資産管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

企業が保有する固定資産・IT機器・設備などの資産情報を正確に把握・管理できていますか。資産台帳が紙やExcelで管理されていたり、会計システムと資産情報が二重管理になっていたりすると、棚卸作業に多大な工数がかかるばかりか、減価償却の計算ミスや資産の所在不明といったリスクが生じます。特に資産数が数百件・数千件を超えてくると、人手による管理には限界があります。そこで多くの企業が検討するのが、資産管理システムの自社開発・カスタム開発です。

資産管理システムの開発は、固定資産台帳管理・減価償却計算・資産棚卸・IT資産管理といった業務機能を正確に実装するだけでなく、既存の会計システムやERPとの連携、既存台帳データの移行なども含む大規模なプロジェクトになりえます。適切な進め方を知らないまま開発に着手すると、要件の漏れや手戻りが発生し、開発コスト・期間が大幅に膨らむことになります。本記事では、資産管理システム開発の全体の流れから各フェーズの進め方・注意点までを具体的に解説します。

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資産管理システム開発の全体像と開発期間の目安

資産管理システム開発の全体像

資産管理システムの開発は、一般的なWebシステム開発と共通する部分も多いですが、会計・税務知識に基づく業務ロジックの複雑さと、既存データの移行作業が特有の課題として挙げられます。まずは開発の全体構造を把握しましょう。

資産管理システムの種類と主な機能

資産管理システムは大きく「固定資産管理システム」と「IT資産管理システム」に分類されます。固定資産管理システムは、建物・機械・車両・備品などの有形固定資産の取得から廃棄までのライフサイクルを管理し、減価償却計算・固定資産台帳の維持・税務申告用データ出力などを担います。IT資産管理システムは、PC・サーバー・ソフトウェアライセンスなどのIT機器・ソフトウェアの管理を目的とし、ハードウェアの所在・使用者の把握やライセンス過不足の管理が中心となります。

両方の機能を統合して管理したい場合は、統合型資産管理システムの開発が選択肢となります。開発範囲を明確にするためにも、まず自社がどの種類の資産管理を主な課題としているかを整理することが重要です。

開発期間の目安(規模別)

資産管理システムの開発期間は、管理する資産の種類・件数・連携システムの数によって変わります。標準的な目安は以下の通りです。

  • 小規模(資産数1,000件以下・基本機能のみ):3〜5ヶ月 — 要件定義・設計1〜1.5ヶ月、開発1.5〜2ヶ月、テスト・リリース1ヶ月
  • 中規模(資産数1万件・会計システム連携あり):6〜9ヶ月 — 要件定義・設計2ヶ月、開発3〜4ヶ月、テスト・移行・リリース1〜3ヶ月
  • 大規模(資産数10万件以上・ERP連携・多拠点管理):10〜18ヶ月以上 — 要件定義・設計3〜4ヶ月、開発5〜8ヶ月、テスト・データ移行・リリース2〜4ヶ月

会計システムやERPとの連携が多いほど、仕様調整やインターフェース開発の工数が増えます。また、既存の資産台帳データの移行作業(データクレンジング・変換・検証)は想定以上に時間がかかるケースが多いため、スケジュールには十分な余裕を設けることが大切です。

フェーズ1:要件定義の進め方と重要ポイント

資産管理システム要件定義の進め方

要件定義は開発プロジェクト全体の成否を左右する最重要フェーズです。資産管理システムの要件定義では、業務部門(経理・財務・IT管理部門)と開発ベンダーが緊密に連携し、現状業務の課題と理想の姿を明確にすることが求められます。

管理対象資産のスコープ定義

まず、どの種類の資産をシステムで管理するかを明確にします。固定資産(土地・建物・機械・車両・備品)なのか、IT資産(PC・サーバー・ネットワーク機器・ソフトウェアライセンス)なのか、あるいは両方なのかを決めます。管理対象の資産数・種類・属性情報(取得日・取得原価・耐用年数・所在地・管理部門・廃棄予定日など)のリストアップも必要です。

また、減価償却計算の方法(定額法・定率法)、税務申告用データの出力形式、会計システムへの仕訳連携の仕様なども要件定義段階で明確にしておく必要があります。これらは会計・税務の専門知識が必要な領域であり、経理部門の担当者と開発ベンダーが丁寧にすり合わせを行うことが重要です。

外部システム連携要件の整理

資産管理システムは単独で機能するだけでなく、会計システム・ERP・購買システム・IT資産管理ツールとのデータ連携が必要になるケースが多いです。要件定義では、どのシステムとどのような形式(API・CSVファイル・DBダイレクト連携等)でデータをやり取りするかを明確にします。連携先システムのベンダーとの調整が必要なため、早期に連携仕様の確認を開始することをお勧めします。

フェーズ2〜3:設計・開発の進め方

資産管理システムの設計・開発フェーズ

要件定義が固まったら、設計フェーズに移行します。資産管理システムの設計で特に重要なのは、データモデル設計と業務ロジックの正確な実装です。

データモデル設計と減価償却ロジックの実装

資産管理システムのデータモデル設計では、資産マスタ(資産コード・資産名・取得日・取得原価・耐用年数・償却方法・所在地・管理部門など)を中心に、償却履歴テーブル・異動履歴テーブル・棚卸履歴テーブルなどを設計します。減価償却の計算ロジックは、定額法・定率法・250%定率法・200%定率法など複数の計算方式を正確に実装する必要があり、税法改正への対応も考慮した設計が求められます。

また、資産の取得・移動・除却・廃棄といったライフサイクルイベントを管理する仕組みも設計します。各イベントが会計上の仕訳データとして正しく出力されるよう、会計部門と仕様の確認を繰り返しながら設計を進めることが重要です。

開発の進め方とアジャイル・ウォーターフォールの選択

資産管理システムの開発方法としては、ウォーターフォール型とアジャイル型があります。会計・税務ロジックなど仕様が明確な機能はウォーターフォール型で確実に実装し、管理画面のUI/UXや運用ワークフローに関わる機能はアジャイル型で段階的に改善するハイブリッドアプローチが有効です。

開発フェーズでは、バックエンドのAPI開発・フロントエンド開発・外部システムとのインターフェース開発を並行して進めます。特に会計システムとの連携機能は、連携先の仕様変更や認証周りの対応で想定外の工数が発生するケースがあるため、バッファを多めに確保しておくことを推奨します。

フェーズ4〜5:テスト・データ移行・リリースの進め方

資産管理システムのテストとデータ移行

資産管理システムのテストフェーズでは、減価償却計算の正確性・外部システムとのデータ連携・棚卸機能の動作を中心に検証します。特に減価償却計算は、実際の資産データを用いた計算結果と手計算・既存システムの計算結果が一致するかを徹底的に確認します。

既存台帳データ移行の重要性と進め方

既存の資産台帳データ(ExcelやCSV、旧システムのデータ)を新システムへ移行する作業は、資産管理システム開発において特に重要かつ難易度の高い作業です。データクレンジング(表記揺れ・重複・欠損の修正)、データ変換(新システムのフォーマットへの変換)、移行後の検証(件数・金額の突合)の3ステップで進めます。

特に注意が必要なのは、減価償却の累計額や取得原価の正確な移行です。移行データに誤りがあると、その後の償却計算やB/S(貸借対照表)の数値に影響が出ます。移行は本番リリースの1〜2ヶ月前から開始し、リハーサルを複数回実施することを強く推奨します。

リリースと運用フェーズの進め方

リリース時期は、決算期や税務申告の時期を避けることを強く推奨します。新システムへの切り替えは業務負荷の低い時期を選び、並行稼働期間(旧システムと新システムを同時に使用する期間)を設けることでリスクを低減できます。運用フェーズでは、法改正(税制改正・耐用年数の変更等)への対応や、棚卸作業のサポート、バグ修正・機能追加のための保守契約を開発ベンダーと締結しておくことが重要です。

まとめ:資産管理システム開発を成功させるために

資産管理システム開発まとめ

資産管理システム開発を成功させるためのポイントは次の通りです。①要件定義で管理対象資産のスコープと外部システム連携仕様を明確にする、②設計フェーズで減価償却ロジックを会計部門と丁寧に確認しながら固める、③テスト・移行フェーズで実データを用いた検証を十分に実施する、④リリース時期は決算期を避け、並行稼働期間を設ける、⑤運用フェーズでの法改正対応・保守体制を事前に整える、以上が特に重要なポイントです。

資産管理システムの開発・発注を検討している企業は、まず開発会社の選定と費用相場の把握から始めることをお勧めします。詳しくは以下の関連記事もご覧ください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。