SaaS開発の費用は、規模、機能の複雑さ、開発体制によって、500万円から2億円以上まで変わります。
機能の複雑さやセキュリティ要件で金額は大きく動くため、相場と費用を左右する要因を先に押さえておくと、見積もりを読み解きやすくなります。
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SaaS開発の費用相場の全体像

SaaS開発の費用は、プロダクトの規模と複雑さで大きく変わります。そのため、まず全体の相場を押さえ、そのうえで内訳を見ると、見積もりの金額を判断しやすくなります。
規模別の費用相場
SaaSの規模は、MVPやプロトタイプの段階か、本格的なプロダクトか、エンタープライズ向けかで分けられます。区分ごとに機能数、開発期間、初期開発費用が変わるため、自社がどこに当たるかを先に決めて読むと相場を比べやすくなります。
- 小規模SaaS:MVPやプロトタイプの段階
- 中規模SaaS:本格的なプロダクトの段階
- 大規模SaaS:エンタープライズ向け
小規模SaaSは主要機能が3〜5個程度で、開発期間は3〜6ヶ月、費用は500万〜2,000万円が目安です。具体的には、基本的なユーザー管理、コア業務機能、簡易的なダッシュボードを実装できます。
中規模SaaSは主要機能が10〜20個程度です。開発期間は6ヶ月〜1年、費用は2,000万〜5,000万円が相場で、マルチテナント対応、サブスクリプション課金、外部サービス連携などを含みます。
大規模SaaSは、開発期間が1年〜2年で、費用は5,000万〜2億円以上となります。また、高度なセキュリティ、複雑な権限管理、大量データ処理が必要で、API連携やカスタマイズ機能など、多岐にわたる要件も満たします。
ここまでの金額は初期開発費用のみです。ただし、運用・保守費用は別途かかります。
エンジニア単価と人月計算の基本
SaaS開発では、単価と工数からチーム全体の月額コストを見積もります。
- 算出式:エンジニアの人月単価×工数
- 必要な役割:開発、デザイン、管理に分かれる
- オフショア開発:単価と追加コストを比較
2025年現在の国内の人月単価は、ジュニアで60万〜80万円です。ミドルは80万〜120万円、シニアは120万〜180万円程度で、テックリードやアーキテクトは150万〜250万円程度です。
チームには、バックエンド、フロントエンド、インフラの担当者が必要です。さらに、UI/UXデザイナーやプロジェクトマネージャーも加わります。
チーム全体の月額コストは300万〜800万円程度が一般的です。たとえば、ミドル3名、デザイナー1名、PM1名の構成なら、月額500万円になります。この構成で8ヶ月開発すると、総額は4,000万円という計算です。
オフショア開発では、人月単価を30万〜60万円程度に抑えられます。ただし、ベトナムやフィリピンなどを活用する場合は、追加のコストも考慮が必要です。特に、コミュニケーションコストやタイムゾーンの違いが影響します。
開発フェーズごとの費用内訳

フェーズによって、発生するコストの種類と割合は異なります。そのため、費用の構成を知っておくと、見積もりが妥当かどうかを判断しやすくなります。
企画・要件定義・設計フェーズの費用
上流工程は、費用の割合、担当者、成果物、期間の4つの面から捉えます。
- 費用割合:開発全体の約15〜25%
- 主な担当:分析、デザイン、アーキテクチャ設計
- 主な成果物:要件定義書と各種設計書
- 期間:規模により1〜6ヶ月
上流工程の費用は、小規模SaaSで100万〜300万円、中規模で300万〜800万円です。大規模SaaSでは500万〜2,000万円程度となります。
この工程は、ビジネスアナリスト、UI/UXデザイナー、システムアーキテクトが担当します。
要件定義では、機能要件と非機能要件を洗い出します。そのうえで、ユーザーストーリーを作成し、優先順位を付けて要件定義書にまとめます。
設計では、システムアーキテクチャ、データベース、APIを設計するとともに、画面遷移、ワイヤーフレーム、UIモックアップも作成します。
マルチテナント構成や課金プランは、この段階で設計します。さらに、発注側と開発会社で、テナント別のカスタマイズへの対応方針も決めておきます。
期間は、小規模で1〜2ヶ月、中規模で2〜3ヶ月が目安です。大規模では3〜6ヶ月になります。
上流工程の品質は、後工程の手戻りコストに直結します。そのため、この工程に必要な費用を惜しまないことが大切です。
開発・テストフェーズの費用
実装工程では、総額に占める割合、工程ごとの配分、SaaS固有の実装とテストを分けて見ます。
- 全体割合:開発費用の約60〜70%
- 工程別配分:実装とテストに分かれる
- SaaS固有の実装:課金やテナント管理など
- 重要なテスト:データ分離と負荷の検証
小規模SaaSは300万〜1,200万円、中規模は1,200万〜3,500万円です。大規模SaaSでは3,500万〜1.5億円程度となります。
工程別では、フロントエンドが約25〜30%、バックエンドが約30〜40%を占めます。インフラ構築は約10〜15%、テスト工程は約15〜20%です。
マルチテナント対応やサブスクリプション課金を実装します。課金システムでは、Stripe等の決済サービスと連携します。
認証・認可機能では、SSOやSAML連携などに対応します。加えて、管理者向けダッシュボードとテナント管理機能も開発します。
テストは、単体、結合、E2E、セキュリティなどの段階で行います。テナントが大量に同時利用する場合は、性能テストも必要です。そのため、これらの工数は見積もりに含めておく必要があります。
費用を左右する主要な要因
SaaS開発の費用は、機能、セキュリティ、拡張性、体制によって変わります。要因を押さえておくと、見積もりの精度が上がります。
機能の複雑さと技術要件
見積もりでは、機能の複雑さ、セキュリティ、将来の拡張性を分けて考えます。
- 機能の複雑さ:実装内容で工数が変わる
- セキュリティ:業界要件で追加対策が必要
- スケーラビリティ:将来の利用規模を設計に反映
シンプルなCRUD(作成・読取・更新・削除)は、1機能50万〜100万円程度です。一方で、リアルタイム通知は、WebSocketを使うため工数が増えます。
高度な検索、分析ダッシュボード、外部API連携も費用に影響します。特に、ワークフロー自動化機能は、1機能100万〜500万円以上かかることがあります。
金融業界や医療業界向けのSaaSでは、高度なセキュリティ対策が求められます。たとえば、二要素認証、IPアドレス制限、監査ログの記録が必要になります。
さらに、保存時と通信時のデータ暗号化や、SOC 2認証への準拠も対象になります。一方で、一般的なBtoB SaaSでは、OAuth 2.0ベースの認証で足りるケースが多くあります。
数千〜数万テナントを見込む設計は、初期費用が高くなります。ただし、後からアーキテクチャを変更する費用との比較が必要で、先行投資として妥当と判断されるケースも多くあります。
開発体制と委託形態による違い
開発体制と契約形態は、費用だけでなく運用上の負担にも影響します。
- 自社開発:固定費と社内蓄積を比較
- 請負契約:固定価格と変更費用を確認
- 準委任契約:柔軟さと期間延長を比較
- 国内・オフショア:単価以外の費用も確認
自社開発では、年収600万〜1,200万円の採用コストが発生します。加えて、福利厚生費やオフィス・設備費用などの固定費も必要です。一方で、長期的にはノウハウが社内に蓄積されます。
請負契約は固定価格のため、予算を管理しやすいのが特徴です。ただし、仕様変更時は追加費用が割高になる傾向があります。
準委任契約のラボ型開発は、月額固定で柔軟に進められます。なお、開発期間が延びると、費用も増えるリスクがあります。
国内開発は単価が高い反面、コミュニケーションが円滑で、品質管理もしやすいというメリットがあります。
オフショア開発は、単価を30〜50%程度抑えられる可能性があります。ただし、ブリッジSE(橋渡し役のエンジニア)の配置費用もかかります。
そのため、コミュニケーションコストを含めて総合的に比較する必要があります。
リリース後の運用・保守費用
SaaSは継続的にサービスを提供するため、リリース後も費用が発生します。運用・保守費用の相場は、初期開発費用の年間15〜25%程度です。
インフラ費用とSaaS利用料
インフラ費用は、利用量と外部サービスの構成に分けて考えます。
- クラウド利用料:規模と構成で変動
- ユーザー増加:利用者が増えるとインフラ費用も増える
- 外部サービス:各種SaaSの月額費用が加わる
- 損益分岐点:合算した運用費で確認
AWS、GCP、Azureなどの費用は、サーバースペックで変わります。そのほか、データ転送量、ストレージ、マネージドサービスの組み合わせも影響します。
小規模SaaSは月額5万〜20万円程度が目安です。中規模SaaSは月額20万〜100万円、大規模SaaSは月額100万〜500万円以上です。
料金プランの設計では、1テナントあたりのインフラコストを算出します。そのうえで、適切な利益率を確保できる価格を設定することが大切です。
メール配信、監視、ログ管理、決済などの利用料もかかります。これらを含めた運用コストを事前に見積もっておくと、健全な運営につながります。
保守・改善開発の費用
保守と改善開発は目的が異なるため、費用を分けて管理します。
- 保守費用:バグ修正や障害対応
- 改善開発費用:新機能やUI/UX改善
- 継続投資:チャーンレート低下に活用
保守費用は、初期開発費用の年間10〜15%程度が一般的です。初期開発費3,000万円の中規模SaaSなら、年間300万〜450万円です。
改善開発費用は、プロダクトのフェーズや成長戦略によって異なります。そのうえで、月額100万〜500万円程度のエンジニアリソースを確保します。
解約を減らすには、要望への迅速な対応が必要です。そのため、改善開発への投資は、事業成長に欠かせない費用として予算に組み込みます。
見積もりを取る際のポイントと費用を抑える方法

見積もりでは、費用の範囲と追加費用の条件を先に確かめます。ただし、費用を抑えるときも、品質とスケーラビリティの両立は欠かせません。
見積もり時に確認すべきチェックリスト
見積もりは、金額の大小よりも中身がそろって出ているかを確かめることが大切です。見積書を読むときは、工数の内訳、費用に含まれる範囲、仕様変更の扱い、依頼条件の4点が分かるかを見ておくと、金額の差の理由がつかみやすくなります。
- 人月単位:工程ごとの工数の内訳
- 費用範囲:含む項目と除外項目の区別
- 仕様変更:追加費用と承認手順の取り決め
- 比較条件:同じ要件定義書で依頼
「一式○○万円」とだけ書かれた見積もりでは、工程ごとの工数が見えません。そのため、後から追加費用が発生するリスクが高まります。
要件定義・設計、テスト、インフラ構築の費用は、見積もりの内訳に入っているかを確かめます。また、リリース後の保守費用が別途かどうかも確かめておく必要があります。
仕様変更が起きたときの追加見積もりは、基準と承認の流れを見積もりの段階で合意しておきます。
複数社へ依頼するときは、同じ要件定義書を渡します。そうすると条件がそろい、見積もりを比べやすくなります。
費用を抑えるための戦略
費用を抑えるには、初期範囲、外部サービス、ツールの使い分けが鍵になります。
- MVP:コア機能に絞って早く市場に出す
- 既存サービス:認証や決済を外部化
- ローコード:定型的な画面を効率化
- 品質との均衡:将来費用も含めて判断
MVP(最小限の実行可能な製品)から始めると、初期投資を抑えられます。コア機能に絞って市場へ投入し、ユーザーのフィードバックをもとに、段階的に機能を拡充していく進め方です。
認証、決済、メール配信、検索は、既存サービスを活用できます。たとえば、Auth0、Firebase Authentication、Stripe、SendGridなどを利用できます。また、検索機能では、Algoliaなどの外部サービスも選択肢になります。
管理画面やダッシュボードは、RetoolやAppSmithを使うと、定型的な機能を組み立てられ、開発工数を減らせます。
品質やスケーラビリティを削りすぎると、後で問題になります。そのため、大規模なリファクタリングが必要になり、費用が増えるリスクもあります。費用削減と品質のバランスを見ながら判断することが大切です。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
