出張管理システム(BTM)開発の発注/外注/依頼/委託方法について

出張管理システム(BTM:Business Travel Management)の開発を外注・委託する際、発注方法や進め方を誤ると、期待していたシステムが完成しない・コストが想定外に膨らむ・納期が遅延するといったトラブルが発生するリスクがあります。適切な発注プロセスを踏むことで、信頼できる開発会社との良好なパートナーシップを築き、プロジェクトを成功に導くことができます。

本記事では、出張管理システム(BTM)の開発を外注・依頼・委託する際の進め方と注意点を解説します。発注前の準備から開発会社の選定・契約・開発中の管理・納品後の運用体制まで、各ステップで押さえるべきポイントをまとめています。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

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・出張管理システム(BTM)開発の完全ガイド

発注前の準備と要件整理

発注前の準備と要件整理

業務要件の整理(現状の出張管理フロー・課題・必要機能)

発注前に最も重要な作業が、自社の業務要件の整理です。まず「現状の出張管理フロー」を可視化し、どのように申請・承認・精算が行われているかを文書化します。次に「現状の課題」を具体的に列挙します。「申請書の回覧に時間がかかる」「領収書の管理が煩雑」「出張費用の全体像が見えない」など、現場担当者・管理部門・経営層それぞれの視点から課題を収集することが重要です。そして「必要機能リスト」を作成し、優先度(必須・あれば望ましい・将来対応)を明示します。この段階で社内ステークホルダー(総務・経理・IT・経営)との合意形成も行っておくと、後のプロジェクト推進がスムーズになります。要件整理の精度が、発注後の「こんなはずではなかった」を防ぐ最大の対策です。

予算・スケジュール・社内体制の確認

開発会社への依頼前に、社内で予算・スケジュール・体制を確定させておくことが不可欠です。予算については、開発費用だけでなく保守運用費・ライセンス費・インフラ費を含めた総コストを見積もります。スケジュールについては、「いつまでに稼働させる必要があるか」を明確にし、逆算して要件定義・開発・テストの各フェーズの期間を設定します。社内体制では、プロジェクトオーナー(意思決定者)・プロジェクトマネージャー(窓口担当)・各部門のキーパーソン(業務要件の確認担当)を事前に決定します。社内体制が明確でないと、要件確認や承認が滞り、プロジェクトが遅延する大きな原因となります。

発注先の選定方法

発注先の選定方法

複数社への相見積もりとRFP作成

発注先を決定する際は、必ず複数社(3〜5社程度)への相見積もりを行いましょう。単独の会社からしか見積もりを取らないと、費用の妥当性を判断する基準が持てません。相見積もりの精度を高めるためには、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)を作成し、全社に同じ情報を提供することが重要です。RFPには「プロジェクト概要・目的」「必要機能一覧と優先度」「連携が必要な外部システム」「開発スケジュール」「予算の概算」「選定基準」を明記します。RFPを活用することで、各社から標準化された提案・見積もりが得られ、公平な比較検討が可能になります。また、会社説明会やオンライン打合せを通じて、担当チームの対応力・コミュニケーションスタイルも確認しましょう。

選定基準と評価の観点

開発会社の選定では、費用の安さだけで判断することは禁物です。選定基準として重視すべき観点は次の通りです。①BTM・ワークフローシステムの開発実績:類似システムの開発実績があるかを確認します。②技術力・提案力:RFPに対する提案内容の具体性・解決策の的確さで判断します。③コミュニケーション品質:ヒアリング時の理解力・質問への回答のわかりやすさも重要な判断材料です。④費用の透明性:見積もりの詳細度・追加費用が発生する条件が明示されているかを確認します。⑤保守運用体制:開発後の継続サポート・バグ対応・機能追加への対応力も確認します。これらを総合的にスコアリングし、最も信頼できる会社を選定することが成功の鍵です。

契約・発注時の注意点

契約・発注時の注意点

契約形態(請負 vs 準委任)の選択

システム開発の契約形態には大きく「請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。請負契約は、完成物(システム)を納品することを約束する契約で、成果物に対して報酬が支払われます。要件が明確に定まっている場合は、費用の見通しが立ちやすく、品質保証の観点でも有利です。一方、準委任契約(SES契約)は、開発作業そのものに対して報酬を支払う契約です。要件が途中で変化しやすいアジャイル開発や、長期的な改善・保守フェーズに適しています。BTM開発では、要件定義・設計フェーズを準委任契約で進め、開発・テストフェーズを請負契約に切り替えるハイブリッドアプローチを採用するケースも増えています。契約前に法律専門家も交えて契約内容を精査することを推奨します。

セキュリティ要件・個人情報保護の取り決め

BTMは従業員の個人情報(氏名・連絡先・旅程情報)や企業の機密情報(出張コスト・訪問先情報)を扱うため、セキュリティ要件・個人情報保護の取り決めを契約書に明確に定めることが不可欠です。具体的には、データの暗号化方式・アクセス権限管理・ログ管理・インシデント発生時の対応手順を仕様書および契約書に記載します。クラウド環境を利用する場合は、データの保管場所(国内外)・バックアップ体制・障害時のRTO/RPOも確認します。また、開発会社への秘密保持義務(NDA)を契約書に盛り込み、開発過程で共有する社内情報の管理ルールも合意しておくことが重要です。個人情報保護法・電子帳簿保存法・インボイス制度など、関連法規への準拠についても開発会社と事前に確認します。

開発中・納品後の管理

開発中・納品後の管理

プロジェクト管理と進捗確認

発注後の開発中は、定期的な進捗確認と課題管理が品質とスケジュールを守るために不可欠です。週次または隔週での定例ミーティングを設定し、進捗状況・課題リスト・次週の予定を確認します。進捗管理ツール(Redmine・Jira・Backlogなど)を共有して、タスクの状況を可視化することも有効です。仕様の変更が発生した場合は、変更管理プロセスを通じて影響範囲・追加費用・スケジュール変更を正式に合意した上で進めます。口頭での仕様変更はトラブルの原因となるため、必ず文書化・承認のプロセスを設けます。テストフェーズでは、エンドユーザー(現場担当者)が実際に操作してUATを実施することで、使いにくさや要件漏れを本番稼働前に発見できます。

保守・運用体制と社内展開

BTMの納品・本番稼働後は、保守・運用体制の整備と社内への展開が重要な課題となります。開発会社との保守契約では、障害対応のSLA(応答時間・復旧時間の目標値)・定期メンテナンスの範囲・機能改修の対応方法を明確にします。社内展開では、利用マニュアルの整備・社員向け操作研修の実施・ヘルプデスク窓口の設置が必要です。段階的なロールアウト(パイロット部門からの順次展開)を採用することで、問題を早期に発見・修正しながら全社展開を進められます。稼働後の定着率向上のため、利用状況のモニタリング・改善提案・追加機能の優先順位付けを継続的に行う体制を社内に確立することが、BTM投資を最大化するために欠かせません。

出張管理システム(BTM)の開発発注を成功させるためには、発注前の準備・パートナー選定・契約内容の精査・開発中の適切な管理が一体となって機能することが重要です。専門的なコンサルティングを提供できる開発会社と連携することで、スムーズな発注と高品質なシステム構築を実現できます。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。