BIMシステムの初期費用は、300万円から1億5,000万円超まで幅があります。その差を生むのは、対象工程、モデルの詳細度、既存システムとの連携です。
全体像は、BIMシステム開発の完全ガイドでも確認できます。
▼全体ガイドの記事
・BIMシステム開発の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
BIMシステムの全体像
BIMは、建物の3次元形状と属性情報を一つのモデルで管理する仕組みです。属性情報には、部屋や面積、部材、仕様が含まれます。そのほか、性能や数量、コストなども含まれます。
BIMは、3Dモデルを作るソフトとしてだけでなく、設計や施工、積算、維持管理で情報を受け渡す業務基盤として考えられます。そう捉えると、費用の全体像をつかみやすくなります。
BIMシステムと3D CADの違い
BIMと3D CADの違いは、形状と属性情報を一体で扱うかどうかです。
- 3D CAD:主に形状を正確に描きます。
- BIM:形状と属性情報を同じモデルで扱います。
- 図面変更:関連する図面や数量表に、変更を反映できます。
たとえば、壁の位置を変えると、平面図や立面図、断面図にもその変更が及びます。壁の仕上げや面積、数量表にも変更が及びます。
国土交通省は、BIMを形状情報と室名、面積を組み合わせたモデルと説明しています(出典:国土交通省「建築BIM推進会議」、2026年)。材料や部材仕様、性能も、その組み合わせに含まれます。
費用には、モデリングソフトのほかに、属性項目やファミリの設計も含まれます。テンプレートや図面出力ルール、承認フローの設定も、費用に影響します。
見栄えを優先すると、入力作業は増えても、積算や施工で使えない場合があります。そのため、導入前にBIMを使う工程を定めておくことが重要です。
BIMシステムの管理範囲
BIMの管理範囲は、設計だけにとどめるか、施工や維持管理まで広げるかで変わります。
- 設計:意匠・構造・設備のモデルと図面を扱います。
- 施工:工程、数量、干渉、承認が対象です。
- 維持管理:設備台帳や点検履歴を対象にします。
- 連携:IFCやBCFで他ソフトと接続します。
基本機能には、3Dモデリングや図面・表の自動生成、モデル統合が含まれます。干渉チェックや3D表示も、基本機能にあります。さらに、4Dの工程情報や5Dの数量・コスト情報も追加できます。
CDEによる版管理や承認、課題管理に、IFC・BCF連携を加えると、設計から施工まで使えます。
維持管理では、設備台帳や点検履歴、改修計画を扱うほか、IoTセンサーやFMシステムとの接続も検討します。
範囲を広げるほど、属性定義や権限、データ移行の費用が増えます。API開発やテストの費用も増えます。
最初は設計部門の1案件で効果を検証し、施工や維持管理へ展開すると、予算を管理しやすくなります。
BIMシステムの費用相場の目安

BIMの初期費用は、対象範囲によって300万円から1億5,000万円超まで変わります。小規模パイロットは300万円から800万円程度、設計部門の本格導入は800万円から2,000万円程度が目安です。設計・施工をまたぐ運用は2,000万円から8,000万円程度が目安で、大規模な個別開発や全社基盤は3,000万円から1億5,000万円超になる場合があります。
費用の目安は、BIM固有の公表統計ではなく、業務システムの工数をもとにした推定レンジです。
ソフトやCDE、モデリングの費用に、教育や連携の費用を加味して算出しています。
ソフトウェアとクラウドの公開価格
公開価格を比べるときは、製品、契約期間、税区分を分けて確認します。
- 製品:ソフトとクラウドを分けて確認します。
- 契約期間:月払いと年払いを並べて比べます。
- 契約条件:税区分と販売形態を確かめます。
2026年8月時点で、AutodeskのRevit LTは年額95,700円です。
Revitは年額517,000円、AEC Collectionは年額632,500円です。
AEC CollectionにはRevitやAutoCADなどが含まれます(出典:Autodesk「RevitとRevit LTの比較」、2026年)。
価格は、月額契約や契約年数、販売形態で変わります。そのため、実際の見積もりで確認します。
Archicad Collaborateは、月払いで月額税込66,000円です。
1年契約・年払いでは、月あたり税込38,500円です。
BIMcloud SaaSは、月払いで税込15,923円です。
1年契約・年払いでは、月あたり税込7,563円です(出典:Graphisoft「価格」、2026年)。
ライセンスだけでも、利用人数と契約期間によって、年間数十万円から数百万円の差が出ます。
小規模パイロットの費用の目安
小規模パイロットは、1部門・1案件で導入効果を検証する進め方です。
- 対象範囲:検証する部門と案件を絞ります。
- 検証機能:本番利用に必要な機能を選びます。
- 評価指標:導入効果と追加費用の測定。
数ライセンス、標準テンプレート、基本研修を準備します。
図面出力や簡単な干渉チェックも検証します。
初期費用は300万円から800万円程度を仮置きします。
期間は2か月から4か月程度で計画すると、全社導入より効果を確かめやすくなります。
既存図面を大量にBIM化する場合は、このレンジを超えることがあります。また、積算や施工管理まで同時に連携する場合も、費用は増えます。
パイロットでは、完成品ではなく業務効果と追加費用を確認します。設計変更による修正漏れ、数量拾いの時間、干渉の発見件数を計測します。さらに、レビューから承認までの日数も測り、本格導入の判断材料にします。
効果の指標が得られれば、必要なライセンス数や連携範囲を説明しやすくなります。
全社基盤や個別開発の費用
全社基盤は、利用部門や連携先が増えるため、費用の幅が大きくなります。
- 共通基盤:CDE、権限、監査ログ、バックアップを整備します。
- モデル管理:複数分野のモデルを統合します。
- 業務連携:ERPや積算、施工管理、FMとの接続。
- 移行:既存データを新しい基盤へ移します。
全社基盤では、3,000万円から1億5,000万円超のレンジを想定することがあります。見積もりは、利用部門や協力会社、モデル容量で変わります。セキュリティ要件やAPI数も、見積もりに影響します。
スクラッチ開発は、BIMソフトの機能をゼロから自社で作り込む方式です。独自ビューアや属性データベースは作れますが、IFC互換や更新への対応は自社で続ける必要があります。さらに、モデル性能やセキュリティ、保守人材も自社で持つことになります。
パッケージを中核にAPIやアドインで補う方式は、初期費用と将来の保守費を抑えやすい場合があります。
BIMシステムの費用内訳

見積書では、ライセンスとクラウドの費用、要件定義とテンプレートの費用を分けて確認します。モデル作成と連携開発、教育、保守の費用も、別々の項目で確認します。
一式金額で示されると、減らせる作業や将来増える費用を比べられません。BIMでは、データ整備と現場への定着が費用の大きな部分を占めます。
要件定義・BIM標準の作成費
要件定義では、利用する工程と利用者を決めたうえで、必要な情報と精度を定めます。
- 仕様:対象ソフト、バージョン、ファイル形式を決めます。
- 情報:LOD・LOI、属性、命名規則、座標の取り決め。
- 運用:承認者、受け持つ範囲、納品物を決めます。
属性項目の定義は、BIM実行計画に落とし込みます。加えて、設計者だけでなく施工や積算、発注者にもヒアリングが必要です。サンプル案件を確かめると、必要な情報の抜けを見つけやすくなります。
要件定義を削りすぎると、後からテンプレートや既存モデルの修正が必要になります。連携仕様や承認フローまで手直しすることになり、そのぶん追加費用が生じます。
見積もりでは、ワークショップ、成果物、レビュー回数を分けて提示してもらいます。
テンプレート・モデル作成・データ移行費
モデル作成費は、建物の規模や構造、図面の品質で変わります。詳細度や分野、納期によっても変わります。
- 標準化:壁、床、建具、設備機器、仕上げを登録します。
- 移行:既存図面を必要な範囲でBIM化します。
- 詳細度:工程ごとに必要なLOD・LOIの設定。
- 検収:範囲、属性、レビュー、修正回数の確認。
テンプレートでは図面表現と属性の入力ルールをそろえます。2D CAD図面を線の自動変換だけで移行すると、壁や設備の属性は再現できません。そこで、重要な案件や将来再利用する部材から再入力を進めると、費用対効果を計算しやすくなります。
企画・基本設計では低い詳細度、施工・製作部分では高い詳細度を使い分けます。
見積書には対象面積とモデル範囲を記載し、属性項目数、レビュー回数、修正回数も書きます。
連携開発・教育・保守の費用
連携費が変わるのは、連携先ごとに設計、開発、テストが必要になるからです。
- 開発技術:Revit API、Dynamo、Grasshopperなどを使います。
- 交換形式:IFC・BCFやCSVでのデータの受け渡し。
- 連携先:積算、工程、施工管理、ERP、FMの確認。
- 運用支援:教育、問い合わせ、更新、保守を整えます。
Power BIを含め、連携先ごとに設計・開発・テストを行います。
単純なCSV出力と、属性を双方向で同期する連携とでは、工数が大きく異なります。
連携要件には、対象データと更新頻度、エラー処理、担当者を明記します。
教育には、操作研修とモデリング基準、レビューを含めます。命名やCDE権限も、教育の対象になります。加えて、社内ヘルプデスクの整備も教育費に含めます。
導入後は、ソフトの更新とテンプレートの改修が発生します。
問い合わせへの対応や追加教育、クラウド利用料もかかります。
年間費用では、ライセンスとクラウドの費用に、保守やサポート、追加教育を合算します。初期費用の15%から30%程度を仮置きすると、予算の検討を進めやすくなります。この推定値は、利用人数とモデル容量によって大きく動きます。
BIMシステム開発の進め方と期間
BIM導入は、ソフトの契約後も続く一連のプロジェクトです。目的の設定から効果測定まで、段階を追って進めます。サンプル案件での検証と段階展開も、同じ流れの中で計画します。
- 目的と現状を整理します。
- BIM実行計画と標準、テンプレートを作成します。
- サンプル案件で検証を行います。
- 教育と効果測定を実施します。
- 評価したうえで、段階展開に進みます。
小規模パイロットは2か月から4か月、設計部門の本格導入は4か月から8か月が目安です。
設計・施工をまたぐ導入は6か月から12か月、全社基盤は12か月から24か月が目安です。
企画・要件定義で決めること
最初に達成したいKPIは、1つから3つに絞ります。
- 品質:設計品質の向上や干渉削減。
- 効率:数量拾いや業務時間の改善を測ります。
- 展開:施工、確認申請、維持管理への利用を考えます。
KPIの候補には、設計品質と干渉削減、数量拾い、施工計画を見える形にすることがあります。
確認申請や維持管理をKPIにする場合もあります。
設計、構造、設備の担当者にヒアリングします。施工や積算の担当者にも話を聞き、現場や発注者、協力会社の声も集めます。そのうえで、業務のどこでデータが途切れているかを整理します。
成果物には、業務フローや対象ソフト、BEPを含めます。加えて、利用者と権限、LOD・LOI、属性一覧も含めます。さらに、連携一覧や非機能要件、教育計画、移行計画も、成果物の対象に入ります。
2026年春から始まるBIM図面審査を利用する場合は、関連資料を確認します。
ガイドラインや入出力基準、確認申請図書表現標準を、要件に反映します。
申請・審査マニュアルも、あわせて確認します(出典:国土交通省「建築確認におけるBIM図面審査ガイドライン 初版」、2026年)。
設計・設定・連携開発の進め方
要件が確定したら、標準や属性、出力の設定に進みます。権限と承認フローも、このタイミングで設定します。
- 標準設定:テンプレートと部材ライブラリを整えます。
- 運用設定:CDEのフォルダと権限、承認の決め方。
- 開発:APIやアドインで必要な自動化を実装します。
- 検証:実際の成果物を使った交換形式の確認。
設計だけでなく、施工図や数量表、工程情報でも検証を行うことが大切です。
請負契約で仕様変更を広く含める場合は、要件の確定度が低いほど予備費が増えやすくなります。
業務システムの目安としては、要件定義が10%、設計が10%から20%です。
開発は40%から60%、テストは10%から20%という構成も参考になります。
特にBIMでは、モデル検証と既存図面の移行、現場教育を別項目に置きます。
テスト・教育・展開の期間
テストでは、表示だけで終わらせず、入力や生成、集計を確かめます。権限と復旧も、確認の対象に入ります。
- モデル:属性入力、表示、図面生成を確認します。
- 業務:数量集計、干渉チェック、IFC出力を確かめます。
- 運用:権限、承認、バックアップ、復旧を押さえます。
- 受け入れ:各部門が実業務で使えるかを見ます。
受け入れテストには、設計や施工、積算、管理部門にも参加してもらいます。
研修は操作説明にとどめず、標準モデルの演習や案件開始時の伴走も行います。そのうえで、レビュー会と問い合わせ窓口も組み合わせます。
導入初期は、BIMマネージャーや社内推進担当を置きます。また、複数の部署や協力会社へ段階的に広げる場合は、前の工程の評価と改善を挟むため、全社で使えるまでに12か月以上かかることがあります。
BIMシステムの費用が変動する主な要因

同じBIMソフトでも、企業ごとに業務やデータの条件が違うため、見積もりは変わります。主な要因は、対象工程や建物の複雑さ、既存データです。連携先とセキュリティも、見積もりを左右する要因です。
導入後の支援範囲も、価格を左右します。
対象工程と利用者数の影響
対象工程と利用者数を先に整理すると、必要な機能とライセンスを絞り込めます。
- 設計:モデル、図面出力、テンプレート、教育が中心です。
- 施工:施工図、詳細モデル、工程、数量、共有が必要です。
- 維持管理:設備台帳や点検履歴を竣工時に渡します。
- 利用者:編集、閲覧、承認、協力会社に分けます。
設計部門だけで導入する場合は、意匠・構造・設備のモデルと図面出力を中心に、標準と教育を整えることになります。
施工や製作まで含めると、詳細モデルと工程、数量、現場共有が必要です。さらに、協力会社のアクセス管理も必要になります。
維持管理まで含める場合は、竣工時に属性を確実に渡す必要があるため、要件定義とデータ検証の作業も増えます。
利用者が増えるほど、ライセンス費と教育費も増えます。ただし、利用者全員に編集ライセンスが必要とは限りません。
編集者や閲覧者、承認者、協力会社で役割を分けたうえで、必要な機能と同時接続数を整理します。
契約条件やユーザーライセンスの定義は、製品ごとに異なります。そのため、見積もりの段階で確認します。
既存データ・連携・セキュリティの影響
既存データの品質と連携条件を確認すると、移行や開発で生じる追加費用を見積もれます。
- 既存データ:2D図面、部材表、積算データを確認します。
- データ整備:項目名やコードの違いをそろえます。
- クラウド管理:権限、暗号化、ログ、バックアップの確認。
- 契約終了:データの所有権と返却方法。
ERPや施工管理システムが整っていれば、連携はしやすくなります。一方で、項目名やコードが部署ごとに違う場合は、クレンジングとマッピングが必要です。
古い図面の欠損や表記ゆれを見落とすと、開発後も手作業が残ってしまい、導入効果が出にくくなります。
クラウドでは、プロジェクトごとの権限や、通信時と保存時の暗号化を確認します。加えて、アクセスログとバックアップも押さえます。
MFAやデータ所在地、削除・返却を確認します。さらに、協力会社との共有範囲や第三者認証の有無もあわせて確かめます。
契約が終わったあとも設計データを使い続けられるよう、所有権と取り出し方法を見積条件に含めます。
セキュリティ要件が厳しいほど、設定や監査、運用、教育にかかる費用が増える可能性があります。
パッケージ・ハイブリッド・スクラッチの違い
方式の違いは、初期費用だけでなく、導入の速さと保守のしやすさにも影響します。
- パッケージ・SaaS:導入が早く、標準機能が中心です。
- ハイブリッド:標準機能にAPIやアドインを加える方式です。
- スクラッチ:独自ビューアや基盤を開発します。
パッケージやSaaSは、アップデートや共同作業の機能を利用しやすい方式です。一方で、自社の業務を標準機能に合わせる必要があります。
ハイブリッド方式は、パッケージを中核にして、APIやアドイン、帳票、連携を追加する方式です。業務への適合と保守性を両立させやすい点が特徴です。
スクラッチ方式は、独自ビューアやCDE、属性データベースが必要な企業に適しています。互換性の確認や更新、障害対応、保守人材にかかる費用も、継続して発生します。
3年から5年の総保有コストと、ベンダーを変える際のデータ移行のしやすさを比べます。
BIMシステムのコストを最適化するポイント
コスト最適化では、ライセンスの安さよりも、使う範囲と将来性を確認します。不要な機能や過剰な詳細度は減らす一方で、連携とデータの再利用は維持します。
パイロットで効果を測ってから段階展開すると、初期投資を管理しやすくなります。
対象を絞ったパイロットの進め方
パイロットは、代表的な1案件と、それに関係する1部門に絞って始めます。
- 案件選定:設計変更や分野間調整が多い案件を選びます。
- 検証範囲:図面、属性、数量、干渉、IFCの確認。
- 権限:本番運用に必要なアクセス管理を試します。
- 評価:導入前後の作業時間と手戻りの比較。
数量や干渉チェックの効果を測りやすい案件を選ぶと、価値を確かめやすくなります。検証機能は図面出力と属性入力、数量を中心に、干渉やIFC、権限も検証範囲の項目に沿って加えます。
導入前後の作業時間や修正回数を記録します。手戻りやレビュー日数、再利用数も、残しておきます。
福井コンピュータアーキテクトの公式事例では、GLOOBE Constructionで総作業時間42%の削減が紹介されています。ただし、これは特定企業の事例で、どの会社にも同じ効果が出るとは限りません。
まずは自社の基準値を測り、追加投資を判断する材料にします。
LOD・LOIとテンプレートの標準化
詳細度と標準部材をそろえると、モデリングとレビューの無駄を減らせます。
- 詳細度:工程ごとに必要なLOD・LOIを定めます。
- 対象範囲:不要な形状や属性は追加しません。
- 標準部材:壁、床、建具、設備のテンプレート化。
- 権利管理:成果物の所有権と編集権限を押さえます。
すべてを高い詳細度で作ると、モデリング時間や容量、レビューの負担が増えます。LOD・LOIは、企画から維持管理までの段階ごとに定義します。
必要な情報を決めないまま作り始めると、後から再モデリングが発生します。そうなると、最初に節約した費用を上回る追加コストになりやすいです。
標準部材は、パイロットで使ったものから優先して整備します。
契約終了後も更新できるよう、契約書の定めを確かめます。
3年総額と運用費の比較
初年度の費用だけでなく、3年間の継続費用も合算して比べます。
- 継続費:ライセンスやクラウド、保守、追加教育を含めます。
- 開発費:外注モデル作成、API改修、データ移行。
- 社内費:担当者の工数も合算対象です。
- 契約条件:追加料金、返却、解約条件をそろえます。
ユーザー数やストレージ、サポート、書き出し機能に、追加料金がかかる場合があります。ただし、年間契約で単価が下がっても、利用人数が少なければ余剰ライセンスになります。
契約期間は、利用計画に合わせて検討します。
提案を比べるときは、初期費用やオプション、変更単価、障害対応を同じ前提でそろえます。バージョンアップやデータ返却、解約条件も、比べる条件に含めます。
標準機能で代わりにできる開発は減らし、効果に直結する連携へ予算を振り分けます。
BIMシステムの見積もりを取る際のポイント
見積もりは、同じ資料を複数社へ渡したうえで、作業範囲と前提条件をそろえて比べます。
確認するのは、工程や支援者、成果物です。納期と継続費用も、確認の対象に入れます。
デモでは、自社案件のサンプルモデルを使って、入力や出力、権限、連携を試します。
RFPや要件整理の記載項目
RFPには、会社規模や対象部門、年間案件数を記載します。建物の用途と構造種別も、書き添えます。
- 体制:会社規模、部門、利用者数、案件数。
- 対象:用途、構造、工程、実現したい業務を明記します。
- 環境:ソフト、既存データ、連携先を示します。
- 条件:セキュリティと希望スケジュールを示します。
干渉チェックや数量、工程の範囲を定めます。
確認申請や維持管理の範囲も、はっきりさせておきます。
成果物は、要件定義書とBEP、テンプレート、部材ライブラリに分けます。サンプルモデルと連携仕様書、テスト結果、操作マニュアルも、別々に挙げます。運用ルールと教育記録も、成果物に含めます。
受け入れ条件とレビュー担当を設定し、モデルの正確性を確かめます。
属性の欠落や図面間の整合、ファイル容量、処理速度も、確認できるようにします。
開発会社やベンダーの比較の観点
比較では、自社の工程と同じ条件を使い、技術や支援、保守の責任範囲を確認します。
- 適合性:建物や構造、工程、対応ソフトを見ます。
- 連携力:IFCやAPI、個別開発への対応。
- 支援:標準、テンプレート、教育を見ます。
- 運用:権限、ログ、導入後の保守を確かめます。
ソフトを提供するベンダーと、モデリングや業務設計、連携開発を担うSIやコンサルティング会社とでは、役割が異なります。そのため、提案書で責任範囲を分けてもらいます。
導入実績だけでなく、自社と同じ規模や用途、構造の事例で、担当した範囲も確認します。
サンプルモデルでは、属性や図面、数量を評価します。干渉やIFC、権限も、あわせて見ます。
不足する機能を追加開発する場合は、費用と納期も確認します。
契約と追加費用のリスク管理
要件が固まる前に全体を請負契約にすると、仕様変更のたびに追加費用や納期の延長が起きやすくなります。
- 準委任:要件定義やパイロットを進めます。
- 請負:範囲と受け入れ条件が決まった機能の開発。
- 管理:成果物、責任、検収、変更の明文化。
- 前提:データ品質、修正回数、環境の記載。
契約方式は、法務・調達部門と確認して決めます。
成果物や責任の範囲、検収、変更の扱いは、契約書で一つずつ確かめます。
見積もりには、対象外の作業やテスト環境、価格変動の条件を書き添えます。クラウド容量やサポート時間、バージョンアップへの対応も明記します。
仕様変更を含む請負契約は、準委任よりも1.3倍から1.5倍程度高い傾向が示される場合があります。
これは契約条件に基づく推定です。数字は、要件と契約書を照らし合わせたうえで比べます。
よくある質問(FAQ)
発注前によく寄せられる費用の質問に、順に答えます。
公開価格と導入費は別物です。対象範囲とデータ条件をそろえて比べます。
BIMシステムは無料で導入できますか?
無料ビューアや試用版で操作感を確かめられますが、業務で使う仕組みを無料だけで作るのは難しいです。
- 確認:無料ビューアや試用版で適合性を見ます。
- 費用:ライセンス、クラウド、教育などが発生します。
- 導入:小規模パイロットで本番範囲を見積もります。
ライセンスとクラウドのほか、テンプレートやモデル作成、教育にも費用がかかります。
データ管理や連携、保守の費用も発生します。
BIMソフトのライセンス費だけで予算を決めてもよいですか?
予算は、ライセンス費だけでなく導入費や継続費も含めて考えます。
- 公開価格:ソフトを利用する権利の料金です。
- 導入費:要件定義、標準、テンプレート、BIM化が必要です。
- 継続費:教育、連携、保守、クラウドを確認します。
3年総額で比べます。そのうえで、利用者数や契約期間、容量を確認します。サポートや追加開発も、あわせて確認します。
BIMシステムの導入には何か月かかりますか?
導入期間は、対象範囲と、連携や教育の有無によって変わります。
- 小規模パイロット:2か月から4か月です。
- 設計部門:本格導入は4か月から8か月です。
- 設計・施工:導入は6か月から12か月です。
- 長期化要因:移行、連携、教育、図面審査で延びます。
既存データの移行量や協力会社との調整、API連携によって、期間は長くなります。また、教育やBIM図面審査への対応を含める場合も、長期化します。
テストや教育を削ると導入後の手戻りが増えます。そのため、段階展開で調整します。
BIMのモデリングや導入支援は外注できますか?
モデリングや標準整備、研修は外注できます。API開発やCDE設定も、外注の対象になります。
- 外注可能:モデル、テンプレート、研修、APIを委託します。
- 社内判断:業務上の判断と最終ルールは社内で持ちます。
- 契約確認:権限、所有権、引き継ぎ、保守の取り決め。
業務上の判断や最終的な属性・命名ルールまで外部に任せると、ノウハウが残らない場合があります。そのため、外注する範囲と社内の責任者を決め、成果物の編集権限は契約に含めます。
まとめ
BIMの費用は、AutodeskのRevit LTからAEC Collectionまでで、ライセンスだけなら1人あたり年額95,700円から632,500円です。導入支援やモデル作成、教育に加えて個別連携まで含めると、300万円から1億5,000万円超です。
小規模パイロットは300万円から800万円、設計部門の本格導入は800万円から2,000万円が目安です。設計・施工をまたぐ導入は、2,000万円から8,000万円程度が推定レンジです。
これらは目安です。費用は、対象工程やモデル詳細度、既存データによって変動します。利用者数や連携、セキュリティも、費用を動かす要因です。
費用相場を判断するときの要点
公開ライセンス価格と導入・開発費は、分けて考えます。年間の費用は、ライセンスやクラウド、保守を合算します。教育や外注、追加開発も、年間の費用に含めて考えます。
3年総額で比べると、自社に必要な投資を判断しやすくなります。
発注前に押さえるポイント
発注前は、改善したいKPI、BIM標準、対象工程を順に整理します。
- 改善したいKPIを決めます。
- BIM標準と対象工程を定義します。
- 公開価格と導入・開発費を分けて考えます。
- サンプル案件で機能を検証します。
- 3年総額と、契約終了後のデータ移行を比べます。
BIMは、設計や施工、維持管理をつなぐ業務基盤として計画します。そうすれば、必要な投資と削減できる作業を説明しやすくなります。
▼全体ガイドの記事
・BIMシステム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
