電子契約システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

電子契約の導入事例では、費用対効果を試算し、紙契約の移行や社内承認、システム連携まで検討すると、削減効果と現場定着につながります。

自社の契約件数や契約フローに照らすと、「印鑑をなくすだけ」という理解による形骸化や、想定外の従量課金による費用増を避けられ、投資判断の精度も高まります。

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印紙税・郵送費削減で費用対効果を出した事例

年間の削減額を試算するため、契約件数、印紙税の階級、郵送費の単価を中央へつなぐ図。
契約件数と費用単価をそろえると、自社条件に合わせて試算できます。

紙の契約書は、収入印紙、製本、郵送、保管の工程ごとに費用がかかります。電子化すると契約1件あたりのコストを下げられ、なかでも印紙税・郵送費・印刷費の削減は、成果を把握しやすい項目です。そこで、導入事例の削減効果を自社の契約件数に当てはめて数字にすると、稟議の判断材料になります。

月20件の電子化で年間約96万円を削減した試算事例

ROIシミュレーションで費用対効果を示すと、削減額を費目ごとに追えます。一次データでは、月20件を電子化すると年間約96万円の削減になり、その大半は印紙税と契約事務の人件費によるものです。

  • 印紙税:年48万円から0円
  • 郵送資材費:年12万円から0円
  • 契約事務の人件費:年48万円から12万円

この試算は、正社員の負担を軽くする規模です。さらに、削減額の内訳が明確なため、投資回収の説明にも使えます。

月100件を電子化する試算では、紙運用の月16.5万円が電子運用で月4万円程度になります。システム月額1万円と送信料2万円を差し引いても、月12.5万円の削減が見込めます。

担当者は、自社の契約件数、印紙税の階級、郵送費の単価を掛け合わせて、年間の削減額を概算します。そのうえで、試算値を自社の数字に置き換えることが大切です。

高額契約の印紙税ゼロ化が効いた建設業の事例

印紙税の削減効果は、契約金額が大きいほど高まります。そのため、高額な工事請負契約を頻繁に結ぶ建設業では、削減額がシステム費用を大きく上回る場合があります。

  • 契約額別の印紙税:1,000万円の契約は1件1万円、7,000万円の契約は6万円が不要になります。
  • 建設工事請負契約:5,000万円超〜1億円以下では、1件あたり3万円分を減らせます。
  • 印紙税の不要化:費用削減で重視する項目に挙げた割合は30.6%で、従業員2〜50名では34.9%です。
  • 郵送費・印刷費:削減を重視する割合は、それぞれ20.0%、19.8%です。

なお、これらの割合は、マネーフォワードが2025年5月に実施した調査によるものです。電子契約の費用対効果は、業務効率といった曖昧な表現より、紙運用の実費削減を積み上げて示すほうが、稟議資料として説得力を持ちます。

IT導入補助金を使って実質負担を抑えた事例

補助金の申請を導入計画と並行させた事例では、初年度の実質負担を抑え、稟議の承認につなげています。

  • 対象となる枠:電子契約システムは対象になることが多く、インボイス枠などで導入費用の一部が補助されます。
  • 申請前の確認:機能表の対象アイコンに加えて、補助率と対象経費を確かめ、PC・タブレットの条件と申請時期も見ておきます。
  • 導入計画との連動:申請のロードマップを組み込み、システム選定と並行して進めると、実質コストを抑えられます。
  • 検討企業の動向:ITトレンドの資料請求数は、前年同期比236%増となった調査もあります。

ポイント

削減額は、契約件数と印紙税・郵送費の単価で試算し、システム費用と比べて判断します。高額契約が多いほど印紙税の削減は大きく、補助金も組み合わせると初年度の負担を抑えられます。

紙契約の一元管理と乗り換え移行を実現した事例

PDFとメタデータの一括出力、過去分の移行、新規締結の切り替え、旧システムの解約を順に示す図。
旧システムの解約は、新システムへの切り替え後に配置されています。

導入時に見落としやすいのは、既存の紙契約や旧システムからの移行です。新しい契約だけを電子化しても、過去の紙契約を別々に管理したままでは、保管場所が分からない状態が続きます。

導入後の課題調査(ContractS、2023年10月)では約8割が課題を感じ、「情報を一元管理できない」は39.5%でした。そこで、移行を支援した事例から、過去の契約を一元管理する方法を確認します。

紙契約をスキャンして検索可能にした一元化事例

紙契約をまとめて管理できるかは、スキャンの優先順位と、検索に使う情報の設計で決まります。

  • 移行の優先順位:更新間近、高額な基本契約、係争リスクのある契約を先に扱い、古い契約は後回しにします。
  • 紙データの計画:「導入前の紙データが未処理」は33.6%です。計画的に移行できるかが、定着を左右します。
  • 検索用の情報:契約日、当事者名、金額、更新期限を登録すると、全文・条件検索や期限アラートに使えます。
  • 読み取り内容の確認:AI-OCRの誤認識に備え、金額や当事者など重要項目を人が見直します。

他社サービスから乗り換えたタイミング設計の事例

既存サービスから自社業務に合うシステムへ乗り換える事例も増えています。一方で、比較記事は新規導入を前提とするものが多く、移行の実務情報は限られます。

乗り換えでは、旧システムにある締結済み契約の扱いと、解約・新規契約の時期が課題になります。特に、締結済みの契約は法定保存期間中にアクセスできる必要があります。

乗り換えは、データ移行と解約を次の順に進めます。

  1. 解約前に出力可否と形式を確かめ、PDFとメタデータを一括出力して移行要件に含めます。
  2. データを新システムへ取り込み、過去分を計画的に移行します。
  3. 移行中は両システムを並行稼働し、新規締結を新システムへ切り替えてから旧システムを解約します。

データ保持や解約時期を誤ると、契約書にアクセスできない期間が生じるおそれがあります。

ポイント

紙や旧システムの契約を、新しい契約と一緒に探せるかで判断します。解約は、出力と新規締結の切り替えを終えてからにすると、契約書を見られない期間を避けやすくなります。

稟議のスマホ承認でリードタイムを短縮した事例

契約送信を中心に、承認完了後の送信制御、承認者と日時の記録、タイムスタンプによる署名日時の記録を示す図。
送信前の承認と記録が、契約の追跡を支えます。

電子契約の効果は、社内の承認プロセスにも及びます。稟議・承認のワークフローを電子化すれば、紙の稟議書を回覧する時間を短縮できます。たとえば、電子契約とワークフローを連動させた事例では、社内側から契約のリードタイムを縮めています。

外出中の役員もスマホで承認できるようにした事例

決裁権を持つ役員が出張や外出で不在だと、紙の稟議書が止まり、契約が遅れます。連動事例では、スマートフォンで承認や差し戻しができるようになり、承認待ちの滞留時間が大幅に減りました。

遠隔申請の一次データでは、岡山県環境保全事業団で1件5分以上短縮し、年推計150万円分の人件費削減につながったとされます。申請が多い組織ほど、効果は大きくなります。

さらに、スマホ承認は利便性だけでなく、契約成立までの時間を縮めて業務のスピードを上げる施策です。

未承認契約の誤送信を防いだガバナンス強化事例

この事例では、送信制御と証跡の記録を含む統制が、導入効果として評価されています。

  • 誤送信防止:紙では、担当者が独断で承認前に送ってしまうリスクがありました。連動後は、承認完了後だけ送信できます。
  • 承認の証跡:承認者と日時を自動で記録し、後から追跡できます。
  • 署名時刻の記録:タイムスタンプで署名日時を残し、日付の操作や改ざんを困難にします。
  • 内部監査:こうした統制は、監査の担当者からも評価されます。
  • 全社展開の根拠:費用削減だけでなく証跡とタイムスタンプを統制の基盤にすると、経営層の理解を得やすく、社内全体へ広げる段階に進めます。

タイムスタンプでバックデートを防いだ統制事例

タイムスタンプによる統制は、不正の防止だけでなく、導入判断にも関わります。

  • 日付の統制:紙では悪意がなくても日付を遡ることがあります。署名時のタイムスタンプは実時刻を記録し、操作や改ざんを難しくします。
  • 証跡による抑止:承認者と承認・署名の日時を追跡でき、不正やミスの歯止めになります。
  • 導入価値:重要書類を扱う企業では、統制の強化がコスト削減と並ぶ価値になります。
  • 監査評価:内部統制の強化策として位置づけた事例は、監査部門からも高く評価されています。
  • 稟議と展開:定量効果と統制効果を並べて説明すると、経営層や監査部門の理解を得やすく、社内全体への広がりにもつながります。

ポイント

承認を早められるか、未承認の送信や日付の改ざんを防げるかで判断します。承認者と日時の証跡を残しておくと、監査の場でも説明しやすくなります。

申請処理4割削減を実現した団体・連携の事例

電子契約の効果を高めるには、会計システムや経費精算との連携が重要です。契約と申請の情報を自動でつなぐと、転記や二重確認が減り、間接部門の負担を軽くできます。実際に連携した団体の事例では、効果が数値で示されています。

会計転記とダブルチェック削減で4割減らした事例

KEC関西電子工業振興センターでは、申請データを会計処理へ連携したことで、申請処理業務を約4割削減したとされます。手作業の転記とダブルチェックを減らしたことが、その成果です。

単体導入では、電子契約や申請の効果は半分にとどまります。従来は申請書、台帳、会計へ重複して入力し、二重に確認していました。一方で、電子化後は一度の入力で後続の処理へ連携します。

締結と申請の前後で、会計や経費精算、販売管理と連携すると、二重入力をなくし、効果を最大化できます。さらに、導入後の課題調査では、システム間の業務分断を非効率とする声が38%でした。

現場定着まで伴走して成果につなげた事例

成功事例では、システムを導入したあとも、現場に定着するまで支援しています。電子契約の導入率は2025年調査で78.3%です。一方で、一部の契約だけで使われ、紙が残るケースもあります。

定着に向けて、発注側と開発会社は、開始の範囲、社内の準備、導入事例の見方をそろえます。

  • 段階的な展開:契約類型や部署を絞って始め、現場の実感を得てから全社へ広げます。
  • 社内準備:権限設定、承認ルートの再設計、社内マニュアルの整備が必要です。
  • riplaの伴走:フルスクラッチ受託と業務伴走の両面から、契約から帳票までの流れを組み直し、現場定着を支援します。
  • 事例の確認:ツール選定だけでなく定着した理由を見て、自社で効果の大きい契約類型から着手します。

月100件規模で効果を最大化した連携事例

月100件の規模では、紙運用の月16.5万円が電子運用では月4万円程度まで下がります。システム月額1万円と送信料2万円を差し引いても、月12.5万円の削減が見込めます。

年間では150万円規模の削減になり、契約件数が多いほど、この試算ではシステム費用を回収しやすくなります。

試算を実務の成果につなげるには、発注側と開発会社が、件数に応じて連携の範囲を設計します。

  • 業務システムとの連携:稟議、会計、経費精算をつなぎ、契約から請求まで一貫して処理します。
  • 自動化の範囲:署名だけでなく業務フロー全体へ広げると、二重入力を減らし、人件費を圧縮できます。

件数が多い企業では、連携による効果がさらに大きくなります。

ポイント

電子契約の効果は、会計や経費精算と連携できるかで大きく変わります。現場に定着するまで支援を受け、段階的に広げると、効果を引き出しやすくなります。

まとめ

導入事例では、印紙税や郵送費を減らし、紙契約の一元管理、稟議の承認、後続システムとの連携を組み合わせています。数字としては、月20件で年間約96万円、高額契約で1件3万円の削減例があります。遠隔申請では年150万円、会計連携では申請処理が約4割減った事例もあります。

これらの数値は、自社の件数に置き換えると稟議の材料になります。一方で、導入後に約8割が課題を感じ、「一元管理できない」「業務が分断される」「紙データが未処理」といった問題が挙がっています。

発注側は、選定したツールだけでなく、現場に定着した理由も確認します。そのうえで、自社の契約件数とフローを踏まえ、効果の大きい契約類型のデジタル化から始めます。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走を組み合わせ、契約から帳票までを通す業務フローを再設計します。さらに、定着する仕組みづくりも支援します。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。