SaaSアプリ開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

SaaSアプリの開発は、市場仮説とMVPを決めたうえで、企画から運用まで段階的に進めます。SaaSはSoftware as a Serviceの略で、国内市場は2025年に約1兆8,000億円です。前年比20%で成長しているため、継続課金と運用まで設計する必要があります。

SaaSアプリ開発の全体像と特徴

SaaSアプリの継続運用を支える3つの前提をカードで示した図解
課金・データ分離・更新の3点が設計の軸になります。

全体像をさらに知りたい場合は、関連する全体ガイドの「SaaSアプリ開発の完全ガイド」も確認してください。

SaaSアプリと従来型アプリの違い

SaaSは、クラウドで使うアプリです。代表例はSlackやNotion、freee、SmartHRです。

  • 違い:月額・年額課金とMRRの見方
  • データ分離:テナントの切り分けとCI/CDの設計

SaaSアプリのアーキテクチャパターン

従来型のアプリとは違い、SaaSではサブスクリプション、マルチテナント、継続的な更新が前提になります。

  • 構成:MVPはモノリシック型から始める
  • 拡張:規模に応じたマイクロサービス型の検討

ポイント

SaaSは継続課金と運用を前提に作るため、従来型のアプリとは設計の考え方が変わります。迷ったときは、月額・年額の課金方式とテナントの切り分けを先に決めると整理しやすくなります。

企画・要件定義フェーズの進め方

市場仮説の確認に使う市場調査、TAM・SAM・SOM、声、LPをハブで結んだ図解
市場の切り分けと利用者の反応を組み合わせて仮説を確認します。

改善は、MRR(Monthly Recurring Revenue)と解約率を見ながら続けます。

市場調査とプロダクト仮説の検証

開発の基盤は、CI/CDやオートスケーリングを含めて初期から設計します。さらに、データ分離や分析基盤も、同じ段階で決めておきます。

  • 市場:TAM・SAM・SOMへの切り分け
  • 検証:10〜20人の声とLPを使った仮説の確認

要件定義とMVPスコープの決定

構成は、モノリシック型とマイクロサービス型の2つが基本です。

  • 要件:コア機能をMVPに絞り込む
  • 非機能:200msやSLA 99.9%を要件に書き込む

ポイント

迷ったときは、MVPに入れる機能をコア機能に限り、非機能の条件も要件に書き込みます。市場の仮説は、10〜20人の声とLPで確かめてから決めます。

設計・開発フェーズの実践手法

SaaSアプリの設計・開発で確認するFigma、導入、スプリント、自動化の4項目を示した図解
設計の検証から実装の反復、自動化までをひと続きで確認できます。

MVPの候補には、Ruby on RailsとLaravelのほか、DjangoやNext.jsも挙がります。

SaaSアプリのUI/UX設計

画面の方式には、SPA(React、Vue.js、Angular)やSSR(Next.js、Nuxt.js)のほか、PWA、React Native、Flutterも選択肢になります。

  • UI/UX:Figmaを使い、主要な導線を試す
  • 導入:オンボーディングと権限の検証

アジャイル開発による反復的な実装

市場調査では、TAM、SAM、SOMを分けて捉え、10〜20人へヒアリングします。

  • アジャイル:2週間のスプリントによる改善
  • 自動化:テストと配布をCI/CDに任せる

ポイント

迷う場合は、UI/UXの主要な導線をFigmaで先に試し、その結果を見てから実装の範囲を決めます。実装は2週間のスプリントで区切り、改善を重ねます。

テスト・リリース・運用フェーズ

LPの事前登録率が5%を超えていれば、需要の目安になります。

SaaSアプリのテスト戦略

MVPでは、コア機能に絞ることで開発期間を3〜4ヶ月以内に収めます。

  • テスト:5段階の計画づくり
  • 安全性:OWASP Top 10とテナント分離の確認

リリース戦略と運用モニタリング

OAuth 2.0やOpenID Connectのほか、Stripe、SOC 2、GDPRも要件で確認します。

  • 監視:Datadogなどによる基盤とアプリの確認
  • 指標:99.9%のSLAと利用状況の追跡

ポイント

リリースで迷ったら、段階的ロールアウトを3段階で設計し、利用者を分けて検証してから全体に広げます。監視はツールで行い、SLA 99.9%などの指標を継続的に見ます。

SaaSアプリ開発でよくある失敗と成功のポイント

レスポンス200ms以内やSLA 99.9%といった非機能の条件も、文章に書き残しておきます。

よくある失敗パターンとその原因

UI/UXはFigmaやAdobe XDで試作し、BtoBの利用導線を確かめます。

  • 失敗:機能過多と検証不足の早期発見
  • 負荷:10倍・100倍の状態での試験と、安全性の確認

成功するSaaSアプリ開発のポイント

2週間のスプリントで進め、PMの判断に加えて利用者の反応も踏まえながら、PMF(Product Market Fit)に近づけます。

  • 成功:MVPと顧客の声をもとにした改善
  • 負債:開発時間の一部を返済作業に回す

テストとデプロイは、自動化ツール(GitHub Actions、GitLab CI、CircleCI)で行います。テストは5段階(ユニット、統合、E2E、性能、セキュリティ)で進め、E2E(End-to-End)はCypress、Playwright、Seleniumで検証します。また、カバレッジ80%や、JMeterとk6による結果も確認します。

リリースは段階展開やカナリアを使い、4つの方式から選びます。そのうえで、段階的ロールアウトは3段階で設計し、利用者を分けて検証します。

監視は、ツール(Datadog、New Relic、Grafana、Prometheus、Sentry、Bugsnag)で行い、ディスクI/Oも確認します。加えて、Elastic Stack(ELK)、CloudWatch Logs、Mixpanel、Amplitude、PostHogも活用します。

指標(SLA 99.9%、DAU/MAU、機能利用率、チャーンの予兆)は、継続的に見ます。運用は1年後も続きます。そのため、Service Level Agreementの条件を確認します。

失敗は4つ(機能過多、検証不足、性能不足、セキュリティ後回し)です。セキュリティ面では、OWASP Top 10やテナント分離のほか、SQLインジェクション、XSS、CSRFも対象です。さらに、性能面では、ユーザー数が10倍、100倍になった場合も、DBとキャッシュを検証します。

成功には5つの要素(MVP、顧客の声、データ、負債、パートナー)があり、それぞれを重視します。このうち負債では、スプリントの20%を技術的負債に充てます。さらに、インターコムやZendeskの声も使います。

接続条件は、APIやCPUに加えて、AWS、GCP、Azureについても先に設計します。実装の候補には、AWS Lambda、Cloud Functions、Docker/Kubernetesのほか、DjangoやLaravelもあります。画面方式は、ReactやNext.js、Vue.js、Angularの間で比べます。

市場規模は、Total Addressable Market(TAM)で全体を見ます。Serviceable Available Market(SAM)とServiceable Obtainable Market(SOM)も、分けて比べます。

Product Market FitとMinimum Viable Productは、利用データで検証します。Time to Value、Progressive Web App、Single Page Applicationも、設計の段階で検討します。

ポイント

機能過多や検証不足を防ぐには、MVPの範囲と検証の計画を先に決めておきます。非機能の条件も文章に残し、後から確認できるようにしておきます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。