ラボ型開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

ラボ型開発は、専属チームを一定期間確保してアジャイルで開発を進める手法です。進め方は、要件定義・企画から始まり、設計・開発のスプリントを繰り返したあと、テスト・リリースと改善へと続く流れです。

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ラボ型開発の全体像

専属チーム、チームの稼働時間、柔軟性、継続的な改善を4枚のカードで示した図。
同じチームが知識を蓄積しながら開発を続ける構造です。

ラボ型開発では、開発会社が案件専用のエンジニアチームを編成し、一定期間(一般的には6ヶ月〜1年以上)にわたって、クライアントの指示のもとで開発業務を続けます。

請負型開発が「成果物の完成」を目的とするのに対して、ラボ型開発は「チームの稼働時間」に対して費用が発生する点で、根本的に異なります。この違いから、仕様変更や機能追加が頻繁に起きるプロジェクトでも、追加費用なく柔軟に対応できるという大きなメリットが生まれます。

  • チームの継続性:同じ専属チームが知識を蓄積しながら、開発を続けます。
  • 適用プロジェクト:要件変更が多い新規開発や、長期のDX推進が対象です。
  • 費用と見積もり:人件費、工数、運用費を分けて把握します。

ラボ型開発の特徴と他の開発手法との違い

ラボ型開発が他の開発手法と大きく異なる点は、チームの継続性と柔軟性にあります。SES(システムエンジニアリングサービス)と似た面もありますが、専属チームが特定のプロダクトに集中して関わり続けます。そのため、プロジェクト固有のコンテキストやドメイン知識が蓄積されやすいという特徴があります。

ラボ型開発の本質は、「一緒にプロダクトを育てていく」という共創的なスタンスにあります。請負開発で多い「この仕様書通りに作ってください」という依頼とは、進め方の前提が異なります。

アジャイル開発との相性は非常によく、スプリントを繰り返しながら機能を積み上げていくスタイルと自然に融合します。実際、多くのラボ型開発ベンダーがスクラムやカンバンを採用しており、2週間〜4週間単位のスプリントで、作ったものを確認しながら開発を進めます。

ラボ型開発が適しているプロジェクトの種類

ラボ型開発が最も効果を発揮するのは、要件が流動的なプロダクト開発や、長期にわたる継続的改善が求められる場面です。たとえば、新規SaaSプロダクトの立ち上げでは、市場の反応を見ながらMVP(最小実行可能プロダクト)を素早くリリースし、フィードバックをもとに機能を追加・修正していく必要があります。

こうした環境では、毎回見積もりを取り直す請負型より、専属チームを確保して素早くPDCAを回せるラボ型が圧倒的に有利です。また、既存システムの運用・保守と並行して機能追加を続けたい場合や、社内に開発リソースが不足しており外部エンジニアチームを実質的な内製チームとして活用したい場合にも、ラボ型開発は最適な選択肢となります。

調査会社の報告では、ラボ型開発を採用した企業の約70%が「要件変更への対応速度が向上した」と回答しており、スピードと柔軟性の両立が評価されています。

ポイント

ラボ型開発は、チームの稼働時間に対して費用が発生する開発方式です。仕様変更や機能追加が頻繁に起きる案件や、長期のDX推進に当てはまるかを、まず自社の状況で見極めるとよいでしょう。

ラボ型開発の進め方

要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの3フェーズを左から右へ示した図。
各段階の役割を共有すると、次の工程へ移りやすくなります。

ラボ型開発を成功させるには、各フェーズの役割と目的を理解したうえで、段階を踏んで進めることが大切です。立ち上げから継続的な開発・改善までは、大きく3つのフェーズに分けて考えると、全体像をつかみやすくなります。

要件定義・企画フェーズ

ラボ型開発の最初のステップは、プロジェクトの目的と優先度を整理する要件定義・企画フェーズです。まず、開発したいプロダクトやシステムのビジョンと、解決したいビジネス課題を言葉にします。ラボ型開発では仕様書を完全に固める必要はありませんが、「何を達成したいのか」というゴールは明確にしておくことが欠かせません。

次に、発注側と開発会社で、どんなスキルセットのエンジニアが何名必要かを見積もり、チーム構成の方向性を決めます。一般的なラボ型開発チームは、プロジェクトマネージャー(PM)1名に加えて、バックエンドエンジニア2〜3名、フロントエンドエンジニア1〜2名、QA(品質保証)エンジニア1名程度で構成されることが多いです。

このフェーズを丁寧に行うと、後のスプリントの生産性が大きく向上します。要件定義には通常2〜4週間を費やし、ベンダーとのキックオフミーティングを経て、正式な契約・チーム編成へと進みます。

設計・開発フェーズ

設計・開発フェーズでは、スプリントサイクル(通常2週間単位)を回しながら、プロダクトを段階的に構築していきます。各スプリントの開始時にはスプリントプランニングを行い、バックログ(実装すべき機能の一覧)から優先度の高いタスクを選んで、スプリントゴールを設定します。

開発チームは、デイリースクラム(毎日の短時間ミーティング)で進捗を共有しながら、エンジニアリングとテストを並行して進めます。設計段階では、システムアーキテクチャやデータベース、APIの設計などを行います。ただし、ラボ型開発では最初からすべてを詳細に設計するよりも、「Just Enough Design(必要十分な設計)」の考え方で進めるのが効率的です。

UI/UX設計は、Figmaなどのツールを使って進め、ユーザーストーリーに基づいて機能を実装していきます。また、クライアント側ではプロダクトオーナーが優先度の判断とフィードバックを担い、週1〜2回の進捗確認ミーティングで方向性を調整します。

テスト・リリースフェーズ

テスト・リリースフェーズでは、各スプリントの終わりに行うスプリントレビューと、継続的インテグレーション(CI)による自動テストを組み合わせて品質を担保します。完成後に一括でリリースするやり方とは違い、ラボ型開発では機能単位で段階的にリリースするのが一般的です。これにより、ユーザーからの早期フィードバックを得ながら品質を高められます。

テストの種類としては、単体テスト・結合テスト・ユーザー受け入れテスト(UAT)が主要なものとなります。また、スプリントレトロスペクティブ(振り返り)では、チームのプロセス改善点を洗い出し、次のスプリントに反映させます。

リリース後も同じチームが継続して運用・保守・改善を担当するため、障害対応やパフォーマンスチューニング、新機能開発をシームレスに行えます。なかでも、ラボ型開発の真価は、このリリース後の継続的な改善サイクルにこそ発揮されます。

ポイント

各フェーズの役割を発注側と開発会社で共有しておくと、後の工程で迷いが少なくなります。特に要件定義・企画を丁寧に行うかどうかが、以降のスプリントの進みを左右します。

費用相場とコストの内訳

ラボ型開発のコストは、月額固定制が基本です。確保するエンジニアの人数・スキル・契約期間によって大きく変わるため、費用感を正確につかんでおくと、予算計画や発注の判断がしやすくなります。

人件費と工数

ラボ型開発における費用の中心は人件費で、1人月あたりの単価が最も重要な変数です。国内ベンダーを活用する場合、エンジニア1名あたりの月額単価は100万円〜150万円程度が相場となります。

一方、ベトナムをはじめとするオフショアラボ型開発では、同水準のスキルを持つエンジニアでも月額30万円〜60万円程度での調達が可能です。国内比で約50%のコストダウンが期待でき、これがオフショアラボ型開発が多くの企業に選ばれる理由のひとつです。

たとえば、開発エンジニア2名(各50万円)+テストエンジニア1名(40万円)+ブリッジSE0.5名(30万円)の構成で3ヶ月稼働した場合、総額は約420万円となります。国内チームで同等の構成を組んだ場合と比べると、1,000万円以上のコスト差が生まれることもあります。

初期費用以外のランニングコスト

ラボ型開発では、月額の人件費のほかにも、複数のランニングコストを見ておく必要があります。まず、開発環境費用としてクラウドインフラ(AWS、GCP、Azureなど)の利用料が、月額数万円〜数十万円発生します。

次に、プロジェクト管理ツール(Jira、Confluenceなど)やコミュニケーションツール(Slack、Zoomなど)のライセンス費用がかかります。さらに、コードレビューやCI/CDパイプラインの維持費用も必要です。オフショアラボ型開発の場合は、ブリッジSEのコストが重要になり、月額50万円〜70万円程度が一般的です。

ブリッジSEは、日本語と現地語の翻訳・調整役を担い、コミュニケーションコストを大幅に削減する役割を果たします。また、エンジニアチームの入れ替えが発生した場合のオンボーディングコストも、見積もりに含めておくと安心です。これらすべてを含めると、小規模なラボ型開発チームで月額100万円〜200万円程度が現実的な総コストの目安となります。

ポイント

費用は人件費が中心で、国内かオフショアか、確保する人数とスキルによって大きく変わります。見積もりは、人件費に加えてランニングコストも含めた月額の総額で比べると、実際の負担が見えます。

見積もりを取る際のポイント

技術力、コミュニケーション品質、実績の3つの評価軸と、それぞれの確認項目を示したチェックカード図。
単価以外の観点もそろえると、提案内容を比べやすくなります。

ラボ型開発の見積もりは、請負型とは違う見方が必要です。「完成物に対していくらか」ではなく、「チームの稼働に対していくらか」という視点で見積もりを精査することが大切です。

要件明確化と仕様書の準備

ラボ型開発の見積もり精度を高めるには、完全な仕様書がなくても「開発の方向性」と「初期のロードマップ」を整理して提示することが効果的です。そのために、RFP(提案依頼書)に相当する資料を用意しましょう。

資料には、プロダクトのターゲットユーザーと解決したい課題、必要な主要機能のリスト(優先度付き)を書きます。さらに、技術スタックの制約や希望、リリース目標時期とマイルストーンも盛り込みます。これにより、ベンダー側は適切なチーム構成と月額費用を算出しやすくなり、精度の高い見積もりが得られます。

仕様が曖昧なまま見積もりを依頼すると、ベンダーが過大な人数を提案してコストが膨らむリスクがあります。そのため、初期段階でも可能な限り情報を整理して提供することが欠かせません。また、「まず3ヶ月のトライアル期間」としてスモールスタートする提案をベンダーに求めると、リスクを抑えながら相性を確認できます。

複数社比較と発注先の選び方

ラボ型開発の発注先選定では、単純な月額コストだけでなく、技術力・コミュニケーション品質・実績の3軸で評価することが重要です。まず技術力は、使用予定のプログラミング言語やフレームワーク(Python、TypeScript、React、Flutterなど)の習熟度と、過去の類似プロジェクトの実績で確認します。

コミュニケーション品質は、日本語対応力(特にオフショアの場合はブリッジSEの存在)と、レスポンスタイムの速さで見極めます。実績については、自社と類似した業種・規模のプロジェクト事例を3件以上提示してもらいます。可能であれば、過去のクライアントへの参照確認(レファレンスチェック)も行います。

見積もり比較の際は、同一の条件(チーム構成、契約期間、使用技術)を提示して、3社以上から見積もりを取得します。そのうえで、単価だけでなくチームの提案内容の質も評価すると、最適なパートナーを選べます。

注意すべきリスクと対策

ラボ型開発を検討する際は、見落とされがちなリスクがいくつかあります。最も注意すべきは「稼働率保証の落とし穴」です。契約上、チームの稼働時間に対して費用が発生しますが、クライアント側からタスクが十分に供給されないと、エンジニアは待機状態になりながらも費用が発生し続けます。

これを防ぐには、常時2〜3スプリント分のバックログを準備しておくことが欠かせません。また、長期プロジェクトでは担当エンジニアが交代するケースがあり、ナレッジ移転のコストが発生します。

契約時に「コアメンバーの交代には事前承認が必要」という条項を入れることで、このリスクを軽減できます。さらに、知的財産権の帰属(作成したコードや設計書の権利がどちらに帰属するか)と情報セキュリティ(NDA締結と開発環境のセキュリティ基準)も、契約書で明確に取り決めておくことが不可欠です。

ポイント

見積もりは、完成物ではなくチームの稼働に対する金額として比べます。RFPに相当する資料を用意し、3社以上に同じ条件で依頼すると、提案を比較しやすくなります。

まとめ

ラボ型開発は、専属チームを一定期間確保して柔軟にプロダクト開発を進める手法です。要件変更が多い新規プロダクト開発や、長期継続型のDX推進に特に適しています。

進め方は、大きく「要件定義・企画」→「設計・開発(スプリント反復)」→「テスト・リリース・改善」の3フェーズで構成されます。アジャイル開発との親和性が高い点が特徴です。

費用面では、オフショアを活用すると国内比で50%程度のコストダウンが可能です。相場は、オフショアで月額30万円〜60万円/人月、国内で100万円〜150万円/人月です。

見積もりを取る際は、3社以上に依頼し、コストだけでなく技術力・コミュニケーション品質・実績の3軸で評価することが、成功のカギとなります。

ラボ型開発は、正しく活用すれば社内エンジニアチームの拡張として機能する、強力な開発体制を構築できます。ぜひ本記事の内容を参考に、自社プロジェクトに最適なラボ型開発体制の構築を検討してみてください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。