情報系システムの必要機能や標準機能の一覧について

情報系システムは、基幹システムと違って社員の情報共有や意思決定を支えるもので、機能は中核となるものと、業種や規模で必要性が分かれるものに大別できます。本記事は、発注企業の視点から必要機能と標準機能を体系的に整理した「機能特化」の解説です。外部システムとの連携や非機能も機能選びに関わるため、まずは情報系システムの完全ガイドで全体像をつかむのがおすすめです。

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情報系システムの中核となる必須機能

情報共有の入口を囲む4つの標準機能を示した図
日々使う情報を一つの入口に集める構成です。

情報系システムには多くの機能がありますが、ほとんどの企業で必須となる中核機能はある程度共通しています。それは、社内の情報を一箇所に集める「情報共有・コミュニケーション」と、社内手続きを電子化する「ワークフロー」です。

この二つは規模や業種を問わず、導入の目的の中心に置かれることが多い機能です。そこで、まずこの中核を押さえることが要件定義の出発点になります。

情報共有・コミュニケーションの標準機能

予定から資料までを一つの入口に集めるには、次のような機能を組み合わせます。

  • スケジュール共有:社員の予定や会議室の空き状況を、ひと目で見渡せる機能
  • 掲示板・社内ポータル:全社や部門向けの通知を集める場所
  • 社内チャット・メッセージ:メールより手軽にやり取りできる手段
  • 文書・ファイル共有:資料を一か所に集めて検索できる仕組み

これらは多くのグループウェア製品に標準で備わり、情報系システムの土台になります。機能を選ぶときは、機能があるかどうかより、現場が毎日開く入口になれるかどうかを見ることが大切です。スケジュールやポータルがばらばらのツールに分かれていると、社員はどれを見ればよいか分からず、結局メールに戻ってしまいます。

そこで、標準機能を一つの画面にまとめ、ログインすれば必要な情報が一度に見られる状態をつくることが、情報共有機能を活かす鍵になります。機能一覧を見るときは、個々の機能の有無に加えて、それらが一つの入口としてまとまっているかも確認してください。

申請・承認ワークフローの必須機能

もう一つの中核であるワークフロー機能は、経費精算や稟議、休暇申請などの社内手続きを電子化し、申請から承認までをシステム上で完結させます。標準的な要素には、申請フォームの作成、承認経路の設定、金額や条件による経路分岐があります。

承認・差し戻し・代理承認、申請状況の進捗確認、承認履歴の記録なども標準的な要素です。承認履歴が自動で残るため、誰がいつ承認したかを後から追え、内部統制の面でも役立ちます。要件定義で見落としやすいのは、自社の承認ルールが標準機能の想定より複雑な場合です。

役職や金額による分岐、部門横断の合議、条件付きのスキップといった自社固有のルールが多いと、パッケージの標準機能では表現しきれず、カスタマイズや作り込みが必要になります。この作り込みは費用を押し上げる要因の一つです。そこで、要件定義の段階で承認フローをすべて洗い出し、標準機能でどこまで賄えるかを見極めることが、後の手戻りを防ぎます。

ポイント

判断の目安は、情報共有とワークフローを要件定義の出発点に置き、承認ルールが標準機能に収まるかを早めに確かめることです。標準で足りない部分は、作り込みの費用を見込んで検討します。

業種・規模で必要性が分かれる機能

中核機能の外側には、業種や企業規模によって必要性が分かれる機能群があります。これらは「あれば便利だが、全社に必須とは限らない」機能です。

自社の業務で本当に必要かを見極めないまま全部入りを目指すと、費用がかさむうえに、使われない機能が増えてしまいます。さらに、自社の競争力に直結する機能を見落とすと、せっかくの投資が中途半端になります。この取捨選択が、情報系システムの費用対効果を大きく左右します。

ナレッジ管理・文書管理の機能

ナレッジ管理は、社員の経験やノウハウ、過去の案件情報を組織の資産として蓄積・活用する機能です。FAQや社内Wiki、マニュアルの集約が標準的な要素で、全文検索やタグ・カテゴリによる分類も備えられます。属人化しがちな知識を組織で共有したい企業や、問い合わせ対応が多く再利用の効果が大きい企業では優先度が高く、社員数が少なく口頭で十分に共有できる企業では優先度が下がります。

文書管理の機能には、版管理(古い版と新しい版を区別し、誤って古い資料を使うのを防ぐ)、改訂履歴、文書のライフサイクル管理(作成・承認・公開・廃棄)などがあります。契約書や規程のように版の取り違えが事故につながる文書を多く扱う企業では、こうした機能の必要性が高まります。

ナレッジ・文書管理は「あれば便利」な機能の代表格です。ただし、検索しやすさと更新の運用が伴わないと、結局使われない倉庫になりがちです。機能を入れるなら、誰がどう維持するかという運用設計とセットで考えることが大切です。

BI・データ分析・レポーティングの機能

BI・データ分析の機能は、基幹システムや各部門に蓄積されたデータを集約し、ダッシュボードやレポートとして可視化する機能です。売上や在庫、コストの推移をグラフで表示したり、部門別・商品別に切り口を変えて分析したり、KPIをリアルタイムに監視したりといった用途で使われます。データドリブンな意思決定を志向する企業や、複数システムにデータが散らばっている企業では、優先度が高くなります。

BI機能を検討するときに見落としがちなのは、見えている画面の裏側にあるデータ連携の作り込みです。きれいなダッシュボードを表示するには、各システムからデータを集め、形式をそろえ、定期的に更新する仕組みが必要で、この連携部分が開発工数の多くを占めます。

中規模のデータ統合を伴う情報系システムでは、開発費用が数百万円から1,000万円を超えることもあり、その大半はこの見えない連携に投じられます。そのため、BI機能を要件に入れるなら、可視化の見た目だけでなく、連携の難易度とコストを必ず合わせて検討してください。

ポイント

迷ったときは、自社で本当に使われるかを基準に、ナレッジ管理やBIを絞り込んでください。BIは見た目だけでなく、データ連携の費用も合わせて見てください。

外部システムと連携する機能

リアルタイム連携とバッチ連携のデータ受け渡し方式を並べた図
求めるリアルタイム性が方式選びの分かれ目です。

情報系システムは、単体で完結するよりも、ほかのシステムと連携してこそ真価を発揮します。基幹システム、グループウェア、各種SaaSなどと適切につながれば、情報の二重入力をなくし、データを一元的に扱えるようになります。連携機能は目立ちにくいものの、情報系システムの使われ方と費用を大きく左右する領域です。

基幹システム・SaaSとのAPI連携機能

情報系システムの連携先として最も重要なのは基幹システムで、販売管理や在庫管理、会計の数字をダッシュボードに取り込めば、業務データを意思決定に活かせます。連携の方式には、API(システム同士が決まった手順でデータをやり取りする仕組み)を介したリアルタイム連携と、定期的にデータをまとめて受け渡すバッチ連携などがあります。リアルタイム性をどこまで求めるかで、実装の難易度と費用が変わります。

近年は、勤怠管理や経費精算、CRMといった外部SaaSとの連携も増えています。SaaSが公開しているAPIを使えば、比較的スムーズに連携できる場合がありますが、APIの仕様変更や利用料、データ量の制限といった注意点もあります。

連携機能を要件に入れるときは、相手システムがどんな連携手段を提供しているか、その連携が安定して維持できるかを事前に確認することが欠かせません。特に、連携先のシステムが古く使えるAPIを持たない場合は、連携自体に大きな開発工数がかかることを覚悟する必要があります。

シングルサインオン・モバイル対応の機能

複数のシステムを使う企業では、シングルサインオン(一度のログインで複数システムを使える仕組み、SSO)が、利便性とセキュリティの両面で効いてきます。モバイル対応は、その機能を現場の社員が外からも使えるかに関わります。

  • 管理の負担:社員がシステムごとに別々のIDとパスワードを管理する負担が減り、退職者のアカウントを一括で無効化できる
  • モバイル対応:外出の多い営業や現場で働く社員が、スマートフォンから申請・承認・情報確認をできるかで、システムの定着率は大きく変わる
  • 承認の止まりにくさ:承認が出先からできれば、申請が承認者の不在で止まることが減る
  • 利用シーンからの絞り込み:すべての機能をスマートフォンに最適化すると開発工数が増えるため、利用シーンを起点に、モバイルで使う機能を絞るのが現実的

情報系システムを複数のサービスと組み合わせて使うなら、認証基盤の統合を要件に含めることを検討してください。

ポイント

迷ったときは、連携先が安定したAPIを持つかを基準にし、シングルサインオンやモバイル対応は利用の範囲に合わせて絞り込んでください。

セキュリティ・権限管理など非機能の領域

重要情報を囲む権限管理や暗号化など4つのセキュリティ機能の図
アクセス制御と記録を組み合わせて情報を守ります。

情報系システムの機能を検討するときは、目立つ業務機能に目が向きがちです。しかし、成否を分けるのは、画面には現れにくい「非機能」と呼ばれる領域です。

セキュリティや権限管理は、利用者の目には見えない土台を支えます。可用性やレスポンスも、その土台の一部です。

社内の重要情報を扱う情報系システムでは、ここを軽視すると情報漏洩や統制上の事故につながります。そのため、非機能こそ要件定義で丁寧に詰めるべき領域です。

権限管理・アクセス制御の機能

情報系システムは多くの社員が使うため、「誰が、どの情報に、どこまでアクセスできるか」を細かく制御する権限管理機能が欠かせません。たとえば、役職や部門に応じてアクセスできる範囲を分けたり、人事情報や経営数値のような機微な情報を特定の役職だけに限定したりする制御が求められます。

役割(ロール)ごとに権限をまとめて管理できる仕組みがあれば、人事異動のたびに個別に設定する手間が省けます。権限管理は、要件定義で曖昧にすると後でトラブルになりやすい領域です。「本来見せてはいけない情報が、別部門の社員に見えてしまった」という事故は、権限設計の甘さから生まれます。

自社の組織構造と情報の機微度を整理し、どの情報に誰がアクセスできるべきかをマトリクスで明確にしておくことが大切です。権限管理の機能が柔軟であるほど、組織変更や役割の追加に強いシステムになり、長く使うほどその価値は大きくなります。

セキュリティ・監査ログ・可用性の機能

セキュリティ機能の基本は、通信の暗号化と多要素認証で、パスワードポリシーの強制やIPアドレスによるアクセス制限も押さえておきたい機能です。監査ログは、誰がいつ何をしたかを記録する機能で、内部不正の抑止と、万一の際の追跡に役立ちます。社内の機微な情報を扱うなら、こうした機能を標準で備えているか、自社のセキュリティポリシーに沿って設定できるかを確認する必要があります。

可用性(システムが安定して使い続けられること)やレスポンス(操作の応答速度)も、非機能の要件です。たとえば、情報系システムが頻繁に止まったり、検索のたびに長く待たされたりすると、現場は使うのをやめてしまいます。そこで、同時に何人が使う想定か、どれくらいのデータ量を扱うか、どの時間帯にアクセスが集中するかを要件として明確にし、それに耐える設計を求めることが大切です。

これらの非機能要件は、契約前にSLA(サービス品質の保証水準)として明文化しておくと、稼働後のトラブルを防げます。機能一覧の見栄えだけで選ばず、こうした土台を確かめてください。

ポイント

迷ったときは、誰がどの情報に触れられるかをマトリクスで整理し、同時利用人数などの非機能要件を契約前に固めてください。

まとめ

情報系システムの必要機能・標準機能を整理すると、多くの企業に必須となる中核は「情報共有・コミュニケーション」と「申請・承認ワークフロー」です。その外側には、ナレッジ管理やBIのように業種・規模で必要性が分かれる機能があり、さらに基幹システムやSaaSとの連携機能、セキュリティ・権限管理・可用性といった非機能の領域が広がっています。

機能一覧を見るときは、個々の機能の有無に加えて、それらが一つの入口として統合されているか、見えない連携部分にどれだけ費用がかかるか、非機能の土台が自社の要求に耐えるかも確認してください。

機能を選ぶときは、全部入りを目指すより、自社の業務に本当に必要な機能を見極めて優先順位をつけることが大切です。中核機能から着手し、効果を確かめながら段階的に広げる進め方が、費用対効果と定着率の両面で有利です。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自社の業務に合わせた機能の取捨選択と、現場に定着するシステムづくりを一貫して支援します。機能の全体像と費用の関係を改めて見直したい方は、完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。