契約管理システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

契約管理システムの導入事例では、契約の件数と自社の課題に合う機能を選び、段階的に導入して定着させることで、コスト削減や更新漏れの防止につながります。

費用削減、一元管理、承認の電子化、乗り換え・移行の4つに分けて見ていきます。全体像は契約管理システムの完全ガイドをご覧ください。

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電子契約化でコストを削減した事例

費用削減で重視される項目として、印紙税不要化30.6%、郵送費削減20.0%、印刷費削減19.8%を横棒で比較した図。
印紙税不要化の割合が、ほかの2項目より大きく示されています。

電子契約化は、印紙税、郵送費、印刷費、保管スペースなど、紙の契約書にかかる費用を減らす手段です。契約件数が多いほど、削減効果は積み上がっていきます。

電子化によるコスト削減は、導入効果の中でも分かりやすく、稟議で説明しやすい成果です。

費用削減で重視される項目は、印紙税不要化が30.6%(小規模2〜50名では34.9%)、郵送費削減が20.0%、印刷費削減が19.8%です(出典:マネーフォワード、2025年5月)。特に印紙税の非課税化が、最大の動機になっています。

月20件の電子化で年96万円を削減した試算

削減額は契約件数や印紙・郵送の状況で変わるため、試算と自社の条件を照らし合わせる必要があります。

ROIシミュレーションは、削減効果を具体的な数字で示す方法です。例えば、次のような試算があります。

  • 月20件の試算:年間約96万円を削減できる。印紙税は48万円から0円、郵送・資材費は12万円から0円になる
  • 契約事務の人件費:月20件の試算では、年間48万円から12万円まで圧縮される
  • 月100件規模:紙の運用費は月16.5万円、電子は月4万円。システム月額1万円と送信料2万円を差し引いても、月12.5万円の削減になる
  • 自社での概算:印象だけで効率化を語らず、月間契約数と印紙・郵送の割合を当てはめて数値にする。事例も取引の構造に照らして読む
  • 高額契約の例:建設業や不動産取引では、5,000万円超〜1億円以下の契約で印紙税が1件3万円不要になる。7,000万円の契約なら1件6万円の削減

件数別の実質コストで損益分岐を見極めた事例

コスト削減を狙う事例では、送信料の従量課金が見落とされがちです。月額の実質コストは、固定費と送信件数の組み合わせで大きく変わります。そのため、自社の月間件数をもとに各サービスを比べることが欠かせません。

  • GMOサイン:月5件・50件・200件で月額の実質コストが変わり、200件の場合は31,680円
  • クラウドサイン:基本11,000円、送信は1件220円。月5件・50件・200件で月額が変わり、200件の場合は55,000円
  • マネーフォワードクラウド契約:送信・保管は無料で、件数によらず一律約7,128円

件数が増えると、送信無料で固定費が高めのプランが有利になる損益分岐点があります。たとえば、月数件なら従量課金型が安く、月数十件を超えると送信無料型が逆転する場合があります。

件数を見ずに安いプランを選ぶと、運用後に想定外の従量課金で総額が膨らむことがあります。コスト削減が主目的なら、導入前に件数別の実質コストを比べることが欠かせません。

ポイント

削減額は契約件数や印紙・郵送の状況で変わるため、自社の月間件数で試算し、送信料などを含めた実質コストで比べることが、判断の目安です。

紙契約を一元化し更新漏れをなくした事例

更新期限アラートの運用を、期限登録、関係者への通知、契約の見直しの3項目で示した図。
通知を契機に、更新前の確認へつなげる構成です。

契約管理システムは、新規の電子契約に加えて、過去の紙契約の管理にも役立ちます。多くの企業は、過去に締結した紙契約や、更新期限・自動更新条項の管理に悩んでいます。

導入後の調査では、約8割の企業が課題を感じています。最も多いのは「情報を一元管理できない」の39.5%で、次いで「導入前の紙データが未処理」が33.6%です(出典:ContractS、2023年10月)。

契約の所在や期限が分からなくなると、解約漏れや不利な自動更新などの実害につながります。

Excel台帳から一元管理に移行した事例

紙とExcelで管理していると、契約書の所在や更新期限を、担当者の記憶や個人の台帳に頼ることになります。異動や退職があると全体像が見えなくなり、契約条件を確認するたびに書類探しから始めることもあります。

契約書を検索できる形で一元管理するには、担当者が書類ごとに基本情報と管理情報を付けて、システムに取り込みます。

  • 契約の基本情報:契約相手、契約日、更新日、金額
  • 管理情報:担当部署

一元化では、紙をスキャンして保存するだけでなく、検索できる状態にしておくことが大切です。全文検索やメタデータ検索を使えば、契約を数秒で呼び出せ、探す時間を減らせます。

AI-OCRで契約日や当事者名を自動で抽出し、台帳入力を減らした企業もあります。ただし、この機能が標準に含まれるか、月額数万円の追加オプションになるかで費用が変わります。

AI-OCRには誤認識のリスクも残るため、契約量と求める精度に応じて導入の要否を判断します。一元管理は、散らばった情報をまとめる第一歩です。

更新期限アラートで自動更新の失念を防いだ事例

紙やExcelで管理していると、期限を見落とし、不要なサービスが惰性で続いたり、必要な契約が失効したりするおそれがあります。

  • 期限を登録:契約ごとに更新日と解約予告期限を設定する。満了の3か月前など、期限は契約によって異なる
  • 関係者へ通知:期限が近づくと担当者と上長にアラートが届き、見落としによる不要サービスの継続や必要な契約の失効を防げる
  • 契約を見直す:更新前に必要性や条件を確かめ、費用の無駄を減らす

アラートは失念を防ぐだけでなく、不要な保守契約やサブスクを洗い出す機会にもなります。実際に、アラートをきっかけに年間数十万円規模の固定費を削った企業もあります。

契約管理システムは、締結後のライフサイクル全体を一覧で見える化し、ガバナンスと費用の見直しを支えます。中でも一元管理と期限アラートは、紙やExcelから移ったあとに実感しやすい成果です。

ポイント

契約の所在と期限を一か所で把握できるかが、見極めるうえで大切な点です。紙データの移行計画と、検索や期限アラートの設定を、あわせて考えることが欠かせません。

稟議・承認を電子化しリードタイムを短縮した事例

契約を締結するまでには、法務レビュー、上長の承認、役員決裁などの社内稟議が必要です。紙の稟議書や回覧では、書類がどこで止まっているか分からず、締結までの時間が延びます。

契約管理システムやワークフロー機能で承認を電子化すると、稟議の進み具合を一目で確認できます。また、承認の電子化は、コスト削減と並ぶ導入効果です。

スマホ承認で決裁の停滞を解消した事例

スマートフォン承認を使えば、決裁者が不在や出張中でも、承認の停滞を減らせます。さらに、条件に応じた承認ルートや証跡の管理にも対応します。

  • 外出先で承認:スマートフォンで稟議を確認し、その場で承認や差し戻しができる。決裁者の不在で契約が何日も止まる事態を防ぐ
  • 条件別に振り分け:金額によって承認者が変わる場合や、特定の契約類型で法務承認が必須の場合も、ルートを自動で設定する
  • 承認記録を保存:承認者と日時を記録し、未承認の締結や誤送信を防ぐ。承認前の日付にさかのぼった契約成立も抑えられる

電子承認は、決裁を速めるだけでなく、ガバナンスの強化にもつながります。特にスマートフォン承認は、現場と管理部門の双方に支持される導入効果です。

申請処理業務を約4割削減した公益団体の事例

公益団体や自治体関連の事例では、遠隔申請と会計処理の効率化が数字に表れています。

  • 岡山県環境保全事業団:遠隔申請により1件あたり5分以上を短縮し、年間推計で150万円分の人件費を削る
  • KEC関西電子工業振興センター:会計転記やダブルチェックを減らし、申請処理業務を約4割削減

これらの事例は、紙をなくすだけでなく、後続の処理まで含めて業務全体を効率化しています。承認後のデータを会計システムやCRMに連携すれば、二重入力や転記ミスを減らせます。

承認証跡の自動化と後段の連携を組み合わせることで、申請処理業務の約4割減につながります。効果を試算する際は、承認の時間だけでなく、転記・確認・保管にかかる時間も含めます。

承認証跡でガバナンスを強化した事例

紙と電子では、承認の記録の確認しやすさに違いがあります。承認証跡の扱いを比べると、統制面の差が分かります。

  • 紙の稟議:承認印を目で確かめることが中心で、見切り発進や、日付をさかのぼるバックデートに気づきにくい
  • 電子承認:承認の順序と日時を記録し、未承認の締結や誤送信を防いで、内部統制を強める

監査や有事の場面では、承認証跡が役立ちます。ある企業では、監査で過去の契約の承認経緯を問われた際、証跡をすぐ提示して説明でき、数日かかっていた資料探しが不要になりました。

承認証跡の自動化は、数字では見えにくい一方で、コンプライアンスリスクを下げます。時短の効果とあわせて、統制面の成果も評価します。

ポイント

稟議がどこで止まっているかを追え、承認の経緯を記録として残せるかが、判断の目安になります。承認の時間だけでなく、転記や保管まで含めて効果を見ると差が見えやすくなります。

他社システムから乗り換え・移行した事例

契約情報の移行を、項目の対応付け、一括移行、件数とサンプルの照合の順に示したフロー図。
移行前の対応付けと移行後の照合が連続しています。

新規に導入するだけでなく、既存のシステムから別のシステムへ乗り換えたり、紙台帳からまとめて移行したりするケースもあります。こうした移行の進め方は、他社の記事では扱いが手薄な領域です。

乗り換え・移行は新規導入より難しく、契約日や当事者、更新日などのメタデータを保ったまま移す必要があります。さらに、旧契約の解約と新しい契約の時期を合わせることも、成否を分けます。

メタデータを保持して移行した事例

乗り換えでは、契約のメタデータが抜け落ちないように移すことが大切です。たとえば、旧システムやExcel台帳にある契約相手、契約日、更新日、金額、ステータスを引き継ぎます。

情報が失われると、新システムの更新アラートが働かず、一元管理も損なわれます。そこで、移行の前に旧・新システムの項目を対応付け、CSVやAPIを使って属性を保ったまま一括で移します。

移行後は、件数とサンプルの契約を突き合わせ、欠落や文字化けがないかを確認します。紙契約については、一度に全件を処理せず、優先順位を付けて進めます。

  • 先にデジタル化:更新期限が近い契約、金額が大きい契約、係争リスクのある契約
  • 後から対応:保管義務だけがある古い契約

優先順位を付けると、移行計画を現実的な日程に収めやすくなります。膨大な紙を一度に処理しようとして頓挫する企業もあるため、段階的に進めることが成功の決め手です。

スモールスタートで社内定着させた事例

乗り換えか新規かにかかわらず、導入事例の成否は社内に定着するかどうかで分かれます。現場がふたたび紙やExcelに戻ると、投資が無駄になります。定着には、対象範囲、運用設計、資金面を段階的に整えることが欠かせません。

  • 小さく始める:特定の部署や契約類型から導入し、運用ルールと現場の納得感を固めてから対象を広げる
  • 現場に合わせる:権限設定や承認ルートを作り直し、社内マニュアルを整えて、形だけの運用になるのを防ぐ
  • 業務の流れを見直す:riplaは、フルスクラッチ受託と業務への伴走を通じて、契約から文書・稟議・帳票までの業務フローの再設計と定着支援を重視
  • 補助金を計画する:公募期間と交付決定までの期間を逆算し、初期費用の圧縮を検討する

「なぜ現場で使われ続けたのか」を見ることは、自社の失敗を避ける近道になります。乗り換えや移行を成功させた企業は、技術よりも運用の設計に時間をかけています。

IT導入補助金のインボイス枠やセキュリティ対策推進枠を活用し、費用を抑えた企業もあります。補助の対象には、ソフトウェア費のほか、必要に応じてPCやタブレットなどのハードウェアも含まれます。

補助金を活用できれば、高機能なプランやフルスクラッチでの一気通貫の構築も現実的になります。成果の数字だけでなく、導入効果が続いている理由や資金面の工夫も確認しておくとよいでしょう。

ポイント

乗り換えや移行では、契約のメタデータを保ったまま移せるか、紙契約を優先順位を付けながら段階的に移せるかが判断の目安です。社内に定着するかは、運用設計で決まります。

まとめ

契約管理システムの導入事例は、コスト削減、情報の一元化と更新漏れ防止、承認の電子化による時間短縮、乗り換え・移行と社内定着に分けられます。

月20件の電子化で年96万円、申請処理業務4割減、年間150万円の人件費削減といったデータは、効果を数字で示せることを表しています。

一方で、契約件数を見ずに選ぶと、従量課金が膨らむ場合があります。また、紙データの移行を後回しにすると、一元管理が機能しないこともあります。

大切なのは、どのツールが優れているかより、自社の契約量や業務に合い、現場で使い続けられるかという視点です。まずは件数、印紙の負担、更新管理の実態を確認し、効果の大きい領域から小さく始めます。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、契約から文書・稟議・帳票までの業務フローの再設計と、現場に定着する仕組みづくりを支援しています。くわしくは下記の完全ガイドをご覧ください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。