ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の完全ガイド

ビジネスプロセス管理システム(BPM)は、業務の可視化、実行、分析、継続改善をつなぐ基盤です。

機能や方式、導入手順、費用、開発会社の選び方、失敗対策を一つの流れで確認できます。各テーマを深く知りたいときは、下の関連記事もご覧ください。

▼関連記事一覧
・ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ビジネスプロセス管理システム(BPM)の定義

ビジネスプロセス管理システム(BPMS)は、人、データ、システム、ルールをつなぎ、業務を継続的に改善する基盤です。

申請や承認の電子化にとどまらず、処理の滞留や手戻りを記録して、改善効果を数値で確かめられます。

BPMとBPMSの意味の違い

BPMとBPMSは、考え方と、その考え方を実行するシステムを分けて捉えます。

  • BPM:Business Process Managementの略で、業務プロセスを管理・改善する考え方です。
  • BPMS:BPMの考え方を実行するシステムです。

一般には、BPMNなどで業務を図式化し、担当者や分岐条件を設定して処理状況を監視します。

BPMN 2.0は、業務プロセスを共通記法で表す仕様として公開されており、部門と開発担当者の認識合わせに役立ちます(出典: Object Management Group「BPMN 2.0 Specification」、2026年確認)。

導入による変化と効果

導入効果は、処理時間、滞留時間、差し戻し率、入力ミス、監査対応時間、利用率などで測定します。たとえば、見積承認でメールを探す時間を減らし、金額に応じた承認者を自動判定すれば、処理の早期化と承認漏れ防止を狙えます。また、処理履歴から、特定担当者への業務集中や例外処理の多い工程も把握しやすくなります。

ワークフロー・RPA・ERPとの違い

ワークフロー、RPA、ERPは、次のように業務の一部を担います。

  • ワークフロー:申請、承認、差し戻しなど一定の手続きの電子化
  • RPA:画面上の定型操作の自動実行
  • ERP:会計、販売、在庫などの基幹データの統合

一方で、BPMは業務の始点から終点までを対象にします。個別の機能名より、業務を横断する視点と実行基盤として捉えると分かりやすいです。

そのうえで、ワークフローやRPA、ERPなどを組み合わせ、プロセス全体を設計・改善します。CRMや文書管理も組み合わせの対象になります。

ビジネスプロセス管理システムの主な機能

BPMSを比べるときは、申請画面だけでなく、管理できるプロセスの範囲で見ます。

複数部署にまたがる場合は、フォームやルール、外部連携などが一体で動くかどうかが、使い勝手と運用コストを左右します。

業務プロセスの可視化・モデリング機能

最初に必要なのは、現状の業務を図で表せる機能です。現状業務は、開始条件から完了条件まで、担当部署や承認、分岐、例外、目標処理時間を含めて描きます。

As-Is・To-BeやBPMNの共通記法を使うと、業務部門と開発担当者の認識をそろえられます。

図を作ること自体を目的にせず、後続の実行設定やKPIと結び付くかも確かめます。

ワークフロー実行・ルール管理機能

実行機能は、申請や承認、差し戻し、代理承認を進めるほか、期限超過時のエスカレーションや並列処理も担います。

金額や商品区分、拠点、リスク区分、役職で経路を変える条件は、ルール管理しておくと変更に強くなります。さらに、組織改編や人事異動のときに、過去の申請記録を壊さず将来の経路だけを安全に変えられるかも確かめます。

フォーム・データ・外部システム連携

BPMSは、フォームや添付、案件・顧客・契約情報を業務の流れに沿って扱います。

会計、販売、在庫、顧客管理、文書管理などとAPIで接続すると、重複入力を減らせます。

APIのない古いシステムでは、RPAやファイル連携を補助的に使う方法もあります。ただし、画面変更に弱くなりやすいため、将来のAPI化や置き換えも検討します。

監視・プロセスマイニング・監査機能

稼働後は、件数やリードタイム、滞留、差し戻し率、担当者負荷、期限超過を集計します。

ログを分析すると、実際の経路や停止箇所が分かります。プロセスマイニングは、ヒアリングだけでは見えないボトルネックを見つけるのに役立ちます。

分析画面があっても、業務オーナーが改善会議で使わなければ効果は出ません。そのため、誰がどの頻度で、どの指標を見て、どの変更を承認するかも運用設計に含めます。

BPMを導入すると効果的な業務

BPMは、全業務を一度に置き換えるのではなく、処理量が多く複数部署が関わる業務から始めます。特に、例外や承認があって効果を測りやすい業務では、投資対効果を確かめやすくなります。

最初の対象に向く業務の条件

候補には、購買申請、見積・契約承認、経費精算、請求書処理があります。ほかにも、入社・異動手続き、問い合わせ対応、品質是正などが挙げられます。

これらに共通するのは、開始と完了が明確で、担当者や承認条件を定義でき、処理時間や手戻りを計測できる点です。紙、メール、Excel、個別台帳が混在する業務は課題が見えやすいものの、最初は一つの部門や拠点で試すのが安全です。

後回しにしたほうがよい業務の条件

判断基準が担当者の経験に頼っていて正解が定義されていない業務や、制度が頻繁に変わる業務は、要件が膨らみやすいです。また、対象データに重複や欠損が多い場合は、システム構築の前にデータクレンジングが必要になります。

重要な業務であっても、発注側は最初から基幹全体を対象にはせず、影響範囲、データ準備状況、効果の測りやすさを点数化して優先順位を決めます。

ポイント

最初の対象は、処理量が多く複数部署が関わる業務を目安にします。迷うときは、影響範囲やデータ準備状況、効果の測りやすさを点数化して比べます。

ビジネスプロセス管理システムの種類

方式は、業務の標準化、連携の複雑さ、社内で運用する範囲、将来の拡張性で選びます。製品に業務を合わせてしまわないよう、要件と優先順位を先に整理しておきます。

SaaS・クラウド型

SaaS・クラウド型は、サーバーや大規模な初期構築を抑えて、標準機能で短期間に始められます。更新やバックアップはサービス側に任せられます。その一方で、独自の承認ルートや細かな画面仕様は実現できない場合があります。

月額料金のほかに、ユーザー数や実行回数、容量、API、追加環境の条件を確認します。監査ログやデータ出力、解約時の返却条件も確かめます。

ローコード・設定型

ローコード・設定型は、フォームやワークフロー、データ項目を組み合わせて、業務部門と開発担当者が協力して作れます。小さな変更は自社で行いやすく、制度改定や組織変更にも対応しやすい傾向があります。

自由度が高いと、似たアプリが増えたり、権限や命名規則がばらばらになったりします。そのため、共通マスタ、開発申請、レビュー、テスト環境、リリース手順を先に決めておきます。

パッケージ・業務基盤型

パッケージ・業務基盤型は、ワークフローや文書、権限、監査、連携を備えた特定業務向けの基盤です。業務標準を取り入れやすく、大規模組織や複数拠点で統一して運用する場合に向きます。

標準機能から外れる追加開発が多いと、更新負担や製品依存が大きくなります。そこで、標準に合わせる業務と独自性を残す業務を分けて考えます。

スクラッチ開発型

スクラッチ開発型は、独自ルールや複雑な連携を設計しやすい方式です。固有業務を再現したい場合や、標準製品では重要な要件を満たせない場合に選択肢になります。

スクラッチ開発では、要件定義やテスト、セキュリティ、保守、法改正対応を、自社と開発会社が継続して担います。初期費用と長期の運用費は大きくなりやすいです。そのため、標準機能との差分を示し、独自開発を選ぶ理由を説明できる状態にしておきます。

ポイント

標準機能で足りる業務はSaaSや設定型を、独自ルールや複雑な連携が要る業務はスクラッチ開発を候補にします。どちらでも、標準との差分を示せるかで判断します。

ビジネスプロセス管理システムの導入・開発の進め方

業務の洗い出しからPoC、段階リリース、継続改善へ進むBPM導入の流れを示した図。
小さな検証を挟むことで、次の展開に向けた条件を整えられます。

導入では、業務と成果指標を整理したうえで、小さく検証しながら段階的に広げます。現行業務をそのまま電子化すると、不要な承認や二重入力も固定されてしまいます。そのため、現状の分析とTo-Be設計に時間をかけます。

企画・業務の洗い出し・優先順位付け

対象業務を洗い出して優先順位を付けるときは、次の内容を整理します。

  • 業務の流れ:開始、入力、担当、承認、例外、完了条件の一覧
  • 業務量:関連システム、処理時間、月間件数
  • ヒアリング:通常処理に加えて、差し戻し、代理、緊急対応、月末集中の確認
  • 優先順位:効果、難易度、データ準備、波及効果による評価と、MUSTとWANTの分類

初回は、数十業務を一度に扱うのではなく、1つから3つ程度のプロセスで検証します。そうすると、要件のずれを早く見つけられます。

要件定義・To-Be設計

要件定義とTo-Be設計では、運用条件も含めて次の内容を決めます。

  • 要件:業務ルール、権限、データ、連携、保存期間、監査ログ、障害時の扱い
  • To-Be設計:現行手順の再現と、業務を変える要件の切り分け
  • 承認経路:「部長が承認する」とされていても、金額やリスクで経路を変えるかの判断
  • 受入基準:正常系に加え、差し戻し、期限超過、代理、権限不足、連携エラーの各ケース

承認経路の設計は、費用にも影響します。

プロトタイプ・PoC・受入テスト

候補を絞ったら、実データに近いサンプルで検証します。

  • 動作確認:複雑な承認分岐、添付、連携、権限、エラー時の再処理、操作履歴の確認
  • PoC:処理時間の短縮、入力ミスの減少、現場が自力で使えるかの記録
  • 受入テスト:合格条件の事前合意による、追加要望と責任範囲のもつれの防止

画面の見た目だけでなく、必要な動作が確かめられるかも見ます。

段階リリース・定着・継続改善

稼働後の定着と改善では、展開の方法と担当を決めておきます。

  • 段階展開:先行部門や一拠点からの稼働と、利用率・KPIを見ながらの拡大
  • 稼働準備:並行期間、移行データ、教育、窓口、障害時の手戻し手順
  • 継続改善:業務オーナー、システム管理者、権限管理者、開発会社の役割の明確化と、月次または四半期の会議でのログ・KPIの見直し
  • 成果物:設計書、設定、データ、ソース、運用手順の保有者を契約時に確認すること

稼働前に準備を整えておくと、現場の不安を抑えられます。

ポイント

導入は小さく検証してから広げます。迷うときは、現行業務をそのまま電子化していないか、初回が1つから3つ程度のプロセスかを基準にします。

ビジネスプロセス管理システムの費用相場

PoC、部門、複数部門、全社の4規模について、初期費用と導入期間の目安をカードで比較した図。
対象範囲が広がるほど、費用と期間の目安にも幅が出ます。

費用は、ライセンス、要件定義、設定・開発に分けて考えます。連携、データ移行、テスト、教育、保守も、それぞれ別の費用として見ます。複雑な承認ルートや既存連携、データクレンジングが加わると、初期費用は変わります。

以下の金額は、BPM専用の全国統計ではなく、2026年8月時点の公開料金、受託開発工数、基幹刷新の相場情報をもとにした編集部推定です。確定見積ではないため、予算計画の初期目安としてご利用ください。

▶ 詳細はこちら:ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の見積相場や費用/コスト/値段について

規模別の初期費用と期間の目安

対象規模ごとの初期費用と期間は、次の範囲が目安です。

  • PoC:1業務から3プロセス程度を標準フォームと承認で検証。50万円から300万円、1か月から2か月。
  • 部門:申請・承認、文書、権限、ログ、1個から3個程度の連携、教育を含み、300万円から800万円、2か月から4か月。
  • 複数部門:10本から30本程度、基幹・顧客管理・API・RPA連携、移行、KPI設計で800万円から2,000万円、4か月から8か月。
  • 全社:多数拠点・子会社、複雑な権限、数十本から数百本のプロセスでは2,000万円から5,000万円超、8か月から18か月以上の場合があります。

公開ライセンス料金と開発費の区別

国内業務SaaSの公式料金は、2026年8月6日に確認しました。ユーザー課金型のライト、標準、ワイド相当は、1ユーザーあたり月額1,000円、1,800円、3,000円でした。最小契約人数は、プランによって10人または1,000人です。

自動化基盤と業務SaaSは料金体系が異なるため、分けて比較します。

  • ユーザー型:月額2,248円相当です。
  • ボット型:月額22,488円相当または32,233円相当です。
  • プロセスマイニング:追加機能はテナントあたり月額749,625円相当です。
  • 20人利用:業務SaaSは月額2万円から6万円、自動化基盤は約4万5,000円相当です。

各料金は税抜・年払い相当で、20人利用の試算は利用料のみです(出典: 各サービスの公式料金ページ、2026年8月確認)。

アプリ作成やプロセス設計、API連携、RPA、OCRを加えると、総額は変わります。移行、教育、保守、追加環境、容量も、総額に関わってきます。見積書では、初期費用と月額費用を分けて書いてもらい、ユーザー数や実行量が増えた場合の増額条件も確認します。

見落としやすいランニングコスト

利用料のほかにかかるランニングコストも、あらかじめ確認しておきます。

  • 日常運用:ライセンス、クラウド、保守、問い合わせ対応、権限変更、ログ保管・バックアップ
  • 変更対応:連携先の仕様変更、法改正対応、教育、改善開発
  • 保守費用:初期開発費の一定割合か、月額作業時間で算出する場合があります。
  • 契約終了:障害対応以外の範囲と、データ出力・移行費用の確認

ランニングコストは、長期の総保有コストに関係します。

ポイント

費用は、初期費用と月額費用を分けて比べます。金額は編集部の推定で確定見積ではないため、増額条件やランニングコストまで見積書で確かめる必要があります。

ビジネスプロセス管理システムの開発会社・ベンダーの選び方

開発会社やベンダーを業務実績、技術力、見積・契約・定着支援の3観点で確認する図。
3つの観点をそろえると、候補ごとの支援範囲を見比べやすくなります。

製品を提供するベンダーと、業務整理から設定・開発、移行、教育、保守までを担う導入パートナーの役割を分けて確かめます。知名度や機能数に加えて、自社の業務を理解できるか、例外を含む設計と稼働後の改善を支援できるかを比べます。

業務理解と類似プロジェクトの実績

導入社数だけでなく、自社に近い業務、組織規模、連携数、移行量、利用者数、稼働後の体制を確認します。提案の場では、差し戻しや代理、組織改編、拠点ごとの権限、障害時の再処理を、どう設計するかを質問します。

発注側は、事例の画面に加えて、改善できたKPI、導入後の変更、担当者が内製化できた範囲も確かめると、実力を見極めやすくなります。

連携・権限・運用設計の技術力

RFPでは、次の技術条件を同じ形式で確認します。

  • 接続:連携方式、API認証、エラー処理、マスタ同期の確認
  • データ:移行、バックアップ、ログ保存期間、データ所在地の確認
  • アクセス:MFA、RBAC、テスト環境の回答項目への記載
  • 障害・引き渡し:失敗検知、再実行、重複防止、設定・ソース・設計書、移行可能なデータ形式の確認

連携失敗時の動きは、デモでは見えにくいものです。そのため、契約前に具体的な運用を確認します。

見積条件・契約・定着支援の比較

総額だけでなく、契約条件と導入後の支援内容も比べます。

  • 見積内訳:要件定義、設計、設定・開発、テスト、移行、教育、保守の工程ごとの金額の比較
  • 契約形態・変更:請負か準委任か、仕様変更の扱いの比較
  • 責任・成果物:追加費用の条件、納期遅延時の責任、検収基準、再委託範囲、成果物の所有権の比較
  • 定着支援:操作研修、問い合わせ窓口、改善会議、軽微な変更、法改正対応の有無

▶ 詳細はこちら:ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ポイント

候補を比べるときは、導入パートナーの支援範囲と、連携失敗時の運用や責任範囲を契約前に具体的に確かめられるかが判断の分かれ目です。

BPM導入で起きやすい失敗と対策

導入の失敗は、技術の問題だけでなく、対象業務や責任者、成果指標、現場への伝え方が曖昧なまま進むことでも起こります。そこで、よくある失敗のパターンを先に把握し、導入前にプロジェクトの判断基準に組み込みます。

現行業務をそのまま電子化すること

紙の申請をWebフォームに置き換えるだけでは、不要な承認や重複入力、手作業の集計が残ります。まず、現行業務をAs-Isとして記録し、承認を減らせるか、入力元データを連携できるか、例外を標準化できるかを検討します。業務を変える場合には、意思決定者を明確にしたうえで、現場への説明と試行期間を設けます。

対象範囲の広がりによる費用と納期の増加

全社利用を目指すと、要件定義の途中で対象部門や連携先が増えることがあります。そのため、対象プロセス、利用者、移行件数、連携本数、帳票、例外処理を基準として固定しておきます。

追加要望は、MUST、WANT、将来候補に分けます。初回に入れない要件も次期計画に記録しておけば、要望を尊重しながら納期を守りやすくなります。

稼働後の現場利用の低下

稼働後に現場の利用が落ちる原因は、画面の扱い、入力項目の多さ、例外への対応、問い合わせ先、導入の狙いの共有の5つです。

  • 操作:画面の扱いが難しい
  • 入力:旧運用より入力項目が多い
  • 例外:イレギュラーな処理に対応できない
  • 支援:問い合わせ先が分からない
  • 目的:導入の狙いが共有されていない

設計段階から現場の代表者を参加させ、実際のサンプルで操作性を確かめます。稼働後は、利用率や差し戻し率、問い合わせ内容を見て、画面やルールを改善します。さらに、使い続けると何が楽になるのかを伝えることも、定着につながります。

BPM導入で確認すべきセキュリティと法令対応

BPMでは、個人情報や請求書、契約書、評価情報、承認履歴などを扱う場合があります。こうした情報を扱うなら、閲覧権限や変更・削除履歴、障害時の復旧を要件に含めます。制度や社内規程は更新されるため、公開前や契約前に最新の公式情報を確認します。

MFA・権限・ログ・バックアップ

アクセス管理から監査まで、次の項目を確認します。

  • 認証・権限:MFA、多要素認証、役割ベース制御、組織・役職・代理権限、特権操作制限。
  • 保護・復旧:通信・保存時の暗号化、ログ改ざん防止、バックアップ、復旧目標。
  • 権限運用:退職・異動時の停止、緊急時の付与、委託先アクセス、管理者の相互牽制。
  • 監査:誰がいつ何を変更したかを検索・出力できるか。

データ所在地・ISMAP・委託先の確認

クラウドの利用条件や委託先については、次の内容を確認します。

  • サービス条件:保管場所、バックアップ先、再委託先、障害時連絡、終了時の返却・消去、脆弱性対応期限。
  • ISMAP:政府のセキュリティ要求に沿うクラウドを評価・登録する制度です。
  • 適用範囲:自社規程や取引先の要求の確認と、連携先や運用委託先の評価

ISMAPに民間企業の一律の利用義務はありませんが、調達時の確認材料になります(出典: ISMAPポータル「ISMAP概要」、2026年確認)。

電子帳簿保存法などの証憑管理

請求書などの証憑を管理するときは、電子取引データの保存要件を整理しておきます。

  • 保存・検索:請求書、領収書、契約書などの電子取引データに対する、保存期間と検索条件の要件化
  • 履歴・関連付け:訂正・削除履歴、証憑と帳簿の関連付け、ダウンロード対応の要件化

国税庁の2026年6月資料「電子取引関係」では、保存要件、改ざん防止、検索機能が整理されています。関連資料には「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」もあります。

BPMだけで自動的に法令対応が済むわけではないため、経理、法務、情報システムで運用規程と設定を照合します。

ビジネスプロセス管理システムに関するよくある質問

業務量や組織構成、既存システム、セキュリティ要件によって、最適な答えは変わります。導入前によく寄せられる疑問への回答は、一般的な目安として読んでください。

BPMとワークフローはどちらを選べばよいですか?

申請・承認を中心に短期間で電子化したい場合は、ワークフロー製品で足りる可能性があります。一方で、複数部署やシステムをまたいで、業務全体の可視化、実行、分析、継続改善を行う場合は、BPMとBPMSを検討します。なお、将来の拡張を見据えつつ、一つのプロセスから始める方法も有効です。

小規模企業でもBPMを導入できますか?

導入できます。全社の基盤を一度に作るのではなく、少人数の部門で件数が多く、手戻りの見えやすい業務を一つ選びます。

SaaSやローコードで検証すると、始めやすくなります。予算には、ライセンス料だけでなく、業務整理、設定、教育、運用担当者の時間も入れます。導入前後の処理時間や利用率を比べます。

BPMにAIを組み込むと何ができますか?

AIは業務フローのたたき台、文書分類、入力内容の要約、異常や滞留の検知、次の処理の予測などに使えます。ただし、承認権限、個人情報、誤判定時の人手確認、判断理由の説明は別途設計が必要です。そのうえで、導入自体を目的にせず、処理時間や確認工数の削減、誤りの検知・訂正方法をKPIと運用手順に落とし込みます。

BPMシステムの開発期間はどのくらいですか?

開発期間は規模によって異なり、次の期間が目安です。

  • 小規模PoC:1か月から2か月。
  • 部門導入:2か月から4か月。
  • 複数部門連携:4か月から8か月。
  • 全社・基幹連携:8か月から18か月以上かかる場合があります。

期間は、プロセス数や例外処理、連携先、移行データ、権限、テスト範囲によって変わります。見積もりの際は、前提条件と、発注側が用意する資料・担当者・判断期限を確認します。

まとめ:BPMによる業務の可視化と段階的な改善

BPMは申請・承認だけでなく、人、システム、データ、ルールをまたぐ業務の可視化、実行、分析、改善をつなぐ基盤です。

ワークフロー、RPA、ERPなどと役割を分け、自社の課題に合わせて組み合わせます。

▶ 詳細はこちら:ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

▶ 詳細はこちら:ビジネスプロセス管理システム(BPM)開発の発注/外注/依頼/委託方法について

小さく始めて数字で効果を確かめる進め方

対象業務を洗い出し、MUSTとWANTを分けて、1業務から3プロセス程度のPoCで検証します。初期費用はPoCが50万円から300万円、部門導入が300万円から800万円、複数部門導入が800万円から2,000万円、全社連携が2,000万円超の目安です。

そのうえで、ライセンスや連携、移行、教育、保守を含む総額で比べます。効果は、処理時間や滞留、差し戻し、入力ミス、利用率などのKPIで確かめます。

稼働後の運用まで見る選定の観点

開発会社・ベンダーは、稼働後の支援も含めて、次の条件で比べます。

  • 業務・技術:業務理解、類似案件、連携と権限の技術力の比較
  • 導入・保守:移行、教育、保守、成果物の引き渡し条件の確認
  • 法令・セキュリティ:電子帳簿保存法などの要件を、要件定義の段階で確認すること
  • 継続改善:業務オーナーが定期的にログとKPIを見て改善し、BPMの価値を高める体制

▼関連記事一覧
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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。