SaaS開発の完全ガイド

本記事では、SaaS開発の完全ガイドについて、要点を整理して解説します。結論として、SaaS開発を成功させるためのポイントを改めて整理すると、以下の通りです。

  • SaaS開発の進め方・流れ・手順
  • SaaS開発でおすすめの開発会社
  • SaaS開発の費用相場・見積もりのポイント
  • SaaS開発の発注・外注・委託方法
  • SaaS開発で押さえるべき技術的ポイント

SaaS(Software as a Service)は、クラウド上で提供されるサブスクリプション型ソフトウェアのビジネスモデルであり、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や新規事業創出の手段として、国内外で急速に普及が進んでいます。総務省の情報通信白書によると、国内クラウドサービス市場は2025年時点で約6兆円規模に成長しており、特にBtoB SaaS市場は年間15%以上の成長率を維持しています。自社のSaaSプロダクトを開発して市場に投入することは、継続的な収益基盤の構築と事業の成長にとって大きなインパクトを持つ戦略的な意思決定です。

しかし、SaaS開発には従来のシステム開発とは異なる専門知識が求められ、「進め方がわからない」「費用がどのくらいかかるのか不明」「どの開発会社に依頼すべきか」「発注時に何を準備すべきか」といった課題に直面する企業担当者の方は少なくありません。本記事は、SaaS開発に関するこれらの疑問を一挙に解決する完全ガイドです。SaaS開発の進め方、おすすめの開発会社、費用相場、発注方法の4つのテーマについて、全体像を体系的にまとめています。

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SaaS開発の進め方・流れ・手順

SaaS開発の進め方・流れ・手順

SaaS開発は、従来のパッケージソフトウェア開発やオンプレミスシステム開発とは大きく異なるアプローチが求められます。SaaSはクラウド上で提供されるサービスであり、マルチテナントアーキテクチャ、スケーラビリティ、継続的なアップデート運用といったSaaS固有の技術要件を、開発の初期段階から考慮しなければなりません。

SaaS開発の7つのフェーズ

SaaS開発は「企画・市場調査」「要件定義」「設計」「開発・実装」「テスト」「リリース」「運用・改善」の7つのフェーズで進行します。企画フェーズでは、ターゲット市場の分析、競合サービスの調査、ペルソナの設定を行い、SaaSプロダクトの方向性を定めます。要件定義フェーズでは、MVP(最小限の実行可能な製品)として最初にリリースすべきコア機能を絞り込み、ユーザーストーリーマッピングを活用して機能の優先順位を明確にします。設計フェーズでは、マルチテナントアーキテクチャの設計、データベース設計、API設計、UI/UXデザインを行います。開発・実装フェーズでは、アジャイル開発手法を採用し、2週間単位のスプリントで段階的に機能を実装していきます。テストフェーズでは、単体テスト、結合テスト、負荷テスト、セキュリティテストを実施します。リリースフェーズでは、CI/CDパイプラインを活用したゼロダウンタイムデプロイを実現し、カナリアリリースやフィーチャーフラグで段階的に公開します。運用・改善フェーズでは、ユーザーフィードバックの収集と分析に基づく継続的な機能改善を行います。

SaaS開発を成功させるための重要ポイント

SaaS開発を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。第1に、MVPから始めてユーザーフィードバックをもとに段階的に機能を拡充するアプローチを採用することです。最初から完璧なプロダクトを作ろうとすると、開発期間とコストが膨らみ、市場投入が遅れるリスクがあります。第2に、マルチテナントアーキテクチャの設計を初期段階で慎重に検討することです。後からアーキテクチャを変更することは非常にコストが高いため、将来のスケールを見据えた設計が重要です。第3に、CI/CDパイプラインとDevOpsプラクティスを早期に導入し、安全かつ頻繁なリリースサイクルを確立することです。SaaSの競争力は、ユーザーの声に素早く対応して機能改善を続ける速度にかかっています。これらの詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。

▶ 詳細はこちら:SaaS開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

SaaS開発でおすすめの開発会社

SaaS開発でおすすめの開発会社

SaaS開発を外部に委託する場合、SaaS固有の技術要件に精通した開発パートナーの選定が成功の鍵を握ります。SaaS開発には、マルチテナントアーキテクチャの設計・実装、クラウドインフラの構築、サブスクリプション課金システムの実装、認証・認可の仕組みの実装、CI/CDパイプラインの構築といった専門スキルが求められるため、これらの実績を持つ開発会社を選ぶことが重要です。

おすすめ開発会社6社の概要

SaaS開発でおすすめの開発会社として、6社を厳選してご紹介しています。株式会社riplaは、コンサルティングからプロダクト開発まで一気通貫で支援し、AI活用やデータ基盤構築にも強みを持つ開発会社です。事業戦略の策定から技術設計、開発、運用まで伴走型で支援する体制が特徴です。その他にも、SaaS特化型の開発支援に強みを持つ企業、DX支援と大規模開発体制を持つ企業、高速プロトタイピングを得意とする企業、柔軟なエンジニアリソース提供を行う企業、スタートアップ支援型の開発を手がける企業など、それぞれ異なる強みを持つ開発会社をご紹介しています。

開発会社を選ぶ際の評価基準

開発会社を選定する際には、「SaaS開発の実績」「技術力と対応範囲」「コミュニケーション品質」「運用・保守体制」「費用の透明性」の5つの基準で総合的に評価することが重要です。最低3社以上から提案と見積もりを取得し、同一のRFP(提案依頼書)を用いて公平に比較検討することをおすすめします。単純な費用の安さだけでなく、自社の事業をどこまで理解しているか、技術的な提案に具体性と説得力があるか、リスク要因を適切に指摘しているかといった観点も重視しましょう。

▶ 詳細はこちら:SaaS開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

SaaS開発の費用相場・見積もりのポイント

SaaS開発の費用相場・見積もりのポイント

SaaS開発の費用は、プロダクトの規模・機能数・技術要件・開発体制によって大きく異なります。適切な予算計画を立てるためには、費用の構成要素と相場感を正しく理解しておく必要があります。

規模別の費用レンジ

SaaS開発の費用相場は、規模別に以下の通りです。小規模SaaS(MVP・プロトタイプ)は、主要機能が3〜5個程度で開発期間3〜6ヶ月、費用は500万〜2,000万円が目安です。中規模SaaSは、主要機能が10〜20個程度でマルチテナント対応や課金システムを含む本格的なプロダクトとなり、開発期間6ヶ月〜1年、費用は2,000万〜5,000万円が相場です。大規模SaaS(エンタープライズ向け)は、高度なセキュリティ要件や大量データ処理を含む複雑なプロダクトで、開発期間1年〜2年、費用は5,000万〜2億円以上です。費用の内訳は、企画・要件定義・設計が全体の約15〜25%、開発・テストが約60〜70%、インフラ構築・リリースが約10〜15%を占めるのが一般的です。エンジニアの人月単価は、ミドルクラスで80万〜120万円、シニアクラスで120万〜180万円が相場となっています。

費用を最適化するためのアプローチ

SaaS開発の費用を最適化するための有効なアプローチとしては、MVPから始めて段階的に拡充する戦略、既存のSaaSやライブラリ(Auth0、Stripe、SendGridなど)の積極的活用、ノーコード・ローコードツールの部分的な活用が挙げられます。また、リリース後の運用・保守費用(初期開発費用の年間15〜25%程度)やクラウドインフラ費用も事前に見積もりに含めておくことが重要です。見積もり時には、内訳が人月単位で明示されているか、含まれる範囲と含まれない範囲が明確か、仕様変更時の費用取り扱いが合意されているかを確認しましょう。

▶ 詳細はこちら:SaaS開発の見積相場や費用/コスト/値段について

SaaS開発の発注・外注・委託方法

SaaS開発の発注・外注・委託方法

SaaS開発を外部に発注する場合、適切な準備と契約設計がプロジェクト成功の基盤となります。特にSaaSはリリース後の継続的な改善が前提となるビジネスモデルであるため、発注時点で開発後の運用体制まで見据えた計画を立てることが重要です。

契約形態の選び方

SaaS開発の外注で主に使われる契約形態は「請負契約」と「準委任契約」の2つです。請負契約は成果物の納品を約束する形態で、費用が事前に確定するため予算管理がしやすい反面、仕様変更への柔軟性が低いのが特徴です。準委任契約はエンジニアの稼働に対して報酬を支払う形態で、仕様変更や優先順位の変更に柔軟に対応でき、アジャイル開発との相性が良い点がメリットです。SaaS開発のように市場の反応を見ながら仕様を調整するプロジェクトには、準委任契約が適しているケースが多いです。実務では、要件定義フェーズは準委任契約で柔軟に進め、開発フェーズは請負契約に切り替えるハイブリッド型のアプローチも採用されています。

発注前の準備とRFP作成

SaaS開発の発注前には、プロダクトの目的・ターゲット・主要機能を整理し、RFP(提案依頼書)を作成します。RFPにはプロジェクトの背景と目的、プロダクトの概要、技術要件、スケジュール、予算、提案時の要件を含めます。契約時に確認すべき重要条項としては、知的財産権の帰属(ソースコードの著作権)、秘密保持義務、瑕疵担保責任、中途解約条件、再委託の制限があります。発注後は、週1回の定例ミーティング、チャットツールでのリアルタイムコミュニケーション、プロジェクト管理ツールの共有といった体制を構築し、発注者側のプロダクトオーナーが積極的にプロジェクトに関与することが成功の鍵です。

▶ 詳細はこちら:SaaS開発の発注/外注/依頼/委託方法について

SaaS開発で押さえるべき技術的ポイント

SaaS開発で押さえるべき技術的ポイント

SaaS開発において、一般的なWebシステム開発とは異なるSaaS固有の技術的ポイントがいくつかあります。これらの要素を理解しておくことで、開発会社との打ち合わせや要件定義をよりスムーズに進めることができます。

マルチテナントアーキテクチャとセキュリティ

マルチテナントアーキテクチャは、SaaSの根幹をなす技術概念です。複数の顧客(テナント)が同一のアプリケーションインスタンスとインフラを共有する仕組みにより、運用コストの最適化と効率的なアップデート配信を実現します。実装方式は「共有DB・共有スキーマ」「共有DB・個別スキーマ」「個別DB」の3つに分類され、セキュリティ要件やコスト要件に応じて選択します。セキュリティ面では、テナント間のデータ分離、認証・認可の仕組み(OAuth 2.0、OpenID Connect、SAML対応)、通信時と保存時のデータ暗号化、監査ログの記録が重要な要素となります。特にエンタープライズ向けSaaSでは、SOC 2認証やISMS(ISO 27001)への準拠が求められるケースもあり、セキュリティ対策にかかるコストを事前に考慮しておく必要があります。

サブスクリプション課金とスケーラビリティ

SaaSビジネスの収益基盤であるサブスクリプション課金システムの設計は、プロダクトの成功に直結する重要な要素です。料金プラン(フリーミアム、月額固定、従量課金、ユーザー数課金など)の設計、Stripeなどの決済サービスとの連携、請求書の自動発行、プラン変更・アップグレード/ダウングレードの処理、無料トライアル期間の管理など、実装すべき機能は多岐にわたります。スケーラビリティについては、ユーザー数の増加に応じて自動的にリソースをスケールアウトできるインフラ設計が不可欠です。AWS、GCP、Azureなどのクラウドプラットフォーム上で、コンテナ技術(Docker/Kubernetes)やサーバーレスアーキテクチャを活用した構成が一般的です。初期段階では小規模なインフラで始め、ユーザーの増加に応じて段階的にスケールアップしていく設計が、コスト効率の面で最適です。

まとめ:SaaS開発を成功させるために

まとめ:SaaS開発を成功させるために

本記事では、SaaS開発の完全ガイドとして、進め方・開発会社の選び方・費用相場・発注方法の4つのテーマについて体系的に解説しました。SaaS開発を成功させるためのポイントを改めて整理すると、以下の通りです。

SaaS開発成功のための5つのポイント

SaaS開発を成功に導くための5つのポイントは以下の通りです。第1に、MVPから始めてユーザーフィードバックをもとに段階的に進化させること。第2に、SaaS開発の実績と専門性を持つ開発パートナーを慎重に選定すること。第3に、初期開発費用だけでなく、運用・保守費用を含めた中長期的な予算計画を立てること。第4に、契約形態(請負/準委任)をプロジェクトの性質に合わせて適切に選択すること。第5に、発注者側が積極的にプロジェクトに関与し、開発会社と密なコミュニケーションを維持すること。これらのポイントを押さえた上で、自社の事業目標とリソースに合った最適なアプローチでSaaS開発を推進してください。

次のステップ

SaaS開発の各テーマについてより詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。進め方の詳細、おすすめ開発会社の比較、費用相場の内訳、発注方法のポイントについて、それぞれの記事で深く掘り下げて解説しています。SaaS開発は大きな投資判断であると同時に、事業成長の大きなチャンスです。本ガイドと関連記事を参考に、最適な戦略でSaaS開発を推進していただければ幸いです。

▼関連記事一覧(再掲)
SaaS開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
SaaS開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。