BIMシステムは、3次元モデルに属性情報を持たせ、設計から施工、維持管理まで情報を一続きに使えるようにする仕組みです。導入の成否は、標準機能で足りる範囲、既存業務との連携、必要な情報の細かさを見極められるかで決まります。
▼関連記事一覧
・BIMシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・BIMシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・BIMシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・BIMシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について
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BIMシステムの仕組み

BIMは、壁、床、柱、窓、設備機器などを3次元モデルで表し、属性情報を持たせる考え方です。
モデルの変更は図面や集計へ反映でき、工程ごとに設計情報を作り直す作業を減らしやすくなります。
国土交通省も、形状に加えて、室名・面積、材料、部材の仕様・性能、仕上げなどを持つ建築物情報モデルとして説明しています。
3D CADとの違いと情報のつながり
3D CADとBIMでは、モデルに持たせる情報と活用範囲が異なります。
- 3D CAD:形状を正確に描くことが主な目的です。
- BIMの属性:壁の耐火区画や仕上げ、機器の型式・能力・交換時期などの記録。
- 成果物:同じモデルから平面図、立面図、断面図、建具表、仕上表、数量表などを作れます。
LODは形状の詳細度、LOIは情報の詳細度を表します。企画では面積や用途、施工では納まりや数量、維持管理では型式や点検周期が必要になります。そのため、最初からすべてを細かく入力せず、利用する工程に合わせて情報の細かさを決めます。
BIMシステムの価値と後工程への情報の受け渡し
設計モデルを使えば、施工や維持管理の業務へ情報を引き継げます。
- 後工程での活用:設計時のモデルを、施工計画や数量確認、工程管理、竣工後の設備台帳や改修計画へつなげます。
- 施工前の確認:意匠・構造・設備モデルを重ね、配管と梁などの干渉を見つけやすくします。
- 合意形成:3D表示を発注者や現場担当者との話し合いに使えます。
目的が曖昧なままだと、見栄えのよいモデルを作ること自体が目的になり、入力の負担だけが増えかねません。そこで、設計変更の反映漏れや施工前の干渉、数量拾いの時間などを手がかりに、業務目標を1〜3個決めます。
BIMシステムの主な機能と導入メリット
BIMシステムは、モデリングや図面出力、干渉検証などを支え、共同作業や他システムとの連携にも広がります。
導入メリットは機能名よりも、誰のどの作業がどう変わるかで判断します。
モデル・図面・数量の共通の情報源
BIMのモデル情報は、図面作成や数量集計、設計変更の管理に活用できます。
- 属性登録:部位に寸法、仕様、材料、性能などを持たせます。
- 図面・数量:平面・立面・断面・詳細図、仕上表、建具表の出力と部材集計。
- 変更反映:複数図面の手修正を減らし、不整合や転記漏れを抑えやすくします。
属性が未入力のままだと、数量や台帳の信頼性も下がります。そこで、モデルと図面のどちらを正とするか、必須項目を何にするかをBIM実行計画で決め、レビュー時に確認できるようにします。
干渉チェックとCDEによる認識の共有
モデルの統合と共通データ環境(CDE)を組み合わせると、施工前の確認や情報共有に役立ちます。
- 施工前の確認:意匠・構造・設備モデルを統合して、部材の干渉、メンテナンス空間、搬入経路を見ます。
- 計画・予算への展開:工程情報を加えると4D、数量・コストを加えると5Dとして使えます。
- CDEでの共有:共通データ環境で、モデル、図面、文書、課題、承認履歴を案件単位で管理します。
干渉は、見つけた件数だけでなく、施工前に解決した件数や現場の手戻りも記録します。
CDEでは、版や権限、承認者を決めておくと、旧版の利用や共有範囲のあいまいさを防げます。保存期間も定めておきます。
維持管理や環境評価への広がり
竣工後に必要な設備情報を引き継ぐと、維持管理や運用改善にBIMを活用できます。
- 引き継ぐ情報:設備の型式、設置場所、点検周期、保証期限、交換履歴。
- 管理への活用:設備台帳、点検計画、改修箇所の把握、資産管理。
- 運用データの活用:センサーやエネルギー管理システムと連携し、実測値を使った改善に役立てます。
設計モデルをそのまま維持管理に使えるとは限りません。そこで、設備台帳との識別子や引き渡し形式を含め、施設管理者が必要とする情報と更新の責任者を早めに決めておきます。
設計、施工、運用で必要な情報は異なります。そのため、全工程を初めから網羅せず、価値が出やすい用途から段階的に広げると定着しやすくなります。
BIMシステムの種類

BIMシステムは、製品名よりも標準機能と連携・個別開発の範囲で分けると比べやすくなります。
代表的な方式は三つで、パッケージ・クラウド型、ハイブリッド型、スクラッチ型です。
パッケージ・クラウド型の導入の早さ
標準機能を契約して使う方式のため、導入を早めたい場合や小規模な試行に向いています。
- 標準機能:モデリングのほか、図面作成や共同作業、データ共有を契約の範囲で使います。
- 運用負担:導入期間を短くしやすく、更新やバックアップをサービス側に任せやすい方式です。
- 試行範囲:設計事務所や小規模部門が、まず1案件で試す用途にも適します。
独自の帳票や社内の積算ルール、特殊部材を含め、既存業務を標準機能だけで表せるとは限りません。
利用人数、同時編集、保存容量などを確かめ、契約更新と書き出し条件も見ておきます。
ライセンス費に加えて、運用設計と教育の費用も含めて判断します。
ハイブリッド型と既存業務との連携
標準機能を中核にし、必要な業務連携を追加する構成がハイブリッド型です。
- 連携方法:BIMソフトやCDEを中核に、API、アドイン、スクリプト、IFC、BCFで接続します。
- 連携例:部屋・部材情報を積算へ、課題を施工管理へ、承認済み数量を基幹へ渡す形です。
- 機能の分担:標準機能で揃える業務と、競争力や効率に直結する業務の分け方。
連携開発を先に増やしすぎると、BIMソフトのバージョンアップで動かなくなることがあり、データ形式の違いから保守の負担も増えます。
そこで、連携の所有者やテスト方法、更新時にどこまでを誰が受け持つかを、契約に含めておきます。
独自基盤が必要な場合のスクラッチ型
独自の要件を実現できる一方で、モデリング基盤の開発や長期の保守も判断に含める必要があります。
- 開発範囲:自社要件に応じ、BIMビューア、属性データベース、CDE、進捗・コスト・維持管理機能を開発します。
- 適する用途:大規模なデータ連携や独自業務の差別化を目指す場合です。
- 代替構成:モデル作成・表示・交換に標準技術を使い、承認・検索・帳票だけ開発できる場合もあります。
保守の負担が大きいのは、IFC互換やソフト更新、性能、セキュリティを長く保つ必要があるからです。保守人材を長期間確保する体制も含めて考えます。
5年後の移行や終了時の書き出し、開発会社を変えるときの引き継ぎも、要件に含めておきます。
BIMシステム導入・開発の進め方

BIM導入は、ソフトの契約や研修だけでは進みません。目的とデータ、役割を決めたうえで、標準や連携、評価方法も定めて進めます。
まず1案件または1部門で検証し、企画から運用の定着までを一続きのプロジェクトとして扱います。
1.目的と要件の決定
最初に、対象工程と改善指標を決めます。そのうえで、必須要件のMUSTと将来要望のWANTを分けておくと有効です。改善対象と改善目標、MUSTとWANTの内容は、次の4項目で整理します。
- 改善対象:設計品質、干渉削減、数量精度、施工計画、確認申請、維持管理から選びます。
- 改善目標:初期段階で優先順位を付けた1〜3個の目標。
- MUST:図面出力や座標、属性、権限、ファイル形式、既存システム連携の定め。
- WANT:将来の4D・5D、IoT、デジタルツインなどの整理。
意匠・構造・設備、施工、積算、現場の各部門や、発注者、協力会社に話を聞きます。そのうえで、誰が何をいつ入力し、誰が承認するかを整理します。
要件が曖昧なまま個別開発に進むと、見積の比較が難しくなり、追加費用も発生することがあります。
2.BEPとサンプル案件の作成
BEPで作業の標準を定め、実案件に近いサンプルを使ってPoCを行います。
- BEP(BIM実行計画):ソフトと版、座標、命名、LOD・LOIを決めます。
- サンプルモデル:図面出力と数量集計、干渉確認を試し、IFC・BCFの交換やCDEの権限も確かめます。
BEPでは、属性やモデルの分割、承認、納品形式、責任の分け方も定めます。さらに、サンプルでは既存の積算・施工管理との連携も確かめます。
BEPがないと作り方が担当者ごとに異なり、モデル統合や引き渡しに問題が起きます。そこで、デモ用ではなく、自社の複雑な納まりや例外を含むモデルで試し、作り方のずれを減らします。
3.標準化・移行・教育
PoCの結果をもとに標準を整え、既存図面の移行と、実務に沿った教育を進めます。
- テンプレートと部材ライブラリ:属性の入力ルール、レビュー手順、ファイル命名、フォルダ構成を決めて整備します。
- 既存図面の移行:案件の重要度と用途に応じた部位の再モデリング。
- 教育:実案件を使った演習、モデルのレビュー、承認の練習、協力会社との共有ルールを扱います。
2D CAD図面を一括で変換しても、そのままBIMになるとは限りません。そのため、再モデリングとあわせて、属性入力にも優先順位を付けて進めます。
BIMマネージャーや推進担当が、質問の受付や標準の更新、品質の確認、利用状況の把握を担うと、特定の担当者に仕事が偏る(属人化)のを抑えられます。
4.段階展開とKPI測定
対象を絞って段階展開し、導入前後の業務指標を定期的に見直します。
- 対象部門や案件を限定し、BEPと標準テンプレートを改善しながら範囲を広げます。
- KPIには、変更反映漏れや干渉の解決日数、施工前に解決した課題数を入れます。数量拾いの時間や合意形成の日数、モデルの再利用率も設定します。
- 図面の修正時間を案件ごとに測り、変更漏れの確認回数、現場の手戻り、問い合わせ件数と照らし合わせます。
- 導入から3か月、6か月、12か月での振り返りと、未利用機能や入力負担の大きい項目の見直し。
導入効果は、業務指標がどう変わったかで判断します。モデル作成件数は、その判断の一材料にとどまります。
BIMシステムの費用相場と内訳
総費用には、ソフトの費用に加えて、初期設定や図面のBIM化、個別連携などの費用が含まれます。教育や保守も含めて考えます。
ソフトの公開価格と受託開発費は性質が異なるため、見積を総額で比較します。
▶ 詳細はこちら:BIMシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
ライセンス・クラウド費用と契約条件
2026年8月時点の公式価格例は、製品や契約内容によって異なります。
- AEC向け:総合サブスクリプションは1ユーザー年額約48万7,300円、設計・施工ツールのコレクションは年額約63万2,500円です。
- 設計向けサービス:共同作業込みは月額税込6万6,000円、年契約では月あたり税込3万8,500円です。
- クラウド単体:年契約で月あたり税込7,563円の例があります。
期間や機能、利用者数で金額が変わるため、発注の時点で公式価格を確認します(出典: 各製品の公式価格ページ、2026年8月確認)。
要件定義やテンプレート、図面移行は、別料金になるのが一般的です。API連携や研修、運用支援も、ソフトとクラウドの費用とは分けて見積もられます。
追加の利用者や保存容量によっても、総額は変わります。外部共有やバックアップ、データの取出し条件も、金額を左右します。
導入・開発費の規模別の目安
BIM専用の受託開発費を比べられる公表統計は多くありません。業務システムの一般的な工数に、モデリングやCDE設定、移行、教育を加味して推定しています。
これは公開見積ではなく、要件を整理するための予算の仮置きです。最終的には、同じ条件で複数社から見積を取得します。
- 小規模パイロット:1部門・1案件、標準テンプレート・数ライセンス・基本研修込みで300万〜800万円程度(2〜4か月)。
- 設計部門:本格導入で800万〜2,000万円程度、期間は4〜8か月です。
- 設計・施工を横断:2,000万〜8,000万円程度です。
- 全社基盤:大規模CDEや基幹・積算・維持管理連携を含むと3,000万〜1億5,000万円超の可能性があり、期間は12〜24か月程度です。
対象案件の範囲や移行する量によって変わります(出典: BIM固有の横断統計が少ないため、業務システム工数とBIM導入要素を組み合わせた推定、2026年)。
見積の費目と3年総額
見積書では、次の費目に分けておくと、会社ごとの条件を比べられます。
- 製品・基盤:ライセンス、クラウド・ストレージの契約、容量、共有条件。
- 初期構築:初期設定とテンプレートの作成範囲。
- 既存図面のBIM化:「一式」とせず、図面枚数、モデル範囲、LOD、属性入力項目、検収方法を記載すると比較しやすくなります。
- 個別連携:API開発でつなぐシステムと機能。
- 運用支援:教育・BIMマネジメント、保守・サポートの対応時間や更新支援。
初年度だけでなく、3年間の更新やクラウド、保守の費用も見込みます。追加の教育や版の更新、協力会社の利用費も加えます。
年間の費用を初期費用の15〜30%程度と仮置きする方法もあります。ただし、これは予算計画上の目安です。人数やモデル容量、外注量、連携数によって変わるため、増える条件を見積に明記しておきます。
BIMシステム開発会社・ベンダーの選び方
ソフトの提供、導入やモデリングの支援、APIや基幹連携の開発は役割が異なるため、会社は、社名や機能の数より、自社の工程や建物・構造、既存データ、体制に合う分担かどうかで比べます。
担当範囲と得意工程
候補先の得意な工程と、導入支援に含まれる実務の作業を確かめます。
- 対応工程:設計中心か、施工・製作、維持管理まで扱うか。
- 得意分野:意匠・構造・設備連携、鉄骨・プレキャスト、日本の法規・確認申請。
- システム連携:数量、工程、施設管理との連携実績を案件単位で確認。
- 導入支援:要件定義やBEPの作成、テンプレートと部材ライブラリの整備、図面モデル化、テスト、研修、運用後の問い合わせ対応まで扱うか。
- 担当者:作業の責任者が決まっていて、設計・開発・教育の実務者と話せるか。
互換性とオープン連携の実案件での確認
既存環境との互換性は、対応している形式だけでなく、実データを使って確かめます。
- IFC交換:形状や階、部屋、部材、属性、座標が保たれるかを試します。
- 課題・モデル:BCFで課題を戻せるか、分割・統合に問題がないかを確かめます。
- 実案件相当の確認:複雑な納まりを含むサンプルで図面、数量、干渉、権限、外部共有、出力を試します。
- 既存システム連携:積算や工程、会計、施設管理とつなぐ場合は、API仕様や再送の方法を確かめます。責任者と更新時のテストも決めておきます。
実務上の品質は、対応形式の一覧よりも、実データでの結果を見て判断します。
セキュリティ・契約・保守
クラウドの安全性と契約・保守の条件は、自社の機密区分や運用に照らして確かめます。
- アクセス管理:プロジェクト権限、MFA、アクセスログ、外部共有。
- データ保護:暗号化、バックアップ、所在地、削除・返却、第三者監査。
- 契約・保守:モデル・属性の所有権、二次利用、復旧目標、保守時間、更新、終了時の返却形式。
- 委託条件:請負・準委任、追加単価、検収、再委託管理、会社変更時の引き継ぎ資料。
主要CDEの公式資料には、MFAやTLS 1.2以上、保存時のAES-256相当の暗号化があります。ISO 27001の監査や、ISO 19650に準拠した基盤なども示されています(出典: CDE提供サービスの公式セキュリティ資料、2026年7月更新)。
▶ 詳細はこちら:BIMシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
▶ 詳細はこちら:BIMシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
▶ 詳細はこちら:BIMシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について
2026年のBIM図面審査と最新動向
2026年は、BIMを設計の効率化にとどめず、建築確認や各工程のデータ連携の基盤として考える節目です。制度やガイドラインは更新されるため、標準属性や申請用CDE、出力の運用に追随できる体制かどうかを確かめます。
BIM図面審査の対象と要件
国土交通省は2026年4月1日にBIM図面審査を開始しました。
開始に先立つ2026年3月には、審査ガイドラインと入出力基準、確認申請図書表現標準などを公開しました。
- 審査データ:PDF図面とIFCを使い、確認申請用CDEも想定します(出典: 国土交通省「建築BIM推進会議」、2026年)。
- 対象条件:全民間案件への一律義務ではありません。対象申請、審査機関、基準、申請者・審査者の手順を確認します。
- 案件準備:制度利用案件のモデル・図面・属性、担当設計者、モデル責任者、PDFとIFCの照合方法を決めます。
準備の内容は、申請の対象と審査機関の手順に合わせます。
標準属性とオープンデータ連携
国土交通省は2026年3月に標準属性項目リストと解説書を更新しました。
- 属性ルール:標準・独自、必須・任意、入力時期、更新責任者を定めます。
- オープン形式:IFCやBCFで、異なるソフトや関係者と情報を受け渡します。
- 交換テスト:PoCで属性欠落、座標ずれ、分類変換、課題の往復を確かめます。
標準項目と独自項目を分けておくと、社外との連携や将来の再利用に対応しやすくなります。形式に対応していても、正確に交換できるとは限りません。連携の成否は、製品カタログよりも実データの交換で判断します。
AI・自動化・デジタルツインの目的と使い方
AIや運用データとの連携は、対象の業務と、人が担う判断をはっきりさせて使います。
- AI・自動化:図面チェック、部材配置、数量抽出、加工図、検索支援に使えます。
- 検証項目:誤認識や学習データの扱い、ログ、再現性を確かめます。
- デジタルツイン・IoT:運用データをBIMへ戻し、エネルギー管理、異常検知、改修計画に活用します。
BIMデータの品質が整うほど、AIは使いやすくなります。そのうえで、自動化してよい判断と、有資格者や設計責任者が行う判断を分けておきます。
センサーの識別子とモデルの部材IDが結び付かなければ、運用データを生かせず、3D表示で終わってしまいます。そこで、設備台帳や点検履歴など、効果を測りやすい用途から始めます。
BIMシステム導入で失敗しやすいポイントと対策
失敗は機能不足よりも、目的・標準・役割・運用の設計不足から起きやすいものです。
導入前に失敗のパターンを把握し、PoCや契約条件に対策を組み込めば、費用や手戻りを抑えられます。
入力負担が増えて現場で使われなくなるケース
入力項目が多すぎたり、運用が一部の担当者に偏ったりすると、BIMが使われなくなることがあります。
- 属性量:すべての部材に細かな属性を求めると、作成時間が増えます。
- 運用標準:テンプレート、部材ライブラリ、手順、レビュー記録を共有します。
- 実案件レビュー:研修後に確認し、複数人で品質をそろえます。
工程ごとにLOD・LOIと必須属性を決め、入力の理由や入力者、確認者、再利用先を示しておきます。
詳しい担当者だけに任せていると、異動の際に運用が止まることがあります。また、不要な項目を減らすことも、負担を抑えることにつながります。
部門ごとにデータが分断されるケース
部門ごとに形式や命名規則が違うと、同じ建物のデータをつなぐことが難しくなります。
- 共通ルール:座標系、モデル分割、属性、版管理、承認、課題の扱い。
- 段階連携:必要な項目と識別子を決め、CSV、IFC、BCF、APIで接続。
- 移行範囲:連携するデータと対象外のデータ。
共通ルールをCDEのフォルダや権限に反映すると、部門をまたいでデータを扱えるようになります。
既存の2D図面や業務システムは、一度に置き換えなくても構いません。連携の範囲を決めておくことは、品質と費用の管理にもつながります。
効果が測れず、継続予算を説明できないケース
継続予算を説明するには、導入前の指標と導入後の課題を分けて記録します。
- 導入前の計測:設計変更時間、図面不整合、干渉課題、数量拾い時間、施工前の手戻り、合意形成日数を測ります。
- 比較方法:案件規模や担当者が変わっても比べられる、計測方法の決まり。
- 未達時の分析:モデル品質、利用率、教育時間、連携エラー、対象工程を分けて確認します。
適用する案件を調整し、標準や属性を改善すれば、成果を次の案件へつなげられます。
よくある質問(FAQ)
導入時の判断材料には、機能のほか、費用や既存データ、会社選び、制度対応も含まれます。
BIMシステムと3D CADは同じですか?
異なるものです。3D CADは主に形状を表し、BIMは部材の仕様や面積、性能も持たせます。
BIMの情報は図面や数量、工程、維持管理につながります。ただし、CADデータを自動で完全に変換できるとは限らず、目的に応じて再入力やモデル化が必要です。
小規模な設計事務所でもBIMシステムを導入できますか?
導入できます。全員や全工程を対象にせず、1〜数ライセンス、1案件、図面出力や共同作業などに絞って始めます。
クラウド契約や標準テンプレート、外部支援を組み合わせて、パイロットを始めます。そのうえで、社内で標準とレビュー方法を身に付け、段階的に範囲を広げます。
BIMシステムの導入費用はどれくらいかかりますか?
小規模パイロットは300万〜800万円程度、設計部門の本格導入は800万〜2,000万円程度が推定の目安です。BIM専用の公表統計が限られるため、金額は案件の範囲で大きく変わります。
ライセンス・クラウド、テンプレート、図面移行の費目を分けます。さらに、連携、教育、保守も別の項目にして、3年総額で比較します。
既存の2D CAD図面はそのままBIMへ移行できますか?
自動変換の後にも、作業が残ることがあります。線や文字を部材や部屋、設備などのオブジェクトに変換し、必要な属性を入力します。
重要な案件は詳細度を高く、参照用の過去案件は低くするなど、用途に応じて移行の範囲を決めます。
設計データをクラウドに置いても安全ですか?
安全性は、サービス名よりも、中身の確認で判断します。
MFAや案件ごとの権限、暗号化、ログ、バックアップを確認します。さらに、データの所在地や外部共有、削除・返却、第三者監査も見ておきます。
自社の機密区分と契約条件に合うかを評価します。協力会社のアカウントは共有せず、終了時の権限削除も運用に含めます。
BIMシステム完全ガイドのまとめ
BIMシステムは、形状と属性を設計・施工・維持管理へつなぐ業務の基盤です。3Dモデルを作るだけのソフトとは、位置づけが異なります。
成否は、対象工程やLOD・LOI、データ責任者の決め方で大きく変わります。CDEや既存連携、教育、KPIの具体化も、成否に関わります。
導入前に決めておく事項
導入後の手戻りを防ぐには、次の事項を発注の前に確かめておきます。
- 目的と検証:業務課題を1〜3個に絞り、1案件のPoCで図面、数量、干渉、IFC・BCF、権限の確認。
- 費用:ライセンス、クラウド、初期設定、図面移行、API、教育、保守を分け、3年総額で比べます。
- 担当範囲:ソフトベンダー、導入支援、モデリング、連携開発の役割の線引き。
- データ条件:データの所有権と契約終了時の返却条件を定めます。
小さく始めて標準を育てる進め方
制度や標準の動きを踏まえ、代表的な案件から段階的に運用を整えます。
- 段階導入:BIM図面審査や標準属性、確認申請用CDEを見据え、初めから全工程を完成させない。
- 代表案件で検証:成果、入力負担、データ品質を確かめ、テンプレート、BEP、教育、連携を更新します。
- 継続運用:設計変更の漏れや施工前の手戻り、情報の分断を減らし、建物データを次工程へ生かします。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
