ネットショップ/ネット通販開発の保守・運用費用・ランニングコストについて

ネットショップのランニングコストは、構築手法・月商規模・運用体制によって、月額0円から100万円規模まで変わります。

カートASPや自社EC、運用の人的コストまで見ておくと、費用の全体を比べられます。全体像は、ネットショップ/ネット通販開発の完全ガイドもご覧ください。

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・ネットショップ/ネット通販開発の完全ガイド

ネットショップ/ネット通販のランニングコストの全体像

ネットショップのランニングコストを、利用料・手数料、インフラ、保守・セキュリティ、人件費の4区分で示す図。
運営方法を比べるときは、4区分の負担先をそろえて見ると全体像をつかめます。

ネットショップのランニングコストは、大きく4つの内訳に分けて考えると全体をつかみやすくなります。

  • プラットフォーム利用料・各種手数料:サービス利用料や決済にかかる手数料
  • サーバー・インフラ費用:サイトを稼働させる基盤の利用料
  • 保守・セキュリティ費用:安全な運営と更新に必要な対応費
  • 運用にかかる人件費:商品登録や受注処理などを人手で行う際の費用

構築手法によって、4つの内訳の中身は大きく変わります。インスタントECやカートASPでは、サービス側がサーバー管理とセキュリティ対応を担うため、インフラや保守の費用はほとんどかかりません。その代わり、費用の中心は月額料金や売上に連動する手数料になります。

オープンソースで自社ECを構築すると、月額のプラットフォーム料金はかかりません。一方で、サーバー代、セキュリティ対策費、バージョンアップ対応は自社で負担します。まずは、手数料型と自前運用型のどちらが自社の月商規模に合うかを見極めることが出発点になります。

「手数料型」と「自前運用型」のコスト構造の違い

手数料型と自前運用型は、月商規模との相性を見て選び分けます。

  • 手数料型:月商が小さい時は負担が軽く、売上が増えるにつれて手数料が膨らみます。
  • 自前運用型:固定的な保守費が中心の構造です。

手数料型では、決済手数料とサービス利用料が実質6.6%の場合、月商10万円で手数料は約6,600円です。同じ料率のままでも、月商500万円になると手数料は約33万円に達します。

自前運用型では、売上が増えても手数料が比例して増えるわけではありません。そのため、月商が大きくなるほど自前運用型は相対的に有利になります。開業初期は手数料型で始め、売上が一定規模に達したら移行を検討する進め方もあります。

自社が今どのフェーズにいるかを意識し、ランニングコストを設計しておくことが大切です。

ポイント

迷ったときは、想定する月商を段階ごとに分け、手数料額と保守費を並べて比べると判断しやすくなります。段階ごとの数字が並ぶと、見直すべき時期も見えやすくなります。

カートASPの月額・決済手数料の相場

小規模事業者にとっては、初期費用を抑えて始められるカートASPが利用しやすい選択肢です。サービスやプランによって料金は異なるため、想定月商に当てはめて比べることが大切です。ここで紹介する金額は目安で、プランや支払い方法によって変わります。

BASE・STORESの無料プランと料金

無料プランと有料プランは、月額料金と手数料の差で選び分けます。

  • BASE:スタンダードプランなら月額0円で使えます。
  • STORES:フリープランの月額は0円です。

BASEでは、スタンダードプランの月額料金と初期費用がともに0円です。決済手数料は3.6%+40円で、これにサービス利用料3.0%が加わります。そのため、実質的に売上の約6.6%が手数料になります。

売上が安定したら、月額19,980円のグロースプランも検討できます。年払いに換算すると、グロースプランは月額約16,580円です。また、グロースプランでは決済手数料が2.9%〜に下がります。

STORESのフリープランは、月額0円で決済手数料が5.5%です。一方、月額3,300円(税込)のスタンダードプランにすると、決済手数料は3.6%〜に下がります。

プランを選ぶ際は、月額料金と手数料の差額が見合う売上ラインを試算しておくことが重要です。損益分岐点を超えたら上位プランへ移行すると、無駄を抑えられます。

Shopify・カラーミーショップなど高機能ASPの料金

高機能ASPは、デザインの自由度や拡張性と料金のバランスを見て選びます。

  • Shopify:Basicプランから上位プランまで、料金が段階的に分かれています。
  • 国産ASP:無料から月額数千円〜数万円まで幅があります。

ShopifyのBasicプランは月額3,650円です。上位のStandard(Grow)は月額4,850円〜10,100円で、Advancedは月額12,650円〜44,000円です。

なお、Shopifyの料金は支払い方法や為替によって変動します。Shopify Payment利用時の決済手数料は、2.9%〜3.55%が目安です。プランが上がるほど月額は高くなりますが、機能や手数料は優遇されます。

カラーミーショップやイージーマイショップにも無料プランがあります。国産サービスの決済手数料は、3.4%〜5%前後が相場です。

BASEやSTORESに比べると、運用知識が必要になる場合もあります。また、月額料金のほかに、アプリや拡張機能の追加費用も見積もっておくことが大切です。

モール出店の固定費とロイヤリティ

モール出店では、集客力を取るか、固定費とロイヤリティの負担を抑えるかで、利益の残り方が変わります。

  • 楽天市場:初期登録費と月額出店料に加えて、売上に連動する費用がかかります。
  • Amazon:月額出店料は低めですが、販売手数料はカテゴリ別に売上の8%〜15%です。

楽天市場の初期登録費は60,000円(税別)で、月額出店料は、がんばれ!プランが25,000円(年間一括払)です。スタンダードプランは65,000円、メガショップは130,000円で、いずれも税別です。

楽天市場では、システム利用料などとして売上の2.0%〜7.0%が発生します。一方、Amazonは大口出品の月額出店料が4,900円(税抜)です。

モール出店の判断では、売上から固定費とロイヤリティを差し引いた残りを、利益構造に照らして確かめることになります。

ポイント

無料プランは手数料率が高めになりやすいため、月額料金と手数料率の両方を見て、損益分岐となる売上ラインを試算してから選ぶと判断を誤りにくくなります。

自社EC(オープンソース・パッケージ)の保守費用

自社ECの保守・運用費用を、サーバー、保守・セキュリティ、トラブル対応、更新・リプレイスの4項目に分けた図。
毎月の保守に加え、委託範囲や数年ごとの更新費も計画に含まれます。

ASPの手数料負担が重くなった事業者は、自社ECの構築を検討します。独自の要件を実現したい場合にも、オープンソースやパッケージが候補になります。ただし、自社ECではサーバー費用や保守・セキュリティ対応の費用を自社で負担することになります。

オープンソースの保守費と月商規模

オープンソースの保守費は、月商規模と、技術対応をどこまで外部に任せるかによって変わります。

  • サーバー費用:月額数千円から3万円程度です。
  • 月商100万円規模:サーバー費と軽微な保守で、月額1万円程度からです。
  • 月商1,000万円規模:サーバー運用と定期保守で、月額6万円程度が目安です。

セキュリティパッチやバージョンアップを外部に委託する場合があります。さらに、トラブル対応まで外部ベンダーに委託すると、月額10万円から100万円規模になることもあります。

オープンソースはライセンス費用がかからなくても、運用費が安くなるとは限りません。サーバー管理やセキュリティ対策を誰が担うかによって、費用は大きく変わります。社内に技術者がいない場合は、外部委託費を含めて試算しておく必要があります。

ECパッケージの月額保守とバージョンアップ費用

ECパッケージは、標準機能の充実度と保守費のバランスを見て検討します。

  • 月額保守:相場は5万円から30万円程度です。
  • 大規模運用:月商1,000万円以上では月額30万円程度が目安です。

ecbeingなどのECパッケージは、標準機能が充実しています。月商1,000万円以上の規模では、システム利用料も含めて見積もる必要があります。

パッケージは数年ごとに老朽化し、更新やリプレイスが必要になる場合があります。その際のバージョンアップやリプレイスには、月々の保守費とは別の費用がかかります。そのため、数年に一度のまとまった出費として、計画に織り込んでおく必要があります。

ECパッケージは、中〜大規模で複雑な業務要件を持つ事業者に向いています。一方で、月商が小さい事業者が選ぶと、保守費に見合う売上を確保できない場合があります。月商と保守費のバランスを見極めて、身の丈に合った手法を選ぶことが大切です。

ポイント

社内に技術者がいるかどうかで、外部委託費を含めるべき範囲が変わります。委託する作業を先に決めてから試算すると、月額の幅を読み違えにくくなります。

見落としがちな運用の人的コスト

商品登録・受注処理・カスタマー対応から月間160〜220時間の運用工数、スタッフ1名分の労働時間、人件費へつながる流れ図。
システム利用料だけでは見えない作業負担も、運営費として積み上がります。

ネットショップでは、日々の運用にかかる人的コストが見落とされがちです。商品登録や受注処理、カスタマー対応などに使う作業時間も、費用として数える必要があります。その積み重ねは、実質的に利益を圧迫します。

商品登録・受注処理・CSの作業時間の目安

運用工数は、商品数と注文数をもとに見積もります。

  • 商品登録:撮影・採寸・原稿作成を含めて、1商品あたり1〜2時間かかります。
  • 受注処理・CS:1注文あたり10〜20分程度です。
  • 作業量:商品や注文の件数が増えるほど、合計時間も増えていきます。

商品登録は、新商品を追加するたびに発生する作業です。そのため、商品の入れ替えが多い業態ほど負担が増えます。

受注処理やカスタマー対応(CS)では、注文確認から発送手配までを一件ずつ進めます。加えて、在庫引き当てや問い合わせ対応も、注文のたびに必要になります。

たとえば、月に100商品を追加し、100件の注文を処理するケースで考えてみます。この場合、商品登録に100〜200時間、受注処理に約16〜33時間かかります。

その他の作業も含めると、月間の運用工数は160〜220時間に達します。これは、フルタイムのスタッフ1名分の労働時間にほぼ相当する量です。

人件費を含めた総ランニングコスト

ネットショップの総コストは、システム費用だけでなく、運用を担う人の費用まで含めて捉える必要があります。

  • 人件費:月額20万円から30万円以上が固定で発生する計算です。
  • 省力化:受注処理や在庫管理を自動化する方法が有効です。
  • 総コスト:システム費用と人的コストを合わせて、利益を設計します。

先に見た運用工数はフルタイムスタッフ1名分に相当するため、社内スタッフで賄う場合も、運用代行サービスへ外注する場合も費用がかかります。月額利用料が無料であっても、運用にかかるコストは残ります。

システム費用より人件費のほうが大きな割合を占めるケースもあります。その場合には、商品登録の効率化や、よくある問い合わせのFAQ化を検討するとよいでしょう。人的コストを計算に入れたうえで、利益が残る価格設定と運用体制を組むことが重要です。

手数料型から自前運用型へ移行する損益分岐の考え方

移行時期は、現在の手数料負担と移行後の総コストを比べて判断します。

  • 現在の負担:売上が増えるほど、手数料型の手数料額が膨らみます。
  • 移行後の負担:自前運用型は、保守費に構築・移行コストが加わります。
  • 判断時期:売上の推移を見て、損益分岐点を見極めます。

BASEやSTORESのような手数料型では、売上の数%が毎月差し引かれます。たとえば実質6.6%の手数料なら、月商100万円で約6.6万円になります。月商500万円になると手数料は約33万円となり、年間では約400万円に達します。

オープンソースで自社ECを構築すると、月商1,000万円規模でも保守費が月6万円程度に収まるケースがあります。手数料型との差額が構築・移行費用を上回れば、移行の経済合理性が生まれます。

移行には、構築費用に加えて、商品データや会員情報の移行作業も必要になります。さらに、移行期間中の運用負荷といった見えにくいコストも発生します。

移行を決める前に、現在の手数料負担と移行後の保守費・移行コストを具体的に比べておきましょう。移行が早すぎると構築費を回収できず、遅すぎると手数料を払い続けることになります。

一般的には、月商が数百万円を安定的に超えた段階が、移行を検討する目安になります。また、年間の手数料負担が自社ECの構築・運用の総コストに近づいた段階も、一つの目安になります。

ポイント

運用の人件費は、商品数と注文数から作業時間を出し、人件費の単価を掛けて見積もると比べやすくなります。件数が読めない段階では、月商の想定ごとに作業時間を分けて試算すると判断しやすくなります。

まとめ

ネットショップのランニングコストは、利用料・手数料、サーバー・インフラ費、保守・セキュリティ費などに分かれ、構築手法によって内訳が大きく変わります。4つの内訳の中身は、全体像の節の一覧で確認できます。そのうえで、4つの内訳のうち、運用の人件費も忘れず含めて考える必要があります。

BASEやSTORESは月額無料から始められますが、売上の約6.6%前後の手数料がかかります。一方、Shopifyは月額3,650円〜で、決済手数料は2.9%〜です。楽天やAmazonは、固定費に加えて売上の2〜15%のロイヤリティが発生します。

自社ECのオープンソースは、月商100万円規模なら月1万円程度です。月商1,000万円規模では月6万円程度、外部委託の保守を含めると月10万円〜が目安です。ECパッケージの保守費は、月5万〜30万円が目安です。

商品登録・受注処理・CSには、月160〜220時間の運用工数がかかります。これを人件費に換算すると、月20万〜30万円以上の運用コストになります。

手法は、初期費用の安さだけでなく、月商規模に応じた総ランニングコストで選ぶことが大切です。売上が伸びた段階では、手数料型から自前運用型へ移行する視点も必要になります。自社に合うコスト構造の設計で迷うときは、専門家に相談することもできます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。