建設・建築業界のシステムの導入/開発事例や活用/成功事例について

建設・建築業界のシステム導入は、現場の課題、導入範囲、支援体制を見極めて小さく始め、段階的に広げると、業務効率化や利益改善につながります。

建設会社・工務店・専門工事会社の導入・開発・活用事例を、発注側の視点で分野ごとに並べます。自社に近い事例は、投資判断を高め、着手点や狙う効果を考える助けになります。

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・建設・建築業界のシステムの完全ガイド

施工管理アプリで写真・日報管理を効率化した事例

写真整理と日報作成の削減時間を、監督10名、1日5時間、月20稼働日、月100時間の順に示す図。
現場数や監督人数を当てはめると、自社の削減時間を見積もれます。

建設現場では、ホワイトボードや手書きの日報、FAXや電話が使われています。一般的な業務システムは、高齢の職人に定着しないこともあります。

施工写真と日報の管理は、成果が見えやすい分野です。監督は1日に数十枚から数百枚の工事写真を撮影し、撮影時には黒板に工種・撮影日・場所を書きます。

撮影した写真は、帰社後に写真台帳へ整理します。日報も手書きやExcelで作ります。写真整理や日報作成の手作業は、監督の残業と帰社後業務の温床になります。

施工管理アプリなら、写真や日報をスマホやタブレットで現場から入力できます。こうした作業を現場で完結できることが、最初の成果につながります。

電子黒板と自動仕分けで写真台帳作成を省力化した事例

施工管理アプリの導入で最初に効果が出やすいのは、電子黒板と写真の自動仕分けです。

  • 電子黒板:工種・撮影位置・日付を写真に重ねて残し、物理的な黒板の準備が要りません。
  • 自動仕分け:写真をクラウドに同期し、工種や工程ごとに整理されます。

事例では、写真整理に1日あたり数十分かかっていた作業が、ほぼゼロに近づいたという声が多く聞かれます。

削減効果は漠然とした効率化で終わらせず、自社の現場数と監督人数に当てはめて数字にします。たとえば、写真整理と日報作成を1人あたり1日30分減らせるとします。監督10名なら、1日5時間、月20稼働日で月100時間の削減になります。

削減できた時間を、品質管理や安全管理、協力会社との調整に回せます。事例を読むときは、同じ計算を自社の現場数で試すと、効果の大きさがつかめます。

日報・情報共有のリアルタイム化で帰社後業務を減らした事例

日報と現場情報をリアルタイムで共有すると、帰社後の業務や現場確認の負担が減ります。

  • 日報入力:進捗・作業内容・人員・天候を現場で登録すると、帰社後に入力する量が減ります。
  • 情報共有:図面・指示書・チャットを一つにまとめ、事務所や経営層も状況を確認できます。
  • 現場管理:掛け持ちの監督や巡回所長が現場を確認する手間を減らし、トラブルの早期発見や人員の再配置に役立ちます。

導入8万社・14万人に使われるダンドリワークのようなサービスもあります。現場の情報共有が定着すると、マネジメントの精度も上がります。

建設・建築では、写真・日報・情報共有を現場で完結させるところから始めると、成果を確かめやすくなります。

ポイント

写真と日報を現場で入力し切れるかを、判断の目安にします。帰社後の入力が残ると、削減効果は出にくくなります。

見積・積算の作成時間を半減させた事例

見積・積算システムを中心に、単価マスタ、過去案件のテンプレート、実行予算、実原価を配置した図。
見積の再利用と原価照合が、利益管理の起点になります。

見積・積算業務をシステム化すると、建設・建築の経営に直結する成果が出ます。見積の精度と速さが、受注率と粗利を左右するためです。

見積をベテランの勘とExcelで作っている会社では、属人化や作成の遅さが課題になりがちです。そこで、過去データや単価マスタを再利用できる仕組みが役立ちます。

見積作成時間を50%削減した一元管理の事例

見積作成時間の短縮の効果は、受注機会と利益管理の両面で捉えます。

  • 作成時間:建設業向け一元管理システム「アイピア」では、見積の作成にかかる時間を50%削減した事例があります。
  • 短縮の要因:単価マスタや過去案件のテンプレートを使い、同種工事の見積を複製して修正します。
  • 受注機会:同じ時間でより多くの引き合いに対応でき、相見積もりでも速さが競争力になります。
  • 利益管理:数量と単価を実行予算へ展開し、実原価と照合して、現場ごとの利益を把握する仕組みです。

見積・積算のシステム化は、作成の効率だけでなく、会社の利益管理の起点を整える投資でもあります。

属人化を解消し見積品質を平準化した事例

見積・積算システムは、ベテランの知識を共有し、見積の品質を平準化する助けになります。

建設業界の高齢化に伴い、見積ノウハウの継承は切実な課題です。ノウハウを残しておくことは、ベテランの退職リスクへの備えにもなります。

  • 知識の共有:単価感覚や歩掛りをマスタ化し、若手や中堅も一定品質の見積を作れるようにします。
  • マスタ整備:過去の見積を洗い出し、単価マスタを整えます。
  • ルールの標準化:拾い方や掛け率、諸経費の積み方を言葉にして、システムに反映させます。

属人化を解消するには、導入に加えて準備をやり切ることが要ります。準備を終えてこそ、見積の平準化と速度向上につながります。

事例では、機能だけでなく、裏側の準備状況も確認します。この準備が、自社導入の成否を分けます。

ポイント

見積の効果は、作成時間の短縮だけでなく、実行予算や実原価との照合まで続くかで見ます。単価マスタや過去データを整えないままでは、効果は出にくくなります。

スモールスタートで現場に定着させた事例

機能を絞って始め、現場に定着させた事例も、建設・建築のシステム導入では参考になります。

高齢のベテラン職人やITに不慣れな監督が多い現場では、全機能を一斉に展開すると、「覚えきれない」「結局紙に戻る」といった抵抗が起きがちです。

一方で、成功した会社は、まず一つの業務や現場から始めています。成功体験を積み重ねてから、ほかの現場へ広げています。

写真管理だけから始めて横展開した事例

スモールスタートの典型は、写真管理だけから始めることです。写真管理は効果が伝わりやすく、操作の負担も小さい業務だからです。

  • 料金例:現場一番は月9,800円で初期費用は0円、現場ポケットは月8,800円でアカウント数は無制限です。
  • 横展開:写真整理で効果を実感した現場から、順にほかの現場へ広げます。
  • 現場の旗振り役:影響力のあるベテランや、ITに前向きな若手に先導役を任せ、現場から定着を促します。
  • 協力会社との共有:アカウント数が無制限なら、協力会社の職人も使いやすく、現場全体で情報がそろいます。

事例を読むときは、機能の多さよりも、現場の誰がどう使い始めたかに注目すると、自社への応用が見えてきます。

伴走サポートで定着率を高めた事例

導入後の相談体制や研修、問い合わせ対応が、現場での定着率を左右します。

  • すぐ相談できる体制:ITに不慣れな利用者の疑問を、すぐに解消できます。
  • 現場に合う支援:業界の現場を理解したサポートが、利用を支えます。
  • 導入初期のフォロー:操作研修や問い合わせ対応によって、「使えない」と感じる状態を防げます。

ダンドリワークは14万人の利用者に使われています。導入直後の数か月の支援が、定着の分かれ目になります。

ある工務店は格安アプリを導入しましたが、問い合わせの返信に3日かかりました。サポートが追いつかず、1年未満で別サービスへ乗り換えました。

この工務店は、乗り換えで二重のコストを負担しました。スモールスタートでは、価格だけでなく、現場が使い続けられる支援体制も確かめておく必要があります。

サポートの弱さがもたらす影響は、次の失敗事例にも表れています。

スモールスタートは、安く始めたうえで、サポートとともに現場が使い続けられる環境を整えることです。そこで、価格と伴走体制を並べて比べたいところです。

ポイント

導入する機能は、一つの業務や現場に絞るのが目安です。加えて、現場が使い続けられる支援体制があるかも確かめます。

失敗から軌道修正した建設業システム事例

システム導入の事例からは、失敗の理由や立て直し方も学べます。工事管理アプリを導入した企業のうち、約7割が効果を実感できていないという調査もあります。

導入しても使われない事例は、珍しくありません。成功談だけでなく、なぜ失敗したのか、どう立て直したのかという発注側の経験からも学べます。

失敗から得た教訓は、これから投資する企業の判断材料になります。

格安アプリのサポート遅延で乗り換えた失敗の教訓

格安アプリからの乗り換え事例は、月額以外の判断材料も確認する必要性を示しています。

  • サポート遅延:問い合わせの返信に3日かかり、現場の利用が止まりました。
  • 乗り換え:導入から1年未満で別サービスへ移り、移行と再導入の分だけ二重のコストがかかりました。
  • 見えにくい条件:現場によってITリテラシーに差があるため、初期のつまずきを支援できるかも確認しておきます。
  • 総コスト:定着するツールなら、月額が多少高くても、総額の費用を抑えられる場合があります。

失敗の本質は、見えやすい月額料金で選び、サポートや定着支援を軽く見たことにあります。そこで、判断の基準を、現場が使い続けられるかに置きます。

現場ヒアリングから業務を見直して立て直した事例

立て直しに成功した会社は、ツールを入れ直す前に現場の業務を見直しました。

  1. 再導入の前に、監督や職人へ困りごとや楽にしたい作業を聞き、必要な機能を絞ります。
  2. 全機能を一度には入れず、写真と日報から段階的に導入していきます。
  3. 現場が実感できる小さな成功を積み上げ、利用の定着につなげます。

システムは、現場の業務を楽にするための道具です。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、この考え方を重視しています。

事例は成果の華やかさより、なぜ現場で使われたか、使われなかったかという視点で読むと、失敗を避けやすくなります。

ポイント

選ぶ基準は、月額料金の安さより、サポートの速さと現場が使い続けられるかに置きます。総額で比べると、判断を誤りにくくなります。

原価管理の可視化で利益を改善した事例

実行予算と発注・支払い・労務費の実績から予算との差異を把握し、施工方法を見直す流れを4項目で示す図。
工事完了前に差異を捉えると、現場で対応を検討できます。

原価管理の可視化は、現場の効率化や見積の迅速化と並んで、経営に直接関わる利益改善につながります。

建設・建築の利益は、現場ごとの原価を正確に把握し、管理できるかで決まります。ところが、原価管理が「どんぶり勘定」のままの会社も少なくありません。

工事が終わるまで利益が分からない会社もあります。原価をリアルタイムで見えるようにすると、結果が出てから把握する状態を抜け出せます。

赤字現場を早期発見して手を打った事例

原価管理システムでは、赤字になりそうな現場を早く見つけ、損失を抑える余地が生まれます。

  1. 実行予算に発注・支払い・労務費の実績を入力すると、予算との差異がリアルタイムで見えます。
  2. 工事中に赤字の可能性を把握したら、追加工事の交渉や施工方法の見直し、協力会社との単価調整を検討します。
  3. 経営層が全社の収益を把握して、採算が悪化しそうな現場へ経営資源を振り向けます。

導入事例では、赤字現場を早く見つけたという話が目立ちます。原価管理の価値は、正確な集計だけでなく、早く気づけることにもあります。

特に、工事が完了してから赤字が分かっても、打てる手はありません。原価を見えるようにすると、利益管理を事後報告から先手の対応へ変えられます。

工種別利益の把握で受注戦略を見直した事例

原価管理は、個別現場の管理にとどまりません。蓄積したデータから工種別の利益率を見て、受注戦略や見積の掛け率を見直せます。

  • 利益率の把握:案件別・工種別に分析すると、収益性の高い工事と低い工事が見えてきます。
  • 受注戦略:主力工事の利益率が低く、別の工種のほうが効率よく稼げると分かった事例があります。
  • 経営判断:利益率の高い工事へ営業の力を集中させ、採算の合わない仕事は掛け率を見直します。

原価管理システムは、現場の効率化に加えて、経営判断の質を高める効果も持ちます。さらに、利益データに基づいて受注する仕事を選ぶと、会社全体の収益体質の改善にもつながります。

見積から原価、利益分析までを途切れなくつなぐことが、建設・建築のシステム導入の到達点の一つです。

ポイント

原価管理の効果は、工事中に赤字の兆しを見つけ、手を打てるかで決まります。工事が終わってから分かっても打てる手がないため、途中での把握を基準にします。

まとめ

成功や失敗からの回復に共通するのは、現場の業務からツールを選び、写真・日報の効率化から段階的に広げることです。

施工管理アプリは、写真台帳の作成や帰社後業務の負担を減らします。アイピアの事例では、見積作成時間を50%削減し、属人化も解消しました。

スモールスタートと伴走サポートは、定着を支えます。一方で、工事管理アプリ導入企業の約7割は効果を実感できていません。格安アプリのサポート遅延で乗り換えた事例もあります。

導入が成功するかは、価格の安さや機能の多さより、現場で使われ続けるかで決まります。

事例では、価格や機能だけでなく、現場で使われた理由を確認します。そのうえで、自社の現場数と業務の悩みに照らして、写真・日報のデジタル化から始めます。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、現場業務から逆算した要件整理と定着するシステムづくりを支援します。全体像は建設・建築業界のシステムの完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。