飲食業界のシステムの必要機能や標準機能の一覧について

飲食業界のシステムの必要機能と標準機能は、次の五つのカテゴリに大きく分けられます。どの機能が必須かは業態によって変わるため、自店に要る機能を見極めることが出発点です。

  • 注文連携:オーダーエントリーの注文を、厨房へ伝える仕組み
  • 会計・決済:POSによる精算と売上の記録
  • 在庫・原価:食材の発注管理と、メニューごとの利益の把握
  • 予約・顧客管理:来店情報を、再来店を促す施策へつなげる
  • 周辺連携:会計ソフトや勤怠、本部とのデータのやり取り

各機能の役割と費用の目安を押さえれば、自店のMUST機能とWANT機能を切り分けやすくなります。全体像をまだ把握していない方は、先に飲食業界のシステムの完全ガイドから読むのがおすすめです。

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・飲食業界のシステムの完全ガイド

オーダーエントリーとキッチン連携の機能

ハンディ端末の注文がキッチン機器とPOSへ連携する流れの図解。
注文の伝達と会計データの反映をひと続きで捉えられます。

飲食業界のシステムの中核にあたるのが、オーダーエントリーシステム(OES)です。ホールのスタッフがハンディ端末やタブレットで注文を入力すると、その情報はキッチンプリンターやキッチンディスプレイへすぐに届き、同時にPOSの会計データにも反映されます。

厨房へ注文を伝える手書きの伝票や、口頭での復唱といったアナログな工程を置き換えるのが、この機能のいちばんの役割です。注文と伝達のミスを減らせるため、ほかの機能を支える基礎にもなります。

ハンディ端末・キッチンプリンターの標準機能

業態で必要な機能は変わるため、自店で必須の機能を見極めることが、機能選定の第一歩です。標準機能の筆頭は、ハンディ端末での注文入力と、キッチンプリンターへの自動出力です。ホールスタッフが卓番とメニューを選ぶだけで、ドリンクはドリンクカウンターへ、料理は調理場へと自動で振り分けられ、「伝票がキッチンに届かなかった」といったトラブルが減って、提供スピードと正確性も上がります。

キッチンプリンター自体は3〜5万円程度が目安で、注文連携の要となる機器です。さらに、卓ごとの注文状況の一覧表示、追加注文の管理、コース料理の提供タイミング制御なども標準機能に含まれます。とくに居酒屋やレストランのように一卓で複数回の注文が入る業態では、卓単位で注文を積み上げて管理できることが必須です。

一方で、テイクアウト中心の店舗では卓管理より、待ち番号の発行や受け取り通知の機能が重要になります。紙のプリンターに加えて、画面で注文を管理するキッチンディスプレイ(KDS)も普及しており、調理状況のステータス管理で提供漏れや作り忘れを防げます。繁忙時の厨房でも調理の優先順位が分かり、回転の速い業態ほど効果を発揮します。

モバイルオーダー・セルフオーダーの機能

近年、オーダーエントリーの発展形として標準化しつつあるのが、モバイルオーダーとテーブル設置型のセルフオーダーです。客が自分のスマートフォンやタブレットからメニューを見て直接注文するため、ホールスタッフが注文を取りに行く工程をなくせます。人手不足が深刻な飲食業界で、省人化につながる機能として注目されています。

セルフオーダーの機能には、写真付きの見やすいメニュー表示、多言語対応、アレルギー表示、おすすめやセット商品のレコメンドなどが含まれます。客が自分のペースでメニューを見られるため、追加注文の単価が上がる効果も期待できます。一方で、高齢の客やデジタルに不慣れな客には、有人での注文受付も併用できる柔軟さが求められます。

自店にどんな客が来るかを見極め、有人とセルフを使い分けながら、客に役立つ機能を選ぶことが、セルフオーダーを成功させる鍵です。インバウンド需要のある立地では多言語対応が特に重要で、母国語で注文できれば、言葉の壁による注文ミスや接客の負担が減り、客の満足度も上がります。食の安全意識が高まるなか、アレルギー表示も欠かせない機能になりつつありますが、必須かどうかは立地や客層で変わります。

ポイント

卓で注文を重ねる業態か、テイクアウト中心の業態かで、必須となる注文連携の機能は変わります。まずこの違いを基準に、機能を絞り込むと選びやすくなります。

POS・会計・決済の機能

POSを中心に会計処理、売上集計、レジ締め、キャッシュレス決済を配置した図解。
日々の会計処理から売上確認までを一つの機能群として整理しています。

飲食業界のシステムで、もっとも導入率が高い機能がPOS(販売時点情報管理)です。会計、売上の記録、レジ締めの集計を担うこの機能は、飲食店経営の基盤そのものといえます。

近年はタブレット型POSが主流となり、低コストで多機能なシステムを使えるようになりました。タブレット型POSの一式は合計約15万円から揃えられ、その内訳は、端末が約5万円、レシートプリンタが5万円、ディスプレイが2.5万円です。ほかに、スキャナが1.5万円、ドロアが1万円、決済端末が5,000円〜となります。

会計・売上集計・レジ締めの標準機能

POSの標準機能には、会計処理、割引・クーポンの適用、複数人での割り勘が含まれます。加えて、税率の自動計算や、日次・月次の売上集計とレジ締めも備わっています。飲食店では、テーブルごとの会計に加えて、グループの支払い分け、ドリンクの追加精算、サービス料の加算にも対応することが求められます。

これらの会計パターンを正確に処理できるかが、POSを選ぶときの重要な比較点です。月額の料金体系は、スマレジが0〜5,500円、Squareが0〜13,000円、POS+(ポスタス)が14,000円〜と幅があります。

無料プランから始められるものもありますが、機能に制限があるため、自店に要る機能が無料の範囲で足りるかを確かめる必要があります。なお、初期費用や月額のほかに、決済手数料2.9〜3.5%などの「見えない月額ランニングコスト」が月1.5〜3万円ほど継続的にかかるため、比べる際には織り込んでおくべきです。

セルフレジ・自動釣銭機・キャッシュレス決済の機能

会計まわりの発展機能には、セルフレジ・セミセルフレジ、自動釣銭機、キャッシュレス決済があります。セミセルフレジは、注文と伝票をスタッフが担い、支払いだけを客が行うため、現金のやり取りをなくして締め作業とミスを減らせます。費用の目安は、自動釣銭機が50〜100万円(中古20〜40万円)、フルセルフレジが総初期費用150〜350万円、セミセルフが1セット300〜450万円です。

キャッシュレス決済は、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済に加え、非接触決済(QUICPay等)も標準化しつつあります。JCBの実証では、非接触決済は現金より約20秒速く会計でき、ピーク回転が約50%向上したとされています。決済手数料は2.9〜3.5%程度かかり、各種の月額費用と合わせると、月1.5〜3万円ほどの見えないコストが継続的に発生します。

これらは必須ではなく、客層と業態で取捨選択するものです。たとえば、現金客が多ければセミセルフと自動釣銭機、若年層が多ければキャッシュレス重視、回転率を重視する店舗なら決済の高速化が効くように、自店に合う組み合わせを設計することが大切です。多機能な機器は魅力的ですが、便利さと費用のバランスを見ながら、客数と客単価に見合うかを確かめ、必要なものから段階的に導入するのが現実的です。

ポイント

会計機能を比べるときは、初期費用と月額に加えて、決済手数料などの継続費用まで含めることが基本です。客層で現金とキャッシュレスのどちらが多いかも、必要な会計機能を選ぶ目安になります。

食材在庫・原価管理の機能

発注、賞味期限、理論在庫、メニュー別原価と粗利の4機能を示す図解。
在庫の記録からメニューごとの利益把握までを確認できます。

利益を直接左右する機能が、食材在庫管理と原価管理です。飲食店は利益率が薄いため、食材ロスや過剰在庫、原価率の悪化が経営を直撃します。

在庫管理機能は、食材の入出庫を記録し、適正な在庫を保つための発注を支えます。さらに、POSの売上と連携すれば、メニューが売れた分だけ食材在庫を自動で引き落とす理論在庫の管理が可能になります。その結果、勘に頼った発注から、実需に基づく発注へ移行できます。

発注・棚卸し・食材ロス管理の機能

在庫管理の標準機能には、発注点を下回った食材の発注アラート、仕入先別の発注書作成、棚卸しの記録があります。ほかに、消費期限・賞味期限の管理なども含まれます。

とくに生鮮食材を扱う飲食店では、賞味期限管理が食材ロス削減の要になります。期限が近い食材が一目で分かり、優先的に使い切るよう促す機能は、飲食店特有の廃棄ロスを直接減らします。こうした在庫機能は、店舗単独でも価値がありますが、後述するセントラルキッチンや本部との連携で、さらに威力を発揮します。

棚卸し機能は、これまで手作業で帳簿と現物を突き合わせていた作業を効率化します。ハンディ端末で在庫をスキャンして数えるだけで棚卸しが完了し、帳簿在庫との差異も自動で算出されます。そのため、棚卸しにかかる時間とミスを減らせます。

原価管理機能の真価は、メニュー別の原価率と粗利が分かる点にあります。レシピ(食材構成と分量)を登録すれば、仕入価格の変動に応じて原価がリアルタイムで更新され、利益率の高低を一目で比べながら、価格改定やメニュー構成の見直しをデータで判断できます。POSの売上と組み合わせれば、「よく出るが原価が高いメニュー」と「あまり出ないが利益率が高いメニュー」を識別し、訴求の優先順位を決められます。

飲食店の利益は数パーセントの世界で、原価率を1〜2ポイント改善するだけでも経営への影響は大きくなります。たとえば、本部で各店舗の在庫と発注を一括管理すれば、まとめ買いで仕入コストを抑え、店舗間で在庫を融通できます。さらに、セントラルキッチンで仕込んだ食材を各店へ配送する場合も、在庫システムが配送量と消費量を管理して、ロスを抑えられます。

原価・粗利分析は、管理にとどまらず、店舗の収益力を底上げする戦略機能と捉えるべきです。単店舗では在庫管理が過剰に感じられても、多店舗展開を見据えて早めに導入すれば、規模拡大時の混乱を防げます。自店が原価のどこに課題を抱えているかを明確にし、成長計画に合わせて必要な在庫機能の範囲を見極めてから、この機能が必要かどうかを判断してください。

ポイント

食材ロスや原価率の悪化が響きやすい店ほど、在庫・原価の機能の優先度は上がります。複数店舗やセントラルキッチンを持つ場合は、本部で在庫をまとめて管理できるかも判断の材料になります。

予約・顧客管理と周辺システム連携の機能

来店を生み出し、リピートにつなげる機能が、予約管理と顧客管理(CRM)です。予約管理は、電話、Web、予約サイトからの予約をまとめて扱い、席の空き状況とダブルブッキングを防ぎます。

顧客管理は、来店履歴や好み、誕生日などの情報を蓄積し、再来店を促す施策に活かします。集客から再来店までを支えるこれらの機能は、売上の安定に直結します。

予約・席管理・顧客管理(CRM)の機能

予約管理機能には、複数の予約経路の統合と席ごとの割り当てがあります。ほかに、自動の予約確認メールやリマインド、キャンセル管理なども含まれます。グルメサイトや自社サイトからの予約をまとめて管理できると、二重予約や予約漏れといったトラブルを防げます。

顧客管理では、来店回数や注文傾向で顧客をランク分けし、クーポンやお知らせで再来店を促せます。リピート率が経営を左右する個人店や小規模チェーンでは、顧客情報を活かした関係づくりが強みになります。たとえば、「前回頼んだメニューを覚えている」「誕生日にメッセージが届く」といった体験が、客の特別感とロイヤルティを高めます。

これらの機能はPOSと連携することで、会計と同時に顧客情報が蓄積され、手間なくデータが貯まる仕組みになります。予約・顧客管理は、業態によって必須度が分かれますが、リピート前提の店舗では優先度の高い機能です。

会計ソフト・勤怠・多店舗本部連携の機能

周辺システムとの連携は、飲食店のシステムの価値を高めます。たとえば、POSの売上データを会計ソフトへ自動で連携すれば、日々の記帳の手間が省け、月次決算も早まります。また、勤怠管理システムと連携すれば、シフトと人件費を売上と突き合わせて管理でき、適正な人員配置の判断材料になります。

これらの連携は、バックオフィス業務全体の効率化につながります。多店舗展開する飲食企業では、本部が各店舗の売上・在庫・原価をリアルタイムに集約できる連携機能が不可欠です。こうして各店のデータが本部に集まれば、店舗間の比較分析や、好調店のノウハウの横展開、不振店の早期発見が可能になります。

ただし、本部の標準化したマスタ管理と店舗の現場判断(値引きや取り置きなど)に乖離があると、連携が現場の足かせになります。riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、本部と現場のバランスを踏まえた連携設計を重視しています。連携機能は便利な反面、追加開発費という隠れコストを伴うため、本当に必要な連携を見極めることが大切です。

売上分析・販促・モール連携の機能

飲食店のシステムが提供する発展機能として、売上分析と販促支援があります。POSに蓄積された売上データを分析すれば、時間帯別・曜日別・メニュー別の売れ行きが見え、シフトの組み方やメニューの改廃を判断する材料になります。どの時間帯に何が売れるかが分かれば、仕込みや人員配置をムダなく組め、機会損失と過剰在庫の双方を減らせます。

これらは、データに基づく店舗運営を支える機能です。販促機能では、顧客管理と連動したクーポン配信、LINEやアプリを使ったお知らせ、ポイントプログラムの運用などがあります。来店履歴に応じて適切なタイミングで再来店を促せるため、リピート率の向上に直結します。

また、テイクアウトやデリバリーを行う店舗では、自社のモバイルオーダーや出前のプラットフォームとの連携機能も重要です。販促や分析の機能は、すべての店舗に必須ではありませんが、集客とリピートに課題を抱える店舗にとっては、売上を底上げする有力な選択肢になります。自店が伸ばしたい指標に合わせて、必要な機能を選ぶことが欠かせません。

ポイント

リピートが経営を左右する店ほど、予約・顧客管理の優先度は高くなります。周辺連携は、本部の標準と現場の運用にずれがないかを確かめてから必要性を判断します。

まとめ

飲食業界のシステムの機能は、五つの柱にまとまります。注文を扱うオーダーエントリーとキッチン連携、会計を担うPOS・セルフレジ・キャッシュレス決済、利益を守る食材在庫・原価管理がその三つです。残りは、来店とリピートを支える予約・顧客管理と、これらをつなぐ周辺システム連携になります。

タブレット型POSは約15万円から、月額はスマレジが0〜5,500円といった相場があります。こうした相場を押さえつつ、自店の業態に必要な機能を見極めることが、選定の出発点です。機能を選ぶときは、「多機能かどうか」よりも「自店のMUST機能を確実に満たすか」で見るのが基本です。

テイクアウト中心ならセルフオーダーと待ち番号、リピート重視なら顧客管理、多店舗なら本部連携というように、業態で優先すべき機能は変わります。riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、店舗の実態に合わせ、必要な機能を過不足なく組み上げる設計を支援します。機能の全体像を改めて整理したい方は、完全ガイドもあわせてご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。