情報系システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

— title: 情報系システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について slug: information-system-outsourcing category: system-development tags: 情報系システム, システム開発, 発注方法, 外注, 委託 description: 情報系システム開発の外注・発注方法を詳しく解説。開発会社の探し方・契約形態の選び方・発注後のプロジェクト管理ポイントまでわかりやすく説明します。 —

情報系システム(BIシステム・データウェアハウス・経営ダッシュボード・CRMなど)の開発を外部の開発会社に発注したいけれど、「どうやって会社を探せばよいのか」「どんな契約形態を選べばよいのか」「発注後のプロジェクト管理はどうすればよいのか」と悩んでいる担当者の方は多いのではないでしょうか。情報系システムは基幹系システムとのデータ連携や経営に直結する重要なシステムであるため、発注先の選定と契約・管理の方法を誤るとプロジェクトが失敗するリスクがあります。本記事では、情報系システム開発の外注・発注に関わる一連の手順とポイントを体系的に解説します。

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・情報系システム開発の完全ガイド

情報系システム開発を外注する前に知っておくべきこと

情報系システム開発を外注する前に知っておくべきこと

外注をスムーズに進めるためには、発注前に自社側の準備をしっかりと行うことが重要です。「何を作りたいのか」「なぜ作りたいのか」「どのような制約があるのか」を自社内で整理しておくことで、開発会社との認識齟齬を防ぎ、精度の高い提案と見積りを引き出すことができます。

自社要件の整理と課題の言語化

発注前に整理すべき自社要件は以下のとおりです。まず「開発の目的と解決したい課題」を明確にします(例:「月次の経営レポート作成に40時間かかっている工数を削減したい」「複数システムのデータを横断的に分析できる環境を整備したい」)。次に「対象ユーザーと利用シーン」(経営層向けダッシュボード・現場スタッフ向けレポートなど)を整理します。「データソース(連携すべき基幹システム・外部API・CSVの種類と数)」「主要機能の一覧と優先順位」「セキュリティ・コンプライアンス要件」「プロジェクトのスケジュール(希望する稼働開始日)」「予算の上限」についても事前に整理しておきましょう。これらをまとめたRFP(提案依頼書)を作成することで、複数の開発会社から同一条件での提案を引き出せます。

社内体制と発注担当者の役割

情報系システム開発を外注する際には、自社側の体制整備も欠かせません。最低限必要な社内役割として「プロジェクトオーナー(経営層・事業責任者)」「プロジェクト担当者(IT部門または業務部門の担当者)」「業務要件を提供できるユーザー代表(経営企画・マーケティング・営業等)」の3者が必要です。プロジェクト担当者は、開発会社との窓口として仕様のすり合わせ・進捗確認・課題解決の意思決定を担います。担当者がITの専門知識を持っていなくても問題ありませんが、「要件を明確に伝えられること」「決定事項を適時に判断できること」「社内ステークホルダーを調整できること」が求められます。外注後も「全て開発会社任せ」にせず、定期的な進捗確認とフィードバックを行える体制を事前に整えることが重要です。

外注の方法と開発会社の探し方

情報系システム開発会社の探し方

情報系システムの開発会社を探す方法は複数あります。自社の状況や要件に合わせて最適な方法を選択してください。

開発会社を見つける主な方法

開発会社を探す主な方法として、以下が挙げられます。「Web検索」は最も一般的な方法で、「情報系システム開発会社」「BIシステム開発」「DWH構築」などのキーワードで検索し、候補を洗い出します。「発注先紹介サービス(マッチングプラットフォーム)」は、要件を登録すると複数の開発会社から提案を受けられるサービスで、初めて外注する企業にも使いやすい方法です。「知人・ビジネスネットワークからの紹介」は、実際に情報系システムを開発した経験のある知人・取引先からの紹介で、信頼性の高い候補を見つけられる方法です。「IT展示会・セミナーへの参加」では、開発会社の担当者と直接話せるため、技術力や提案力を直接確認できます。複数の方法を組み合わせて候補を5〜10社程度まで絞り込み、その後RFPを送付して提案・見積りを依頼するという流れが一般的です。

提案・見積りの評価と会社選定

複数社から提案・見積りを受け取ったら、以下の観点で総合的に評価します。「技術力・実績」(同種のシステムの開発実績・保有資格・活用技術)、「提案内容の理解度」(自社の課題を正確に理解したうえで提案しているか)、「プロジェクト管理体制」(PMの経験・進捗管理手法・リスク管理手法)、「費用の妥当性と透明性」(工程別内訳が明確か・追加費用の発生条件が明示されているか)、「コミュニケーション品質」(レスポンス速度・担当者の提案力)、「保守・運用サポート体制」(リリース後の継続的な支援が可能か)。最終的には2〜3社まで絞り込んだうえで、担当者と直接面談し、相性・信頼感を確認してから発注先を決定することをお勧めします。

契約形態の選び方(請負契約vs準委任契約)

情報系システム開発の契約形態の選び方

情報系システム開発を外注する際の契約形態は主に「請負契約」と「準委任契約(SES含む)」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、プロジェクトの性質に合わせて選択することが重要です。

請負契約の特徴と適したケース

請負契約は、「決められた成果物(システム)を決められた期日・金額で納品する」ことを約束する契約形態です。発注側にとっては費用と成果物が事前に確定できる安心感があります。一方で、要件が確定していない段階や仕様変更が多いプロジェクトでは、追加費用の発生や納期遅延のリスクが高まります。情報系システムのうち「要件が明確に固まっており、仕様変更が少ないと想定されるシステム」(例:機能が限定された特定のダッシュボード・特定のレポートシステム)には請負契約が適しています。請負契約では、要件定義書・仕様書の精度を高めることが追加費用発生の防止につながります。

準委任契約の特徴と適したケース

準委任契約(タイム・アンド・マテリアル契約)は、「決められた期間・人数のエンジニアが業務に従事する」ことを約束する契約形態で、費用は工数(人月)に応じて発生します。成果物の完成を保証しないため発注側にとってはリスクがありますが、仕様変更に柔軟に対応できる点が特徴です。情報系システムのうち「要件が変化しやすいシステム(アジャイル開発で進めたいシステム)」「長期的な開発・改善が続くシステム」「データ量や利用状況によって機能の見直しが想定されるシステム」には準委任契約が適しています。準委任契約では、成果物の品質を担保するためのKPI(スプリントごとの進捗・バグ件数・レビュー基準等)を契約に明記することが重要です。

発注後のプロジェクト管理のポイント

情報系システム発注後のプロジェクト管理ポイント

発注後のプロジェクト管理は、情報系システム開発の成否を左右する重要な要素です。「全て開発会社に任せていたら、リリース直前に大幅な仕様変更が発覚した」というような事態を防ぐためには、発注側が積極的にプロジェクトに関与する姿勢が必要です。

定期的な進捗確認と課題管理

発注後は、週次または隔週での定期進捗ミーティングを設定し、「開発の進捗状況」「発生している課題と解決策」「スケジュールの遵守状況」「リスクとその対応方針」を継続的に確認することが重要です。課題管理ツール(Jira・Redmine・Backlog等)を活用し、課題・バグ・仕様変更の要望を一元管理することで、見落としと認識齟齬を防ぎます。特に情報系システムではデータ品質に関する問題(連携データの不整合・欠損等)が開発中に発覚するケースが多いため、データ検証のマイルストーンを開発スケジュールに組み込んでおくことをお勧めします。進捗ミーティングでは「報告を受けるだけ」でなく、仕様の確認や判断が必要な事項について発注側が迅速に回答することで、開発のスムーズな進行を支援できます。

仕様変更の管理と追加費用の防止

情報系システムの開発中に「やっぱりこの機能も追加したい」「データの定義を変えたい」という仕様変更が生じることは珍しくありません。しかし、変更を非公式に口頭で依頼するだけでは、費用負担の扱いを巡って発注側と開発会社の間にトラブルが生じるリスクがあります。仕様変更が発生した際は、必ず変更内容・影響範囲・追加費用・スケジュールへの影響を文書化し、双方が合意したうえで対応を進めることが重要です。変更管理のプロセス(変更依頼書の提出→影響評価→承認→実装)を契約段階から定めておくことで、スコープクリープ(際限ない仕様拡大)を防ぎ、予算とスケジュールを適切にコントロールできます。

受け入れテスト(UAT)の実施

開発会社によるシステムテストが完了したら、発注側(ユーザー)が実際にシステムを操作して要件を満たしているかを確認するUAT(ユーザー受け入れテスト)を実施します。情報系システムのUATでは、特に「データの正確性(基幹システムとの数値一致)」「権限設定の正確さ(閲覧すべきでないデータが見えていないか)」「パフォーマンス(大量データ処理時のレスポンス時間)」「操作性(実際のユーザーが直感的に使えるか)」を重点的に確認します。UATで発見された問題点は、リリース前に全て解消することを原則とします。UATの合格基準(テストケース数・不具合件数の許容水準等)を事前に定めておくことで、「いつリリースするか」の判断基準を明確にできます。

まとめ

情報系システム開発発注方法まとめ

本記事では、情報系システム開発の外注・発注に関する準備・開発会社の探し方・契約形態の選び方・発注後のプロジェクト管理のポイントを解説しました。重要なポイントを改めて整理します。

・発注前に自社要件(目的・機能・データソース・予算・スケジュール)を整理する
・RFP(提案依頼書)を作成し、複数社(3社以上)に相見積りを依頼する
・開発会社は技術力・実績・コミュニケーション力・サポート体制を総合評価して選定する
・契約形態は要件の確定度に応じて請負契約または準委任契約を選択する
・仕様変更は変更管理プロセスを通じて文書化・合意したうえで対応する
・定期的な進捗確認とデータ品質検証をプロジェクト中に継続的に実施する
・UATでデータの正確性・権限設定・操作性を徹底的に確認してからリリースする

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。