プロダクト開発とシステム開発における最適な体制とチーム構成のポイント

最適な体制とチーム構成は、開発の目的とフェーズに応じて組み立てるのが基本です。そのうえで、役割を配置し、チームが機能する基盤を整えることが要になります。

適切なメンバーが揃っていても、役割が曖昧だったり意思決定の流れが整っていなかったりすると、進行遅延や品質低下につながります。

▼全体ガイドの記事
・プロダクト開発・システム開発の進め方総合ガイド

プロダクト開発とシステム開発におけるチーム構成の違い

まず押さえたいのは、プロダクト開発とシステム開発では、求められる視点と役割が異なることです。

プロダクト開発は“価値創出”に焦点

プロダクト開発は、ユーザーに提供する価値を中心に考える取り組みです。特に新規サービスやSaaSのように収益を生むソフトウェアでは、技術力に加えて、マーケティング、UX、ビジネス戦略の観点が欠かせません。

社内の業務を支える仕組みとは違い、プロダクトはユーザーに選ばれてこそ成り立ちます。そのため、どの役割が開発を導くのかを先に決めておくことが、体制づくりの出発点になります。

  • 判断の基準:ユーザーに提供する価値に置きます。
  • 体制の型:プロダクトオーナー(PO)やプロダクトマネージャー(PdM)を中心とした“事業ドリブン”な体制が求められます。

システム開発は“業務最適化”に焦点

一方、システム開発は、社内の業務やその進め方を最適化するための取り組みで、ユーザーは社内の従業員や特定の部門です。そのため、要件を正確に引き出すことと、現場の業務知識を理解することが重要になります。

特に、現場の実態を知る人が体制に入っていないと、要件の抜けや食い違いに気づきにくくなります。

  • 判断の中心:社内の業務がどれだけ改善されるかにあります。
  • 連携の進め方:情報システム部門や業務部門と密に連携する“業務ドリブン”なチーム体制が求められます。

ポイント

プロダクト開発は価値の判断、システム開発は業務の改善を中心に、体制を組み立てます。どちらの場合も、事業や現場の視点を持つ人が開発に加わっているかを確かめておくと、判断の抜けを防げます。

フェーズごとに求められる役割と体制

開発は企画からリリース・運用まで複数のフェーズに分かれ、フェーズごとに必要な役割も変わります。そのため、各フェーズに応じた体制を整えることが成功の鍵になります。

企画・要件定義フェーズ

ここで決めた内容は、後の設計や開発の前提になります。そのため、事業の判断と現場の知識を、早い段階で持ち寄れる体制が求められます。

  • 課題の定め方:「何を作るのか」と「誰の課題を解決するのか」を明確にします。
  • ・プロダクトマネージャー(PdM)/事業責任者
    ユーザーや市場の課題を分析し、提供する価値やコンセプトを定義します。

・UXデザイナー/サービスデザイナー
ユーザー体験と情報構造を組み立て、ワイヤーフレームなどのプロトタイプを作成します。

・業務担当者(システム開発の場合)
現場業務の流れや課題を共有し、要件の整理に協力します。

・テックリードまたはアーキテクト
技術選定やインフラ構成の検討を支えます。

設計・開発フェーズ

このフェーズには、画面や機能、品質をそれぞれ受け持つ役割が並ぶため、技術の方向性をそろえる役割が欠かせません。

  • 開発の進め方:このフェーズでは実装とテストを重ね、プロダクトとして形にしていきます。
  • ・UIデザイナー
    デザインコンポーネントとスタイルガイドに沿って、画面設計とHTML/CSSの制作を担当します。

・エンジニア(フロントエンド/バックエンド)
ユーザーインターフェースとビジネスロジックの実装を担当します。API設計やデータベース設計も含まれます。

・テックリード/リードエンジニア
実装方針を示し、コードレビューと品質管理を行いながら、チーム全体の技術的な方向性を牽引します。

・QA/テストエンジニア
単体テスト、結合テスト、E2Eテストなどを設計して実施し、品質を担保します。

リリース・運用フェーズ

公開後は、利用状況を見ながら改善を続けられる役割が必要になります。

  • 運用への移行:システムやプロダクトは公開後、保守や改善のフェーズに移ります。
  • ・データアナリスト/マーケティング担当
    利用状況を分析し、ユーザーの行動の傾向から改善案を提案します。

・SRE(Site Reliability Engineer)
サーバーの運用や監視、パフォーマンス改善といった業務を担当します。

・カスタマーサポート/導入支援チーム
エンドユーザーや現場の担当者からの問い合わせに応じ、定着を支援します。

ポイント

フェーズが変わるたびに、必要な役割も中心になる担当も変わります。迷ったときは、そのフェーズで何を決めるのかを確かめ、それに必要な役割を中心に据えるとよいでしょう。

チームビルディングで意識すべきポイント

チームが力を発揮するには、役割を揃えるだけでなく、機能するための基盤も整える必要があります。

意思決定フローの明確化

誰が何を決めるのかが曖昧だと、責任の所在がはっきりせず、手戻りや混乱が生じます。そのため、開発方針、仕様判断、リリース可否といった各判断の責任者を決めておくことが求められます。

判断が遅れると、そのまま開発全体の進行遅延につながります。

  • 決定の担当:決める人と、判断を待つ作業の一覧を関係者で共有します。

クロスファンクショナルな構成

開発、デザイン、ビジネス、業務のすべての視点が交わる「クロスファンクショナルなチーム」は、プロジェクトの柔軟性とスピードを高めます。そのためには、役割ごとの縦割りを避け、早い段階から関係者を巻き込むことが欠かせません。

担当の範囲を超えて話せる場があると、議論の方向もそろいやすくなります。

  • 共通の材料:各職種の担当者が、同じ画面や資料を前に議論できる状態をつくります。

継続的な情報共有と振り返り

例として、毎日のスタンドアップミーティング、週次の進捗共有、スプリント終了後のレトロスペクティブがあります。

こうした情報共有や振り返り、学習の機会を継続的に設けると、チームの自律性と改善力が高まります。振り返りは、うまくいったことと課題を次の進め方に反映する場です。

  • 定例の場:情報共有の場を、決まった頻度で続けます。

ポイント

判断の責任者と話し合いの場が決まっていないと、役割がそろっていても作業は止まりやすくなります。会議の数より、決める場があるかを確かめるとよいでしょう。

外部リソース・パートナー活用のコツ

社内のリソースが限られる中小企業や、スピードを重視するスタートアップでは、開発会社やフリーランスをパートナーとして活用するケースも少なくありません。

パートナーとの目的の共有

パートナーにとって、目的が分かると手段を自分で選べるようになります。

  • 伝える内容:作業の依頼に加えて、「なぜその機能が必要か」「どんな課題を解決したいか」を伝えると、質の高い提案や柔軟な対応が期待できます。

責任の委任

仕様がまだ固まっていない段階では、詳細な指示書を渡して任せるより、「この領域の判断をお願いします」と責任を預ける形が有効です。

信頼できるパートナーには裁量を渡し、プロジェクトの当事者として動いてもらうことが大切です。

細かく指示できる部分は指示書で足りても、仕様が固まらない部分は、指示書では対応しきれません。

  • 任せる範囲:どこまでを任せ、どこから先を発注側が判断するかを決めておきます。

長期的な関係性の前提

開発が終わったあとも、運用や改善を同じ相手と進められるかは、最初の関係づくりで変わります。

  • 保守までの見通し:単発の依頼でも、保守や改善まで見据えて関係を築いておくと、継続的な成長に対応しやすくなります。

ポイント

社内のリソースが限られる場合、外部のパートナーは有力な選択肢になります。依頼では作業内容に加えて目的と任せる範囲を伝え、任せたあとの食い違いを減らすことが大切です。

成功するチームに共通する3つの特徴

プロジェクトの成功率が高いチームには、いくつかの共通した特徴があります。

ユーザー起点の意思決定

あらゆる議論や開発の判断基準を「ユーザーの課題解決につながるかどうか」に置いていることが、こうしたチームの特徴です。機能の多さや社内の事情を優先するチームは、結果としてユーザーの支持を得られません。

判断の基準がそろっていると、議論が堂々巡りになりにくくなります。

  • 判断の拠り所:判断に迷ったときは、ユーザーの課題に立ち返って考えます。

変化への柔軟さ

開発の途中で、事業の状況に応じて計画を見直す場面は出てきます。その場面で、チームがどう応じられるかが問われます。

  • 変化への備え:市場環境や事業の方向性が変わっても柔軟に軌道修正できるチームは、学習しながら進化できます。アジャイルの思想をベースにした体制が理想です。

チーム全体での成果の共有

誰か一人の手柄にしない姿勢も、チームを支える要になります。

  • 成果の捉え方:成果やフィードバックを、チーム全体のものとして捉える文化があると、モチベーションが保たれ、心理的安全性も高まります。

ポイント

判断に迷ったときは、ユーザーの課題に立ち返れるかを確かめるとよいでしょう。方針の変更を前提にできているか、成果を誰か一人の手柄にしていないかも、チームの状態を見る目安になります。

まとめ

プロダクト開発やシステム開発では、適切なチーム構成と役割の設計が、成功の前提になります。

スキルに加えて、文化や意思決定の流れまで含めた“体制設計”を見直すことで、より強い開発チームをつくれます。

役割分担に加えて、「なぜそれをするのか」「どのように連携するか」を明確にしておくことが、プロジェクトを成功に導く鍵になります。

開発の流れ全体を押さえたい方は、次の記事もご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・プロダクト開発・システム開発の進め方総合ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。