UI/UXや機能を見直すと、業務システムの入力工数や業務時間を改善できます。
長く使うと、UIや操作性が古くなり、入力ミスや二重作業、現場の不満につながる場合があります。販売・在庫と会計・勤怠の4つの事例を取り上げます。全体像は業務システムリニューアルの完全ガイドもご覧ください。
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業務システムリニューアルの全体像
業務システムリニューアルは、稼働中のシステムをUI・UXや機能の面から作り直す取り組みです。リニューアル後のシステムは、現場が使いやすく、成果につながる形を目指します。
新規開発とは異なり、これまで蓄積してきた業務知識やデータを生かしながら、画面・操作性・機能を見直します。事例を読む前に、リニューアルが求められる理由と基盤移行との違いを押さえます。
業務システムリニューアルが求められる背景
業務システムは、導入から5年、10年と使われるうちに業務の実態と画面設計がずれ、入力の手間やベテラン頼みの状態、外出先で入力できない不便が積み重なります。
- 操作の複雑化:業務フローや商品の変化で、入力項目が増える場合があります。
- 習得と属人化:新人が覚えるまでに時間がかかり、ベテラン頼みで生産性が下がります。
- 現場での機会損失:利用が広がるスマホやタブレットに旧PC画面が対応しておらず、外出先や現場で即時入力できません。
- リニューアルの必要性:使いにくさが積み重なっている状態こそ、UI/UX刷新を求める最大の理由です。
操作性の改善は、入力工数の削減やミスの低減につながります。
UI/UX刷新と基盤移行の違い
業務システムの刷新には、技術基盤を新しくする取り組みと、UI/UXや機能を見直す取り組みがあります。
- 基盤のモダナイゼーション:言語置換やクラウド移行で、サーバーの老朽化やサポート切れに対応します。現場の画面は変わらないこともあります。
- UI/UXリニューアル:本記事の対象です。現場が触れる画面や操作フロー、必要な機能を見直します。
- 画面の改善例:項目を業務の順に並べ替え、機能を1タップで呼び出せるようにします。
- スマホ対応:快適に操作できるよう、レスポンシブ対応などを行います。
- 事例の効果:使いやすさと機能の見直しが、現場の生産性や成果につながります。
自社の課題が裏側の老朽化か、表側の使いにくさかを見極めることが、効果的なリニューアルの第一歩です。
販売管理・在庫管理システムのリニューアル成功事例

販売管理と在庫管理は取引量が多く、日々の入力作業が積み重なる領域です。そのため、UI/UXの改善効果が数値に表れやすい分野です。
まず、多くの企業の業務の根幹を支える販売管理と在庫管理を取り上げます。各事例は、課題、施策、成果の順に紹介します。
事例1:老朽化した販売管理システムのUI刷新で入力工数を削減
食品卸売業のA社は、15年以上前に構築した販売管理システムを使っていました。受注画面は項目で埋まっており、必要な入力欄を探すだけでも時間がかかっていました。
1件の受注登録に平均5分以上かかり、繁忙期は入力作業が夕方まで続いて残業が常態化しました。さらに、似た商品コードの取り違えによる誤出荷も月に数件あり、クレーム対応が発生していました。
A社は、データをそのまま引き継いだうえで、受注入力画面のUIを全面刷新しました。入力の順番、商品の選び方、誤入力の防ぎ方を、それぞれ見直しました。
- 入力順:項目を業務の流れに沿って並べ替えました。
- 商品選択:得意先や商品を予測変換で呼び出せます。
- 誤入力防止:商品画像と入力内容に対する警告を加えました。
受注入力画面には、必須項目の未入力やコードの不整合を、その場で警告する仕組みも組み込みました。
改修後は、受注入力が平均5分から約2分になり、およそ6割短縮しました。繁忙期の残業も、月40時間から15時間程度に減りました。
誤出荷によるクレームもほぼゼロに近づきました。加えて、現場からは新人でもすぐ入力できるとの声があがり、属人化の解消にもつながりました。
事例2:在庫管理画面のリニューアルで欠品率を改善
アパレル小売チェーンB社の在庫画面は、一覧に数字を並べるだけの作りでした。店舗の担当者は複数の画面を行き来し、在庫数を自分で計算していました。
発注が遅れて人気商品が欠品したり、余剰在庫を抱えて値下げ販売したりする問題が頻発しました。特に欠品による販売機会の損失は、全社で無視できない規模でした。
B社は、在庫状況を直感的に把握できるダッシュボード型のUIに刷新し、その場で発注できるようにしました。
- 在庫表示:一定数を下回った商品を色分けしました。
- 発注提案:過去の販売実績から推奨発注数を自動で提示します。
- 現場発注:タブレットから在庫確認と発注ができます。
タブレットを導入したことで、本部と店舗の情報の行き違いもなくしました。
導入前と比べると、欠品率は約4割低下し、人気商品の販売機会の損失も大きく改善しました。推奨発注数で過剰発注を抑えたことで、余剰在庫は約3割削減されました。
発注業務は1日あたり1時間以上短縮しました。また、店舗担当者が接客により多くの時間を割ける点も、現場に歓迎されました。
会計・勤怠システムのリニューアル成功事例

会計と勤怠はバックオフィスを支え、毎月決まった時期に作業が集中する領域です。特に、操作性の悪さは担当者の負担に表れやすい分野です。
続いて、UI/UX改善が月次決算の短縮や打刻の手間削減に結びついた事例を紹介します。
事例3:会計システムの操作性改善で月次決算を短縮
製造業C社の経理部門では、会計システムの操作が煩雑でした。仕訳入力のたびに複数の画面で情報を確認する必要があり、勘定科目もコードを覚えていないと素早く選べませんでした。
月次決算では連日の残業が続き、締めの数字が経営層に届くまで毎月10営業日以上かかりました。経営判断を速めたい経営層にとっても、見過ごせない課題でした。
C社は、仕訳入力と帳票出力の手順を見直し、画面を一つにまとめました。勘定科目の選び方や仕訳の入力を助ける機能も組み込みました。
- 科目選択:勘定科目を名称で検索できます。
- 仕訳入力:過去の仕訳を学習し、候補を示します。
- 補助科目:入力内容に応じて候補を絞ります。
決算に必要な各種帳票も、ボタン一つで出力できるように機能を整理しました。
仕訳入力時間は従来の半分以下になり、月次決算は10営業日以上から5営業日へほぼ半減しました。
締めが早まり、経営層は月の前半に前月の業績を把握できるようになりました。経営判断が速まったうえ、経理担当者の月末残業も大幅に減り、働き方の改善にもつながりました。
事例4:勤怠システムのスマホ対応リニューアルで打刻負担を軽減
建設関連のD社では、複数の現場に従業員が分散して働いていました。勤怠管理はPC専用だったため、作業員は打刻のために事務所へ戻る必要がありました。
打刻漏れや修正申請が頻発しました。そのうえ、総務担当者は月末に紙のメモやメールの依頼を手作業で集計し、給与計算の前処理だけで数日を費やしていました。
D社は勤怠システムを刷新し、スマートフォンから直接打刻できるようにしました。出退勤から申請、承認、集計までを、同じシステムの中で扱えるようにしています。
- 現場打刻:自分のスマホから出退勤を記録します。
- 勤務記録:位置情報とともに現場を記録します。
- 各種申請:残業・休暇申請をスマホで完結できます。
- 承認・集計:通知とリアルタイム集計を導入しました。
勤怠集計も自動化されたため、総務担当者が手作業で集める必要がなくなりました。
打刻漏れは大幅に減り、月末の修正申請は従来の2割以下になりました。集計作業も、数日から半日程度へと短縮し、給与計算のミスも減りました。
作業員からは事務所へ戻らずに済むと好評でした。場所を選ばない勤怠管理が、現場の生産性と従業員満足度を高めました。
成功事例から導く業務システムリニューアルの共通成功要因

販売管理・在庫管理・会計・勤怠の4事例は業務こそ異なりますが、成功の背景には共通点があります。共通要因を2つの観点で整理し、自社の刷新に生かせるヒントを確認します。
現場目線のUI/UX設計を起点とする進め方
4事例に共通する最大の成功要因は、実際に使う現場の目線でUI/UXを設計し直したことです。
- 改善例:A社は入力順を整理し、B社は在庫を見やすくしました。
- 設計視点:担当者の動作や思考に画面を合わせます。
- 課題の把握:ヒアリングや操作観察で手が止まる場所や迷う場面を特定します。
現場の操作に合わせた設計は、入力工数の削減やミスの低減につながります。
Googleの調査では、表示が1秒から3秒に遅くなるだけで直帰率が32%上昇するとされています(出典:Google)。同様に、業務システムでも待たされない操作レスポンスは、継続利用やストレス軽減に影響します。
課題の絞り込みと既存資産の活用
もう一つの共通点は、解決する課題を絞り、蓄積してきた既存資産を生かすことです。全体を一気に作り直すよりも、現場が困っている点に焦点を当てます。
- 入力時間:入力に時間がかかる作業
- 在庫不足:欠品が起きていた在庫管理の場面
- 決算の遅れ:締めに時間がかかっていた月次処理
- 打刻の負担:出退勤の記録に手間がかかる場面
対象を絞ると効果が数値に表れやすく、投資対効果も判断しやすくなります。また、各社は過去のデータや業務知識を引き継いで、画面と機能を刷新しました。
ゼロからの新規開発に比べると、移行リスクとコストを抑えられます。さらに、計画時には要件定義に十分な時間をかけ、課題と優先順位を整理します。要件定義費は一般に総予算の10〜30%が相場とされ、丁寧な整理が後工程の手戻りを防ぎ、全体の成功率を高めます。
成功企業は、初期段階で何を変え、何を残すかを見極める作業に力を注いでいます。
まとめ
販売管理では、UI刷新で入力工数が約6割減りました。また、在庫管理では欠品率が約4割改善しました。
会計では月次決算がほぼ半減し、勤怠ではスマホ対応によって修正申請が8割減りました。課題から施策、成果までを4事例で紹介しました。
共通要因は、現場目線のUI/UX設計と、課題を絞って既存資産を生かすことです。成果につながったのは、基盤の移行より、画面・操作性・機能の見直しでした。
リニューアルは、使いにくさを解消し、入力工数や決算時間、欠品の改善につながる取り組みです。成功の鍵は、現場の声を起点にUI/UXを設計し、課題を絞り、蓄積したデータや業務知識を生かすことです。
「使いづらい」「遅い」「スマホで使えない」と感じる場合は、どの業務のどの画面を見直すか検討しましょう。そのうえで、課題整理から設計・開発まで一貫して支援できるパートナーへの相談も選択肢になります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
