建設・建築業界のシステム開発の完全ガイド

建設・建築業界では、工程管理や原価管理など多岐にわたる業務が並行するため、Excelや紙による管理が今も残っています。

こうしたなか、2024年問題(時間外労働の上限規制)や建設DXの推進、担い手不足への対応として、業務効率化を実現するシステム開発が急務です。

▼関連記事一覧です。

  • 進め方:流れ、工程、手順を確認できる関連記事
  • 相場と方法:見積相場や費用、発注・外注・依頼・委託の方法

建築業界のシステム開発でおすすめの開発会社(ベンダー6選)と選び方も紹介します。

建設・建築業界のシステム開発の概要

建設・建築業界のシステム開発は、現場の業務課題を解決する仕組みを作ることで、次の2つの面から捉えられます。

  • 定義:建設会社やゼネコン、専門工事業者、設計事務所などが抱える業務課題を解決するための取り組みです。
  • スマホ対応:スマートフォンアプリなどを設計・開発することを指します。

開発の対象になるのは、業務に特化したソフトウェアやWebアプリです。

  • 業界特有の業務:工事ごとの原価管理や複雑な施工体制などは、汎用の業務システムでは対応できません。
  • 開発方式:カスタム開発が求められるケースが多い領域です。

現場作業員のモバイル利用などに対応した機能も、あわせて求められます。

開発対象になるシステムには、次のようなものがあります。

  • 工程管理システム:バーチャート工程表、ネットワーク工程表、進捗管理
  • 原価管理システム:実行予算管理、原価実績集計、完成工事原価予測と、施工管理アプリ(施工写真管理、作業日報、検査記録)

このほか、次のようなシステムも対象になります。

  • 安全管理システム:KY活動、ヒヤリハット、安全パトロールと、労務管理・入退場管理(グリーンサイト連携、技能士資格管理)
  • 代表例:協力会社管理ポータル(発注、出来高、支払い管理)や、BIM連携システム(3次元モデルと施工管理の統合)などがあります。

建設業界でシステム開発が求められる背景には、次のような要因があります。

  • 担い手不足:慢性的な人手不足による業務効率化のニーズ
  • 政策と採用:建設DX推進への国の政策誘導と、若い世代の採用競争力向上のためのデジタル化

2024年問題(残業上限規制)への対応も、その一つです。

建設業法や電子帳簿保存法などの法令対応も挙げられます。

建設・建築業界のシステム開発の進め方と各フェーズ

建設システム開発の要件定義から運用・保守までを5段階で示す図。
現場での使いやすさは設計段階から確かめます。

建設・建築業界のシステム開発は、次の流れで進みます。

  • 主要フェーズ:①要件定義フェーズ、②設計・開発フェーズ、③テスト・検証フェーズ、④リリース・移行フェーズ
  • 運用段階:⑤運用・保守フェーズ

各フェーズには建設業界特有の考慮事項があります。要件定義では、工程管理や原価管理、施工体制台帳などの複雑な業務の流れを洗い出すことが鍵になります。

設計フェーズでは、現場作業員が使いやすいUI/UXを設計し、積算ソフトやBIMツール、グリーンサイトなどの既存システムとの連携も組み込みます。

テストフェーズでは、実際の工事データを使ったユーザー受入テストを行い、現場環境でのパイロット運用も行います。リリース後は、段階的に展開したうえで機能改善を繰り返します。

▶ 詳細はこちら:建設・建築業界のシステム開発の進め方を紹介しています。

ポイント

要件定義で工程管理や原価管理など複雑な業務の流れを洗い出せているかが、設計以降の手戻りを左右します。現場の使いやすさも、設計段階で確かめておく項目です。

開発コストと費用相場

工程管理システム、原価管理システム、施工管理アプリの費用相場を並べた図。
3種類の中では、原価管理システムの費用幅が最も大きく示されています。

建設・建築業界のシステム開発費用は、規模や機能、開発方式によって大きく異なります。

規模別に見ると、小規模な単機能システムは100万〜500万円、中規模の統合管理システムは500万〜3,000万円です。大規模な全社基幹システムでは、3,000万〜1億円以上が目安になります。

  • 工程管理システム:種類別に見ると、300万〜2,000万円です。
  • 原価管理システム:500万〜3,000万円程度が相場です。

施工管理アプリは、モバイル対応を含めて400万〜1,200万円です。

開発方式によっても、費用は変わります。スクラッチ(フルカスタム)開発は費用が最も高いものの、自由度が高いのが特徴です。

パッケージのカスタマイズは初期費用を30〜50%削減できます。kintoneやMicrosoft Power Platformなどのローコード開発は、初期費用を50〜70%削減できる場合があります。

費用を抑える工夫としては、MVPアプローチ(最小限の機能から段階的に拡張)と、IT導入補助金やものづくり補助金の活用が有効です。

▶ 詳細はこちら:建設・建築業界のシステム開発の見積相場や費用

ポイント

費用は規模と開発方式の両方で変わるため、見積もりを比べるときは、同じ条件で並べて確認することが大切です。金額だけで判断せず、機能の範囲と含まれる作業も合わせて見ることが、費用差を読み解く助けになります。

おすすめ開発会社の選び方

建設・建築業界のシステム開発会社を選ぶ際に押さえたいポイントは3つです。

  • ①業務知識と開発実績:工事原価管理、施工体制台帳、BIM連携など業界固有の要件を理解しているか
  • ②UI/UX設計力:現場作業者が使いやすい設計で、現場モバイル対応、オフライン動作、高コントラスト表示など
  • ③既存システム:建設ERP、積算ソフト、グリーンサイトとの連携実績

株式会社riplaは、コンサルティングから開発・保守まで一気通貫で対応できる開発会社として、建設・建築業界から高い評価を得ています。

具体的には、業務コンサルタントが要件定義から参画し、「現場で実際に使われるシステム」を実現するアプローチが特徴です。

選定時は複数社から見積もりを取り、価格だけでなく、提案内容の質や担当者の業界理解、保守体制まで含めて総合的に比べます。

▶ 詳細はこちら:建設・建築業界のシステム開発でおすすめの開発会社(ベンダー6選)と選び方を紹介しています。

ポイント

開発会社は価格だけで比べず、業界知識、現場で使いやすい設計、既存システムとの連携実績の3点を同じ基準で見ることが判断の目安になります。

発注・外注方法の基本

建設・建築業界のシステム開発を外部に発注する際は、次の順で準備を進めます。

  • 発注前の準備:課題の明確化、既存システムの棚卸し、予算・スケジュールの社内合意
  • 発注先の選定:ロングリスト作成、RFP配布、提案評価、候補の絞り込み

RFP作成では、機能要件、連携要件、非機能要件、予算、納期を明記します。

契約から本番移行までは、契約締結と進行管理のあとに、受入検査と本番移行へ進みます。

  • 契約と進行管理:請負か準委任か、知的財産権の帰属、変更管理手続きを明記したうえで、定例会議、課題管理、要件変更管理によるプロジェクト管理
  • 受入検査・本番移行:UAT、移行計画、ロールバック計画

発注後は、発注者側が主体的に関わることが成功の鍵になります。開発会社に任せきりにせず、現場担当者を含めたプロジェクト体制を組み、週次で進捗と課題を継続して確認します。これにより、要件のずれや手戻りを早い段階で見つけて解決できます。

▶ 詳細はこちら:建設・建築業界のシステム開発の発注・外注方法

ポイント

発注後も発注者側が主体的に関わるかどうかで、要件のずれや手戻りを早く見つけられるかが決まります。RFPに機能・連携・非機能の要件を明記しておくことも、その土台になります。

建設DXを中心に、BIM/CIM、IoT・センサー、ドローン、AI・機械学習、クラウド・モバイルを配置した図。
データ活用から現場の情報共有まで、異なる領域が並行して広がっています。

建設DX(デジタルトランスフォーメーション)は、国土交通省の「建設業における生産性向上」政策の後押しもあり、業界全体で急速に進展しています。

2026年現在、建設DXの主な潮流には、次のようなものがあります。

①BIM/CIMの本格普及では、2023年度から直轄土木工事でBIM/CIMの活用が原則化されます。大手ゼネコンを中心に、3次元モデルを使った施工計画や施工管理、維持管理の統合が進んでいます。なかでも、BIMデータと施工管理システムの連携開発は、今後最も需要が高まる領域のひとつです。

  • ②IoT・センサーによる現場管理:建設機械の稼働状況をIoTセンサーでリアルタイムに把握する
  • 現場環境の計測:温湿度や粉塵、騒音をセンサーで自動計測し、安全管理システムに連携する取り組みも増えています。

建設機械の自動制御(ICT施工)も普及が進んでいます。

③ドローン活用:測量・点検・進捗管理へのドローン活用が進んでいます。ドローンで撮影した空撮データを点群データや3Dモデルに変換し、設計データとの比較や数量計測、出来形管理に使うシステムとの連携開発ニーズも高まっています。

④AI・機械学習の活用では、建設業務の高度化が進んでいます。工程の最適化や資材調達の需要予測、安全リスク予測のほか、図面の自動チェックなどがあります。特に、過去の工事データを学習させた原価予測AIや工期遅延リスク予測AIの開発は、経営判断の精度向上に貢献しています。

⑤クラウド・モバイルの活用深化では、従来の社内サーバー中心の構成から、AWSやAzure、GCPなどのクラウド基盤への移行が加速しています。また、現場・本社・協力会社がリアルタイムで情報を共有するためのクラウドネイティブなシステム開発が、中小建設会社にも広がりを見せています。

ポイント

BIMや施工管理システム、クラウドなど既存の業務システムと連携できる設計かどうかを、開発の要件に含めておくことが大切です。

まとめ

建設・建築業界のシステム開発を考えるうえで、押さえたい点は次の2つです。

  • 業界の要件:業界固有の複雑な業務プロセスへの対応や、現場環境を考慮したUI/UXが求められます。
  • 専門性:多くの専門知識が必要な領域です。

既存システムとの連携や建設業法への法令対応なども、この領域に含まれます。

本ガイドでは、開発の進め方と費用相場、開発会社の選び方を中心に、発注方法や最新のDX動向まで網羅的に解説しました。

各テーマの詳細は関連記事で確認し、自社の課題に合ったシステム開発の計画づくりに役立ててください。建設DXへの第一歩として、まずは信頼できる開発会社への相談から始めることをお勧めします。

進め方と選び方は、建設・建築業界のシステム開発の進め方、建設・建築業界のシステム開発会社の選び方で扱っています。

費用と発注・外注方法は、建設・建築業界のシステム開発の費用、建設・建築業界のシステム開発の発注・外注方法で扱っています。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。