入退室管理システムのパッケージ/クラウド製品一覧

入退室管理システムは、後付け型クラウド、複数拠点向けクラウド、大規模施設向け設置型に分けて比べると、自社に合う候補を絞れます。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。方式の違い、主要5製品、課題別の選び方の順に、要点を見ていきます。

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パッケージ型とクラウド型入退室管理システムの違い

パッケージ型の大規模施設の個別要件への対応と、クラウド型の多拠点管理を左右に比べた図
施設の個別要件と拠点運用が方式選びの分かれ目です。

パッケージ型は、自社環境への設置や個別構築まで含めた広い意味で使われます。一方、クラウド型は、ベンダーが運用するサービスをインターネット経由で使う方式です。

実際に選べる入退室管理製品は、現在クラウド型が中心です。ただし、大規模な設置型システムも、管理の基盤はクラウド連携を前提に進化しています。

パッケージ型の論点は大規模施設の個別要件への対応

従来型のパッケージは、ソフトウェアと専用コントローラを自社の建物設備に組み込む形態が一般的です。

  • 対応範囲:数千ゲート規模の管理、指静脈などの生体認証、独自のエリア権限の設計に対応しやすい点が特徴です。
  • 保守:サーバーやコントローラの管理、バージョンアップを、自社か契約している外部の業者が担う範囲が大きくなります。
  • 導入期間:設置工事を伴うため、クラウド型より長くなりやすく、計画に織り込む必要があります。

データセンターや大規模オフィスビルでは、既存の防災設備や入退室記録の保管年数など、個別の要件が多く出てきます。発注側は、導入時の自由度に加えて、改修を続けられる保守体制も確かめます。

短期導入と多拠点管理に向くクラウド型

クラウド型は、サーバーを調達せずに始めやすい方式です。そのうえで、ベンダーによる機能更新や法改正への追随も受けられます。

  • 多拠点管理:複数の拠点や店舗を一つの管理画面で見たい企業向けです。
  • 段階導入:数扉から試し、段階的に広げたい企業にも候補になります。
  • 監査対応:導入しただけで、ISMSやプライバシーマークの監査に応えられるとは限りません。
  • ログ設定:自社が求める保存期間や出力形式を先に整理して、システム側の設定に反映します。
  • 障害対応:ベンダー側でシステム障害が起きたとき、現地で解錠や履歴確認をどこまで続けられるかを見ておきます。

ポイント

自社の建物に設置するか、ベンダーの運用に任せるかを先に決めると、比較する候補が絞れます。個別要件が多い施設では、パッケージ型の対応範囲を優先して見ると判断しやすくなります。

製品比較でそろえる確認の観点

入退室管理製品を認証方式、エリア権限、ログ、料金の4観点で確認する図
同じ質問を各製品に当てると、条件の差を追いやすくなります。

自社の建物や運用ルールに合うかは、機能一覧からは見極めにくいものです。そのため、発注側は認証方式や権限、ログ、料金などを同じ条件で比べます。

対応認証方式とエリア権限のカバー範囲の比較

まずは、実際に使う扉の構成と組織体制をベンダーに伝え、デモで再現してもらいます。

  • 認証方式:ICカードやスマホ、暗証番号、生体認証のうち、自社が使いたい手段に対応するかを確かめます。
  • グループ管理:「エリア権限に対応」とあっても、部署単位での管理が標準機能かを見る必要があります。
  • 追加権限:時間帯の制御やゲスト向けの一時権限が追加設定になるかどうかで、担当者の運用負荷は変わります。
  • 既存カード:社員証や交通系ICカードを、そのまま使えるかを見ておきます。
  • 切り替え:専用カードの発行費用や、従業員への対応の手間にも関わります。

ログ監査・他システム連携・料金体系の確認

比べるときは、日々の運用と費用に関わる条件も押さえておきます。

  • ログ:入退室の記録について、保存期間や検索のしやすさを確かめます。
  • 監査出力:ISMSやプライバシーマークの監査で求められる形式に、データを出せるかを確かめます。
  • 連携:勤怠管理システムや監視カメラ、エレベータと、APIかCSVでつながるかを比べます。
  • 連携条件:対象データや同期の向き、追加費用も比較します。
  • 料金:扉数や登録者数、拠点数など、製品ごとに課金単位が異なり、総額が大きく変わります。

見積もりをそろえるため、現在の規模に加えて将来の拡張計画もベンダーに伝えます。詳しい評価の手順は、入退室管理システムの選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

ポイント

機能の多さより、自社の運用ルールに合うかで候補を並べ替えると迷いにくくなります。比べる項目は、デモの前に社内で優先順位を付けておくと、評価がぶれにくくなります。

入退室管理システムの主要製品5選

2026年7月時点で、現行の公式ページと対象業務を確認できた5製品を紹介します。製品ごとに得意な規模や認証方式、料金体系が異なるため、掲載順はランキングとは別のものとして見てください。自社の課題と利用条件に当てはめると、製品ごとの違いが見えやすくなります。

Akerun入退室管理システム(株式会社Photosynth)

Akerunは、既存のドアに後付けできるクラウド型のスマートロックです。ICカードとスマートフォンアプリで解錠できます。

2026年7月時点の公式サイトでは、入退室ログ、遠隔での施錠・解錠、複数拠点の管理を案内しています。さらに、勤怠管理とのAPI連携や、受付・予約サービスとの連携にも対応しています。

料金は具体的な金額が示されておらず、見積もり依頼制です。そのため、扉数や拠点数を伝えて、個別に確認します。

bitlock PRO(株式会社ビットキー)

bitlock PROは、サムターンに後付けする法人向けのスマートロックです。

  • 管理機能:「workhub」からエリア別・時間帯別・グループ別の権限とログを、まとめて扱えます。
  • 料金:2026年7月時点の公式サイトでは、初期費用0円、月額5,000円(税込)からとされています。
  • オプション:顔認証や自動ドアとの連動を、追加で付けられます。
  • 解錠方法:12種類に対応しており、社員証や交通系ICカードを使いたい企業の候補にもなります。
  • 料金確認:改定されることもあるため、契約前に公式サイトで最新の額を見ておきます。

ALLIGATE(株式会社アート)

ALLIGATEはクラウド型で、ICカード・スマホ対応の「Lock Pro」、顔認証の「Face」、QRコード認証の「QR」を提供しています。

  • 料金:2026年7月時点の公式サイトでは、月額も初期費用も問い合わせ制です。
  • 見積もり:設置予定の扉の写真と要望を伝え、個別に算出してもらいます。
  • 料金に含む内容:ネットワーク通信費込みの機器レンタル、専用クラウド環境、24時間365日のサポートが対象です。
  • 向く企業:扉ごとに認証方式を使い分けたい企業に合った製品です。

KEYVOX(ブロックチェーンロック株式会社)

KEYVOXは、QRコードと暗証番号のほか、Apple・Googleウォレットやスマートフォンアプリでも解錠できます。さらに、来客管理や履歴確認、予約管理のほか、API・開発者向けの機能も備えています。

人の出入りが流動的なコワーキングスペースや宿泊施設でも利用されており、公式サイトでは2026年7月時点で30日間の無料トライアルを案内しています。

オフィス向けの具体的な月額料金は、掲載ページには見当たりません。そのため、対象人数や施設規模を伝えて、料金の詳細を確かめます。

eX-SGⅡ(パナソニック)

eX-SGⅡは、電気工事を伴う設置型の大規模施設向けシステムです。非接触ICカードは、FeliCaとMIFAREに加え、eLWISEや交通系カードにも対応しています。

指静脈などの生体認証にも対応しています。2026年7月時点の公式仕様は、最大6000ゲート、カード30万枚、履歴500万件です。

データセンターや大規模オフィスビルなど、扉数が多く高い信頼性を求める現場の候補になります。料金は掲載されていないため、個別に問い合わせる必要があります。

自社の課題別に候補を絞る方法

単一拠点、複数拠点、大規模施設の課題に応じた製品候補の観点を3枚のパネルで示す図
施設規模が変わると、先に確かめる条件も変わります。

5製品を細部まで一斉に比べるより、最も大きな課題を決めて、必須要件で候補を減らすほうが効率的です。適した製品のタイプは、課題によって変わります。

  • 単一拠点の効率化:後付け型スマートロックが中心になります。
  • 複数拠点をまとめて管理:拠点をまたぐ権限管理やログの集約を見ます。
  • 大規模施設の高信頼性:対応規模や保守体制を確かめます。

単一拠点でコストを抑えたい場合

数扉から十数扉程度の単一拠点で、工事を抑えて短期間に導入したい場合は、Akerunやbitlock PROが候補になります。認証を柔軟に使い分けたい場合や、顔認証・QRコード認証も検討したい場合は、ALLIGATEやKEYVOXも比較対象になります。

コワーキングスペースや短期利用の拠点が多い場合は、契約期間の縛りや、拠点ごとの解約・追加のしやすさも比べます。

複数拠点や大規模施設で高い信頼性を求める場合

複数拠点をまとめて管理する場合は、拠点をまたぐ権限管理やログの集約を確かめます。そのうえで、扉数と将来の拡張計画を示し、対応上限と保守体制を確認します。

数千ゲート、生体認証、高い稼働率保証が必要なデータセンターや大規模ビルでは、eX-SGⅡなどが候補になります。

監視カメラやエレベータと密に連携したい場合や、独自の非常時解錠が必要な場合は、既製のクラウド製品だけでは足りないことがあります。その場合は、フルスクラッチ開発との組み合わせも検討します。

ポイント

最大の課題を一つに決めにくいときは、拠点が増える計画の有無で、見る製品タイプを分けます。短期導入が優先なら後付け型から確認すると、候補を減らしやすくなります。

料金・契約前の確認事項

公開価格だけで選ぶと、扉数の増加や生体認証などの追加で、想定外の費用が生じることがあります。そのため、月額だけでなく、導入準備から解約までを含む総保有コストで判断します。ここには、工事や保守、データ移行も入ります。

課金単位の確認

料金は、扉数や登録者数、拠点数など、製品ごとに課金単位が異なる場合があります。オプション機能も、課金の対象になることがあります。そこで、1年後・3年後の拡張計画も伝えておきます。

また、初期費用や最低利用期間、保守・サポート費用は、同じ条件で見積もってもらいます。オプションの従量課金も、比べる項目に入れます。非公開の価格を推測で比較表に入れると、比較が正しく成り立ちません。

契約書で確認する工事範囲・データ保持・解約条件

設置型では、機器の納入と設置工事の請負契約、ソフトウェアの利用契約が、別々になる場合があります。そのため、月額に含まれる範囲を確かめます。

追加のリーダーや配線工事が別料金かどうかも確かめます。そのうえで、ログや生体情報の保存期間、権限管理、解約時のデータ受け取り形式も確認します。

ポイント

工事費と保守費を含めた総額で比べられるよう、見積もりの前提を先にそろえておくと判断しやすくなります。前提が違うままでは、見積もり同士を比べても意味がありません。

デモとPoCによる最終候補の絞り込み

資料で比べて2〜3製品に絞ったら、実際の扉構成を使ったデモか実機PoCを行います。その場には、情報システム、総務、施設管理の担当者が加わり、必要に応じて現場の従業員も参加します。

認証から解錠までの実機テスト

想定人数の利用を前提に、認証から電気錠の解錠までを連続して試し、応答速度を確かめます。さらに、通信を遮断した状態でも、コントローラのキャッシュで解錠を続けられるかを試します。

共連れ検知やアンチパスバックのある製品では、人の流れに近い条件で、誤検知や見逃しがないかを確かめます。

導入効果の実測と稟議での活用

PoCの前に、鍵の受け渡し時間や、権限変更の依頼から反映までの時間、監査対応の工数を記録しておきます。PoCの後に同じ項目を測り、比べます。

削減見込みは、自社の扉数と運用工数をもとに算出します。公開事例の効果は、そのまま当てはめず、クラウド型でも残るアカウント管理や問い合わせ対応の負荷を差し引いて、投資効果を判断します。

ポイント

候補が2〜3製品に絞れた段階で、各製品で同じシナリオを試すと、製品同士の差が見えやすくなります。試す場面は、実際の扉構成と利用人数に合わせて決めると、現場で困りにくくなります。

入退室管理システムの製品比較で押さえておきたいポイント

候補を選ぶときは、料金やおすすめ順位だけでなく、建物構成と利用規模を同じ条件で比べます。選定の際に判断が分かれやすい点も、あわせて整理しておきます。

大規模な個別要件があるときのパッケージ型とフルスクラッチ

機能や料金を確認しやすい製品は、クラウド型が中心です。一方で、数千ゲートや独自の非常時解錠が必須なら、eX-SGⅡなどの設置型も比べます。

個別開発や、クラウドサービスと基幹システムを組み合わせるハイブリッド構成も、候補になります。

最優先課題で変わるおすすめ製品

全企業に共通する1位はありません。単一拠点のコスト、複数拠点管理、大規模施設の信頼性など、自社の最優先課題に合う製品を選ぶことになります。

必須要件で2〜3製品に絞ったら、各製品で同じシナリオのデモまたはPoCを行い、比べます。

数年単位の総保有コストでの料金比較

同じ扉数や拠点数、オプション条件を示したうえで、数年単位の総保有コストで比べます。初期費用と月額費用のほか、工事や保守費用も含めて考えます。

ICカードの発行費用や、解約時のデータ出力費用も、比べる対象に加えます。

まとめ

製品は、単一拠点向けの後付け型、複数拠点を管理するクラウド基盤、大規模施設向けシステムに大きく分かれます。紹介した5製品も、認証方式や対応規模、料金体系がそれぞれ異なります。

課題診断から2〜3製品への絞り込み

まず最優先課題を決めます。そのうえで、認証方式や権限、ログ監査、料金を同じ質問で比べ、連携についても確かめます。そうすれば、広告的な順位に左右されず、候補を絞れます。

最後の実機PoCによる確認

資料に載る機能の数より、自社の扉やネットワーク環境で、認証から解錠まで一気通貫で処理できるかを確かめます。

  1. 例外処理:関係者と一緒に、想定外の場面での動きまで試しておきます。
  2. 導入効果:削減効果と、導入後に残る運用工数を測ってから判断します。

既製のクラウド製品では、独自のエリア権限設計や基幹システムとの連携を吸収できない場合があります。その場合は、個別開発やハイブリッド構成も候補になります。

riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足機能の整理や、自社の建物設備に合わせたシステム構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。