ABAPのシステムは、標準機能を活かし、公開APIで拡張し、移行を見据えて設計することで、業務に必要な機能を長く運用しやすくする仕組みです。
できることと開発方式、進め方と費用、会社選びと運用上の注意を順に並べました。各テーマの詳細は、関連記事もあわせてご覧ください。
▼関連記事一覧
・ABAPのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・ABAPのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・ABAPのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・ABAPのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について
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ABAPのシステムの概要

ABAPのシステムは、SAP ERPやSAP S/4HANAを業務基盤として運用する仕組みです。ABAPは、その基盤の上で帳票、画面、承認、外部連携などを拡張する役割を担います。
SAPの業務データを中心に、プログラム、データベース、権限、運用環境を組み合わせて動かします。標準機能では表現しにくい業務ルールやデータ処理は、ABAPが担います。
開発では言語だけでなく、業務プロセスとシステムのライフサイクルを合わせて捉えます。標準機能と公開APIを優先すると、移行やアップデートに備えられます。
ABAPが支える業務の範囲
財務会計や販売などの中核業務を支えるABAPでは、業務データを扱う機能から外部との処理まで開発できます。
- レポートと帳票:売上・在庫の集計や請求書、納品書の出力
- 承認画面:受注や購買の決裁に使う
- 外部連携と定期処理:取引先との連携や夜間のバッチ処理
たとえば、受注データを物流システムへ渡し、出荷結果をSAPへ戻す場合は、請求処理までつなぎます。このとき、連携形式、失敗時の再送、重複登録の防止も設計の対象になります。
一覧・集計にはALV、データモデルにはCDS、サービスにはODataやRESTを使い分けます。業務アプリでは、SAP Fioriとの組み合わせも考えます。
開発の前に、利用者と端末、リアルタイム処理が要るかどうか、監査履歴を残す必要があるかを決めておきます。そうすると、後から画面や連携方式を作り直すリスクを抑えられます。
システム全体の構成
基本構成は、ABAPランタイムを動かすアプリケーションサーバー、HANAなどのデータベース、SAP GUIやFioriの画面です。これに加えて、連携基盤、認証・認可、開発・検証・本番環境も構成に含まれます。
運用では、移送やジョブの管理、監視、バックアップ、障害対応、テストデータの管理が欠かせません。そのため、発注時にはインターフェース一覧、権限ロール、ジョブ条件、エラー対応手順も成果物に含めるよう求めます。
ABAPのシステムでできることと種類
作りたい機能は、何を入力し、何を計算し、何と連携するかに分けると整理できます。新しい画面であっても、標準アプリの設定や項目拡張で実現できる場合があります。
一見単純な帳票でも、複数の会社コードや通貨、締め処理、権限制御が関わると、調査とテストの工数は増えます。
帳票・レポート・分析機能
レポートは業務データを一覧や集計にまとめ、帳票は請求書、注文書、納品書、作業指示書などを出力します。設計では、次の条件を決めておく必要があります。
- 出力条件:締め日、税区分、伝票状態、対象組織
- 出力形式:CSVまたはPDF
- 大量データへの対応:抽出条件、検索用インデックス、バックグラウンド実行、出力履歴
S/4HANAでは、CDSで業務上の意味を持つデータモデルを整えます。そうすると、分析やFiori画面から同じモデルを再利用できます。さらに、共通モデルと権限ルールを作っておけば、制度や組織が変わったときにも対応しやすくなります。
外部連携・バッチ・承認
販売、倉庫、銀行、EDI、CRM、BIなどとつなぐ方式は、API、IDoc、RFC、BAPI、ファイル連携から選びます。方式によって、確認すべき事項も変わります。
- リアルタイム連携:通信失敗時のタイムアウトと再試行
- ファイル連携:文字コード、桁数、到着遅延、重複ファイルの扱い
連携が10本、20本と増えると、項目マッピングと例外処理を管理するのが難しくなります。そのため、データ項目一覧とエラーコード表を先に整えておきます。
承認では、条件別の経路、代理承認、差し戻し、期限切れ、履歴を扱う必要があります。夜間バッチでは、件数、実行時間、前後関係、再開方法、通知を事前に決めておきます。
自動処理が多いほど、例外が起きたときの手作業と監査証跡まで決めておくことが、安定した運用につながります。
パッケージ・クラウド・個別開発の違い
ABAPの個別開発が必要かを判断するには、標準に業務を合わせる方法や、基盤の運用を任せる方法と比べてみます。
- パッケージ:標準機能や業界テンプレートに業務を合わせ、開発量や更新負荷を抑えやすい
- クラウド:基盤・更新の管理を任せられる範囲が広い
- 個別開発:業務に合わせやすい一方、コードや設計書、テスト、保守知識が蓄積する
クラウドの総保有コストは、ユーザー数、データ量、連携、契約期間、運用体制によって変わります。そのため、5年程度の利用期間をそろえて比較します。
標準機能、設定、キーユーザー拡張、ABAP Cloud、サイドバイサイド拡張、Classic ABAPの順に確認します。それでも必要な範囲だけを個別開発します。
方式を先に検討しておけば、実装後に移行できないと気づく事態を避けられます。
Classic ABAPとABAP Cloudの違い
Classic ABAPは、ECCやS/4HANAで幅広い構文やオブジェクトを使える方式で、既存のZプログラムを保守しやすい特徴があります。一方で、未公開テーブルなどへの依存があると、移行時の調査や回帰テストが増えます。
ABAP Cloudは、クラウド対応の言語範囲と公開APIを使う開発モデルです。SAP標準のコードと顧客の拡張を分けることで、ライフサイクルの安定性を高めます。
Classic ABAPが向いている案件
Classic ABAPを使うかどうかは、既存業務を続ける必要と、将来の移行への影響を合わせて見極めます。
- 適用しやすい案件:業務を止めない帳票追加、長年使うバッチ改修、独自の会計・物流ルールの維持
- 既存環境の扱い:オンプレミスやプライベート環境では資産と拡張点を調べ、段階的に整理
- 将来の負債:標準テーブルの直接参照、標準コードの変更、ロジックの複製は、後の移行で手間を増やしやすい
- 資産の判断:既存のコードや機能の継続・修正・廃止を記録する
判断では、既存資産の使用実績、業務上の重要度、移行時の修正量、標準機能での代替可否を見ます。
ABAP Cloudの特徴と拡張方法
ABAP Cloudでは、CDSでデータモデルを定義し、RAPで業務オブジェクトやサービスを作ります。開発、デバッグ、テストは、ABAP Development Toolsで行います。
SAPの公式資料は、公開APIやオブジェクトでSAPのコードと顧客のコードを分け、アップグレードに強い拡張を目指す考え方を示しています。
詳細はSAP Help PortalのABAP Cloud Development Modelで確認できます。
S/4HANA Cloud Public Editionでは、変更の規模とSAPとの結び付きに応じて、拡張方法を選びます。
- キーユーザー拡張:項目追加やフォーム調整
- 開発者拡張:SAPと密接に動く複雑な業務ロジック
- サイドバイサイド拡張:独立アプリや複数サービスをまたぐ処理
2026年時点のSAP公式資料では、開発者拡張にRAP、Fiori、公開API、クラウド最適化されたABAP言語を組み合わせる形が示されています。
開発方式の選び方
候補は、現在のシステム形態、業務との結合度、更新頻度、移行予定、公開APIの有無を基準に比べます。
判断は現行環境だけで行わず、移行後も使う機能かどうかを確かめます。
- 新規のS/4HANA Cloud:標準機能とキーユーザー拡張を先に確認し、必要な機能だけABAP Cloudや外部拡張へ進める
- 既存ECCの短期改修:帳票改修ではClassic ABAPが必要な場合がある
- 移行を見据えた実装:コードを移行対象に分類し、置き換えやすいインターフェースを使う
- 候補の評価:標準対応、公開API、差別化要件、移行後の利用、障害時の復旧担当を確認する
- 開発の要否:移行後に使う機能が少なければ、業務手順の見直しを優先する
ABAPのシステム開発の進め方

開発は、現行調査と要件定義から始まります。続いて方式設計と設計・実装を行い、テストへ進みます。そのあと移行・リリースを経て、稼働後支援に入ります。工程ごとに、業務、SAP機能、データ、インフラ、運用の責任を誰が持つかをはっきりさせます。
小規模な改修でも、入力条件、出力、権限、エラー対応、受入基準を決めてから実装すると、手戻りを減らせます。
▶ 詳細はこちら:ABAPのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
現行調査と要件定義で決めること
現行調査では、SAP製品とバージョン、モジュールを洗い出します。加えて、会社コードとユーザー数、データ量を確認します。Zプログラムも、現行の資産として押さえておきます。
拡張、帳票、ジョブ、連携、権限ロール、障害履歴も確認します。名前を見ただけでは利用中かどうか分からないため、実行ログや利用部門への聞き取りで、利用頻度と業務上の重要度を調べます。
未使用の資産を外しておけば、移行やテストの対象を減らせます。
- 現行資産の洗い出し
- 要件と受入責任を決める
「処理を速くする」のような目標は、「月次締めを何営業日短縮する」のように、測れる業務目的に置き換えます。
まず、対象業務と入力、処理ルール、出力を決めます。そのうえで、例外や権限、保存期間を条件として書き出し、監査証跡、性能、可用性の要件も加えます。その条件をもとに、標準機能と追加開発を分けます。
業務部門の承認者と受入責任者は、初期段階で決めておきます。決めないまま始めると、完成後に要件が変わることがあります。
設計・実装の成果物
方式設計では、SAP内で完結させるか外部サービスに分けるか、同期処理にするかバッチにするかを決めます。そのうえで、画面や帳票、データ、API、エラーコードを設計します。権限やログ、性能目標も設計の対象です。
ABAP Cloudでは、公開API、CDS、RAP、拡張ポイントを使えるかを見ます。使えないオブジェクトに依存していないかは、設計レビューで確かめます。
実装では、命名や例外処理、ログの書き方を標準化します。静的解析やコードレビューも同じルールで進め、単体テストの結果とあわせて必要な成果物を残しておきます。
- 設計・実装物:設計書、ソースコード、移送依頼、インターフェース定義
- 運用・品質資料:ジョブ設定、権限設計、テスト結果、運用手順
担当者が替わっても保守できるよう、処理の理由と、業務カレンダーや締め条件への依存を説明できる資料にしておきます。
テスト・移行・リリースの進め方
リリース後の業務まで想定して、テスト、切り替え、稼働判定の順に進めます。
- テストする:単体、結合、総合、性能、権限、ユーザー受入を行い、必須項目の空欄、マスタ不在、二重送信、外部連携停止、月末の大量データ処理も確かめる。
- 移行を照合する:本番前に複数回リハーサルし、件数、金額、残高、状態、関連伝票の整合性を照らし合わせる。
- リリース準備をする:開始条件、停止時間、バックアップ、移送順、担当者、連絡先、切り戻し条件を決め、稼働直後はハイパーケアを設ける。
- 稼働を判定する:問い合わせを緊急障害と改善要望に分け、締め、請求、支払、出荷が予定時間内に終わるかを見極める。
ABAPのシステム開発にかかる費用相場と内訳
ABAP開発費は案件ごとに変わり、一律の定価はありません。費用は、モジュールや既存コードの品質、連携本数によって決まります。さらに、データ移行、テスト範囲、Basis・インフラ、保守の有無も費用に関わります。
次の金額は、公開された業務システム・ERPの費用構造とSAP移行調査をもとにした概算です。見積もりでは、ABAP改修費とERP全体の導入・移行費を分けて考えます。
▶ 詳細はこちら:ABAPのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
▶ 詳細はこちら:ABAPのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について
案件規模ごとの費用と期間の目安
ABAP部分の費用と期間は、案件の規模と含める工程によって幅があります。
- 小規模:帳票数本などで100万〜500万円程度、1〜3か月
- 中規模:複数モジュールやFiori・連携を含み500万〜2,000万円程度、3〜9か月程度の場合
- 大規模アドオン:業務拡張や移行を含み2,000万〜1億円程度、6〜18か月程度の場合
- ABAP資産移行:ECCからS/4HANAへ移行する場合、5,000万〜3億円程度、9〜24か月程度
小規模には単純なレポート、既存画面への軽微な項目追加、単一連携が含まれます。中規模では帳票・承認、APIやIDoc連携、総合テストが対象です。
大規模では、権限や監査、移行も含む場合があります。資産移行では、Zプログラムの洗い出し、静的解析、非互換の修正、公開APIへの置換、性能・回帰テストが必要になります。
ここに示した金額と期間は個別案件の推定値で、実際はコード量や対象業務によって前後します。
ERP全体の移行費用とABAP費用を分ける理由
ERP全体の移行費用とABAP改修費は、含まれる作業範囲が異なるため、分けて比べます。
- 調査結果:国内295社では移行費10億円以上が26%、5億〜10億円未満が24.7%(出典:国内295社のSAPユーザー調査に関する公開資料)
「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」の移行費用は、ERP全体の金額です。ABAPだけでなく、業務コンサルティングやデータ移行、インフラ、テスト、教育、稼働後支援も含みます。
見積書では、現行調査や機能コンサルティング、ABAP設計・実装、移行、テストを分けて書いてもらいます。Basis・インフラ、教育、カットオーバー、ハイパーケア、保守も別に示してもらうと、確認しやすくなります。
ABAP修正費が3,000万円でも、連携や移行リハーサルを加えれば総額は増えます。コード単価だけで比べると、移行できない処理やテスト不足が後から見つかり、予算を超える恐れがあります。
保守・運用費の見込み方
保守契約の対象には、問い合わせへの対応から定期的な運用作業まで含めて考えます。
- 問い合わせ・障害:調査や対応、軽微な改修
- 日常運用:SAP更新、ジョブ・連携監視、バックアップ、権限変更
- 定期管理:脆弱性対応や定期報告
一般的な業務システムでは、初期開発費の年10〜20%程度が目安として示されることがあります。なお、24時間運用や休日対応、複数環境、SLA、オンサイト支援を含めると、増額します。
契約では、月額固定の範囲と時間単価・チケット制の範囲を分けて決めます。大規模改修、制度変更、移行支援、性能改善が契約外になるかどうかも明記します。
受付時間や一次回答の目安、復旧目標、エスカレーション先を確認します。ソースコードや設計書、テスト結果、監視設定は、利用企業が取得できるようにしておきます。
ABAPのシステム開発会社・ベンダーの選び方
知名度や単価だけでなく、SAP業務の理解、ABAP技術、移行・テストの経験、セキュリティ、保守体制を見ます。
ABAPプログラマーだけで組むのか、機能コンサルタントやBasis、データ移行、テスト担当を含む納品チームで組むのかによって、責任と費用が変わります。
業務・SAP・ABAPの経験の確認
実績は、導入社数だけでなく、自社に近い業界、モジュール、会社規模、データ量、連携方式、現行バージョンに合わせて確認します。移行の予定がある場合は、次に挙げる技術経験も追加で見ておきます。
- 移行・解析:Classic ABAP改修、ATCなどの検査、公開APIへの置き換え
- 新しい開発方式:CDS・RAP、Fiori、性能検証
工程、担当者の役割、納品物、稼働後の障害件数、利用企業側の作業を聞いておくと、会社同士を比べやすくなります。
初回調査でどの項目を見るか、調査後にどんな判断資料を出すかも確認します。使用頻度、重要度、依存関係、テスト影響、廃止候補まで調べる提案であれば、移行や保守のリスクを捉えやすくなります。
見積もりと体制で比較すべき項目
相見積もりでは、各社の工程をそろえて比べます。前半は現行調査、要件定義、設計で、後半は実装、テスト、移行、教育、稼働後支援です。どの工程も同じ条件で見積もってもらい、対象の量と利用環境の前提も、各社でそろえておきます。
- 対象量:プログラム、画面、帳票、連携の本数、テストケース
- 利用・環境条件:データ量、ユーザー数、環境数、稼働時間、訪問頻度
前提が違ったまま合計金額を比べると、安く見える提案でも、後から別の費用が発生することがあります。
契約書には、成果物やソースコードの帰属、再委託の扱いを記載します。さらに、担当変更時の引き継ぎ、障害責任、仕様変更、検収、保守範囲も盛り込みます。
環境分離、移送承認、アクセス権限、ログ保存先も、分担に含めます。「対応できます」という口頭の説明だけでなく、提案書と契約書に作業と責任が具体的に書かれているかを確かめます。
保守体制と将来の移行方針
委託先を選ぶ際は、保守対応力と現行環境の保守期間を踏まえて、移行方針を決めます。
- 対応体制:受付時間、専門担当との分担、障害優先度、復旧目標、月次報告、担当者の継続性
- Business Suite 7:主要アプリのメインストリーム保守は2027年末まで。延長保守は2028年から2030年までの選択肢
- S/4HANA:少なくともいずれかのリリースが2040年まで保守対象となる方針
機能コンサルタントとABAP担当の連携や、業務部門へ説明できる窓口も確認します。仕様を説明できる人がいないと、復旧までの時間や追加費用が増えます。
SAPの保守方針はSAPの保守戦略に関する公式情報で確認できます。現行システムをすぐ廃止するか、延長保守を使って段階的に移行するかは、コード品質、業務リスク、予算、社内人材を踏まえて決めます。
▶ 詳細はこちら:ABAPのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
ABAPのシステム開発で失敗を防ぐチェックポイント

難しさの主な原因は、業務ルールがコードに埋め込まれていること、データ品質にばらつきがあること、システム間で責任の境目が曖昧なことです。そのため、業務、データ、セキュリティ、運用のリスクを事前に洗い出しておきます。
データ移行とマスタ整備
得意先、仕入先、品目、勘定科目、組織、税区分のマスタに重複や欠落があると、処理結果が業務に合わなくなります。移行条件は、業務部門が決めます。
- 移行条件:対象、保持期間、重複統合、コード体系、必須項目、過去データ
- 照合項目:変換前後のサンプル、件数、金額、残高、関連キー
変換ロジックに任せきりにせず、照合は毎回行います。本番直前の一度だけでなく、検証環境で移行リハーサルを繰り返します。
1回目は変換エラー、2回目は業務テストと照合、最終回は所要時間と切り戻しを確かめます。移行、データ承認、プログラム修正の責任者は、分けておきます。
権限・ログ・法対応の事前設計
財務、取引先、従業員情報を扱うシステムでは、権限、証跡、復旧手段を要件に含めます。
- アクセス管理:職務分掌に沿うロール、最小権限、特権ID管理
- 変更の記録:開発・検証・本番の分離、移送承認、変更履歴、監査ログ
- 安全管理:バックアップ、復旧手順、通信暗号化
個人情報保護委員会は、安全管理措置の例として、アクセス制御や認証を挙げています。そのほかに、不正アクセス防止、ログ分析、通信暗号化なども示しています。
詳細は個人情報保護委員会の個人情報保護法ガイドラインを確認します。
会計や販売では、電子取引データの保存、検索性、改ざん防止、帳簿との関連性を確かめます。国税庁の資料は、訂正・削除履歴、日付・金額・相手方での検索、調査時のダウンロード対応を案内しています。
帳票処理では、表示だけでなく、保存形式と期間、元データとの関連、削除権限も設計に含めます。くわしくは国税庁の電子取引関係資料をご覧ください。
標準化と変更管理の運用ルール
変更を続けていくには、開発の共通ルールと、要望ごとの判断手順を運用に組み込みます。
- 開発標準:命名、設計・コードレビュー、静的解析、テスト条件、移送承認、緊急変更のルール。
- 要望の検討順:標準機能、設定、拡張、外部アプリ、既存コード改修の順に比べ、選定理由を残す。
- 変更管理:業務効果、納期、費用、テスト、将来の移行への影響を評価し、締めや決算に関わる日程は業務カレンダーから逆算する。
公開API拡張とClassic ABAPの保守は別の基準で扱い、環境ごとのルールを文書にまとめます。
長期利用の条件は、変更を安全に受け続けられる運用にあります。
ABAPのシステムに関するよくある質問(FAQ)
ABAPの将来性、クラウドでの利用、社内保守、外注範囲について、導入や改修の際によくある疑問に答えます。
ABAPは将来なくなりますか?
すぐになくなるとは考えにくく、Classic ABAPの保守とABAP Cloudによる開発を使い分けます。さらに、S/4HANAではCDS、RAP、Fiori、公開APIの活用が広がっています。
文法だけでなく、業務モデル、API、テスト、クラウド拡張の方式も学んでおく必要があります。
S/4HANAでClassic ABAPは使えますか?
環境や機能によっては使えます。ただし、新規開発で無制限に依存することは避けます。既存資産では、非互換の箇所、未公開オブジェクトへの依存、性能、移行後のテスト範囲を調べます。
新しい拡張では、公開API、拡張ポイント、CDS、RAPを優先します。そうすることで、アップグレード時の修正範囲が広がりにくくなります。
クラウドのABAPはオンプレミスより安いですか?
クラウドにすれば必ず安くなるとは限りません。基盤運用の負担は減る一方で、契約の費用が発生します。さらに、ユーザー数とデータ量、連携に関わる費用がかかります。加えて、追加環境、移行、教育、保守の費用も発生します。
初期費用だけでなく、5年などの利用期間で、ライセンス、開発、運用、更新、障害対応の合計を比べます。
開発会社へ相談するときに何を渡せばよいですか?
現行の製品とバージョン、モジュール、業務フローの情報を渡します。さらに、Zプログラム、画面や帳票、連携の情報も用意します。加えて、ユーザー数、データ量、権限、障害履歴も伝えます。希望時期と予算枠も、あわせて伝えます。
情報が足りない部分は、不明と明記します。そのうえで、初回調査で追加で確認すべき項目を、開発会社に提案してもらいます。
ABAP実装だけの見積もりと、移行・テスト・保守を含む見積もりは分けて依頼します。
まとめ
ABAPのシステムは、SAPを業務基盤として使うための拡張、連携、運用の仕組みです。帳票の追加から複数の連携、S/4HANA移行、全社ERPの刷新まで規模は幅広く、必要な体制や費用もそれぞれ異なります。
標準機能・公開API・業務要件の整理
新規開発では、標準機能、設定、キーユーザー拡張、ABAP Cloud、外部拡張、Classic ABAPの順に比べ、必要な範囲だけを実装します。
既存のClassic ABAPは、利用実績と移行への影響を調べたうえで、継続・修正・廃止を判断します。費用を抑えるには、未使用のコードや重複処理、未整備のマスタ、曖昧なテストを減らします。
見積もり前の現行資産と責任分担の整理
相談の前に、現行バージョン、Zプログラム、連携、帳票を整理しておきます。データ、権限、希望時期も、あわせて書き出しておきます。提案を受けるときは、業務理解、移行・テスト、セキュリティを確認します。さらに、成果物、保守、担当の継続性も見ておきます。
不明点をはっきりさせたうえで、調査、設計、実装、テスト、移行、運用のそれぞれに責任者を決めます。こうした整理が、ABAPシステムの安定稼働につながります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
