保育園・幼稚園向け保育士シフト管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

保育園・幼稚園向け保育士シフト管理システムは、希望休を表に並べるだけでなく、園児数・年齢・クラス・開所時間・資格・経験・短時間勤務などの条件を照合し、配置不足と勤務の偏りを防ぐための業務システムです。発注では「自動でシフトができるか」だけでなく、自園の配置ルールを再現でき、急な欠勤後も安全な配置へ戻せるかを確認することが結論になります。

本記事では、保育園・幼稚園向け保育士シフト管理システムを発注・外注・委託するときの進め方を、発注形態の選択、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先選定、見積比較、導入後の運用まで順に解説します。既製クラウドを導入する場合と、自法人向けに連携・追加開発する場合を分け、現場で失敗しやすい例外勤務や個人情報の扱いも具体的に整理します。

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保育士シフト管理システム発注の全体像

保育園のシフト管理システムを発注する担当者

発注の成否は、製品を先に決めるか、業務課題を先に整理するかで大きく変わります。保育現場のシフトは配置基準、安全性、職員の公平性、休暇、行事、園児の登降園予測を同時に扱うため、一般的な勤務表ソフトの機能一覧だけでは適合性を判断しにくい領域です。

発注するシステムが担う役割

最低限、職員マスタ、雇用形態、職種、資格、経験年数、所属クラス、勤務可能時間を登録できることが必要です。さらに、園児数とクラス別の必要配置数、早番・遅番、希望休、固定勤務、土曜保育、延長保育、行事、休憩、短時間勤務を条件として、月間シフトの原案を作成できる構成が望まれます。完成後は日ごとの配置過不足、勤務時間、残業、有休、欠勤・交代を確認し、Excel・PDF・CSVなどで出力できると、現場と給与担当の分断を小さくできます。

ただし、システムが配置不足を警告しても、最終的な保育の安全や自治体への確認を代替するものではありません。こども家庭庁は、職員配置基準の改善資料に加え、常勤・短時間保育士、勤務時間短縮保育士、スポットワークで採用された保育士の取扱いに関する通知を公開しています(出典: こども家庭庁「保育」政策ページ、2026年8月確認)。発注時は制度変更に合わせて設定を更新できることと、人が最終承認できることを要件に含めます。

発注前に数値化する課題

「作成に時間がかかる」という感覚だけでなく、直近2〜3か月の実績を記録します。月間の原案作成時間、修正回数、配置不足が見つかった日数、急な欠勤への対応時間、希望休を反映できなかった件数、勤怠締め後の手戻りを集計してください。CoDMONが公開する導入前アンケートでは、シフト作成に1〜2時間と答えた割合が23%、3〜4時間が32%、5〜6時間以上が28%で、修正があるとの回答は93%でした(出典: CoDMON「シフト管理」掲載アンケート、調査2020年、n=146)。市場全体の現在値ではありませんが、発注効果を測るKPIを決める参考になります。

小規模園では園長や主任が片手間に作成しているため、単純な時間削減だけで費用対効果を判断すると、使われない高機能製品を選びやすくなります。作成時間の削減に加えて、配置不足を見落とさないこと、欠勤時の再調整をスマートフォンで共有できること、職員への説明可能性が高まることなど、安全・継続性の指標も併せて設定します。

発注形態は既製クラウド・追加開発・スクラッチから選びます

保育園向けシステムの発注形態を比較する場面

発注形態は、園の業務を製品に合わせられるか、独自ルールをどこまで残す必要があるか、導入期限と予算をどう置くかで決めます。最初からフルスクラッチ開発に進むのではなく、既製品で満たせる範囲と足りない範囲をFit & Gapで分けることが、費用とリスクを抑える基本です。

既製クラウドを導入する場合

既製クラウドは、契約後の設定、データ移行、研修を経て比較的短期間で利用を始められます。法改正やインフラ更新を提供会社に任せやすく、1園から試しやすい点が強みです。一方で、独自の勤務記号、複雑な兼務、法人独自の承認順序が変更できないことがあります。デモでは標準画面を眺めるだけでなく、実際の2〜3か月分の職員条件とシフトを使って再現度を確認します。

公開価格の一例として、CoDMONは初期費用0円〜、月額5,500円(税込)〜を案内し、定員30名以下の基本利用料3,300円、31〜60名5,500円、61〜100名8,800円、シフト管理などのオプション月額3,300〜8,800円を掲載しています。複数機能のパックは定員30名以下27,500円、31〜100名33,000円、101名以上38,500円です(出典: CoDMON公式料金、2026年8月確認)。シフト機能だけの価格か、初期設定・移行・研修が含まれるかは見積で分けて確認します。

API連携・追加開発を組み合わせる場合

既製クラウドを残し、足りない部分だけAPI連携、CSV連携、帳票追加、権限設定、通知機能などで補う方式は、中小規模法人に適した現実的な選択肢です。たとえば、シフトは保育特化クラウド、給与は既存の給与ソフト、法人本部の集計は別の管理画面に分け、職員コードと勤務実績を連携します。全面刷新より導入範囲を絞れる一方、APIの仕様、連携頻度、エラー時の再送、データの正をどちらに置くかを契約前に決める必要があります。

追加開発を頼む場合は、製品会社が担当するのか、別の開発会社が担当するのか、保守窓口が一本化されるのかを確認します。個別画面が完成しても、製品のバージョンアップで動かなくなる可能性があります。追加開発費だけでなく、互換性確認、リリース前テスト、将来の改修費、障害時の責任分界まで含めて比較すると、安さだけで選ぶ失敗を防げます。

スクラッチ開発が向くケース

スクラッチ開発は、複数園を横断する独自の職員配置、法人特有の承認・監査、既存基幹システムとの深い連携、自治体ごとに異なる帳票など、既製品の運用変更では解決できない場合に向きます。自法人の業務に合わせて画面と計算ルールを設計できる反面、要件定義、開発、テスト、データ移行、教育、保守を自分たちも継続して担います。

開発会社を選ぶときは、保育施設の実績があるかだけでなく、配置ルールを業務フローと計算仕様に落とせるかを見ます。AIによる完全自動作成を売りにしていても、例外勤務の理由を記録できず、人が調整した内容を上書きするなら現場では使いにくいです。「自動計算+人の判断+変更履歴」を一つの設計方針として提案できる会社が候補になります。

RFPと要件整理は配置ルールを計算できる形にします

シフト管理システムの要件を整理する打ち合わせ

RFPは、開発会社に要望を伝える資料というより、複数社が同じ条件で提案と見積を出すための比較基準です。製品名や画面デザインから書き始めず、現状業務、困っていること、守るべき条件、導入範囲、納期、予算上限、評価方法を先にまとめます。判断に必要な情報がそろうほど、会社ごとの見積条件の違いを見つけやすくなります。

現状業務と例外ケースを洗い出す

最初に、希望休の提出、原案作成、配置確認、主任・園長の承認、職員への配布、当日の欠勤連絡、交代、勤怠確定、給与連携までを時系列で書きます。各工程について、担当者、使う帳票、入力元、出力先、締め日、判断が必要な例外を付けます。特に「0〜2歳児と幼児で必要人数が違う」「経験者を一定時間帯に置く」「看護師や栄養士は保育士枠と別に扱う」といったルールは、単なる自由記述ではなく計算条件として記載します。

テスト用データには、通常月だけでなく、年度替わり、土曜保育、延長保育、行事、短時間勤務、育休復帰、急な欠勤が連続する日を入れます。機密性がある実データを渡す場合は、個人名や園児情報をマスキングし、いつ誰が何の目的で受け取るかを記録します。画面デモでは再現されなかった例外を、本番稼働後に初めて発見する事態を避けられます。

MUSTとWANTを分けて優先順位を決める

MUSTには、必要配置数の確認、資格・職種条件、希望休、欠勤時の再調整、承認、変更履歴、勤務時間集計、CSV出力、権限管理、バックアップを置きます。WANTには、AIによる候補提案、職員アプリ、チャット通知、複数園ダッシュボード、登降園予測などを置きます。WANTを否定する必要はありませんが、MUSTを満たす前に機能を増やすと、導入テストが長引き、誰も使わない画面に費用が流れます。

RFPでは「自動作成率を高くする」といった抽象的な表現より、「配置不足を日別・クラス別に警告する」「手動変更後に再集計する」「変更者と変更日時を残す」「設定値を年度や園ごとに切り替える」と書くと評価しやすくなります。各要件に、必須・加点・対象外の区分と、受入テストで確認する方法を付けることが重要です。

RFPに入れるべき項目

RFPは、背景と目的、対象園・職員数・園児数、現行業務、対象範囲、機能要件、非機能要件、連携、移行、導入体制、納品物、スケジュール、見積条件、契約条件、提案書の回答形式で構成します。機能要件には、職員台帳、勤務パターン、希望休、クラス配置、月次シフト、日次の過不足、交代、勤怠・残業・有休、帳票、通知、法人管理を含めます。

非機能要件には、スマートフォン対応、同時利用者数、応答速度、稼働時間、障害時の連絡、復旧目標、ログ保存、データの暗号化、MFA、バックアップ、データ返却・消去、再委託先、サポート時間を入れます。委託先が海外の事業者や再委託先を使う場合は、個人情報保護委員会が示すように、所在国の制度を把握し、安全管理措置と監督方法を確認する必要があります(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年6月改訂版)。

契約形態は成果物と責任範囲を先に決めます

システム開発の契約条件を確認する担当者

システム発注の契約では、名称よりも「何をもって完了とするか」「仕様変更をどう扱うか」「不具合と追加要望を誰が負担するか」を明文化することが大切です。既製クラウドの利用契約、導入支援、個別開発、保守・運用は性質が異なるため、同じ見積書にまとめられていても、項目ごとに契約上の責任を分けて確認します。

請負契約と準委任契約の違い

請負契約は、合意した成果物を完成させ、検査に合格させることを重視します。画面、機能、帳票、連携、テスト仕様書などの納品物と受入基準を固めやすい反面、契約後に要件が変わると、変更契約や追加費用が発生しやすいです。短期間で明確な範囲を開発する場合に向きます。

準委任契約は、専門家の作業や支援を一定期間受ける形で、要件整理やアジャイル型の段階開発と相性があります。仕様が固まっていない段階で柔軟に進めやすい一方、完成保証や納品物の範囲を請負契約と同じ感覚で期待すると、認識差が生まれます。RFP作成、Fit & Gap、プロトタイプ、導入伴走は準委任、確定した追加機能は請負など、工程で分ける方法もあります。

契約書で確認する項目

契約書と個別仕様書では、対象業務、納品物、検収期間、瑕疵や不具合の対応、サービスレベル、保守時間、料金改定、解約、データの返却・消去、知的財産権、秘密保持、個人情報、再委託、事故報告、損害賠償の上限を確認します。クラウドでは、サービス停止時に紙やExcelへ切り替える手順、データを取り出せる形式、退会後の削除証跡も重要です。

個人情報保護委員会は、委託先の選定時に安全管理措置が十分かを事前確認し、契約に必要な安全管理措置を盛り込み、定期的な監査などで取扱状況を把握することが望ましいとしています。保育士の勤務情報だけでなく、園児・保護者の情報や連絡先が連携される場合は、開発会社のセキュリティ説明を営業資料だけで済ませず、契約条項と運用証跡で確認します。

変更管理と保守を分けて考える

保育現場では、短時間勤務者の追加や行事日程の変更が本番稼働後にも起きます。法改正や配置基準の変更、単なる入力修正、新しい帳票、他システムとの連携追加を同じ「修正」と呼ばないよう、保守範囲と追加開発の扱いを定義します。設定変更で対応できる範囲、ベンダー作業が必要な範囲、別見積となる範囲を一覧化すると、予算承認がしやすくなります。

リリース手順には、テスト環境、データバックアップ、承認者、告知、切り戻し、問い合わせ窓口を含めます。特に月末の勤怠締めや年度替わりに更新すると、給与や自治体提出に影響する可能性があります。稼働時間帯を避け、段階導入と並行運用を選べる契約にしておくと、障害発生時にも業務を止めにくくなります。

費用相場は月額だけでなく3〜5年総額で比較します

保育士シフト管理システムの見積費用を比較する場面

保育園向けに公開された受託開発の平均価格は限られるため、スクラッチ開発の金額は個別条件で大きく変わります。相場を一つの数字として断定せず、既製クラウドの公開料金、導入支援の費用、追加開発の見積、個別開発の推定レンジを分けて比較します。特に、職員数ではなく園数、連携数、例外ルール、自治体帳票、セキュリティ要件が工数を左右します。

既製クラウドの費用目安

既製クラウドを1園で導入する場合、公開価格を比較すると、初期費用は0円から数十万円程度、月額は基本機能とオプションを合わせて5,000〜40,000円程度が一つの目安になります。ただし、このレンジは公開料金から見た比較軸であり、保育園向けシステム全体の平均値ではありません。園児・職員データの移行、初期設定、操作研修、端末、複数園、追加オプション、サポート、補助金対象経費は別に確認します。

たとえばCoDMONの料金表では、基本利用料とオプションを合算する方式で、シフト管理オプションや登降園・出退勤管理を追加できます。月額33,000円のパックを選べる定員帯もありますが、口座振替や連携サービスなど一部費用は含まれないと明記されています。月額だけを12倍して比較せず、初年度と2年目以降で費目を分け、解約時のデータ出力費まで含めた見積にします。

受託開発・スクラッチの推定レンジ

リサーチノートの人事・労務システム相場を保育士シフト管理へ置き換えた推定では、シフト作成、配置確認、希望休、CSV出力に絞る小規模な個別開発は500万〜1,500万円程度、シフト・勤怠・職員台帳・登降園予定・給与連携・複数園管理まで含む中規模開発は1,500万〜4,000万円程度が比較用のレンジです。これは保育園専用システムの公的な平均価格ではなく、要件と工数から置いた推定です。実際の発注では必ず自法人の要件に基づく見積を取得します。

工程の配分は、要件定義が総額の約10%、設計が10〜20%、開発が40〜60%、テストが10〜20%という見方がありますが、連携・データ移行・教育を含むかで変わります。開発期間は、小規模な個別開発で4〜8か月、複数領域を含む新規開発で6か月〜1年以上を目安にします。金額と期間はあくまで推定であり、配置ルールの難易度、データ品質、UAT参加人数、複数園の展開数で上下します。

3〜5年総額に含める費目

総額表には、初期費用、月額基本料、オプション、初期設定、既存データの整備・移行、端末、連携開発、研修、運用サポート、保守、法改正対応、追加園、バックアップ、障害対応、データ出力を記載します。クラウドは安く見えても、園数や機能追加に応じて月額が増えることがあります。スクラッチは初期費用が大きく、サーバーや保守、制度改正時の改修を自法人が負担する可能性があります。

比較表では、「必須費用」「利用量で変動する費用」「任意費用」「将来発生し得る費用」を分けます。補助金は年度・自治体によって対象経費、上限、申請時期が異なるため、ベンダーが補助対象と説明しただけで予算を確定しません。自治体の公募要領と交付条件を確認し、補助金がなくても継続できる総額で意思決定します。

委託先選定と見積比較は同じ条件で検証します

保育園向けシステムの委託先を比較する会議

委託先は、知名度や営業担当の印象だけで決めません。保育施設の導入実績、配置ルールの理解、デモでの再現力、移行支援、サポート体制、セキュリティ、契約の透明性、開発後の保守を同じ評価項目で採点します。既製品の販売会社と受託開発会社は得意領域が異なるため、システムを買うのか、業務に合わせて作るのかを先に明らかにします。

デモで再現する5つのケース

デモでは、通常月のきれいなサンプルだけでなく、第一に新人とベテランを同じ時間帯に配置するケース、第二に土曜保育と延長保育が重なるケース、第三に短時間勤務者の退勤後も配置を満たすケース、第四に当日の急な欠勤を交代へ置き換えるケース、第五に希望休と配置不足が衝突するケースを再現します。操作後に、どの条件が守られ、どの条件が警告になり、誰が手動で調整し、変更履歴が残るかを確認します。

SERVEシフト管理は、必要人数、新人・早番の重複回避、経験年数やスキルのバランス、勤務の偏り、禁則勤務などを条件に自動生成し、不足を色で注意喚起し、Excel出力にも対応すると説明しています。導入園の芙蓉保育園では、手作業で約2日かかっていた作業が約1日になったと紹介されています(出典: メシウス株式会社「SERVEシフト管理」、2026年8月確認)。このような事例は参考になりますが、自園の職員数・条件・運用で同じ効果が出るとは限らないため、必ず自社データで試します。

見積書を横並びにする方法

複数社に同じRFPを渡し、見積書の項目を「要件定義」「設定・導入」「ライセンス」「個別開発」「連携」「移行」「テスト」「研修」「保守」「運用サポート」「オプション」「追加園」にそろえてもらいます。値引き後の総額だけでなく、作業時間、担当人数、前提条件、対象外、再見積の条件を記載してもらうと、安い見積の理由と後から膨らむ部分が見えます。

評価は、価格30点、機能・適合性25点、導入・移行15点、サポート10点、セキュリティ10点、提案の実現性10点など、法人の優先順位に合わせて配点します。価格を最重要にする場合でも、配置不足を防げない製品は候補から外します。見積比較の打ち合わせには園長・主任・現場職員・法人本部・給与担当・情報管理担当を参加させ、現場だけにも本部だけにも偏らない判断にします。

委託先のリスクを確認する

選定時は、担当者が変わった後も支援が続くか、要件定義の責任者と保守窓口が明確か、障害時の連絡経路があるか、再委託を事前承認できるかを確認します。会社の規模だけでなく、同じ担当者が何園を支援するのか、導入時に何回の研修を行うのか、問い合わせの回答時間、休日や年度替わりの体制を具体的に聞きます。

セキュリティでは、役割別アクセス権限、MFA、通信・保存データの暗号化、操作ログ、バックアップ、脆弱性対応、事故時の報告、データの保存場所、再委託先、契約終了時の返却・消去を確認します。IPAの中小企業向け情報セキュリティガイドラインや、個人情報保護委員会の委託先監督に関するガイドラインをRFPのチェック項目に使うと、営業資料にない確認漏れを減らせます。

導入は代表園の検証から段階的に進めます

保育園でシフト管理システムを導入するスタッフ

システムを選んだ後の導入では、データ品質と現場の納得感が成否を分けます。代表園を1園選び、実際の2〜3か月分のシフト、職員条件、園児数、休暇、例外勤務を使って検証します。問題が解決したら、同じ設定を他園へ展開します。全園一斉導入を避けることで、設定ミスや運用上の抵抗を小さくできます。

パイロット導入と受入テスト

受入テストでは、登録、希望休の締切、原案作成、配置不足の警告、主任承認、職員への通知、欠勤変更、勤怠集計、給与連携、帳票出力、権限変更、退職者の無効化までを実行します。正常系だけでなく、同じ職員が二重登録される、資格情報が空欄、急な欠勤で配置が足りない、連携CSVにエラーがあるといった異常系も試します。テスト結果には、合否、再現手順、担当者、修正期限を記録します。

パイロット期間は通常月だけで終わらせず、土曜保育や行事月を含めます。現場職員には、操作方法だけでなく、システムの警告が何を意味し、誰が最終判断するのかを説明します。自動作成された案をそのまま承認するのではなく、保育の安全と職員の事情を見て調整する運用を定着させることが重要です。

導入後に効果を測るKPI

導入後は、月間のシフト作成時間、修正回数、配置不足の見落とし件数、欠勤対応時間、希望休の反映率、職員からの問い合わせ数、勤怠締めの手戻り、残業時間を毎月確認します。単にログイン数を増やすのではなく、導入前に測った数字と比べて、どの業務が改善し、どの例外が残っているかを確認します。

数値が改善しない場合は、製品が悪いとすぐに結論を出さず、職員マスタの更新漏れ、配置基準の設定、入力締切、承認者の不在、園ごとの運用差を確認します。月1回の運用会議で設定変更と追加開発を分け、改善要望の優先順位を決めると、現場の声を取り込みながら予算を管理できます。

よくある質問

保育園向けシステム発注のよくある質問

保育園・幼稚園向け保育士シフト管理システムの発注では、価格、開発期間、既製品と個別開発の違いについて質問が多くなります。ここでは、発注前に特に確認したい質問へ直接回答します。

保育士シフト管理システムの発注費用はいくらですか?

既製クラウドは公開料金ベースで初期費用0円から数十万円程度、月額5,000〜40,000円程度が比較軸になります。個別開発は、機能範囲を絞った推定で500万〜1,500万円程度、勤怠・登降園・給与連携や複数園管理まで含めると1,500万〜4,000万円程度というレンジがありますが、いずれも平均価格ではなく、要件に基づく見積前の目安です。移行、研修、保守、追加園まで含めた3〜5年総額で比較します。

小規模園でもスクラッチ開発を発注できますか?

発注はできますが、独自ルールや連携が本当に既製品で代替できないかを先に検証することをおすすめします。小規模園は既製クラウドを使い、配置・シフト・勤怠を先行導入し、足りない部分だけCSVやAPI連携で補う方が、初期費用と保守負担を抑えやすいです。独自開発を選ぶ場合は、将来の担当者、法改正、バックアップ、障害時の運用まで法人が維持できるかを確認します。

委託先は何社から見積を取ればよいですか?

比較可能なRFPを用意し、3社程度から提案と見積を取ると、価格と適合性の差を把握しやすくなります。既製クラウドの提供会社、保育業務に強いシステム会社、連携・受託開発に強い会社を混ぜると、選択肢の偏りを防げます。社数を増やすことより、同じデータと同じ5つのデモケースで評価し、対象外費用や契約後の責任範囲を比較することが大切です。

AIでシフトを完全自動作成すれば発注は成功しますか?

完全自動作成だけでは成功しません。配置不足の警告、条件の優先順位、手動調整、変更理由、承認履歴、欠勤後の再計算が一体になり、園長や主任が安全性を確認できることが重要です。AIや自動計算は候補を作る支援として使い、制度や現場事情に照らした最終判断は人が担う要件にします。

まとめ

保育園向けシステム発注のまとめ

保育園・幼稚園向け保育士シフト管理システムを発注するときは、製品の機能数や月額料金から入らず、配置基準、職員条件、希望休、急な欠勤、勤怠・給与連携、複数園運営の課題を整理します。そのうえで、既製クラウド、追加開発、スクラッチ開発のどこまでが自園に必要かをFit & Gapで確認します。

発注判断の結論

RFPには、通常月だけでなく、土曜保育、行事、短時間勤務、経験者と新人の組み合わせ、急な欠勤、配置不足を含む実データのテストケースを入れます。見積は初期費用や月額だけでなく、移行、研修、保守、法改正対応、追加園、データ返却を含む3〜5年総額で比較します。契約では、成果物、受入基準、変更管理、再委託、セキュリティ、障害時の責任範囲を明確にします。

次に行うこと

まず直近2〜3か月分のシフトと職員条件を集め、作成時間、修正回数、欠勤対応、配置不足の件数を測ります。次にMUSTとWANTを分けたRFPを作り、既製クラウドの提供会社と個別開発・連携に対応できる会社へ同じ条件で相談します。代表園で検証し、現場が安全性と使いやすさを確認できた段階で、他園や勤怠・給与連携へ広げる進め方が、費用と定着のバランスを取りやすい方法です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。