介護記録システムの発注は、現場業務を整理し、要件と責任範囲を合意したうえで、小規模な検証を行う順に進めると、記録や申し送りの改善につながります。
発注形態、要件整理、費用、委託先の選定は、この流れに沿って決めていきます。
▼全体ガイドの記事
・介護・福祉業向け介護記録システム開発の完全ガイド
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介護・福祉業向け介護記録システムの発注・外注の考え方
発注・外注では、既製サービス、業界パッケージ、個別開発のいずれかから方式を選び、業務要件と委託先との責任分界も合意しておきます。
発注時にまず決めたいのは、何を開発するかだけでなく、誰が、いつ、どの端末で何を入力し、入力後に何へ使うかです。
記録専用型と請求一体型の区別
発注対象は、業務範囲に応じて3つに分けて考えます。
- 記録専用型:記録と申し送りに機能を絞った形
- 一体型:利用者台帳、計画、実績、請求まで扱う形
- 個別開発型:独自業務や既存基幹システムとの接続を含む形
訪問・通所介護では現場入力と実績・請求の連動が重視されます。一方、入所施設では、バイタル、食事、水分の記録が求められます。排泄、服薬、事故・ヒヤリハット、申し送りも記録の対象になるため、これらを一連で扱えるかが問われます。
既存の請求ソフトに不満がない事業所もあります。その場合、記録だけをスマートフォンやタブレットへ移すなら、記録専用型は移行範囲を抑えやすいです。
複数拠点で利用者情報を二重入力している場合は、記録機能を足すだけではデータが分断されます。そのため、請求、計画、勤怠との連携も比べます。
発注前の対象範囲と成果指標
「介護記録を電子化する」という依頼のままでは、見積の範囲が会社ごとに変わります。そこで、初回契約に含める機能と後から追加する機能を分けておきます。
- 記録と連携:記録項目、申し送り、帳票、請求連携
- 利用と共有:家族共有、オフライン入力、権限、監査ログ
- 導入作業:データ移行、端末設定
利用者マスタやケアプランについても、契約対象に含めるかどうかを決めておきます。
成果指標には、記録時間、申し送り時間、転記回数などを使えます。請求前の修正件数、家族連絡時間、職員利用率といった指標も候補になります。発注前の基準値を記録しておくと、導入後の効果を説明しやすくなります。
実績データは、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和7年度調査)報告書」に基づきます。この調査は19,606事業所へ発送し、6,875件を回収しました(回収率35.1%)。導入効果や業務時間の変化も調べられています。なお、この報告書は2026年に確認したものです。
発注形態の選び方
標準業務を早く始めたいならクラウド型、複数サービスを統合したいなら業界パッケージが候補になります。独自手順や既存連携が重要なら、準カスタムかスクラッチ開発を検討します。
選定では、職員数や拠点数に加えて、法改正への対応とデータの持ち出しやすさも確認します。
クラウドSaaSの短期導入と標準化に向く場面
クラウドSaaSは、サーバー運用や大規模な初期開発を抱えずに始められます。標準機能を使う分、比較的短期間で導入できます。
複数拠点で同じ画面を使いやすく、法改正や機能更新を提供会社が行う場合もあります。初期費用を抑えやすい一方、独自帳票や特殊なケア手順は再現できないことがあります。
- 料金と利用条件:利用者数・職員数・拠点数の課金単位
- 運用条件:推奨端末と通信障害時の入力方法
- 解約条件:解約時のデータ返却形式
無料トライアルがある場合は、管理者に加えて、夜勤職員、訪問担当者、ケアマネジャーなどの代表的なユーザーにも試してもらいます。
パッケージ導入と準カスタムの比較
業務統合の方法は、既製機能をどこまで使うか、個別対応がどれだけ必要かで比べます。
- パッケージ:台帳、計画、実績、記録、請求の知識が組み込まれた製品
- 準カスタム:標準製品にAPI、帳票、家族画面、センサー連携を加えた形
複数サービスを扱う法人にはパッケージが適します。一方で、準カスタムは、スクラッチより初期リスクを抑えつつ、重要な差分に対応できます。
既存データの移行や独自帳票では、設定・連携費用も確認します。
標準機能と個別機能の境界が曖昧だと、更新時の検証費用が増えることがあります。そのため、追加部分の保守責任を契約書に記載します。
スクラッチ開発を選ぶのは独自要件が明確な場合
スクラッチ開発は、標準サービスで解決しにくい要件と、導入後の運用負担を合わせて検討します。
- 独自要件:独自のケア手順、複雑な権限、基幹システム連携
- 外部連携:家族、医療機関、見守り機器との接続
- 段階導入:1サービス・1拠点で記録と申し送りを試し、段階的に広げる進め方
自由度は高いものの、要件定義、テスト、運用設計を長期にわたって担うことになります。法改正や障害への対応も、自社と開発会社で分担する必要があります。
開発会社には、初回リリースの範囲と将来拡張の前提を分けて提案してもらいます。
RFPと要件整理の進め方

RFPは、解決したい課題、必要機能、前提条件、提案依頼の内容を各社へ同じ条件で伝える資料です。現場業務と成果指標を先に示すことで、各社の実現方法やリスクを比べやすくなります。
RFPに書く現場の一日の流れ
サービスごとに一日の業務を洗い出し、その流れをRFPに記載します。
- 訪問介護:予定確認、訪問、記録・報告、実績確定、請求
- 入所施設:夜勤巡回、バイタル、食事・水分、排泄、服薬、事故報告
訪問記録には、利用者の変化に加えて写真や音声の添付も含めます。入所施設では、申し送りと家族説明も流れに含めます。
各業務では、入力者、場所、端末を記録し、所要時間も残します。紙やExcelへの転記、承認者、保存期間も記録し、後工程の帳票も併せて書き留めます。
現場観察や短いヒアリングを行うと、夜勤帯だけ項目が多い、訪問先の電波が弱い、家族説明用の記録が別にあるといった要件が見えてきます。
必須要件と希望要件の区別
要件は、初回リリースに必須のもの、導入後に追加するもの、あれば望ましいものの3段階に分けます。優先度を分けておくと、業務効果と費用を並べて考えられます。
- 初回必須:取り違え防止、職種・拠点ごとの権限
- 初回必須:訂正履歴、操作ログ、バックアップ、データ出力
- 初回必須:事故報告、請求に必要な実績項目
- 希望要件:音声入力、AI要約、写真解析、家族ポータル
- 希望要件:見守りセンサー
RFPでは各社に、標準機能と追加開発の境界、開発期間、移行方法を回答してもらいます。テスト計画と研修、保守窓口と復旧目標も、回答を求める項目に入れます。
再委託やデータ返却、法改正や標準仕様への追随方法も、同じ様式で尋ねます。そうすると、価格だけでは見えない差を比べられます。
データ連携とセキュリティの機能要件
個人情報を扱う記録システムでは、安全管理の機能と、請求や勤怠など周辺システムとの接続条件を、発注要件の柱に据えます。
- 安全管理:暗号化、権限制御、多要素認証、操作・訂正履歴
- 障害対策:バックアップ、脆弱性対応、端末紛失時の遠隔制御
- 連携先:請求、ケアプラン、勤怠、給与、家族連絡
- 機器連携:ナースコール、見守り・バイタル機器
既存ソフトや機器ごとに、接続方式とデータ項目を確認します。安全策も、導入後の追加扱いにせず、発注要件に含めておきます。
厚生労働省は、2026年4月以降、標準化対応済みの市町村から介護情報基盤へのデータ移行と情報共有を順次始めるスケジュールを示しています。そのため、仕様変更に対応できる保守体制もRFPに含めます。
契約形態と責任分界の決め方
契約は、成果物と納期を固定しやすい請負、作業時間や役務を依頼する準委任、標準サービスの利用契約に分けられます。
要件が固まった開発と、現場で検証しながら改善する工程では、適する契約が異なります。全工程を一つの形式に当てはめないことが大切です。そのため、工程ごとに契約を選び分けます。
要件と成果物が明確な場合の請負
請負契約では、完成物と受入確認を具体化し、変更時の扱いや見積範囲も決めておきます。
- 成果物:仕様書、画面・帳票一覧、連携仕様、受入基準
- 受入テスト:登録、入力、訂正、承認、出力、連携、権限エラー
- 変更管理:追加要望の手続きと追加費用の決め方
- 見積範囲:移行、端末、研修、現地立ち会い、連携先変更
固定価格でも、作業が対象外になる場合があります。そのため、「一式」は成果物、回数、拠点の単位で分けて確認します。データと納品形式も、一式に含まれるかを確かめます。
要件検証と改善での準委任の組み合わせ
現場で検証しながら改善を重ねる工程は、作業時間と役務を定める準委任が合う場合があります。改善を回す仕組みも、契約の中で決めておきます。
- 改善運営:職員の試用をもとに、入力項目や画面遷移を毎週見直す
- 定例会議:発注者の責任者、現場代表、開発会社の責任者が参加
- 進捗管理:優先順位、未解決課題、次の成果物の記録
- 契約管理:月ごとの上限工数と終了条件
- 責任分界:障害、連絡、再委託、復元、仕様変更の担当
契約の名称よりも、責任分界が実務で機能しているかが大切です。
障害の一次受付、原因調査、復旧の担当を決めておきます。利用者や家族への連絡と、個人情報事故の報告担当も定めます。
さらに、再委託の承認、バックアップ復元、仕様変更の承認者も決めます。平常時と緊急時の連絡先は、一覧にしておきます。
受入後の保守とデータ返却の契約条項
受入後は、法改正対応と通常の機能改善のどちらまで保守に含むかを、契約で分けておく必要があります。解約時のデータ返却も、同じ契約の中で決めておきます。
- 保守内容:法改正対応と通常の機能改善の違い
- 障害対応:優先度、受付時間、復旧目標、バックアップ世代数
- データ返却:所有者、出力項目、形式、手数料、保存期間
- 解約時:削除証明と移行支援の範囲
更新前の検証方法も記載し、業務停止時の影響を踏まえて保守費用を比べます。個人情報保護委員会の医療・介護関係事業者向けガイダンスは、安全管理措置を契約に盛り込み、運用を確認する考え方を示しています。あわせて、再委託や漏えい時の報告・連絡体制も契約に含めます。
介護記録システムの費用相場と内訳

費用は、クラウド月額、導入作業を含むパッケージ、連携や独自機能を含む個別開発で幅があります。公開価格は、あくまで入口の目安です。
課金単位や追加費用が異なるため、月額だけでなく3年または5年の総額で見積もりを比べます。
公開料金の目安(月額5,000円から45,000円程度)
公開料金は、小規模な記録専用型から複数サービス連携まで幅があります。そのため、例として示された料金と追加費用を分けて確認します。
- 記録専用型:初期費用0円、月額5,000円からの例
- ケアコラボ:初期無料、10名まで月額8,800円(税別)
- カイポケ:通所介護のみ月額25,000円(税別)の例
- 複数連携:月額数万円から数十万円になる可能性
ケアコラボの料金例の出典は、公式「利用料金ガイド」(2026年確認)です。カイポケの出典は、公式「通所介護の利用料金」(2026年確認)です。機能や課金単位が異なるため、業界全体の標準価格ではありません。
職員や利用者の追加、帳票、APIの別料金を確認します。電話サポート、端末管理、データ出力の料金も見ておきます。導入支援や利用開始までの初期作業も、あわせて合算します。
パッケージ導入の設定・移行・端末費用
パッケージ導入では、ライセンスや利用料以外の作業費も分けて見積もります。
- 初期設定:業務・権限マスタ、既存データ整理・移行、帳票
- 導入環境:端末調達・設定、ネットワーク整備
- 支援:操作研修、現地立ち会い、稼働後の伴走
厚生労働省の令和7年度調査報告書は、介護業務支援機器の導入費用とランニングコストを分けて把握する設計です。レンタル・リース、保守・管理・更新、通信費なども対象に含まれます。
リサーチノートで整理された同調査の実績データでは、導入費用の平均は約480万円です。ただし、対象はレンタル導入を除く介護記録ソフトで、出典は厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和7年度調査)報告書」です。
この数値は2026年に確認したもので、標準SaaSの月額料金ではありません。導入実績には、複数端末、設定、移行、導入支援が含まれる場合があります。そのため、自社の拠点数や機能範囲にそのまま当てはめず、見積の前提を確認します。
個別開発の費用幅(300万円から2,000万円超)
個別開発費は要件によって変わるため、下の参考レンジと費用項目を前提の確認に使います。
- 小規模:記録・管理機能で300万円前後から
- 広い範囲:複数拠点や各種連携を含むと2,000万円超の可能性
- 費用項目:要件定義や設計から、画面・連携の開発、移行、テスト、研修、保守まで
この金額は、類似する個別業務システムから、要件と工数をもとにした参考レンジです。介護記録に限定した公的な一律相場ではありません。
複数拠点や請求・LIFE・API連携を含むかを確認します。モバイルとオフラインへの対応の有無も、あわせて見ます。センサー、家族ポータル、監査ログなどの要件も、費用を左右します。
AI要約では、個人情報を学習に使わない構成と誤変換の確認を設計します。職員承認や訂正履歴、利用者や家族への説明も含めて設計します。AI機能は単体の価格ではなく、この設計まで含めて比べます。
委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント

委託先は、開発実績に加えて、介護業務の理解と導入後の運用改善への支援で選びます。既製ソフトのベンダーと受託開発会社では、得意な領域が異なります。そのため、発注の目的に合う候補を、同じRFPで評価します。
介護業務の知識と類似導入の実績
実績の件数だけでなく、対象業務と、標準機能か個別開発かの別を聞きます。導入後の利用率や定着状況は、現場で確認します。
- 類似実績:入所、通所、訪問、障害福祉の対象業務と方式
- 定着状況:利用率、移行負担、稼働後の改善
- 業務デモ:夜勤入力、電波断、取り違え防止、訂正・承認
- 連続操作:申し送り、家族共有、請求出力までの操作回数
可能であれば、現場責任者と管理者の双方から導入前の課題を聞きます。移行時の負担や稼働後の改善まで聞ける事例の提示も依頼します。
デモでは、入力を中断した後に戻れるかどうか、誤入力を誰が発見するかを確認します。
見積の比較項目(機能・工数・前提条件)
各社の見積を比べるには、金額だけでなく、作業範囲と前提条件を同じ基準でそろえる必要があります。費用、開発と移行、支援と運用、契約条件を同じ項目で並べると、差がどこから生じるかを追えます。
- 費用項目:初期費用、月額・年額、ID、端末、通信、設定
- 開発・移行:データ移行、帳票、API連携
- 支援と運用:研修、現地支援、保守、更新、解約時の出力
- 契約条件:税、最低期間、値上げ、交通費、時間外対応
- 価格差:標準機能・個別帳票、手作業・自動連携の違い
「一式」は、範囲と数量に分けて確かめます。含まれない作業や追加項目、納期を延ばすリスクを尋ねておくと、予算超過を抑えやすくなります。
パイロット導入と支援体制
管理者が理解していても、現場の入力習慣が変わらなければ定着しません。そのため、契約前の試用から稼働後まで、確認項目をそろえます。
- 試用範囲:1拠点または1サービスで行う短期間の試用
- 測定項目:入力時間、未入力率、申し送り、問い合わせ、請求差戻し
- 支援体制:職種・夜勤研修、管理者育成、窓口、定例レビュー
- 稼働後:30日、60日、90日などの時点での利用率と課題
試用中の支援範囲と、試用データを本番へ移せるかも確認します。改善提案を受ける契約は、未利用のまま終わるリスクを下げます。
2026年時点で発注時に確認したい最新動向
介護記録システムには、情報標準化と機器連携への対応が求められます。AI活用や個人情報保護の変化も、対応すべき課題です。
将来仕様を断定せず、変更を追跡し、影響範囲を説明して更新できる委託先かを見極めます。
介護情報基盤との将来連携
介護情報基盤の予定と、委託先に確認する運用条件を分けて整理します。
- 連携予定:2026年4月1日以降、標準化対応済み市町村から順次開始
- 仕様変更:項目変更の通知、API・認証改修の費用負担
- 運用分担:端末やクライアント証明書の担当
全市町村での活用開始は、2028年4月1日までを目指すとされています。ただし、自治体連携の実装時期にかかわらず、標準仕様への追随方針を確認します。出典は厚生労働省「介護情報基盤について」(2026年確認)です。
委託先が「対応予定」と示す場合は、時期、対象機能、前提条件、保守契約との関係まで具体化してもらいます。
個人情報の委託先管理
委託先がどのデータを、どの環境で、誰が扱うかを明確にします。
- 取扱環境:データ、環境、担当者、再委託先、国内外の保管場所
- アクセス管理:権限とログ確認の方法
- 事故対応:漏えい、誤送信、端末紛失時の報告・初動
- 復旧対応:調査、ログ保存、再発防止の責任
- AI利用:学習、保存、第三者提供、誤要約の人による確認
個人情報保護委員会のガイダンスに沿って、安全管理措置を確認します。確認した内容は契約に反映し、運用も定期的に確かめます。ログの保存を含め、対応を定めておきます。
AIと端末連携の補助機能の検証
AIと端末連携は、補助として使う用途と障害時の運用を、現場で実際に確かめます。
- AIの用途:文字起こし、記録下書き、申し送り要約、傾向の可視化
- 人の確認:原文確認、職員承認、訂正画面と履歴
- 端末・機器:電池切れ、通信断、共有、時刻ずれ、交換、故障
ケア判断や服薬、事故対応、認定は、AIの出力だけで確定させず、人が確認します。故障時の代替入力や、機器が増えることによる現場・管理者の負担も、パイロットで確かめます。
発注から導入までの失敗を防ぐ進め方
成功の鍵は、現場での検証と契約上の管理を並行して進めることです。最初から完璧なシステムを求めず、効果を確認しながら進めます。
経営者が投資を回収できるか、管理者が状況を把握できるか、現場職員が入力しやすいかを、同じ指標で確認します。
小規模な試用と導入効果の測定
パイロットでは、関係する職員を含めて、導入前後の業務を同じ方法で測ります。
- 参加者:夜勤、訪問、管理者、請求担当、家族対応の職員
- 導入前後の測定:1件の記録時間、1日の申し送り時間、転記回数
- 確認指標:未入力・修正、問い合わせ件数、操作ログ、業務時間
- 課題対応:原因の切り分けと、本番展開を止める基準の設定
効果が出ない原因は、機能不足とは限りません。入力項目や権限設定、研修に原因があることもあります。
Wi-Fiや紙との二重運用も確認します。職員アンケートと、実際の操作ログや業務時間を組み合わせて見ます。改善できない場合は、追加開発を急がず、本番展開を止めます。
移行・研修・紙との併用期間の設計
移行、稼働の切り替え、研修後の運用を、この順に設計します。
- 移行範囲は、過去データ全件、現利用者の基本情報のみ、旧システム参照のいずれかから選びます。
- 重複、表記揺れ、欠損、不要な個人情報を整理し、移行後に件数と代表レコードを照合します。
- 委託時の契約には、作業場所、アクセス権、一時ファイル削除、検証結果の報告を盛り込みます。
- 拠点やサービスを段階的に切り替え、紙と電子の併用期間を長引かせないようにします。
- 紙・電子の正本、障害時の代替手順、各拠点の社内チャンピオンを決めます。
段階的に切り替えると、障害が起きたときの対応がしやすくなります。そのうえで、稼働後の問い合わせを受ける担当者を各拠点に置きます。
よくある質問
発注では、費用のほかに、既存システムや導入時期についての質問が寄せられます。データ管理や現場の使いやすさに関する質問も見られます。
既存の請求システムを残して介護記録だけ発注できますか?
既存の請求システムを残して、記録だけを外注することもできます。その場合は、実績や請求データの受け渡し形式、二重入力の有無、連携障害時の正本を確認します。
介護記録システムの開発費用はどれくらいですか?
公開料金のクラウド型には、初期費用無料から月額数千円・数万円の例があります。
個別開発は要件によって、300万円前後から2,000万円超まで幅があります。
調査報告書の整理では、レンタルを除く介護記録ソフトの導入費用平均が約480万円という実績もあります。ただし、対象範囲を確かめないまま自社の予算に当てはめない方がよいでしょう。
何社にRFPを送り見積を取ればよいですか?
候補は3社から5社程度に絞り、同じRFPと業務シナリオで比べます。必要に応じて、記録専用型、一体型、個別開発型も含めます。
標準機能や追加費用、導入支援に加えて、保守とデータ返却も同じ項目で確認します。そうすると、提案の差を把握しやすくなります。
介護記録を外部の開発会社へ渡しても安全ですか?
安全性は、会社名ではなく中身で判断します。アクセス制御や暗号化を確認し、ログとバックアップの仕組みも見ます。あわせて、再委託や事故報告、データ削除と返却の扱いを確かめ、契約に反映します。
開発の初期は、匿名化したテストデータを使います。本番データを扱う担当者と期間は限定し、個人情報保護委員会のガイダンスに沿って委託先を管理します。
まとめ
発注前に決めるべき要点
発注形態は、記録専用型と一体型の業務範囲、パッケージから個別開発までの方式で整理し、自社業務と連携範囲に合う方式を選びます。
現場の流れをRFPにまとめ、必須要件と希望要件を同じ条件で比べます。移行やセキュリティ、保守、データ返却も、比べる項目に含めます。
次に行うこと
費用は、月額利用料と導入費、個別開発費、保守費に分けて整理します。そのうえで、3年または5年の総額で判断します。
最安値だけでなく、職員が使い続けられ、請求や家族説明の転記を減らせる委託先を選びます。法改正や介護情報基盤の変化への対応力も確認します。
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・介護・福祉業向け介護記録システム開発の完全ガイド
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
