通販サイト/システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

通販サイトのシステム開発は、商品管理や在庫管理、会員管理など多くの機能を統合する複雑なプロジェクトです。「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズで進みます。

費用は規模や技術、開発手法によって数十万円から数億円まで幅があり、進め方を誤ると、コスト超過や納期遅延を招きかねません。

  • 事前の整理:要件、機能、連携、予算、スケジュールを一覧にする
  • 発注先の選定:方式、実績、提案、費用、保守体制を比べて選ぶ
  • 公開後の改善:運用状況と課題を確認し、改善につなげる

通販サイト開発の全体像は、下記の完全ガイドでもまとめています。

▼全体ガイドの記事をご覧ください。
・通販サイト/システム開発の完全ガイドをご覧ください。

通販サイト/システム開発の全体像

通販サイト/システム開発の全体像

通販サイトのシステム開発を成功させるには、まず全体像を正しくつかむことが欠かせません。開発コストや期間、必要なリソースは、構築する通販サイトの種類や採用する技術スタックによって大きく変わるため、まずは基本的な分類と技術選定の考え方を確認します。

通販サイトの種類と特徴

通販サイトは構築方法で4種類に分かれ、規模・予算・ビジネスモデルが異なるため、自社に合う方式を選ぶことが最初の判断です。

  • ASP(クラウド型):Shopify・futureshop・makeshopなどのSaaSを使い、初期費用は数万〜数十万円、月額は数千円〜数万円と低めです。
  • オープンソース型:EC-CUBE・Magento・WooCommerceなどを基盤にする方法で、開発費用の目安は100万〜500万円程度です。
  • パッケージ型:ecbeing・ebisumart・コマースロボットなどの商用ECパッケージを導入し、費用相場は500万〜2,000万円程度です。
  • フルスクラッチ:ゼロから構築し、費用は1,000万〜数億円です。

ASPは、開発期間も1〜2ヶ月と短いものの、カスタマイズ範囲が限られ、複雑な要件には対応しにくいため、小規模から中規模向けです。オープンソース型は中規模から大規模の通販サイトに適しています。ライセンス料は無料ですが、開発・カスタマイズ・サーバー維持に費用がかかります。

EC-CUBEは、日本の商習慣(配送日時指定・のし対応・代引き・後払いなど)に特化したプラグインが豊富で、国内ECサイトで広く採用されています。パッケージ型は、自社要件に合わせてカスタマイズする方法で、大手流通・メーカー系の通販サイトに多く採用されています。フルスクラッチは、開発期間が6ヶ月〜2年以上になることが多く、高度な技術力と開発リソースが必要です。

主要な技術スタックと選定ポイント

通販サイトのシステム開発では、フロントエンド・バックエンド・データベース・インフラの各領域で、適切な技術を選ぶことが求められます。近年は、フロントエンドとバックエンドを分けて最適な技術を採用するヘッドレスコマースが注目され、ShopifyのStorefront APIとNext.jsを組み合わせる構成も実績が豊富です。

フロントエンドではReact・Next.jsが広く採用されています。特にNext.jsのIncremental Static Regeneration(ISR)機能は、大量の商品ページを高速に配信するECサイトに適し、パフォーマンスと運用性を両立できます。バックエンドはNode.js・PHP・Ruby on Rails・Javaなどが多く、既存のパッケージに合わせて選ばれます。

データベースはMySQLやPostgreSQLが一般的で、インフラはAWS・Google Cloud・Azureなどのクラウドが主流です。決済には、Stripe・GMOイプシロン・SBペイメントサービスなどのPSP(決済代行サービス)を使うことが多いです。技術は、開発会社の得意分野や保守体制、将来の拡張性を合わせて選びます。

ポイント

通販サイトの方式は、予算・規模・必要なカスタマイズの範囲の3点で絞り込むと、候補を比べやすくなります。ASP型は小規模向け、フルスクラッチは自社特化の要件向けという違いを踏まえて選びます。

通販サイト/システム開発の進め方

通販サイト/システム開発の進め方

通販サイトの開発は、3つのフェーズを順に進めるのが基本です。各フェーズで成果物を確認・承認しながら次へ進むウォーターフォール型が主流ですが、規模の大きいプロジェクトではアジャイル型を採用するケースも増えています。

要件定義・企画フェーズ

要件定義・企画フェーズは、通販サイト開発の成否を最も左右する工程です。「何を作るか」が曖昧なまま開発に進むと、後から仕様変更が相次いで工数が膨らみ、納期遅延やコスト超過の原因になります。

まずは「月間売上○万円を達成する」「月間ユニークユーザー○万人に対応できるパフォーマンスを確保する」のような数値目標を設定します。そのうえで、必要な機能を洗い出します。通販サイトに必須となるのは、次の機能です。

  • 商品管理:商品の登録・編集、在庫管理、カテゴリ管理
  • カート機能:購入したい商品を集め、注文の内容を確かめる
  • 決済機能:クレジットカード、コンビニ払い、後払い、代引きに対応

会員管理(会員登録・ログイン・購入履歴)、注文管理・出荷管理、メール通知(注文確認・発送通知)も必要になります。このほか、SEO対応、レビュー・評価機能、クーポン・ポイント機能などが挙げられます。

パフォーマンスや稼働率などの非機能要件は、「ページ表示速度3秒以内」「稼働率99.9%以上」と明示すると、開発会社との認識のずれを防げます。要件定義は小規模で1〜2週間、大規模で1〜3ヶ月が目安で、要件定義書や機能一覧、画面一覧を作って発注先と合意します。

設計・開発フェーズ

設計フェーズは「基本設計」と「詳細設計」の2段階で進めます。基本設計では、システム全体の構成と画面設計(ワイヤーフレーム)、データベース設計、決済・物流・ERPなどとの外部連携設計を行います。

この段階でユーザーインターフェースの大枠が決まるため、発注者側のレビューと承認が必要です。

詳細設計では、次の作業を行います。

  • 処理フローとAPI仕様:各機能の処理の流れと、連携のための仕様
  • テーブル定義:データベースの表の構成を決める
  • セキュリティ設計:情報を守るための対策を組み込む

通販サイトは、決済フロー・在庫引き当てロジック・注文ステータス管理が複雑になりやすいため、詳細な設計書を作ることが大切です。

設計書ができたら、プログラマーが設計書に基づいてコードを実装します。フロントエンド開発(UI実装)とバックエンド開発(API・ロジック実装)を並行して進めるケースが多く、GitHubなどのバージョン管理ツールを使ってコードを管理します。

通販サイトの開発期間は、ASP活用で1〜2ヶ月、オープンソース型のカスタマイズで3〜6ヶ月、フルスクラッチで6ヶ月〜2年以上が目安です。開発中は週次の進捗報告と課題管理を続け、スケジュール遅延を早く見つけて対処できるようにします。

テスト・リリースフェーズ

テストは、決済や在庫、注文処理など業務の根幹に関わる機能を対象に、単体テスト、結合テスト、システムテストの順で進めます。まず単体テストでは、各モジュール(関数・クラス単位)が設計どおりに動作するかを確認します。結合テストでは、決済APIとのやり取りや在庫更新と注文確定の連携など、システム間のつなぎ目を重点的に確かめます。省略すると、リリース後に深刻な問題が起きるおそれがあります。

システムテストでは、本番環境に近い環境で全機能の動作を総合的に確認します。そのうえで、通販サイト固有の確認として、カート追加から決済完了、在庫引き当て、注文確認メールの送信までの一連の流れを通します。負荷テストでは、想定するピーク時のアクセスに耐えられるかを検証します。たとえばセール時に通常の10倍のアクセスが来ても、正常に動くかをシミュレーションします。

リリースでは、本番環境へのシステム移行を、事前に作成した「リリース手順書」に沿って行います。手順には、データ移行やDNS切り替え、決済テスト、動作確認が含まれます。リリース直後は、エラーログや決済成功率を集中的に監視し、障害に備えてロールバック(元の状態に戻す)手順も準備しておきます。

ポイント

進め方は、要件定義・企画を丁寧に行い、そのうえで設計・開発、テスト・リリースへ進むのが基本です。各フェーズの成果物を承認してから次へ進むと、途中の仕様変更による工数増を抑えやすくなります。

費用相場とコストの内訳

通販サイト開発の費用相場とコストの内訳

通販サイトのシステム開発費用は、採用する開発方式や機能範囲、規模によって大きく異なります。「安く作れると思っていたら、想定の数倍かかった」という事例は珍しくありません。予算を正確に立てるには、初期費用だけでなく開発後のランニングコストまで含めたトータルコスト(TCO)で比べることが大切です。

人件費と工数

通販サイト開発費用のうち最も大きな割合を占めるのが人件費で、システム開発では「人月」という単位で工数を数えます。1人月は、エンジニア1人が1ヶ月稼働した作業量のことで、国内では1人月あたり80万〜120万円が相場です(単価は職種・経験・地域によって異なります)。

規模別に見ると、ASP活用で基本機能のみの小規模サイトは5〜20人月、50万〜200万円程度です。中規模ECサイト(EC-CUBEカスタマイズ・会員機能・ポイント・複数決済対応)では、30〜80人月、300万〜800万円程度になります。フルスクラッチで基幹システム連携や複数倉庫対応を行う大規模サイトは、100人月以上、1,000万〜数億円規模です。

開発チームは一般的に、プロジェクトマネージャー(PM)やシステムアーキテクトを中心に、フロントエンド・バックエンド・インフラのエンジニア、QA(品質保証)担当、UIデザイナーなどで構成されます。規模が大きくなるほど役割ごとの人数が増え、人件費も比例して増加します。要件定義・設計にも相応の工数がかかるため、予算にあらかじめ計上しておくことが大切です。

初期費用以外のランニングコスト

通販サイトの運営では、初期開発費用以外にも継続的なランニングコストがかかります。その額は、システムの複雑さと改修頻度によって大きく変わります。サーバー・インフラ費用は、AWSやGoogle Cloudを使う場合、小規模で月額1万〜5万円、中規模で月額5万〜30万円、大規模で月額30万〜100万円以上が目安です。ASP型では、サーバー費用がプラン費用に含まれています。

決済手数料は、クレジットカード決済の場合、売上の2.5〜3.5%程度が代行会社に支払われます。たとえば月商1,000万円のサイトなら、月間25万〜35万円の決済手数料が発生する計算です。保守・メンテナンス費用は、バグ修正やセキュリティ更新、機能改修に必要で、月額5万〜50万円程度が相場です。

セキュリティ対策費用として、SSL証明書(年間数千円〜数万円)、WAF(年間10万〜100万円)、脆弱性診断(年間50万〜200万円)も考慮が必要です。ドメイン費用は年間1,000〜5,000円程度です。これらを合わせると、中規模サイトで月額20万〜80万円、年間240万〜1,000万円程度になるケースが一般的です。

ポイント

費用は、初期費用だけでなくランニングコストを含めたトータルで比べ、人件費と保守費用の見通しまで立てておくと判断がぶれにくくなります。

見積もりを取る際のポイント

通販サイト開発の見積もりを取る際のポイント

見積もりは、単に複数社へ依頼するだけでは不十分です。要件が曖昧なままだと各社の前提条件が食い違い、正確な比較ができません。初期費用の安さだけで発注先を選ぶと、追加費用や品質の問題で結果的に高くつくリスクもあります。

要件明確化と仕様書の準備

見積もりを依頼する前に、最低限の要件定義資料を自社で用意しておくことが大切です。資料がそろっていれば、複数の開発会社が同じ条件で見積もりを作れるため、正確に比べられます。

機能要件一覧は、実装したい機能を必須と優先度の低いものに分けて書き出した資料です。画面一覧・遷移図は、サイトの画面構成とページ間の流れを図で示したものです。非機能要件には、想定アクセス数やレスポンスタイム、セキュリティ要件、可用性要件を明記します。

予算・スケジュールには、初期費用の上限と希望リリース時期を記載します。加えて、目指すサイトの例を2〜3件示すと、開発会社が要件を具体的に想像しやすくなります。これらをまとめた要件定義書(RFP:提案依頼書)を作ると、見積もりの精度が大幅に向上します。

複数社比較と発注先の選び方

発注先は、最低3社以上から見積もりを取り、金額に加えて提案内容・実績・体制・コミュニケーション力を比べます。質問への回答が丁寧かどうかは、開始後の協力関係を予測する目安にもなります。

EC開発の実績は、類似規模や類似業種のECサイトの開発事例があるかで確かめ、参考事例のURLも見せてもらうとよいでしょう。提案の具体性は、要件に対する技術選定や設計方針、スケジュールが示されているかで見ます。抽象的な提案しかできない会社は、技術力に不安がある場合があります。

保守・運用体制は、障害対応の時間や問い合わせ窓口、定期メンテナンスの方針を明確にしてもらいます。価格は、機能ごとの工数・単価の内訳と、追加費用がどのような場合に発生するかを事前に確かめます。安すぎる見積もりは後の追加請求や品質低下につながるおそれがあります。EC制作会社選びの失敗は、初期投資の2〜3倍の追加コストや数ヶ月の機会損失につながることもあります。

注意すべきリスクと対策

開発プロジェクトには典型的なリスクがあり、事前に把握して対策を講じることで、失敗を防げます。最も多いのは、要件の後出しや仕様変更の多発です。追加要件が出ると工数が膨らみ、納期遅延やコスト超過を招くため、要件定義で機能を洗い出し、変更管理ルールを契約時に決めておくことが有効です。

セキュリティ対策の不備も重大なリスクで、個人情報やクレジットカード情報を扱う通販サイトでは、情報漏洩の影響が甚大です。カード情報を自社で保持するとPCI DSS準拠が必要になるため、Stripe・GMOイプシロンなどのPSPに決済処理を委託して、保持を避けるのが推奨されます。定期的な脆弱性診断(年1〜2回、費用目安50万〜200万円)も望ましいです。

開発会社が途中で離脱・廃業した場合に備え、ソースコードの所有権や管理権限を契約で明確にし、GitHubなどのリポジトリへのアクセス権を発注者が持っておくことが大切です。また「パフォーマンス問題」として、セール時などのアクセス集中でサイトが落ちるリスクもあります。開発段階で負荷試験を行い、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の導入やオートスケーリングを組み込んでおくことが求められます。

ポイント

見積もりは、要件資料をそろえて複数社に同じ条件で依頼し、金額の内訳と保守体制まで比べて選ぶと、後からの食い違いを減らせます。

まとめ

通販サイト/システム開発まとめ

通販サイトの開発方式は、ASP型・オープンソース型・パッケージ型・フルスクラッチの4種類で、自社の規模や予算、カスタマイズ要件に応じて選びます。技術スタックはNext.js・React・EC-CUBE・Shopifyなど多様で、開発会社の得意分野と自社要件が合うかどうかが選定の鍵です。

開発の進め方は「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3フェーズが基本です。なかでも要件定義フェーズへの投資が、プロジェクト全体の品質とコストを大きく左右します。費用相場は、小規模のASP活用で50万〜200万円、中規模で300万〜800万円、大規模のフルスクラッチで1,000万〜数億円と幅広く、ランニングコストを含めたトータルコストで判断します。

見積もりは、RFP(提案依頼書)を事前に準備し、3社以上から比較するのが推奨されます。初期費用の安さだけでなく、実績・保守体制・コミュニケーション力を総合的に見て発注先を選ぶと、プロジェクトの成功につながります。

セキュリティ対策・パフォーマンス設計・リスク管理も、開発の初期段階から計画に組み込むことで、安全で安定した通販サイトを実現できます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。