プロトタイプ開発の必要機能や標準機能の一覧について

プロトタイプに入れる機能は、操作感を確かめるのに必要なものに絞ります。本番のような作り込みは検証コストを膨らませ、試作の最大の利点であるスピードを損ないます。範囲は、中核画面と操作の流れ、忠実度、MoSCoW法の3つの観点で決めます。試作の全体像はプロトタイプ開発の完全ガイドをご覧ください。

検証に必須となる中核画面と操作フロー

業務システムのプロトタイプでデータ登録から一覧確認、編集へ進む操作フローの図。
一連の操作をつなぐと、検証する画面の範囲が見渡せます。

プロトタイプに必ず含めるのは、検証したい「中核となる利用シナリオ」を、最初から最後まで操作できる画面と遷移です。ユーザーがアプリやシステムを使う一連の流れを、実際に手で進められる形で用意します。

たとえば「ログインして、目的の情報を探し、操作を完了する」までが、その流れに当たります。特に、この流れが欠けると、操作性の検証そのものが成り立ちません。

主要シナリオを通しで操作できる画面遷移

プロトタイプでは、利用頻度の高い操作を最初から最後まで試せる画面遷移を用意します。まず、その操作を入口から完了まで一続きで選び、画面の流れを組みます。

  • 業務システム:データ登録、一覧確認、編集まで操作できるようにする
  • EC:商品検索からカート、購入確定までを一続きでつなげる
  • 検証範囲:対象シナリオの画面と遷移に絞り、設定やヘルプは後回しにする

ボタンで次の画面へ進む形にして、迷いや操作の順番を確かめます。主要動線を優先すると、試作コストを検証に使えます。ユーザーテストでは、中核のフローだけでも操作の迷いを見つけられます。

入力・選択・ボタンなどの操作要素

主要シナリオの画面には、ユーザーが実際に操作する部品を置きます。

  • 入力・選択:テキスト欄や選択肢、プルダウンを用意する
  • 画面操作:確定ボタンと戻る導線を配置する
  • 操作の確認:入力の負担、選択肢の順序、ボタンの位置を利用者に試してもらう

裏側の処理は作らなくて構いません。ボタンを押すと用意済みの画面に切り替わるだけでも、操作感は確認できます。一方で、静止画だけでは操作の負担感を評価できません。

試作の要件を整理するときは、『プロトタイプ開発のRFP/要件定義書/提案依頼書について』も参考になります。

ポイント

中核となる利用シナリオを最初から最後まで操作できるかで、画面の範囲を判断します。設定やヘルプのような周辺の機能は後回しにし、操作の検証に集中します。

忠実度別に用意すべき機能の標準範囲

プロトタイプの忠実度に応じた検証対象を、情報構造や操作の流れ、見た目、入力への反応の4項目で示す図。
構造確認から操作感の確認へ、試作の段階に応じて焦点が移ります。

プロトタイプで用意する機能の範囲は、試作の忠実度(フィデリティ)によって変わります。低忠実度(ローファイ)のワイヤーフレームと、高忠実度(ハイファイ)のインタラクティブ試作では、検証の目的が違うため、作り込む要素も異なります。この違いを理解せず最初から作り込もうとすると、コストと時間が膨らみます。

低忠実度ワイヤーフレームに含める要素

低忠実度のワイヤーフレームで確かめるのは、情報の構造と操作の流れです。

  • 画面構造:情報の位置と順序を、線や箱で示す
  • 移動の流れ:主要画面を並べ、矢印で画面の移り変わりを示す
  • 省く要素:色、装飾、画像、細かな文言は作り込まずに済ませる
  • 向く検証:修正の手間が小さく、複数案の比較や関係者間の合意に使える

画面を動かさず紙芝居のように示しても、情報設計の妥当性は確かめられます。また、構造を固めてから次の段階へ進めば、手戻りを防げます。

高忠実度インタラクティブ試作で再現する操作

高忠実度(ハイファイ)のインタラクティブ試作では、アプリに近い見た目と操作を再現します。

  • 見た目:色やフォント、ボタンを本番に近づける
  • 操作:画面遷移と入力への反応を用意する
  • ツール例:Figmaならコードを書かずに遷移を組め、操作感を低コストで試せる
  • 作らない処理:データベースや複雑なロジックは実装せず、決まったデータを表示する

検索結果も、あらかじめ用意した結果を返すだけで十分です。特に、本番と同じ処理を作ると本開発の前倒しとなり、コストが膨らみます。

ポイント

低忠実度では情報の構造、高忠実度では操作感の再現まで、検証の目的に合う範囲で作ります。本番と同じ処理は作らず、固定データで操作を試せれば十分です。

MoSCoW法で機能を絞り込む考え方

MoSCoW法のMust、Should、Could、Won’tの4分類を並べた図。
4区分で整理すると、試作に含める機能と対象外の機能を分けて考えられます。

プロトタイプの機能範囲を決める方法として、もっとも実践的なのがMoSCoW法による優先順位付けです。機能は、Must(必須)・Should(あるべき)・Could(あれば良い)・Won’t(今回は作らない)の4つに分類します。

何でも盛り込むと試作は肥大化し、この絞り込みが検証のスピードを左右します。そのため、試作に含めるのはMustと、Shouldの一部だけです。

Must機能の選定と検証目的との対応

MoSCoW法では、Must(必須)・Should(あるべき)・Could(あれば良い)・Won’t(今回は作らない)の4つに機能を分類します。そのうちMustに選ぶ機能は、検証したい使い勝手との関わりで決まります。

  • Mustの基準:検証したい使い勝手を確かめるために、操作が必要な機能
  • 本番との差:本番では必須でも、操作性の検証と関係がなければ試作のMustにはしない
  • 隣接手法:MVPは価値を支える中核機能、PoCは検証対象の技術要素に絞る
  • 判断方法:検証目的とMust機能を一対一で対応させる

プロトタイプでは、操作性に直結する画面と動作をMustにします。そうすれば、無駄な作り込みを避けられます。

あえて作らないWon’t機能の見極め

Won’t(今回は作らない機能)は、作る機能を決めるより先に確定させることが大切です。

  • 対象外の例:操作性の検証に要らないエラー処理、例外フロー、細かな権限の分け方
  • 本番機能:大量データや外部システムとの実連携は、必要性を見て判断する
  • 事前合意:試作を始める前に対象外を文書にし、範囲を関係者と共有する

作らない機能を明確にしておくと、不要な作り込みや「なぜないのか」という指摘を防げ、検証に集中できます。試作は、機能を足すより引く方向で範囲を考えます。

ポイント

検証目的に対応するMustを選び、作らないWon’tを先に決めて、範囲を関係者と共有します。その機能がなくても操作性の検証が成り立つなら、試作の対象から外せます。

まとめ

プロトタイプ開発で作り込む機能の核は、検証したい操作性に直結する、画面・操作・遷移の最小セットです。まず、主要な利用シナリオを通しで操作できる画面遷移を最優先で用意し、入力欄やボタンなど触れる操作要素を配置します。次に、低忠実度のワイヤーフレームで情報の構造を、高忠実度のインタラクティブ試作で操作感を検証し、忠実度を段階的に上げます。

最後に、MoSCoW法でMustを検証目的に対応させ、エラー処理や本番データなどは、Won’tとして作らないと割り切ります。機能設計では、足し算よりも引き算の発想が大切です。検証に必要な機能を的確に用意した試作こそ、良い試作といえます。

検証目的から逆算して機能範囲を絞り、作らないものを先に決めておけば、試作のスピードとコスト効率を保てます。riplaはフルスクラッチ受託と伴走型開発を組み合わせ、試作の機能設計から本開発・本番移行までを一気通貫で支援します。なお、全体像を改めて確認したいときは、完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。