ProActive導入の発注や外注は、まず目的・業務範囲・予算を社内で合意するところから始まります。そのうえでRFPを使って複数社を比べ、契約書に作業範囲と役割分担を明記して進めます。
導入後も発注者側が意思決定に関わり、運用ノウハウを社内に残すことが成功につながります。
▼全体ガイドの記事
・ProActive導入の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
ProActive導入の外注・発注前の基礎知識
ProActiveの導入は、企業の基幹業務プロセスそのものを再設計するプロジェクトです。そのため、発注の前に製品の特性と発注形態の違いを理解しておくことが、スムーズな導入の第一歩になります。
ProActiveの製品特性と発注の難しさ
ProActiveは、1993年にSCSK株式会社(旧住商情報システム)が開発した国産初のERPパッケージです。現在では、6,600社以上、300以上の企業グループへの導入実績があります。
会計、人事給与、販売管理、経費精算など、企業の基幹業務を一元管理できる製品です。特に中堅中小企業(売上100億〜1,000億円規模)を主なターゲットとしています。
発注時には、業務とシステムの両面で次の判断を揃えておく必要があります。
- 現行業務の扱い:踏襲する業務と見直す業務の区分
- 標準機能と追加開発:標準機能で対応する範囲
- システム連携:周辺システムとの連携範囲
発注形態の種類:コンサル・SIer・開発ベンダーの違い
ProActive導入の外注先は、大きく3つのタイプに分かれます。支援範囲と強みが異なるため、それぞれの特性を理解したうえで、自社のプロジェクト規模や体制に合う発注先を選ぶことになります。
- ITコンサル:業務設計・要件定義・選定支援・PMを担い、社内にERP導入の経験が少ない企業に向いています。
- SIer:要件定義から保守まで対応し、大規模案件や複数システム連携に強みがあります。
- 独立系ベンダー:業種・機能に特化し、費用を抑えられる場合があります。
ProActiveの導入経験が豊富なコンサルタントは、業務とのギャップ分析や標準機能の活用範囲を見極めます。また、SCSK公認パートナーのSIerは標準機能に精通しているため、アドオン開発でも品質の高い成果物が期待できます。
一方で、独立系ベンダーの導入実績が少ない場合は、標準機能への理解不足からアドオンが増えたり、遅延したりするリスクがあります。そのため、発注前に実績を確認しておきましょう。
ProActive導入の発注前の準備

ProActiveの発注に入る前に、社内で十分な準備を行うことが成功への最大の近道です。
準備が不足したまま外注先との交渉に入ると、要件が曖昧なままプロジェクトが進みます。その結果、追加費用や納期遅延といったトラブルを招きやすくなります。そのため、発注前には目的の明確化、現状業務の整理、予算の大枠の策定に取り組みます。
導入目的の明確化とスコープ定義
発注前の最初のステップは、「なぜProActiveを導入するのか」という目的を社内で明確にすることです。
目的が曖昧なままだと、外注先からの提案を評価する基準が定まりません。その結果、適切なベンダーを選ぶことができません。目的とスコープは、次のように具体化します。
- 目的:老朽化対応、業務標準化、データ一元管理、グループ展開などを経営課題と結び付けた内容
- 対象範囲:対象業務・拠点・システムと、導入するモジュールの定義
- 展開方法:会計から段階導入するか、複数拠点へ一括展開するかの選択
モジュールや展開範囲によって、プロジェクトの規模・期間・費用は変わります。そのため、経営層、情報システム部門、現場部門で合意してから提示資料を作成しましょう。
現状業務の棚卸しとAS-IS業務フローの整理
発注先に自社の要件を正確に伝えるには、現状業務(AS-IS)の棚卸しが欠かせません。現行業務の資料には、次の情報をまとめておきます。
- 業務フロー:通常の処理と例外処理の整理
- システムとデータ:使用中のシステム、データの流れ、処理件数の記録
- 担当部門:実務を知る現場のキーパーソンの特定
棚卸しが不足すると、標準機能とアドオンの切り分けが難しくなります。そのため、情報システム部門だけでなく、現場担当者を早期に巻き込み、暗黙のルールも外注先へ共有しておきましょう。
予算・スケジュールの大枠の策定
外注先との交渉を始める前に、社内で予算とスケジュールの大枠を固めておくことが大切です。ProActiveの導入費用は、企業規模や導入スコープによって大きく異なります。たとえば、中堅企業が会計・人事・販売管理の主要モジュールを導入する場合は、ライセンス費用・導入支援費用・カスタマイズ費用・インフラ費用を合わせて、数千万円規模になるケースが一般的です。
スケジュールは、要件定義から本番稼働まで通常12〜18ヶ月程度が目安です。ただし、スコープの大きさやアドオン開発の量によって前後します。
社内の会計年度の締めや繁忙期を避けて、本番稼働の日程を設定することも重要な検討事項です。そのうえで、予算とスケジュールの大枠が固まった状態でRFPを作成すると、外注先から現実的な提案を引き出せます。
RFP(提案依頼書)の作成方法とポイント
RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は、ProActive導入の外注先を選ぶために発注者が作成する重要な文書です。RFPの品質は、そのままベンダーからの提案の品質に直結するため、時間をかけて丁寧に作ることが求められます。また、SCSK自身もRFP作成に関する情報を公開しており、販売管理や会計システムの刷新での作成ポイントを詳しく解説しています。
RFPに盛り込むべき必須項目
RFPには、主に次の内容を記載します。まず「プロジェクトの概要」として、会社概要、現行システムの状況、導入目的、抱えている課題を書きます。次に「導入スコープ」として、対象業務範囲、対象システム、対象拠点、想定ユーザー数を明記します。
続いて「機能要件と非機能要件」を記載します。機能要件には、「会計モジュールで実現したい業務処理の一覧」や「現行システムから移行すべきデータの種類と量」などを具体的に書きます。さらに、非機能要件には、「レスポンスタイム」「可用性・稼働率の目標」「セキュリティ要件」「他システムとの連携仕様」などを含めます。
また「プロジェクト体制に関する要件」として、ベンダー側のプロジェクトマネージャーの経験年数、資格、ProActive導入実績数なども記載すると、提案の比較が容易になります。「予算規模・スケジュール」「評価基準と選定プロセス」「質問・回答のルール」なども必ず含めましょう。評価基準を事前に開示すると、ベンダーは自社の強みを活かした提案を行いやすくなり、発注者も公平に比べられます。
RFP作成でよくある失敗と回避策
RFP作成でよくある失敗の第一は「要件が曖昧すぎる」ことです。「使いやすいシステムにしてほしい」「現行業務を踏襲したい」といった抽象的な表現では、ベンダーごとに解釈が分かれ、提案内容を比べられなくなります。そのため、要件は可能な限り数値や条件で具体的に表すことが大切です。
第二の失敗は「情報システム部門だけで作成してしまう」ことです。RFPには、経営層の戦略視点、現場部門の業務実態、情報システム部門の技術要件という3つの視点が必要です。特に現場部門の業務要件が欠けると、システムは動いても誰も使わない結果になるため、RFP作成の段階から経理部、営業部、人事部など関連部門のキーパーソンを巻き込みましょう。
第三の失敗は「RFIを省略する」ことです。RFI(Request for Information:情報提供依頼書)は、RFP作成前にベンダーから基本情報を収集するための文書です。そのうえで、市場にどのようなソリューションがあるか、ProActiveの導入実績を持つベンダーがどの程度いるかを把握してからRFPを作成すると、現実的な要件設定が可能になります。
発注先・外注先の選び方と評価ポイント

RFPを送って複数のベンダーから提案を受け取ったら、次は評価と選定に進みます。ただし、価格だけで発注先を決めると、品質、スケジュール、サポート体制の面で後悔することになりかねません。そのため、複数の評価軸を設定し、総合的な観点からベンダーを選ぶことが大切です。
ベンダー評価の5つの軸
ProActiveの導入先は、製品実績や標準機能への理解、稼働後の支援まで含めて、5つの軸で比べます。
- ProActive導入実績の数と業種の一致度
- プロジェクトマネジメント体制(PMの経験・資格・過去事例)
- 標準機能活用に関する提案姿勢(アドオン最小化への意識)
- 導入後の保守・サポート体制(問い合わせ対応・バージョンアップ支援)
- トータルコストの妥当性(初期費用+運用費用の5年間TCO)
特に注目したいのは、導入実績です。ProActiveは業種ごとに求められる機能・設定・カスタマイズが異なるため、自社と同じ業種・規模での導入実績を持つベンダーは圧倒的に有利です。
「製造業での導入実績が豊富なベンダー」「卸売・商社向けのテンプレートを持つベンダー」など、業種特化型の経験は導入品質と期間短縮に直結します。
デモ・ヒアリング・参考事例による見極め
ベンダー選定の過程では、提案書の内容だけでなく、デモンストレーションとヒアリングを通じた直接確認が欠かせません。ProActiveのデモを実施してもらう際は、自社業務に近いシナリオを事前に用意し、標準機能でどこまで対応できるかを具体的に確認しましょう。
そのうえで、「このシナリオに対応するにはアドオンが必要か、標準機能で対応できるか」を明確にしてもらうと、見積もりの妥当性を判断できます。また、参考事例は社名の一覧だけでなく、同じ業種・同規模・同じモジュール構成での実績を確認することが大切です。
可能であれば、そのプロジェクトを担当した担当者への参照確認(リファレンスチェック)を依頼し、実際の進行状況、課題、対応の評価を聞くことをお勧めします。書面上の実績よりも、生の声のほうがベンダーの実力を正確に把握できます。
発注決定から契約・プロジェクト開始までの流れ
発注先が決まったら、正式な契約締結とプロジェクトキックオフの準備に入ります。この段階での対応は、プロジェクト全体の品質と進行を大きく左右します。そのため、契約内容の確認と社内のプロジェクト体制の整備を、同時並行で進めることが大切です。
契約書で必ず確認すべき5つのポイント
外注契約では、確認すべきポイントが5つあります。
- 契約形態:請負は成果物の完成責任を負い、準委任は作業の提供が主体です。要件定義は準委任、開発・実装は請負とする分割発注が一般的です。
- 成果物と検収:完成の定義と検収基準を明文化し、納品後の認識違いを防ぎます。
- 追加費用:要件変更や仕様追加が起きた場合の費用算定方法
- 知的財産権:アドオン開発の著作権の帰属先(発注者か受注者か)を明記します。
- 守秘義務と個人情報:機密情報の扱いと情報セキュリティ要件を契約に盛り込みます。
社内プロジェクト体制の整備
発注が決まったからといって、すべてをベンダーに丸投げすることは、絶対に避けるべきです。ERP導入の成功は、発注者側の体制にも大きく依存します。
社内に「プロジェクトオーナー(経営層)」「プロジェクトマネージャー(情報システム部門)」「業務担当者(各業務部門のキーパーソン)」という3層の体制を構築することが理想的です。プロジェクトオーナーである経営層は、プロジェクトの目的・優先順位・リソース配分について最終的な意思決定を行う役割を担います。
プロジェクトマネージャーは、ベンダーとの窓口として課題管理・進捗管理・変更管理を担当します。一方で、業務担当者は要件定義・業務テスト・マニュアル整備といった実務作業に参画します。この3層の体制が機能することで、ベンダーとの連携が円滑になり、プロジェクトの品質も高まります。
ProActive外注・委託時のリスクと対策
ProActiveの導入を外注・委託する際には、さまざまなリスクがあります。それらを事前に把握し、適切な対策を講じておくことが、プロジェクトの失敗を防ぐうえで大切な取り組みです。
スコープクリープと追加費用のリスク
ERP導入プロジェクトで最も頻繁に発生するリスクの一つが「スコープクリープ」です。スコープクリープとは、当初の発注範囲を超えた追加要件が次々と発生し、プロジェクトの規模と費用が膨らんでいく現象を指します。
ProActiveの場合、「この業務処理も自動化したい」「あのシステムとも連携させたい」といった追加要望が現場から続々と上がってくることは珍しくありません。そのため、スコープクリープへの対策として最も有効なのは、プロジェクト開始前に「変更管理プロセス」を定義しておくことです。
追加要件が発生した際は、必ず変更管理の手続きを踏みます。そのうえで、影響範囲・費用・スケジュールへの影響を評価し、プロジェクトオーナーが承認・却下を判断する仕組みを構築します。これにより、無制限の追加要件の発生を防ぎ、予算とスケジュールをコントロールできます。
データ移行とシステム連携のリスク
ProActive導入で特に技術的リスクが高いのは、データ移行とシステム連携の工程です。現行システムに蓄積された過去の取引データやマスターデータを正確に移行するには、品質チェック、クレンジング、マッピング、移行テストという複数のステップが必要です。
データ移行の失敗は本番稼働後の業務に直接影響するため、十分なテスト期間を確保することが必要です。また、システム連携でも、既存の販売システム、生産管理システム、EC系システムとの連携仕様を正確に定義しておかないと、本番稼働後に連携エラーが多発するリスクがあります。
そのため、発注の段階で「連携対象システムの一覧」と「各システムとのデータ連携仕様(インターフェース仕様)」を外注先と合意しておくことが、このリスクを低減する最も効果的な対策です。ProActiveは、mcframeなど他の業務パッケージとの連携実績も豊富です。ただし、自社固有のシステムとの連携には、慎重な要件定義が求められます。
ProActive導入の発注から本番稼働までの全体フロー

ProActiveの発注から本番稼働までの流れを理解しておくと、各フェーズで何を行うべきかが明確になります。期間はプロジェクトの規模やスコープによって前後しますが、全体像を把握しておくことで、プロジェクト管理の精度が高まります。
企画・準備と発注・契約締結の期間(1〜3ヶ月)
最初の1〜3ヶ月は企画・準備フェーズです。この期間は、導入目的の明確化と現状業務の棚卸しに取り組みます。さらに、AS-IS業務フローの整理、スコープ定義、予算計画の策定も行います。
並行して、RFIを複数のベンダーに送り、市場情報と候補ベンダーのリストを作成します。その後、RFPを作成して候補ベンダー(通常3〜5社)に送付します。
ベンダーからの提案書受領、デモ実施、ヒアリングを経て、評価・選定を行い、最終的な発注先を決定します。なお、契約交渉・契約締結まで含めると、企画開始から契約締結まで概ね2〜3ヶ月程度を見込むことが一般的です。
要件定義から本番稼働までの期間(12〜18ヶ月)
契約締結後は本格的な実装フェーズに入り、まず「要件定義フェーズ(2〜3ヶ月)」で、外注先と共同で詳細な要件を定義します。主な成果物は、標準機能で対応する範囲とアドオン開発の仕様の確定です。さらに、インターフェース仕様の定義とデータ移行方針の確定も含まれます。
「設計・開発フェーズ(4〜6ヶ月)」では、アドオン開発とProActiveの初期設定を行います。また、マスターデータの整備や各種インターフェースの開発も進めます。続く「テストフェーズ(2〜3ヶ月)」では、単体テスト、結合テスト、総合テスト、ユーザー受入テストを順番に実施します。
この段階では、データ移行リハーサルも並行して実施することが大切です。最終的な「本番稼働準備・移行フェーズ(1〜2ヶ月)」では、本番環境へのデータ移行、操作研修、マニュアル整備、サポート体制の確立を経て、本番稼働を迎えます。
まとめ
ProActive導入の発注を成功させるには、準備からリスク管理まで、5つの段階を順に整えることが大切です。
- 発注前の準備:目的の明確化、業務の棚卸し、予算計画
- RFPの作成:自社の要件と依頼範囲の具体化
- ベンダー評価・選定:実績や体制を含めた複数社の比較
- 契約・プロジェクト体制の整備:作業範囲と役割の明確化
- リスク管理:変更、データ移行、システム連携の管理
外注先を選ぶ際は、価格の安さだけでなく、ProActiveの導入実績、プロジェクトマネジメント能力、業種への理解度、アフターサポート体制を総合的に評価することが求められます。さらに、外注先へ丸投げせず、発注者側も適切な体制を築いてプロジェクトに参画し続けることが、導入成功の最大の鍵となります。
株式会社riplaは、ProActiveをはじめとするERPの導入支援において、コンサルティングから開発・定着化まで一気通貫でサポートしています。IT事業会社として自社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネス成果の創出と現場へのシステム定着を重視した支援が強みです。ProActiveの発注・外注・委託についてお悩みの方は、ぜひriplaにご相談ください。
▼全体ガイドの記事
・ProActive導入の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
