断して使える経営スキルです。自社の事業領域における専門知識は自社側が持ち、コンサルタントはそれを事業として成立させるための構造化を支援するという役割分担になります。製造業の新規事業であれば工場のライン増設や調達網、金融であれば規制対応や与信の仕組み、医療であれば薬事や診療報酬制度といった業種特有の前提を自社側が提供し、コンサルタントはそれを市場調査の設計や収益モデルの数値計画に落とし込む形で協業が進みます。

成果物は意思決定資料であり動くシステムではありません

新規事業コンサルの支援を経て手元に残るのは、市場調査レポート、事業計画書、収益モデル、投資判断のための資料です。これらは経営陣が事業を始めるかどうか、どの程度の予算を投じるかを判断するための材料であり、リリースされたシステムやアプリではありません。この点を曖昧にしたまま依頼すると、「コンサルに頼んだのにプロダクトが何も形にならない」という行き違いが生まれやすくなります。

仕組みと支援プロセス:市場調査から投資判断まで

新規事業コンサルの支援プロセスを整理する図

新規事業コンサルの支援は、市場調査・アイデア検証、ビジネスモデル設計・事業計画策定、事業性評価、事業性検証から投資判断という順に進むのが一般的な枠組みです。前段階の結果を次のフェーズの前提として扱うため、最初から完成形の事業計画を決め打ちするより、段階を追って解像度を上げていく進め方が現実的です。

市場調査から投資判断までを4つのフェーズで進めます

最初の市場調査・アイデア検証フェーズでは、競合ベンチマーク分析やターゲット顧客へのヒアリング・アンケートを通じて事業アイデアの解像度を高めます。続くビジネスモデル設計・事業計画策定フェーズでは、バリュープロポジションの言語化と収益モデルの構築を行い、3〜5年程度の収益・コスト計画に落とし込みます。事業性評価フェーズでは、市場性・実現可能性・法規制の観点からリスクを評価し、規制の厳しい業種ではここに追加のバッファを見込みます。最後の事業性検証から投資判断のフェーズでは、小規模な先行実施や市場テストを経て、Go・No-Goの意思決定を行います。

この一連のプロセスに必要な期間は企業の性質によって大きく異なります。経営陣が直接関与し意思決定が速いスタートアップや新設の事業チームでは全体で3〜6ヶ月程度に収まることが多い一方、複数の事業アイデアを比較するステージゲート方式の審査プロセスが加わる中堅企業の新規事業室では半年〜1年、稟議プロセスや既存事業とのカニバリゼーション配慮が加わる大企業・グループ横断型の取り組みでは1年〜1年半以上を要することも珍しくありません。

ベンチマーク起点の高速な仮説検証サイクルを回します

実務では、まず競合や類似ビジネスモデルを展開するベンチマーク企業を10社程度分析し、誰のどんなニーズに応えている事業なのかを理解した上でターゲットを絞り込むという進め方が有効とされています。そのうえで、想定顧客が実際にどこにいて、どのタイミングで、どのチャネルで接点を持てるのかを特定し実行するというステップを高速で循環させます。「まず1ヶ月間はチャネル検証に集中する」といった短期集中のタイムボックス運用を挟むことで、机上の空論に陥ることを防ぎます。新規事業開発の勘所を自力で掴むには通常半年〜1年程度かかるとされますが、こうした進め方に慣れたコンサルタントの伴走を得ることで、2〜3ヶ月程度に短縮できるという実務上の知見があります。

新規事業コンサルが提供する主要な支援メニュー

新規事業コンサルの主要な支援メニューを整理する会議

新規事業コンサルの関与の仕方は会社によって幅がありますが、大きく分けると常駐・半常駐の伴走型、月額顧問型のアドバイザリー、成果報酬を組み合わせた契約形態の3つに整理できます。自社にどの関与度合いが合うかは、実務そのものに手が回っていないのか、意思決定の軌道修正だけを支援してほしいのかによって判断が変わります。

常駐伴走から月額顧問まで関与の深さを選べます

常駐・半常駐の伴走型は、テレアポリストの作成や顧客ヒアリング、ランディングページの改善提案といった実務そのものにコンサルタントが深く関与するスタイルです。月額顧問型は、実務は自社担当者が担い、コンサルタントは月に数回の定例会議でKPIモニタリングと軌道修正、ピボット判断の支援に特化します。事業立ち上げの初期は伴走型で型を作り、軌道に乗り始めたら顧問型へ関与を薄めていくという段階的な使い方も現実的な選択肢です。

PoC・事業性検証の設計そのものも支援対象です

新規事業コンサルが扱うPoCは、ITシステムの試作ではなく事業アイデア・ビジネスモデルそのものの検証です。ランディングページや紹介動画のみを公開して需要を確かめるスモークテスト、プレオーダーやクラウドファンディングによる支払い意思の検証、特定地域・特定ユーザーに限定したパイロット展開など、システム化を伴わない手法が中心になります。どの検証手法が自社の事業仮説に適しているかを見極め、代理指標から本質的指標へと評価基準を段階的に格上げしていく設計を支援する点も、重要な支援メニューの一つです。常駐伴走型・月額顧問型・成果報酬型といった契約形態ごとの費用相場は、新規事業コンサルの選定ポイント・選び方・種類で詳しく整理しています。

導入目的と得られる効果

新規事業コンサル導入の目的を議論する会議

新規事業コンサルを導入する目的は、単に事業計画書を体裁よく仕上げることではありません。自力では半年〜1年かかる新規事業開発の勘所を短期間で獲得し、社内に事業構想の型を残すことが本質的な狙いです。

新規事業開発の勘所を掴む期間を圧縮します

初めて新規事業に取り組む組織では、ターゲット顧客の特定や検証すべき仮説の優先順位づけといった基本的な進め方自体を手探りで学ぶことになり、結果として時間がかかります。実務経験を持つコンサルタントの伴走を受けることで、ベンチマーク分析の視点や仮説検証のタイムボックス運用といった実践知を早い段階から取り入れられ、独力で学ぶ場合より立ち上がりを早められます。

事業構想力というノウハウを組織の資産にします

市場調査の視点、収益モデルの組み立て方、投資判断の基準といった事業構想のノウハウは、特定の担当者の経験と勘に依存しがちです。新規事業コンサルとの協業を通じてこれらを言語化・型化しておけば、次の新規事業案件に取り組む際に社内で再利用できます。ただし、コンサルに構想作業を任せきりにすると、ノウハウがコンサル側に偏り契約終了後に社内へ残らないリスクもあるため、伴走の過程に自社担当者を同席させる体制を最初から設計しておくことが望まれます。

IT新規事業開発との違い

新規事業コンサルとIT新規事業開発の違いを整理する担当者

「新規事業コンサル」と「IT新規事業開発」は、どちらも新しい事業を生み出す支援という点で似ていますが、事業の中核にITプロダクトを据えるかどうかで対象範囲が明確に分かれます。混同したまま依頼先を選ぶと、想定していた支援と実際の支援内容がかみ合わない事態になりかねません。

ITプロダクトを事業の中核に据えるかどうかが分岐点です

新規事業コンサルは、業種横断で経営戦略・事業性検証そのものを扱い、成果物としてITプロダクトを前提としません。一方、IT新規事業開発は、SaaS、アプリ、プラットフォームビジネスなど、ITプロダクトが事業の中核をなすケースに特化した支援です。市場調査からビジネスモデル設計までの流れ自体は共通する部分が多いものの、検証の過程で実際に動くプロトタイプやMVPの構築を伴うかどうかで、必要とされる支援チームの専門性が変わってきます。

事業モデルの前提が定まっているかで依頼先を選びます

まだ業種の枠内でどのような事業を立ち上げるべきか固まっていない段階であれば、業種横断の視点を持つ新規事業コンサルに市場調査・事業計画策定から依頼するほうが選択肢を狭めずに済みます。反対に、ITプロダクトを軸にした事業だとすでに方向性が決まっているのであれば、プロダクト企画とビジネスモデル設計を一体で進められるIT新規事業開発の支援を検討したほうが、手戻りの少ない進め方になります。

個別システム・プロダクト開発との違い

新規事業コンサルとプロダクト開発の違いを検討する担当者

新規事業コンサルの支援範囲を、特定のアプリやシステムを「作る」実装工程そのものだと誤解してしまうケースも見られます。両者は支援の対象となる工程がそもそも異なるため、切り分けて理解しておく必要があります。

新規事業コンサルは最上流、プロダクト開発は実装工程です

プロダクト開発は、新規事業かどうかを問わず、特定のアプリ・システムそのものを要件定義から設計・実装・テスト・リリースまで手がける工程を指します。これに対して新規事業コンサルは、そもそもどのような事業を立ち上げるべきか、その事業が市場性・収益性の観点で成立するのかを検証する、最も上流の経営助言に位置づけられます。「経営コンサル全般」「IT特化の事業創出支援」「個別プロダクト実装」という3層構造の中で、新規事業コンサルは最も上流かつ業種横断的な層を担う存在です。

事業計画確定後にプロダクト開発へ橋渡しします

新規事業コンサルの支援を経て事業計画と投資判断が固まった段階で、実際にシステムやアプリが必要な事業であれば、そこから初めてプロダクト開発の工程に着手します。新規事業コンサルにプロダクト開発まで一括で依頼できると考えていると、実装フェーズで想定外の追加発注や外部への再委託が必要になることがあるため、どこまでが経営助言でどこからが実装なのかを契約前に確認しておくことが重要です。

新規事業コンサル導入前に確認しておきたいポイント

新規事業コンサル導入前に確認しておきたいポイントを整理する担当者

新規事業コンサルを検討する際は、企業規模だけで要否を判断せず、意思決定のスピード、必要な関与の深さ、契約終了後にノウハウが自社へ残るかどうかまで含めて整理しておくと、導入後の認識違いを防ぎやすくなります。

意思決定の速さで必要な伴走の形が変わります

経営陣が直接関与し即断できる組織であれば、コンサルタントとの高頻度なやり取りを前提にした伴走型でスピード感を保ちやすくなります。反対に、複数の事業アイデアをステージゲート方式で審査する組織や、稟議プロセスが多層にわたる組織では、フェーズごとの意思決定に時間がかかることを前提に、コンサル側にも各フェーズの節目で経営層への説明資料を整えてもらうといった役割分担を事前に決めておく必要があります。

ノウハウが自社に残る契約条件かどうかを確認します

市場調査や事業計画策定の作業を丸ごとコンサルに任せると、事業構想の考え方そのものが社内に蓄積されず、次の新規事業案件でも同じ費用と期間をかけてコンサルに依頼し続けることになりかねません。伴走の過程に自社担当者が同席すること、検証の判断基準や資料フォーマットを共同で作成すること、契約終了後の引き継ぎ方法を事前に取り決めておくことが、こうしたリスクを避ける実務的な対策になります。

まとめ

新規事業コンサル導入の要点をまとめる担当者

新規事業コンサルは、業種を問わず新規事業の市場調査、事業計画策定、収益モデル設計、投資判断までを外部の専門家が伴走支援する経営コンサルティングです。ITプロダクトを軸にした事業創出に特化するIT新規事業開発や、個別のシステム・アプリを実装するプロダクト開発とは対象範囲が異なり、最も上流かつ業種横断的な経営助言に位置づけられます。

業種横断の経営助言という立ち位置を押さえます

市場調査から投資判断までの4フェーズと、常駐伴走型・月額顧問型・成果報酬型という関与の仕方を理解しておけば、自社がどの段階でどの程度の支援を必要としているかを整理しやすくなります。IT新規事業開発やプロダクト開発との違いを混同せず、経営助言と実装工程を切り分けて依頼することが、行き違いのない活用につながります。

事業計画確定後の実装まで見据えて動き出します

まずは自社の新規事業構想がどのフェーズにあり、どこに最も不安を感じているかを整理してください。市場調査や事業計画策定の段階であれば新規事業コンサルへの相談が起点になりますが、事業計画が固まりITシステムやアプリの実装が必要になった段階では、要件を実装につなげる技術パートナーの存在も欠かせません。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、新規事業コンサルとの協業で固まった事業計画をシステム要件へ落とし込む整理や、既存システムとの連携を含む構築を支援しています。

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・新規事業コンサルの完全ガイド

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。