電子決済システムの必要機能や標準機能の一覧について

電子決済システムの機能は、基本機能、解約防止、セキュリティ、付加機能の四つの役割に分けると全体像をつかみやすくなります。

また、導入時の確認点もこの分け方で整理しやすくなり、決済代行に標準で備わる機能と、自社で作り込む必要がある機能の境目も見えてきます。

  • 基本機能:マルチ決済と継続課金
  • 解約防止:洗替とダニング
  • セキュリティ:3Dセキュア、不正検知、トークン管理
  • 付加機能:ポイント、クーポン、会計連携

費用相場や仕組みといった電子決済システム全体の内容は、完全ガイドで確認できます。

マルチ決済・継続課金などの基本機能

マルチ決済・継続課金など電子決済システムの基本機能のイメージ

電子決済システムの基盤となるのは、複数の決済手段を扱えるマルチ決済機能と、定期的に課金する継続課金機能です。

この二つは多くの決済代行サービスに標準で備わっています。ただ、自社の業態にどこまで合うかは機能の細部を見ないと判断できないため、基本機能の中身を正しく理解することが機能選定の出発点になります。

クレカ・QR・コンビニ・口座振替を網羅するマルチ決済機能

マルチ決済機能は、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済、コンビニ払い、口座振替など複数の支払手段を一つのシステムで扱える機能です。また、客層に合った決済手段をそろえることは、機会損失を防ぐうえで欠かせません。たとえば、SBペイメントの調査では、「希望の支払手段がないと60%超の消費者が他店で購入する」とされており、決済手段の網羅性は売上に直結します。

決済手数料率は手段ごとに異なり、400名アンケートではクレジットカードが「3.0〜3.2%」、電子マネーやQRコードも3%台前半に集中していました。なお、実店舗では3%未満が計34.1%あり、比較的低い料率に収まっています。

マルチ決済機能を選ぶ際は、対応する決済手段の数に加えて、手段ごとの手数料率と入金サイクルも確認しておく必要があります。入金サイクルは資金繰りに直結するため、月商規模が大きい事業ほど重要な判断材料になります。また、複数の手段を一括で提供し、売上をまとめて管理できる点が、決済代行を使う最大のメリットです。

継続課金・日割り(プロレーション)計算機能

サブスクリプションや会員制サービスでは、決まったタイミングで自動的に課金する継続課金機能が中核になります。月額・年額の課金サイクルの設定、無料トライアル期間の管理、プラン変更時の差額計算など、求められる機能は意外に細かいものです。

とくに重要なのが、月の途中でプランを変更したり解約したりした際の日割り(プロレーション)計算です。これを正確に処理できないと、過剰請求や請求漏れが起き、顧客とのトラブルにつながります。さらに、日割り計算は単なる金額の按分ではなく、後述する収益認識(売上計上のタイミング)とも連動するため、会計連携まで見据えて設計する必要があります。

継続課金機能を作り込むと、開発費は都度課金のみの場合の1.5〜2倍になるというのが、一次データの目安です。それでもサブスク事業にとっては必須の投資で、ここを軽視すると後から大きな手戻りが生じます。

ポイント

マルチ決済と継続課金は多くの決済代行に標準で備わるため、自社の業態に合う決済手段がそろっているか、日割り計算まで対応しているかを、手数料と入金サイクルとあわせて見ると判断しやすくなります。

洗替・ダニングなど解約防止のための機能

洗替・ダニングなど電子決済システムの解約防止機能のイメージ

継続課金を扱うなら、解約を防ぐ機能も必ずセットで検討しておきたいところです。顧客に辞める意思がないのに決済が失敗して契約が切れる「インボランタリーチャーン(非自発的解約)」は、サブスク事業では見えにくい損失源になります。

これを防ぐのが洗替とダニングで、決済の解説記事では踏み込まれにくいものの、実務で最も効く機能群です。

洗替(カード自動更新)機能

洗替(アカウントアップデーター)は、登録されたカードが再発行されたり有効期限が更新されたりした際に、カードブランドが保有する最新情報を自動で取得し、登録情報を更新する機能です。これがないと、有効期限が切れるたびに顧客へ「カード情報を入れ直してください」と頼むことになり、その手続きの面倒さが離脱の引き金になります。

洗替機能があれば、顧客に何も意識させずに継続課金を維持でき、失効による解約を構造的に防げます。サブスクペイ(ROBOT PAYMENT)のような継続課金特化のサービスは、洗替を標準で備えています。

ただし、洗替はカードブランドや決済代行の仕組みに依存するため、自社が扱う決済手段すべてで効くかを選定の段階で見ておく必要があります。一部の手段だけでしか効かないと、その手段を使う顧客に失効リスクが残ります。

ダニング(自動リトライ・催促)機能

ダニング機能は、決済が失敗したときに、最適なタイミングで自動的に再請求を試み、必要に応じて顧客へ催促通知を送る機能です。たとえば、限度額オーバーなら月初の枠回復後、一時的な通信障害なら数時間後というように、失敗理由に応じて再試行の間隔を設計できるかどうかが、回収率を左右します。

ダニング機能の良し悪しは、リトライの「賢さ」で決まります。やみくもに何度も再試行すると、カード会社から不審な取引とみなされたり、顧客に不快感を与えたりします。失敗理由、顧客の入金サイクル、過去の成功パターンを踏まえてリトライ戦略を組めるかが、機能の質を分けます。

あわせて、決済失敗を顧客にメールやアプリ通知で知らせ、カード情報の更新を促す流れも含まれます。洗替が「情報を最新に保つ」守りの機能だとすれば、ダニングは「失敗からの回復」を担う攻めの機能です。この二つを組み合わせて初めて、インボランタリーチャーンを最小化できます。

ポイント

洗替とダニングは、片方だけでは非自発的な解約を防ぎきれないため、両方に対応しているかを、決済手段ごとに見ると判断の目安になります。

3Dセキュア・不正検知などのセキュリティ機能

3Dセキュア・不正検知など電子決済システムのセキュリティ機能のイメージ

決済システムでは、セキュリティ機能がもはや必須の要件です。カード情報の漏えいや不正利用は、事業の信頼を一夜で失わせるリスクがあります。そのため、3Dセキュア、不正検知、カード情報の非保持化は、いずれも法令・業界基準への対応とチャージバック(不正利用の返金請求)対策を両立させるための中核機能です。

EMV 3-Dセキュア(本人認証)機能

3Dセキュアは、カード決済時に本人認証を追加し、なりすましによる不正利用を防ぐ仕組みです。とくにEMV 3-Dセキュア 2.x は、2025年3月末でECサイトへの導入が原則義務化された必須要件です。そのため、これに対応していない決済システムは、もはや選択肢になりません。

最新の3Dセキュア2.xは、取引のリスクに応じて認証の要否を判断するリスクベース認証に対応しており、不正は防ぎつつ、正常な取引のカゴ落ちは抑えられる設計になっています。ただし、本人認証が雑だと、せっかく購入意思のある顧客が認証の途中で離脱してしまいます。セキュリティと購入完了率(コンバージョン)のバランスをどう取るかが、3Dセキュア機能を評価する基準になります。

機能を選ぶ際は、単に3Dセキュアに対応しているかだけでなく、EMV 3-Dセキュア 2.x の最新仕様に準拠しているか、リスクベース認証で不要な認証画面を省けるかまで確認しておきたいところです。

AI不正検知・非保持化(トークン管理)機能

AI不正検知は、過去の取引パターンを学習し、不審な取引をリアルタイムで判定してブロックする機能です。たとえば、短時間に同一カードで複数回購入する、配送先と請求先が大きく異なるといった怪しい兆候を捉え、チャージバックの発生を未然に防ぎます。

チャージバック率が一定(例として0.9%超)を超えると、アクワイアラ(カード会社側)から違約金を科されたり、最悪の場合は決済機能そのものを停止されたりします。そのため、この機能は事業継続のリスク管理に直結します。

もう一つの中核であるトークン管理機能は、カード番号そのものを自社で保持せず、決済代行が発行するトークンに置き換えて扱うことで、PCI DSSの準拠範囲を最小化します。一次データでは、非保持化により開発・セキュリティコストを50〜70%削減できるとされています。また、トークン管理機能の有無は、セキュリティの強さだけでなく、監査コストや乗り換え時のデータ移行のしやすさにも影響します。

ポイント

EMV 3-Dセキュア 2.x の最新仕様に準拠しているか、不正検知とトークン管理によって自社がカード情報を保持せずに済むかを、機能選定の目安にするとよいです。

ポイント付与・クーポン併用制御などの付加機能

ポイント付与・クーポン併用制御など電子決済システムの付加機能のイメージ

決済機能の周辺には、リピートを促し顧客価値を高める付加機能が広がっています。ポイントの付与や失効、クーポンの発行や併用制御、会員DBとの連携は、決済を単なる精算から、顧客との継続的な関係づくりの起点へと変えます。

ただし、これらは標準では簡易な機能にとどまることが多く、本格的に活用するなら作り込みが必要になります。

ポイント付与・失効・会員ランク連携機能

ポイント機能は、決済金額に応じてポイントを付与し、有効期限による失効を管理し、会員ランクに応じて付与率を変える、といった一連の処理を担います。ポイントはリピート促進の強力な動機づけになる一方で、付与・利用・失効のルールが複雑になりやすく、決済データと正しく連動していないと付与漏れや二重付与が起きます。

決済とポイントを一つのデータ基盤で扱うことが、運用の破綻を防ぎます。そのうえで、会員ランクと連携させれば、購買額に応じてランクが上がり、上位ランクほどポイント付与率や特典が手厚くなる設計も可能になります。これは顧客のLTV(生涯価値)を高める王道の施策です。

決済代行の標準機能ではここまで作り込めないことが多く、自社の販促戦略に合わせたポイント設計を実現するには、フルスクラッチでの構築が選択肢になります。また、ポイント機能は、付与だけでなく失効・ランク・販促との連動まで含めて設計してこそ効果を発揮します。

クーポン発行・併用制御・会計連携機能

クーポン機能では、発行や配布だけでなく、「複数のクーポンを併用できるか」「ポイントとクーポンを同時に使えるか」といった併用制御が実務上の肝になります。併用ルールが曖昧だと、想定外の大幅割引が成立し、利益を損ないます。そのため、クーポンとポイントを正しく計算し、割引後の金額で決済する機能が、販促と収益のバランスを保つのに欠かせません。

さらに、これらの付加機能は会計連携まで見据えて設計する必要があります。決済トランザクションのAPIから自動仕訳を生成し、入金消込を自動化すれば、経理の月次締め作業を大幅に短縮できます。

サブスク事業では、サービス提供期間に応じた日割りの売上計上(収益認識)や前受金(繰延収益)の管理も発生するため、決済・ポイント・クーポン・会計が一体で動く設計が理想です。riplaはフルスクラッチ受託の立場から、決済を入り口に会員・ポイント・会計までをつなぐ機能設計を支援しており、付加機能は決済と会計の全体の中で位置づけて検討することが大切です。

ポイント

ポイントとクーポンは、失効や会員ランク、併用ルールまで決済と連動して扱えるかを基準に、標準機能で足りるか作り込みが必要かを見分けます。

まとめ

電子決済システムの機能まとめイメージ

電子決済システムの機能は、基本機能、解約防止、セキュリティ、付加機能の四つの層で構成されます。多くの基本機能は決済代行に標準で備わっている一方で、洗替・ダニングの細かなUX設計、ポイントの会員ランク連携、決済と会計の自動連携は、自社の業務に合わせた作り込みが必要になります。

機能を検討する際は、「あると便利な機能」を網羅的に並べることではなく、自社の業態と事業フェーズに本当に必要な機能を見極めることが大切です。たとえば、EMV 3-Dセキュア 2.x の義務化のように必須となる機能は外せませんが、ポイントやクーポンの作り込みは事業の販促戦略次第です。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、必要機能の取捨選択と、決済から会計までをつなぐ設計を一貫して支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。