介護・福祉業向け利用者管理システム開発の完全ガイド

介護・福祉業向け利用者管理システムは、サービス種別、管理する情報の範囲、現場の業務フローに合わせて、機能と開発方式を組み合わせて作ります。利用者ごとの情報を一つにつなぐことが、支援と事業所運営の両立に役立ちます。

▼関連記事一覧
・介護・福祉業向け利用者管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・介護・福祉業向け利用者管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・介護・福祉業向け利用者管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・介護・福祉業向け利用者管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

介護・福祉業向け利用者管理システムの全体像

利用者マスタを中心に計画、記録、請求、権限がつながる図
情報を利用者ごとにたどれる構成です。

利用者管理システムは、利用開始前の情報収集からサービス終了後の記録保管まで、利用者IDで一貫して管理します。情報が別々に存在すると、転記や入力漏れが起こりやすくなります。

必要な職員が適切な範囲で同じ情報を参照できれば、記録検索、申し送り、請求確認を一連の業務として扱えます。

利用者マスタを業務の起点にする仕組み

利用者マスタには、本人の基本情報と連絡先に加え、家族やキーパーソン、緊急連絡先、主治医を登録します。保険情報や受給者証、契約内容、利用開始・終了の履歴も、同じマスタで扱います。

本人の基本情報、家族への連絡履歴、同意書、サービス契約は、同じ利用者の情報として一度に確認できる状態にします。表記ゆれや重複を防ぐため、利用者番号と住所の入力規則を要件に含めます。変更履歴と重複候補の通知も、要件に入れます。

計画・記録・請求の利用者情報による連携

利用者情報は、アセスメント、ケアプラン、個別支援計画、モニタリングへと展開されます。身体と生活の記録として、バイタル、食事、排泄、入浴、服薬を扱えます。また、訪問実績やケース記録に加え、事故・苦情・ヒヤリハットも管理できます。

記録と請求を連動させると、サービス提供実績を別の画面へ転記する負担を抑えられます。ただし、算定要件や未入力、重複、修正履歴を確認する承認工程は必要です。

管理者が現場と経営の状態を横断して見る画面

管理者向けの画面では、未入力記録、予定変更、事故の傾向を一目で見られるようにします。加算要件の確認事項、稼働率、請求状況、職員の担当状況も、同じ画面から把握できます。拠点をまたいで検索できれば、ファイルを集める作業を減らせます。

経営データは、全職員に見せる必要はありません。そこで、職種・役職・拠点・サービス単位で権限を分け、要配慮情報を必要以上に表示しない設計が欠かせません。

ポイント

計画、記録、請求、権限が利用者IDでつながっているかが、判断の目安になります。つながりが切れていると、転記や入力漏れが起こりやすくなります。

サービス種別ごとに必要な機能

訪問系、通所系、入所施設、障害福祉の業務機能を並べた図
共通マスタに加える機能はサービスごとに変わります。

訪問系、通所系、入所系、居宅介護支援、障害福祉では、現場の動線が違います。そのため、共通マスタを持ちながら、記録項目、予定、承認、請求連携はサービスごとに変えられる設計が実務に合います。

全機能を一律に有効にすると、入力画面が複雑になります。そこで、職種とサービスに応じて表示を絞ります。

訪問介護・訪問看護での外出先の入力

訪問系では、職員が外出先で利用者情報を確認しながら、訪問実績、提供内容、利用者の変化、家族への連絡を入力します。そのため、端末で利用者を確実に選べることと、予定と実績を比べられることが大切です。さらに、通信が不安定な場所でも一時保存できることが欠かせません。

訪問ルート、GPS、ICタグ、音声入力を採用する場合は、位置情報をどこまで扱うかと、保存期間を決めておく必要があります。利用者と職員への説明や、誤入力時の訂正手順も、導入前に用意しておきます。

通所系での予定・送迎・記録の連続性

通所介護や通所型の障害福祉サービスでは、予定から利用者請求までを一続きで扱います。欠席や送迎の変更が記録や請求に反映されないと、月末に差分を探すことになります。そこで、予定変更が月末の差分にならないよう、記録と一覧画面の連携を確認します。

欠席や送迎の変更が記録と請求に届くかは、予定と記録のつながりで決まります。そのつながりは、主に三つの観点で見られます。

  • 実績の連動:欠席や送迎の変更を記録と請求へ反映する仕組み
  • 一覧での確認:複数人の状況をすぐ把握できる画面
  • 情報の表示制御:他の利用者の情報を不用意に表示しない設計

公開料金の例では、通所介護向けクラウドの月額は25,000円(税別)です。初期費用とサポート費用は0円で、職員・利用者・端末数の追加料金はありません(出典: 通所介護向け公式料金ページ、2026年8月確認)。

入所施設・障害福祉での経過と関係者の追跡

入所施設では、利用者ごとに経過を追います。日々の食事や排泄、入浴、服薬、睡眠、バイタルがその対象です。事故、受診、家族連絡の経過も、同じ流れで残します。

申し送り、ケアプラン、個別支援計画、モニタリングを同じ画面から参照できれば、担当者が代わっても情報が途切れにくくなります。

障害福祉には、障害支援区分、受給者証、個別支援計画、サービス提供実績、相談支援との連携など、介護保険とは異なる項目と制度要件があります。そのため、両制度に対応する場合は、項目を混ぜずに分けて管理します。

介護・福祉業向け利用者管理システムの進め方

開発や導入は、画面を作る前に利用者に関する業務の流れを整理するところから始まります。進め方は、現場観察、対象範囲の絞り込み、方式選定、移行、試行、定着の順です。

既製品でも個別開発でも、制度対応とセキュリティは初期段階から確認しておくと、後の大幅な作り直しを避けやすくなります。

▶ 詳細はこちら:介護・福祉業向け利用者管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現場観察と要件定義での二重入力の洗い出し

まず、利用相談、契約、アセスメント、計画、日々の記録を、利用者ごとの流れに並べます。そのうえで、申し送り、家族連絡、請求、退所後の保管も続けて整理します。

要件定義では、次の観点から現場の業務とシステムの範囲を決めます。

  • 担当者の確認:現場職員、サービス管理責任者、ケアマネジャー、請求担当、拠点管理者の業務説明
  • 要件の優先度:必須、できれば必要、将来連携の三つに分けて、核となる要件を定める
  • 導入目的:「DX推進」より、業務KPIで効果を測れる目的にする

AI、見守りセンサー、家族アプリ、全拠点分析は、最初からは盛り込まないようにします。代わりに、利用者マスタ、権限、記録、検索、帳票、データ出力を核にします。

効果を測るKPIには、月末請求の時間、未入力記録の件数、申し送りの遅延、事故報告の集計時間などを使います。

小規模な試行と、データ移行・定着の並行実施

試行と移行は、次の順に確かめていきます。

  1. 1サービス・1拠点で2〜4週間試行し、導入前後で記録時間、入力完了率、検索時間、請求データの差戻し件数を比べます。
  2. 利用者の選択、通信断時の保存、修正者と修正日時の記録の動作確認
  3. 旧システムやExcelの重複、表記ゆれ、退所者、不要な機微情報、欠損項目の整理
  4. 利用者数名分の情報の照合と一致の確認、その後の本稼働

試行では、使われない機能を削ります。移行では、移行対象に加えて、PDFなどで保管する情報と保存期間も決めておきます。

照合では、氏名、契約、受給者証、計画、直近記録、請求対象を確かめます。

業務の違いで見るクラウド、パッケージ、スクラッチの選び方

方式ごとの特徴は、次のとおり比べられます。

  • パッケージ:制度、帳票、請求の標準機能を備え、短期導入を進めやすい方式
  • クラウド:サーバー運用や更新作業の負担を抑えやすい方式
  • オンプレミス:自社方針に合わせやすい一方、機器更新、災害対策、保守担当が必要
  • スクラッチ:独自業務を一体化したい場合に合う方式
  • ハイブリッド:標準機能で足りる部分と独自開発する部分を分けて組み合わせる方式

クラウドを選ぶ場合は、データの保管場所、バックアップ、障害時の復旧を契約前に確かめます。解約時の返却条件やAPIの範囲も、同じ時点で押さえます。

スクラッチでは、制度改定のたびに仕様確認と改修が必要になります。そのため、自社にも業務責任者と判断者を置いておきます。

独自の台帳や複数拠点を含め、給与・勤怠・会計、センサー、家族向けサービスまで一体化したい場合は、スクラッチ開発が候補になります。

ポイント

画面を作る前に業務の流れを整理し、要件の優先度を決めているかが判断の目安になります。制度対応とセキュリティを初期段階で確認できる体制かも、あわせて見ておきます。

介護・福祉業向け利用者管理システムの費用相場

費用は、利用者数、職員数、拠点数、サービス種別で変わります。さらに、記録の種類、請求連携、モバイル対応、移行、研修、保守の範囲によっても変わります。

次に示す金額は、公開料金と類似の業務システムの開発事例をもとにした目安で、公的な市場平均ではありません。

見積書は、初期費用、月額、追加開発、移行、法改正対応、障害対応ごとに分けて比べます。

▶ 詳細はこちら:介護・福祉業向け利用者管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

既製クラウドやパッケージの月額と導入範囲

既製サービスの料金と範囲は、次の例を目安に見ていきます。

  • 小規模向け:1拠点あたり初期0〜10万円、月額3,000〜3万円程度
  • 複数サービス対応:初期0〜50万円、月額2.5万〜10万円程度の例
  • 追加費用:拠点・サービスの追加、帳票、移行、端末、研修、電話支援の料金
  • 総額比較:人数や端末の追加料金、事業所増加時を含めた5年間の総額

導入期間は、数日から3か月程度です。公開料金の中には、通所介護向けに月額25,000円(税別)で、利用者台帳、計画、タブレット記録、請求まで含む例もあります(出典: 通所介護向け公式料金ページ、2026年8月確認)。また、人数や端末の追加料金がかからない定額型もあります。

別の公開料金では、居宅介護支援は税込8,800円から、介護保険・障害福祉は税込16,500円からと案内されています(出典: 介護・障害福祉向け公式料金ページ、2026年8月確認)。

5年間の総額は、事業所数が増えた場合も同じ条件で比べます。

個別開発の費用と機能・連携の範囲

開発費は、方式や連携の範囲、見積もりに含まれる工程によって違います。

方式ごとの費用の幅と導入期間は、おおむね下の範囲に収まります。

  • パッケージ設定:初期50万〜300万円
  • MVP型開発:300万〜800万円程度
  • 複数連携を含む開発:800万〜2,000万円程度
  • 導入期間:設定2〜6か月、MVP3〜6か月、複数連携6〜12か月程度

スクラッチ開発では、請求、給与、会計、LIFE、センサーなどの外部連携を含む場合があります。

見積額は、要件定義、画面設計、テスト、移行、導入研修、保守が含まれるかどうかで変わります。年間保守は、開発費の15〜25%程度を仮に置くと比べやすくなります。

保守には、法改正への対応、障害対応、監視が含まれるかを確かめます。加えて、バックアップ、OSやブラウザの更新、問い合わせ窓口も見ておきます。サーバー、端末、通信、認証、バックアップ、追加改修は、月額費用がなくてもかかるランニングコストです。

5年間の総保有コスト

たとえば、初期費用100万円、月額5万円、5年間の保守と追加改修が合計200万円だとすると、5年間の総額は1,000万円になります。これは計算例です。

初年度の支出だけを見ると、月額や拠点追加費が積み上がる方式を低く見積もってしまいがちです。そこで、利用者数や職員数が増えた場合、制度改定があった場合、契約終了後にデータを移す場合も、比較表に含めます。

ポイント

費用は初期費用だけでなく、月額、追加開発、移行、保守を含めた5年間の総額で比べます。見積もりを同じ条件で並べられるかが、判断の目安になります。

介護・福祉業向け利用者管理システムの開発会社/ベンダーの選び方

開発会社やベンダーは、知名度や機能数だけでなく、導入の形に合った基準で比べます。既製クラウドの導入先と、自社専用システムの開発先では、比べる観点が異なります。

サービス種別、拠点数、制度、既存データ、将来の連携を整理したうえで、複数の候補に同じ質問をすると、価格と提案の違いが見えやすくなります。

サービス種別と制度対応の適合性

候補先には、訪問、通所、入所、居宅、障害福祉のどこまで対応するかを質問します。特に、要介護度、障害支援区分、受給者証、加算、計画書、サービス提供実績は制度ごとに異なるため、個別に確かめる必要があります。

法改正への対応頻度、標準機能の更新、帳票の修正、追加費用、利用者側の作業も確かめます。

移行・連携・解約時のデータの扱い

デモでは、新規登録の画面よりも、既存データを移行した後の状態を見せてもらいます。

  • 移行データ:利用者情報や請求履歴の形式、表記ゆれ・重複の扱い
  • 外部連携:項目、頻度、失敗時の通知と再送、仕様変更費用
  • 契約終了後:返却形式、対象データ、削除時期の契約書への記載

移行費用と検証の責任者も確かめます。外部連携では、APIの有無に加えて、連携ログも質問します。

移行の可否は、利用者番号、氏名、家族情報、契約から確かめます。計画、記録、請求履歴についても、可否を分けて見ます。

返却データの形式や画像・音声・監査ログの扱い、削除時期は、事前に決めておきます。さらに、保存期間、バックアップ、復旧、委託先、再委託先を書面で確認します。データが取り出せないと、現場の履歴や説明責任に影響します。

現場で使える画面と導入後の支援

デモと導入後の支援では、次の項目を確かめます。

  • 現場の操作:入力と検索、申し送り、事故報告、家族連絡、請求確認を実際に試す
  • 画面の使いやすさ:入力項目、片手操作、文字サイズ、利用者の取り違え防止
  • 研修と窓口:一度の説明会に加え、職種別の短い教材や問い合わせ窓口、スーパーユーザー研修、障害時の連絡手順、月次レビュー
  • 継続支援:受付時間、初動の目安、法改正の案内、端末故障時の対応、現地支援の有無

現場の代表者が自分で操作できるかを確かめておくと、導入後の利用率を予測できます。

導入後のKPIを一緒に確かめてくれる相手であれば、納品後の改善も話し合えます。

デモの操作順は、現場の業務の流れに沿わせます。

▶ 詳細はこちら:介護・福祉業向け利用者管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:介護・福祉業向け利用者管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

サービス種別、制度対応、既存データの移行条件について、候補先が同じ質問に具体的に答えられるかが、判断の目安になります。

セキュリティと将来の制度対応の要件

利用者情報の周囲に権限、アカウント、認証・記録、端末紛失対策を配置した図
複数の管理策を組み合わせて情報を扱います。

利用者情報には、健康状態、障害、服薬、家族関係、生活状況などの要配慮個人情報が含まれます。そのため、本人や家族への説明から、職員の権限、委託先の管理、事故報告、保存と削除のルールまでを、業務として設計します。

個人情報保護委員会の医療・介護関係事業者向けガイダンスは、2025年6月に一部改正されています。そのため、現行のガイダンスと契約内容を照合しておく必要があります(出典: 個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、2025年6月一部改正)。

利用者単位で設計する権限・認証・監査ログ

利用者情報を守るために、次の設定と運用を決めておきます。

  • 権限:職員、サービス責任者、請求担当、管理者、法人本部ごとの閲覧・入力・承認・出力の区分
  • アカウント:応援勤務、異動、退職、委託先の一時利用ごとの管理
  • 認証・記録:多要素認証、暗号化、操作履歴、変更前後の値の記録
  • AI利用:音声入力や要約で、職員が誤認識を最終確認してから記録を確定する運用

端末の紛失対策、セッションのタイムアウト、バックアップ、復旧テストも、要件に含めます。

音声データは、削除時期を定めておきます。そのうえで、承認者をログで確かめられるようにします。

効率化の機能が誤記録や情報漏えいを生まないよう、便利さと統制を同じ基準で確かめます。

介護情報基盤と標準仕様への接続余地

介護情報基盤へ対応する場合は、次の点を確かめます。

  • 開始時期:2026年4月1日以降、標準化済みの市町村から始まる介護保険データの移行と情報共有
  • 接続範囲:自治体基盤との接続が、制度、仕様、契約によって異なる点
  • データ設計:項目の意味、コード、APIやCSV、同意、権限の扱い
  • 社内運用:更新を受ける担当者と判断手順の決定

厚生労働省は、2028年4月1日までに全市町村での活用開始を目指しています(出典: 厚生労働省「介護情報基盤について」、2026年)。

将来の標準化に備えて、独自項目を固定化しないようにします。あわせて、連携に失敗した場合の再送と通知も、要件定義で確かめます。

今は使わない連携も後から追加できるよう、利用者IDと履歴をそろえておくことが大切です。そのためには、データを閉じた形式だけで保存しない設計が欠かせません。

ポイント

権限、認証、監査ログを利用者単位で設計できるかが、判断の目安になります。制度改定や外部連携に備えて、データを取り出せる形式で返せるかも、大切な判断材料になります。

導入効果のKPIと失敗の防止

「便利になった」という感想に頼らず、導入前の数字と比べて効果を見ます。測るのは、月末請求時間、未入力件数、申し送りの遅延、事故報告の集計時間です。そのほか、電話確認回数、検索時間、移行後のデータ不備件数も測ります。

入力時間が短くなっても、確認や修正が増えていれば、効果は限られます。そのため、現場の負担と管理の負担を別々に測ります。

よくある失敗:目的と入力負担の見落とし

よくある失敗を避けるために、導入前に次の点を確かめます。

  • 入力項目の増加:紙帳票をそのまま画面へ移すことで生じる負担
  • 現場ニーズの後回し:管理者の集計を優先した結果、検索や申し送りが遅れる場合
  • 追加条件の確認漏れ:サービス増加時の料金や権限の見落とし
  • 準備の集中:移行と研修を直前にまとめることで生じる、データ不備と操作への不安

現場の代表者には、要件定義、試行、受け入れ確認に参加してもらいます。そのうえで、画面ごとに入力者、所要時間、入力内容を決め、必須項目は最小限にします。

月次レビューでは、利用率だけでなく、未入力、修正、問い合わせ、請求差戻しも確認します。設定変更で解決するか、追加開発が必要かを分けたうえで、導入後の改善を契約と体制に組み込みます。

時間・品質・継続性の三つで見る投資対効果

ROI(投資対効果)は、時間、品質、継続性の三つに分けて捉えます。

  • 時間:人件費、請求の再処理、記録検索、報告集計、紙の保管までを含めた範囲
  • 品質:情報更新漏れ、服薬や事故の申し送り漏れ、計画と記録の不一致の定点観測
  • 継続性:異動・拠点追加、制度改定、データ持ち出しへの対応の評価

たとえば、職員10人が毎日15分ずつ転記を減らせれば、月20営業日で50時間を削減できます。これは試算例で、実際の人数、勤務日数、削減後の確認時間で計算し直す必要があります。

請求ミスの再処理や事故報告の集計、拠点間の確認、監査や実地指導への準備時間も、費用対効果の計算に含めます。

短期の作業削減と数年後の運用リスクを同じ計画で見れば、価格だけに偏らずに選べます。

介護・福祉業向け利用者管理システムのよくある質問

料金や機能だけでなく、既存データ、現場の使いやすさ、制度対応、セキュリティ、将来の乗り換えを確認すると、自社に合う方式を見極められます。

導入前によく寄せられる質問に、最後に順に答えます。

介護・福祉業向け利用者管理システムは既製品と個別開発のどちらがよいですか?

短期間で記録や請求を始めたい場合は、制度対応を含む既製品が合っています。一方で、独自業務、複数拠点の統合、既存基幹との連携が重要なら、個別開発を検討します。

既製品を核にして、独自の部分だけを連携や追加で足していく段階導入も、現実的な進め方です。

紙やExcelの利用者情報も移行できますか?

移行の範囲は、元データの形式と移行先の項目によって決まります。まず、氏名、利用者番号、契約、計画、記録などの対象と期間を決めます。そのうえで、表記ゆれ、重複、欠損、退所者を整理してから取り込みます。

紙だけにある情報は、手入力や画像での保管が必要になります。そのため、移行費用、照合方法、誤りが見つかった場合の責任分担を、見積書に含めておきます。

利用者の要配慮個人情報をクラウドで管理しても問題ありませんか?

可否は、クラウドという形式そのものより、運用の中身で判断します。安全管理措置、委託先管理、アクセス権、暗号化、バックアップを確かめます。さらに、事故時の連絡、データ削除、職員教育も見ておきます。

利用目的と契約は、個人情報保護委員会の現行ガイダンスに沿って整理します。提供会社の資料や第三者認証に頼るだけでなく、自社でも確かめます。

小規模な事業所はどこから始めればよいですか?

一つのサービスと一つの拠点で、利用者マスタ、日々の記録、検索、申し送りを使える状態にするところから始めます。請求連携や複数拠点の分析は、入力と検索が定着してから追加できます。

導入前には、月末請求時間、未入力、紙の保管量、記録検索時間を測っておきます。2〜4週間の試行のあとで、数字と職員の意見をもとに継続を判断します。

AI音声入力や要約を利用者管理に使ってもよいですか?

AIは、音声から下書きを作る、記録を要約する、未入力や表現の揺れを見つける用途から始めると、評価しやすくなります。誤認識や文脈の取り違えは起こり得るため、職員が原音声や現場の事実と照合します。

正式な記録にする前に、職員が承認します。送信先、学習利用、保持期間、訂正履歴、利用者や職員への説明を確かめます。加えて、AIの出力を無確認のまま計画や請求に反映しない運用にします。

まとめ

利用者管理システムは、台帳の電子化にとどまらず、計画、記録、申し送り、請求、家族連絡、拠点管理を利用者情報でつなぐ基盤です。

訪問、通所、入所、居宅、障害福祉で異なる項目を踏まえ、共通マスタとサービス別の入力や承認を分けて設計します。

導入前に整理する業務・費用・データの三点

業務フローとKPI、拠点やサービスが増えた場合の料金、既存データの移行と返却の条件を、要件にまとめます。そのうえで、現場で画面を試し、権限、監査ログ、個人情報、制度対応の責任分担を、契約前に確かめます。

導入後の利用率と業務品質の継続的な見直し

導入後は、次の流れで効果と運用を見直していきます。

  1. 入力時間、未入力、請求差戻し、検索時間、申し送りの遅延を、月次で確かめる
  2. 数値と現場の声から、設定変更、研修、運用の見直し、追加開発のどれで対応するかを切り分ける
  3. 現場KPI、権限、監査ログ、移行、外部連携、AIの最終確認を、要件に反映する
  4. 2026年以降の介護情報基盤や標準仕様を確かめたうえで、一つのサービス・拠点から試行し、範囲を広げる

方式は、既製クラウドやパッケージ、個別開発、その中間の段階導入から選びます。5年間の総保有コストには、初期費用、月額、拠点追加、移行、研修を含めます。さらに、法改正への対応、保守、解約時の返却も含めます。

試行で効果と現場の使いやすさを確かめ、数値と現場の声をもとに改善を続けることで、支援の質を保ちながら運用できます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。