出張管理システム(BTM)開発の完全ガイド

出張管理システム(BTM)は、出張の申請・承認・手配・精算を一つにまとめる仕組みです。開発は、業務要件と既存システムとの連携を先に整理するところから始まります。

出張費の見える化や不正申請の防止、法人契約での割引の活用など、経費管理の強化と業務効率化を目的に導入が進んでいます。

コロナ禍後の出張需要の回復を機に、DXを推進する企業でもシステム化のニーズが高まっています。出張管理システム(BTM)の開発を検討する経理担当者・総務担当者・ITリーダーに向けて、機能と導入形態の整理から、開発の進め方、費用相場、開発会社の選び方までを一通りまとめた完全ガイドです。

進め方・会社選び・費用・発注方法は、各記事で詳しく確認できます。

出張管理システム(BTM)とは:全体像と種類

出張管理システムの主な機能を、申請・承認、手配、予算と精算、証憑と決済、連携と分析の5項目で示す図。
申請から分析まで、機能ごとの役割を見渡せます。

出張管理システム(BTM)は、企業の出張に関わる一連の流れ(申請→承認→手配→実施→精算→報告)を、デジタル化・自動化するシステムです。従来は紙・メール・Excelで行っていた出張申請と費用精算を電子化し、承認フローの自動化や、交通機関・宿泊の最適な手配の支援、費用の可視化・分析を実現します。

さらに、コーポレートカードとの連携や、勤怠・会計・経費精算システムとの統合も重要な機能です。既製のBTMパッケージ(Concur・TRAVIX等)は導入事例が多い一方で、自社の承認フローや経費規程、既存システムとの連携の複雑さから、スクラッチ開発やカスタマイズ開発を選ぶ企業も多くあります。

出張管理システムの主な機能・特徴

出張の申請から精算までを支える機能は、用途ごとに次のように分かれます。

  • 申請・承認:多段階の承認や代理申請に対応
  • 手配:交通機関と宿泊施設の検索や予約を支援
  • 予算と精算:事前見積、上限管理、仮払い、費用精算
  • 証憑と決済:領収書の撮影・OCR、コーポレートカード連携に対応
  • 連携と分析:会計・給与との接続、実績レポート、海外出張の管理

導入形態(クラウド・オンプレ等)の比較

発注する側は、コスト、管理要件、個別対応の必要性から導入形態を選びます。

  • クラウド型(SaaS):初期費用を抑えて短期間で導入でき、自動更新にも対応します。一方で、機能変更には制約があります。
  • オンプレミス型:機密情報を自社で管理したい場合や、社内システムと密に連携する場合に適します。
  • スクラッチ開発:複雑な承認フロー、独自の規程、複数の連携が必要な場合に適しています。

ポイント

既製のパッケージで足りるか、スクラッチ開発が必要かは、自社の承認フローや経費規程、既存システムとの連携の複雑さで判断するのが目安です。

出張管理システム(BTM)開発の進め方と工程

出張管理システムの工程を、要件定義フェーズ、設計・開発フェーズ、テスト・本番稼働の順に示す図。
前工程で決めた内容を次の工程へ引き継ぎます。

出張管理システムの開発では、自社の経費規程と承認フロー、会計・人事・勤怠などの既存システムとの連携を、設計の中心に据える必要があります。また、従業員が使いやすいモバイル対応のUIと、経理・管理部門が効率よく処理できる管理機能の両面を設計することが、システムの品質を左右します。

要件定義フェーズ

要件定義では、現在の業務と規程を確認し、必要な要件を洗い出します。

  • 申請・承認:承認フローと承認者の種類
  • 手配・精算:交通と宿泊のルール、上限、精算の時期
  • 決済・連携:カードの利用と、会計・人事・勤怠との接続
  • 海外対応:グローバル展開の有無と、必要な機能
  • 制度対応:インボイス制度と電子帳簿保存法の要件

設計・開発フェーズ

設計フェーズでは、承認ワークフローと経費科目マスタの設計を進めます。外部システムとの連携API、モバイルUIの設計も、この段階で行います。

電子帳簿保存法やインボイス制度といった税務・会計の要件への対応も、設計段階で確定させておく必要があります。

開発フェーズでは、申請・承認・精算の各モジュールを段階的に実装します。そのうえで、既存システムとの連携テストも早い段階で行います。

テスト・本番稼働

テストフェーズでは、出張の申請から精算までの業務シナリオを網羅した総合テストを行います。あわせて、会計・人事システムとの連携動作も確認します。

本番稼働の前には、全社員への操作説明、業務の変更の周知、移行スケジュールの共有が重要です。稼働後は、精算処理にかかる時間や未精算の件数、費用コンプライアンス率などをKPIとして追い、継続的に改善します。

ポイント

要件定義の段階で、承認フローと既存システムとの連携先が一覧になっているかが、次の設計へ進めるかの目安です。特に連携先の数は、費用にも響きます。

出張管理システム(BTM)開発の費用相場

機能範囲別の出張管理システム開発費用として、シンプルな申請・精算機能は300万〜800万円程度から、複雑な承認フローや複数システム連携、グローバル対応を含む場合は2,000万円以上と比較する図。
対応範囲が広がると、費用の目安も変わります。

出張管理システムの開発費用は、機能の範囲と連携するシステムの数によって変わります。ユーザー数やグローバル対応の有無も、費用に影響する要素です。

シンプルな申請・精算機能であれば、300万〜800万円程度からです。一方、複雑な承認フローや複数システムとの連携、グローバル対応を含む場合は、2,000万円以上になるケースもあります。

費用の内訳と相場感

発注する側は、費用を開発時の分だけでなく、導入後の運用まで含めて見積もります。

  • 要件定義・業務設計:全体の20〜30%が目安です。
  • 開発:全体の40〜55%が目安です。
  • 外部連携:会計・人事・カードなどとの接続に工数がかかります。
  • テスト・研修:全体の10〜20%が目安です。
  • 保守・運用:年間で開発費の10〜15%程度が目安です。

コストを左右する要因

費用を比べる前に、次の条件を要件として揃えておくと、各社の見積もりを同じ条件で見比べられます。

  • 承認フロー:段階数や条件分岐、代理承認の複雑さ。
  • 既存システム:会計・人事・勤怠・カードとの連携数と複雑さ。
  • 対象範囲:海外出張、多通貨、多言語対応の範囲。
  • 制度・アプリ:税務制度への対応とモバイルアプリ開発の有無。
  • 規模:利用ユーザー数と展開する拠点数。

ポイント

各社の見積もりを比べるときは、保守・運用まで含めた金額か、同じ要件に基づいているかを確かめるのが目安です。連携するシステム数やユーザー数の前提がそろっているかも、あわせて見ておくと比べやすくなります。

開発会社の選び方とベンダー比較

出張管理システムの開発会社を選ぶ際は、承認ワークフローの設計経験、会計システムとの連携技術、税務対応の知識を備えているかが重要です。

加えて、開発会社には、経理・総務部門の業務知識と、使いやすいモバイルUIを設計する力の両方を持つパートナーであることが求められます。

選定のポイント

開発会社を比べるときは、業務要件に関わる実績と、運用の体制を確認します。

  • 出張・経費分野:出張管理、経費精算、承認ワークフローの開発実績。
  • 基幹連携:会計・人事システムとの連携経験。
  • 税務制度:電子帳簿保存法・インボイス制度への対応経験。
  • アプリ・海外:iOS・Androidアプリとグローバル対応の実績。
  • 法改正対応:法改正に伴う更新と保守の体制。

ポイント

開発会社は、出張管理や承認フローの開発実績と、会計・人事システムとの連携経験で絞り込むのが目安です。税務制度への対応経験も、あわせて見ておく目安になります。

まとめ

出張管理システム(BTM)は、出張の申請・予約・承認・経費精算を一つの流れで管理し、コンプライアンスの順守とコストの可視化、現場の手間削減を同時に実現する仕組みです。

ここまで見たとおり、まず自社の経費規程に沿った機能と導入形態を見極めて全体像を固めます。そのうえで、要件定義から設計・開発・テスト・本番稼働へと段階的に進めます。

費用は、会計・人事システムとの連携やモバイル対応、カスタマイズの度合いで変わります。そのため、内訳と相場感を押さえて見積もることが大切です。開発会社は、業務効率化や基幹連携の実績と、税務対応・保守体制の両面から選ぶことがポイントです。

詳しく知りたいテーマは、次の関連記事で確認できます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。