バックアップシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

バックアップシステムの発注・外注では、保存容量や製品名を先に決めるのではなく、どの業務を何分で復旧し、どの時点までデータを戻すかを定義してから、保管方式と委託先を選ぶことが重要です。

この記事では、バックアップシステムを外部へ委託する際の発注形態、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先選定、見積比較、導入後の復元テストまでを、発注担当者がそのまま使える順序で解説します。バックアップを取得するだけでなく、ランサムウェアや災害の後に本当に復元できる仕組みを作ることが目的です。

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バックアップシステムを発注・外注する前に知るべき全体像

バックアップシステムの発注計画を検討する担当者

バックアップシステムは、ファイルを複製するだけの仕組みではありません。対象データ、取得頻度、保存世代、保管場所、暗号化、復元手順、監視、障害時の連絡体制までを一体で設計する業務基盤です。発注時は「バックアップが成功したか」だけでなく、「決めた時間内に、整合性を保った状態で、誰が復旧できるか」を確認します。

対象資産を洗い出してから発注範囲を決めます

最初に、ファイルサーバー、物理サーバー、仮想マシン、データベース、業務アプリケーション、クラウド上のワークロード、Microsoft 365やGoogle WorkspaceなどのSaaSを一覧化します。各対象について、データ容量、1か月あたりの増加量、更新頻度、保存期間、個人情報の有無、現在のバックアップ方法、復元実績を記録します。SaaSはサービス提供者が可用性を担保していても、誤削除や退職者のデータ消失まで自動的に復元してくれるとは限らないため、保護対象に含めるかを明確にします。

業務ごとに重要度を分けることも大切です。たとえば販売管理や受注管理は「RPO1時間、RTO4時間」、部門共有ファイルは「RPO24時間、RTO翌営業日」のように定義します。RPOはどの時点までのデータを復元できればよいか、RTOは障害発生からどの程度の時間で業務を再開するかを示す指標です。数値が決まっていないまま製品を選ぶと、必要以上の構成で高額になったり、逆に復旧目標を満たせなかったりします。

バックアップとDRを分けて要件を定義します

バックアップはデータやシステムを保存し、必要な時点へ戻す仕組みです。一方、DRは災害復旧を意味し、代替環境、ネットワーク切り替え、業務再開手順、連絡体制まで含む考え方です。バックアップを外部委託する場合も、データ保管だけを依頼するのか、代替環境の起動や復旧作業まで依頼するのかで、費用も契約上の責任範囲も大きく異なります。

ランサムウェア対策では、業務環境とバックアップ環境の管理者権限、認証情報、ネットワークを分離し、バックアップ自体を攻撃者が削除できない設計を求めます。イミュータブル保管は一定期間の改ざん・削除を防ぐ有効な方式ですが、それだけで安全が確定するわけではありません。クリーンな世代の判定、復元テスト、鍵管理、監視、インシデント発生時の連絡をRFPに含めます。IPAの「情報セキュリティ白書2025」でも、2024年度以降にランサムウェアなどの脅威が継続し、攻撃手法が巧妙化していると整理されています(出典: IPA「情報セキュリティ白書2025」、2025年)。

バックアップシステムの発注形態はどれを選びますか?

クラウドとオンプレミスの発注形態を比較するイメージ

発注形態は、SaaS型のクラウドサービス、パッケージやアプライアンスの導入、マネージドサービスへの委託、独自開発を組み合わせて選びます。情シスの人数、既存環境、データ保管地域、RPOとRTO、社内で担える運用範囲を基準にすると、製品の知名度だけに引きずられません。独自のバックアップエンジンをゼロから開発するより、実績ある製品やAPIを採用し、業務システムとの連携と運用設計に開発費を配分する方が現実的なケースが多いです。

SaaS型は小規模から短期間で始めたい企業に向いています

SaaS型は、バックアップ用のサーバーやストレージを自社で購入・構築せず、サービス料金を支払って利用する方式です。初期費用を抑えやすく、容量を段階的に増やせるため、まずファイルサーバーや仮想サーバーから始めたい企業に適しています。Microsoft 365やGoogle Workspaceのデータ保護に対応するサービスもありますが、対象アプリ、復元単位、保存世代、データ所在地、API制限はサービスごとに確認します。

IIJシンプルバックアップサービスの公式料金では、初期費用0円、月額基本料21,000円で500GBが含まれ、500GBを超える分は42円/GBです(出典: IIJシンプルバックアップサービス公式料金、2026年8月確認)。これは市場平均ではなく一つの公開料金例ですが、初期費用、転送料、インスタンス課金、オプション料金を分けて見る時の基準になります。サービスによっては復元先の計算資源や通信量に追加料金が発生するため、通常月だけでなく大規模復元時の料金も尋ねます。

マネージドサービスは監視・復元まで任せたい企業に向いています

マネージドサービスでは、委託先がバックアップ設定、ジョブ監視、失敗時の一次対応、容量監視、定期レポート、復元支援などを担います。担当者が少ない企業や、夜間・休日の異常を自社だけで確認できない企業に有効です。ただし「運用込み」という言葉の範囲は各社で違います。失敗通知を送るだけなのか、原因調査、再実行、復元判断、代替環境の起動まで含むのかを、サービス仕様とSLAで分けて確認します。

オンプレミスの基幹系を国内で分散保管したい場合は、マネージド型の専用環境も候補になります。SCSKは2026年6月30日提供開始の「オンプレバックアップ」について、初期構築30万円以上、月額40万円以上を公開し、「オンプレバックアップ on USiZE」は初期構築60万円以上、月額70万円以上としています(出典: SCSK公式プレスリリース、2026年7月)。容量で変動する公開価格のため、そのまま自社の相場とはせず、国内保管、分散保管、イミュータブル、復元支援を含む構成の比較材料として扱います。

パッケージ導入と独自開発は要件の特殊性で判断します

パッケージやアプライアンスは、仮想マシン、データベース、複数拠点、クラウドなどに対応する機能を利用しやすい一方、ライセンス体系や製品スキルが必要です。自社機器を購入する場合は、設置場所、電源、回線、保守、更新、予備機、遠隔地への二次保管までを総額に含めます。機器代だけで比較すると、数年後の更新費用や運用人件費を見落とします。

独自開発は、複雑な業務フロー、特殊な監査、既存システムとの深い連携など、既製品では満たせない要件が明確な場合に検討します。独自画面だけを作るのではなく、バックアップ取得、世代削除、暗号化、権限分離、監査ログ、復元の整合性、障害時の代替手順まで設計する必要があります。要件が固まっていない段階では、まず現状調査とPoCを外注し、実測後に本構築の契約へ進む方式が安全です。

RFPと要件整理はどのように進めますか?

バックアップシステムのRFPと要件を整理するプロジェクトチーム

RFPは製品名を指定する文書ではなく、解決したい課題、対象範囲、制約、期待する成果、提案形式、評価基準を候補企業へ同じ条件で伝える文書です。バックアップでは、容量だけを渡すと各社が異なる保存世代や復元方式を前提にするため、見積金額と性能を比較できません。業務シナリオと検収条件を先にそろえることが、発注の失敗を減らします。

RFPには対象・復旧目標・保管ポリシーを記載します

対象一覧には、サーバー名やサービス名、台数、容量、増加率、データベースの種類、仮想化基盤、拠点、ネットワーク帯域を記載します。復旧目標には、業務ごとのRPO、RTO、復元の優先順位、許容停止時間、復元先を記載します。保管ポリシーには、フル・増分・差分の方式、日次・週次・月次の世代、保存期間、別拠点やクラウドへの二次バックアップ、イミュータブル期間、暗号鍵の管理者を含めます。

さらに、監視と運用の要求を細かくします。バックアップ失敗時の通知先、再実行の担当、容量しきい値、月次の復元テスト、四半期または半期のDR訓練、休日の連絡方法、報告書の形式を記載します。バックアップデータに個人情報が含まれる場合は、保管地域、再委託先、アクセス権、操作ログ、契約終了時の返却・消去、消去証明の有無も必須項目にします。

ランサムウェア対策と非機能要件を質問形式で確認します

候補企業には、「バックアップ管理者の認証情報が業務環境と分離されていますか」「管理者権限を持つ利用者がバックアップを削除できない期間を設定できますか」「侵害を検知した世代を復元対象から除外できますか」と質問します。イミュータブルという名称だけでなく、どの権限が、どの操作を、どの期間できないのかを確認することが重要です。復元テストでは、ファイル単位、データベース単位、仮想マシン単位、システムイメージ単位のどこまで対応するかも確認します。

非機能要件には、暗号化方式、鍵の保管場所、データセンターの所在地、可用性、帯域制御、初回フルバックアップの所要時間、復元時の最大性能、監査ログの保存期間を入れます。個人情報保護委員会の通則ガイドラインは、個人データの漏えい、滅失、毀損を防ぐために必要かつ適切な安全管理措置を求め、ランサムウェアで復元できなくなった場合も毀損の例として示しています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認)。バックアップを委託する場合は、委託先の安全管理と事故時の報告経路も要件に含めます。

検収条件は「取得」ではなく「復元」で定義します

検収では、指定したスケジュールでバックアップジョブが完了することに加え、代表的なデータを復元し、業務アプリケーションが利用できる状態まで確認します。たとえば「販売管理データを指定時点へ戻し、整合性チェックに合格し、RTO4時間以内に担当者がログインできること」「共有ファイルを別環境へ復元し、権限と更新日時が保たれること」のように、対象、時間、判定方法を記載します。

復元テストを委託先の作業だけにせず、自社の業務担当者も参加させます。IT担当者が復元できても、現場で必要なマスタ、帳票、連携処理が戻らなければ業務は再開できません。テスト結果には、復元時間、エラー、通信量、欠落した設定、担当者の判断、改善期限を残し、稼働後の運用手順書へ反映します。

契約形態と発注後の進め方をどう設計しますか?

バックアップシステムの契約と導入工程を確認する担当者

バックアップシステムの発注では、要件が固まっている作業と、調査しながら決める作業を同じ契約に押し込めないことが大切です。現状調査、要件整理、PoC、運用設計は準委任契約、合意した設定・開発・移行・テストは請負契約、稼働後の監視や問い合わせは保守・運用契約というように、成果と責任の境界を分けると管理しやすくなります。

準委任・請負・保守契約を作業の性質で使い分けます

準委任契約は、専門家が調査や設計、支援を行うことに対して報酬を支払う契約です。対象資産が不明確で、最適な方式を一緒に検討したい段階に向いています。請負契約は、合意した成果物を完成させる契約で、設定作業、移行プログラム、連携機能、テスト報告書など、完成条件を明確にできる作業に適します。実務では、上流を準委任、本構築を請負、稼働後を保守契約に分ける構成がよく使われます。

契約書では、成果物、検収条件、仕様変更、再委託、秘密保持、個人情報、知的財産、脆弱性対応、障害時の責任分界、SLA、サポート時間、契約終了時のデータ返却と消去を確認します。特に「復元できない場合」の責任を曖昧にしてはいけません。バックアップ取得の失敗、通知の見落とし、復元作業の遅延、復元データの不整合など、事象ごとに委託先と自社の役割を明記します。

調査・PoC・本番展開・定着支援の順に区切ります

発注後は、まず対象資産と既存ジョブを棚卸しし、復旧優先順位とネットワーク帯域を確認します。次に、代表的なファイル、データベース、仮想マシンを対象にPoCを実施し、取得時間、容量、負荷、復元時間、復元後の整合性を測定します。PoCで確認するのは成功画面ではなく、障害を想定した復元シナリオです。

本番展開では、対象を重要度の高い業務から段階的に増やし、旧環境との並行稼働期間を設けます。稼働後は、日次の失敗通知確認、週次の容量確認、月次のファイル・データベース復元テスト、四半期または半期のDR訓練を運用カレンダーに入れます。担当者の異動やシステム追加で手順が古くなるため、委託先との定例会で対象一覧、連絡先、復旧手順を更新します。

仕様変更と追加容量の扱いを事前に決めます

運用が始まると、サーバーの増加、保存期間の延長、SaaSの追加、拠点統合、監査要件の変更が起こります。契約時に、対象追加の単価、容量超過の算定方法、世代変更の作業費、復元先を増やす場合の費用、緊急対応の料金を確認します。月額が安く見えても、容量の平均値で請求するのか、最大容量で請求するのかで実額は変わります。

また、製品やサービスを変更する可能性を残します。データを標準形式で取り出せるか、バックアップデータの返却にどれくらいの期間と費用がかかるか、契約終了後に削除証明を受け取れるかを確認します。ベンダーロックインを避けるため、年1回程度は別環境へのサンプル復元を行い、移行可能性を検証します。

バックアップシステムの費用相場とコストの内訳

バックアップシステムの費用と見積内訳を確認するイメージ

バックアップシステムの一律の市場平均は公開情報が少なく、費用は対象容量、増加率、保存世代、対象台数、RPO・RTO、保管地域、監視、復元支援、DRの有無で変動します。ここでは、2026年時点の公開料金とリサーチノートの整理から、発注前に予算を置くためのレンジを示します。個別企業の見積額を保証するものではなく、同じ条件で比較するための目安です。

クラウド型は初期0万〜30万円、月額2万〜15万円程度が一つの目安です

小規模なクラウド型やSaaS型では、初期費用0円から30万円程度、月額2万円から15万円程度を予算の出発点にできます。このレンジは、公開料金のある小規模サービスや、標準設定・簡易な運用支援を前提にした推定です。IIJの公式料金では500GB込みで月額21,000円、AGSの公式資料では1台・月300GB保管の参考価格がプランにより月額約4.5万円、約7.0万円、約13.2万円です(出典: IIJ公式料金、AGS「スマート・セキュアバックアップ for AWS」公式資料、いずれも2026年確認)。

クラウド型でも、SaaSの対象数、保管世代、プライベート接続、初回転送、監視、復元支援を追加すると上限を超えることがあります。AGSの資料では、一般的なバックアップ機器について初期費用300万円以上に加えて月額4万円以上という比較例も示されています。公開例は構成や為替で変わるため、機器購入型とクラウド型のどちらが安いと断定せず、3年から5年の総額で比べます。

中堅・大規模のマネージド構成は初期30万〜60万円以上、月額40万〜70万円以上が目安です

複数拠点、オンプレミスとクラウドの分散保管、イミュータブル、国内データ主権、24時間監視、復元支援まで含めると、初期30万円から60万円以上、月額40万円から70万円以上という公開価格帯が現れます。これはSCSKが公開したサービス例に基づくレンジであり、容量やサービス範囲によって増減します。中堅企業の標準的な相場と断定せず、高い復旧要件や運用委託を含む構成の参考値として利用します。

費用の内訳は、現状調査・要件定義、設計、ライセンスまたはサービス利用料、機器・ストレージ、ネットワーク、初回データ移行、連携、復元テスト、教育、監視、保守、定期訓練に分けます。独自の管理画面や複雑なDB連携を含む場合は、一般業務システムの参考として小規模刷新が数百万円から1,500万円程度、複数領域が1,500万円から4,000万円程度とされる情報もありますが、これはバックアップ専用相場ではありません(出典: NotebookLMの業務システム横断調査、2026年)。バックアップの見積にそのまま当てはめず、開発範囲を切り分けます。

月額料金以外のランニングコストを含めて総額を出します

月額料金が安くても、容量超過、保存世代の追加、データ転送、復元先の一時環境、休日対応、電話通知、専用回線、暗号鍵の管理、ログ保管、機器更新が別料金なら、実際のコストは上がります。見積依頼では、通常月、容量が20%増えた月、大規模復元を行う月の3パターンを出してもらいます。導入初年度だけ発生する移行費や教育費と、毎年発生する保守・訓練費も分けて記載します。

費用を下げるために保存世代や復旧目標を一律に削るのは危険です。重要度の低いデータは日次、重要なデータは短い間隔で取得するなど、業務影響に応じてポリシーを分けます。削減したい場合は、容量最適化、重複排除、保管期間の見直し、対象範囲の段階導入を先に検討し、復元可能性を損なわないことを優先します。

委託先の選定と見積比較で確認するポイント

バックアップシステムの委託先と見積を比較する担当者

委託先は、製品を扱えるかだけでなく、自社の業務と復旧責任を理解し、稼働後も運用できるかで選びます。実績を尋ねる時は、社名や導入件数だけでなく、対象環境、容量、RPO・RTO、復元テストの頻度、ランサムウェアや災害からの復旧経験、担当体制を確認します。提案書の見栄えや初期価格だけでは、障害時の対応力は判断できません。

対応環境・復旧実績・運用体制を同じ質問票で評価します

一次評価では、物理・仮想サーバー、主要DB、クラウド、SaaS、既存認証、監視ツールに対応するかを確認します。次に、復元テストを誰がどの頻度で行い、テスト結果をどのように報告するかを聞きます。24時間365日対応を掲げていても、一次受付だけなのか、原因調査と復元操作まで行うのかで意味が違います。平日日中、夜間、休日の連絡先と、重大障害時のエスカレーション時間を明示してもらいます。

委託先の再委託先、データセンター、クラウドリージョン、バックアップ製品のメーカーサポートも確認します。国内保管が必要なら、単に国内企業であることではなく、実データと暗号鍵、管理ログがどこに置かれるかを確かめます。契約終了時のデータ返却形式、返却完了までの料金、削除証明の発行、移行支援の有無も、候補企業の比較項目に含めます。

見積書は同じ前提と3年総額で比較します

見積比較では、各社へ同じ対象一覧、容量、増加率、保存世代、RPO・RTO、保管地域、監視時間、復元テストの条件を渡します。比較表には、初期費用、ライセンスまたは月額、ストレージ、ネットワーク、設定・移行、連携、教育、監視、保守、復元作業、追加容量、契約更新を分けて記載します。合計金額だけでなく、含まれる作業と含まれない作業を横並びにします。

3年総額を出す場合は、初期費用に36か月分の通常月額を加え、容量増加、年次保守、機器更新、復元テスト、訓練、専用回線などを加算します。クラウドは利用量で変わるため、容量が増えた場合の単価を確認します。機器購入型は、購入価格だけでなく保守切れ後の更新費、予備機、設置場所、電源、廃棄費を含めます。価格差が小さい時は、RTOの実測、復元支援、運用負荷、退出のしやすさで判断します。

安すぎる提案と高すぎる提案の理由を確認します

他社より極端に安い見積は、保存世代、復元テスト、監視、休日対応、SaaS保護、初回移行などが含まれていない可能性があります。逆に高い見積は、RTOを満たすための高性能ストレージや二次拠点、24時間監視、専任担当、DR環境が含まれている場合があります。金額の大小だけで優劣を決めず、差額の要因を項目別に説明してもらいます。

提案時に復元テストを実施していない、バックアップ成功率だけを強調する、障害時の連絡先が曖昧、イミュータブルの仕組みを説明できない、契約終了時のデータ返却条件がない場合は注意が必要です。採用前にPoCまたはサンプル復元を実施し、提案書に書かれた性能と実測値の差を確認します。最終的には、取得・保管・監視・復元・訓練を一つの運用として任せられるかを評価します。

よくある質問(FAQ)

バックアップシステムの発注に関する質問へ回答するイメージ

ここでは、バックアップシステムの発注・外注を検討する企業から寄せられやすい質問に回答します。費用だけでなく、復元可能性、契約責任、導入後の運用まで含めて判断してください。

バックアップシステムの発注費用はどのくらいですか?

公開料金を基にした目安では、小規模なクラウド型は初期0万〜30万円程度、月額2万〜15万円程度から検討できます。複数拠点、国内分散、イミュータブル、監視・復元支援まで含むマネージド構成では、初期30万〜60万円以上、月額40万〜70万円以上の公開例があります。容量、世代数、RPO・RTO、復元支援で変動するため、個別のRFPに基づく見積が必要です。

バックアップとDRは同じ委託先に依頼すべきですか?

同じ委託先に依頼する方法も、バックアップとDRを分ける方法もあります。重要なのは、データを保存する責任、復元操作を行う責任、代替環境を起動する責任、業務再開を判断する責任を分けて記載することです。単一の委託先にまとめる場合は、障害時にその委託先自身の管理基盤が使えなくなった場合の連絡経路と代替手段を確認します。

イミュータブルバックアップなら復元をテストしなくても大丈夫ですか?

いいえ、イミュータブルでも復元テストは必要です。イミュータブルはデータの改ざんや削除を防ぐ仕組みであり、復元先の容量不足、認証情報の欠落、アプリケーションの整合性、手順の未整備まで解決するものではありません。月次のサンプル復元と、四半期または半期の業務復旧訓練を契約・運用に含め、実際の復元時間と課題を記録します。

小規模企業でもバックアップシステムを外注できますか?

外注できます。対象をファイルサーバーや主要SaaSに絞り、標準機能のクラウド型から始めれば、初期費用を抑えながら運用負荷を下げられます。まず対象データ、保存期間、RPO・RTO、保管地域、復元テストの頻度を整理し、不要な高可用性や24時間対応を最初から付けないことがポイントです。ただし、個人情報や受注データを扱う場合は、委託先の安全管理、再委託、事故時の報告、契約終了時の消去まで確認します。

まとめ

バックアップシステムの発注方針をまとめるイメージ

バックアップシステムの発注・外注では、最初に対象資産を洗い出し、業務ごとのRPO・RTO、保存世代、保管場所、復旧優先順位を決めます。その上で、SaaS型、パッケージ、アプライアンス、マネージドサービス、独自開発の中から、自社の運用体制と要件に合う方式を選びます。製品名や月額だけでなく、監視、復元、訓練、データ返却までを含めた仕組みとして比較することが重要です。

発注前に復旧基準と比較条件をそろえることが成功の近道です

RFPには、対象環境、容量と増加率、バックアップ方式、保存期間、イミュータブル、暗号化、権限分離、監視、SLA、復元テスト、DR訓練、保管地域、再委託、契約終了時の返却・消去を記載します。契約は、調査・要件定義・PoC、本構築、保守・運用に分け、仕様変更と追加容量の料金を事前に合意します。見積書は初期費用と月額費用だけでなく、3年総額と大規模復元時の費用で比較します。

最後に、バックアップの成功通知を受け取るだけで終わらせず、実際に戻せることを定期的に確認します。委託先を選ぶ時は、復元実績、担当体制、障害時の連絡経路、国内保管やデータ主権への対応、退出のしやすさを評価してください。必要な範囲から段階的に発注し、復元テストで得た課題を次の改善へつなげることが、費用と復旧可能性のバランスを取る方法です。

発注前は復旧シナリオと責任分界を最終確認します

候補を絞ったら、実際の障害シナリオを一つ選び、誰が検知し、誰が復元を判断し、誰が作業し、誰が業務再開を承認するかを確認します。復旧に必要なアカウント、鍵、ネットワーク、連絡先がそろっているかもチェックし、検証結果を契約の作業範囲と運用手順に反映します。この最終確認まで行うと、発注後に「保存はされていたが、戻す人と手順がない」という事態を防ぎやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。