CLMの機能は、契約書の作成や審査から締結、保管、更新管理までを一連で担い、フェーズごとに役割が分かれています。
CLMは、契約の一生(ライフサイクル)を一気通貫で扱うシステムです。主な機能は、次の4つの領域に分けて捉えられます。
- 契約書の作成と審査の標準化
- 電子契約による締結状況の管理
- 検索できる形での契約情報の保管
- 更新期限と権限の管理
どの機能が標準で、どの機能が追加コストになるかを押さえておくと、製品選定と要件定義の出発点になります。
この記事は、発注企業の視点からCLMの必要機能と標準機能を整理する、機能特化の記事です。取り上げるのは、契約書作成・テンプレート管理、審査・承認ワークフロー、電子契約による締結(立会人型/当事者型)、契約書の一元管理・全文検索・バージョン管理、更新期限アラートです。
さらに、AI契約レビューやAI-OCRといった先進機能も、標準機能とオプションの切り分けを意識しながら掘り下げます。読み終えるころには、自社に必要な機能の優先順位が描けるはずです。
なお、CLMの全体像をまだ把握していない方は、まずCLM・契約ライフサイクルマネジメントの完全ガイドから読むことをおすすめします。
▼全体ガイドの記事
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契約書の作成・審査・承認を担う機能

契約ライフサイクルは、契約書を作成する段階から始まります。CLMでこの最初のフェーズを担うのが、起案とテンプレート管理、そして法務による審査・承認の機能です。
この工程を電子化すると、Wordファイルをメールで往復させる属人的な審査から抜け出せます。また、締結の前段にあたるこの工程は、CLMが「単なる電子契約」と違う点でもあります。
テンプレート管理と起案の機能
契約書作成の標準機能として、まず雛形(テンプレート)の一元管理があります。秘密保持契約書や業務委託契約書などの雛形をシステムに登録しておけば、現場はそこから選んで必要事項を入力するだけで起案できます。承認済みの雛形だけを使う形にすれば、古い雛形や個人が勝手に改変した版が使われるリスクも防げます。
法務が承認した最新の雛形が使われる状態を保つことが、コンプライアンスの基盤になります。また、入力フォームに沿って当事者名や金額、期間などを埋めると、契約書ドラフトが自動で生成される仕組みが一般的です。そのため、契約書作成の専門知識がない事業部門でも、一定品質のドラフトを起こせます。
ただし、複雑な条項の出し分けや自社固有の契約類型に合わせた高度なテンプレート制御は、標準機能で対応しきれない場合があります。自社の契約パターンの複雑さを洗い出し、標準のテンプレート機能で足りるかを見極める必要があります。
審査・承認ワークフローと条件分岐の機能
起案された契約書は、法務審査と社内承認のワークフローを通ります。その中核は、契約の種類や金額に応じて承認ルートを自動で切り替える「条件分岐」です。たとえば100万円未満は部長承認まで、それ以上は役員承認まで、海外取引はさらに法務部門長を加える、といったルートを設定できます。承認ルートの再設計は稟議システムとも重なるため、自社の承認規程をどこまで再現できるかを要件として詰めます。
審査では、法務が条項に修正コメントを付け、事業部門と版を往復させる「赤入れ」のやり取りが発生します。CLMでは修正履歴と承認証跡がすべて残るため、誰がいつどの条項をどう直したかを後から追跡できます。また、スマートフォンからの承認に対応していれば、決裁者の不在による滞留も防げます。
ワークフロー機能の実力は、複雑な条件分岐を再現できるか、差し戻しや代理承認、ルートの動的な変更に対応できるかで測れます。承認を電子化すると決裁は速くなりますが、長期不在の承認者を代理者へ委任できるか、審査の途中で決裁者を差し込めるかといった柔軟さがあってこそ、実運用で使われ続けます。逆に、標準機能が硬直的だと、現場は例外に対応できず、システムの外で処理してしまいます。
電子契約による締結を担う機能

審査・承認を経た契約書は、いよいよ締結フェーズに進みます。ここで中心になるのが電子契約の機能で、紙と印鑑の代わりに、電子署名とタイムスタンプで契約を成立させます。
電子契約システムの導入率は2025年の調査で78.3%に達しており(資料請求数は前年同期比236%増)、締結の電子化は今や標準的な選択肢になっています。
電子契約には大きく「立会人型(事業者署名型)」と「当事者型」の二方式があります。どちらを採用するかで法的証拠力やコスト、相手方の負担が変わるため、まずこの違いを押さえることから、締結機能の理解が始まります。
立会人型・当事者型の署名とタイムスタンプ
立会人型は、電子契約サービスの事業者がメール認証などで本人性を確認し、事業者名義の電子署名を付与する方式です。相手方は電子証明書を用意せず、メールを受け取って同意ボタンを押すだけで締結できるため、導入のハードルが低いのが特長です。どちらの方式を標準にするかは、契約の重要度や相手方の事情に応じて決める必要があります。
送信料は1件あたり50〜300円(平均で税込110〜220円程度)が相場で、手軽さからもっとも普及している方式です。一方、当事者型は当事者本人が電子証明書を用いて署名する方式で、本人性の証明力が高い反面、相手方にも電子証明書の発行費(1万円前後)が発生します。
いずれの方式でも、タイムスタンプの付与が標準機能として組み込まれています。これにより、「その時刻にその内容の文書が存在し、その後改ざんされていない」ことを証明できます。電子署名法第3条が定める要件を満たせば、紙の契約書と同等の法的効力を持たせられます。
電子帳簿保存法対応と保管・送信の機能
締結した電子契約は、電子帳簿保存法の要件に沿って保存する必要があります。CLMの保管機能は、タイムスタンプや検索要件(日付・金額・取引先での検索)を満たした形で契約データを保存し、電帳法対応を標準で実現します。これにより、電子取引の保存義務を満たしつつ、必要なときに条件で検索して取り出せます。
締結機能は、署名方式・法対応・誤送信防止の三点を軸に評価すると、製品を比べやすくなります。法対応が標準機能に組み込まれているかは、製品選定で必ず確認しておきたい点です。送信の機能では、承認が完了していない契約書は送れない、宛先を二重チェックするといった制御も備えておくと、未承認契約の誤送信を構造的に防げます。
締結では相手方の負担も見る必要があり、立会人型なら相手方は専用アカウントなしに、メールのリンクから内容を確認して同意できるのが一般的です。相手方の操作が複雑だと締結が進まず、電子化率も上がりません。そこで、送信時に署名箇所を視覚的にガイドしたり、進捗(相手方が開封したか・署名したか)を可視化したりする機能があれば、締結のリードタイムをさらに短縮できます。
締結後の一元管理・検索・更新管理を担う機能

締結後も契約は更新や期限を伴って続くため、保管・検索・更新管理こそ、CLMが「契約ライフサイクル」を名乗る理由です。
一次データでも、電子契約導入後の課題として「契約書の情報を一元管理できない」が39.5%と最多で挙げられており、締結後の管理機能の重要性がうかがえます。
このフェーズの機能が、締結済みの契約を活きた資産として保ちます。
全文検索・バージョン管理と更新期限アラート
一元管理の中核は、全文検索とメタデータ検索です。契約日・当事者・金額・契約類型に加えて本文を全文検索できれば、「この取引先と交わした契約の中で、この条項を含むものを探す」といった調査も一瞬で終わります。また、契約を版ごとに保持するバージョン管理があれば、締結版と過去のドラフト版を区別でき、最終締結版を取り違える事故も防げます。
更新管理で欠かせないのが、更新期限・解約通知期限のアラート機能です。契約をメタデータ付きで登録しておけば、更新の数か月前にシステムが自動で通知し、不要な自動更新や、解約したいのに通知期限を逃すといった機会損失を防げます。締結して終わりにせず、ライフサイクル全体で管理するCLMならではの機能で、通知の時期や担当者を契約類型ごとに設計することが活用の前提になります。
契約日や当事者、金額、契約類型、更新条件を構造化して持てば、「今期に更新を迎える契約の総額」「特定の取引先と結んだ全契約」といった切り口で集計・分析できます。契約を検索・分析できる資産として扱えることが、一元管理がもたらす本質的な価値です。そのうえで、持たせる属性の範囲は、自社の管理ニーズに合わせて決めます。
AI契約レビュー・AI-OCRの位置づけ
近年のCLMでは、AI契約レビューやAI-OCRといった先進機能が注目を集めています。AI契約レビューは、契約書ドラフトの不利な条項や抜け漏れをAIが指摘し、法務の一次チェック工数を削減する機能です。雛形との差分を自動で抽出し、不利な条項や抜けている定番条項を指摘するため、法務担当者は指摘箇所を重点的に確認すればよくなります。これにより、審査を速めながら見落としも防げます。
AI-OCRは、紙でスキャンした契約書から当事者名や契約日といったメタデータを自動で読み取り、登録の手間を減らします。過去の紙契約を大量に移行する局面では、移行コストを大きく下げられます。ただし、AIの指摘や読み取りには誤認識のリスクがあり、最終的な法務判断を完全に代替できるわけではありません。
AI機能は、標準機能か月額数万円規模の追加オプションかが製品によって大きく異なります。そのため、追加コストと法務工数の削減効果を比べたうえで、誤認識を前提とした確認フローも設計することが大切です。riplaは、AI機能を含む機能要件を「標準で足りるか、作り込みや連携が必要か」という観点で切り分ける支援を重視しています。
連携・権限制御・コンプライアンスを支える機能
契約のライフサイクルを支える機能は、各フェーズの機能だけでは完結しません。それらを横断して動かす「連携機能」「権限制御機能」「コンプライアンス機能」があって、CLMは業務基盤として成り立ちます。
これらは表に出にくい機能ですが、ここが弱いと業務が分断されたり、セキュリティ事故が起きたりします。そのため、製品選定では機能と運用のしやすさをセットで丁寧に評価する必要があります。
各部門が別ツールで契約を扱うシャドーITを防ぐには、契約管理の窓口をCLMに一本化する運用が前提になります。
riplaは、横断機能を含めて自社の統制要件に合った機能構成を設計することを重視しています。
CRM/SFA・会計との連携機能
連携機能は、契約データを孤立させないための機能です。CRM/SFAと連携すれば取引先マスタを共有でき、契約起案時の当事者入力も不要になります。会計システムや経費精算と連携すれば、契約に紐づく金額情報が自動で流れ、転記とダブルチェックの工数がなくなります。
一次データでは「システム間で業務が分割され非効率」が導入後の課題の38%を占めており、連携の有無が業務の連続性を大きく左右します。連携の実現方式には、API連携、CSV連携、ファイル連携などがあり、製品によって対応範囲が異なります。リアルタイムで双方向に同期するか、バッチで一方向に流すだけかによって、自動化のレベルが変わります。
標準で主要な会計・SFA製品との連携コネクタを備える製品もあれば、個別開発が必要な製品もあります。そのため、既存システムの構成を洗い出し、どの連携が標準で、どこに開発が必要かを見極めることが、機能評価の観点になります。
権限制御・アクセスログとコンプライアンス機能
契約は機密情報の塊のため、誰がどの契約を閲覧・編集できるかを細かく制御する権限管理機能が欠かせません。部門別・役職別にアクセス権を設定し、機密性の高い契約は限られた担当者だけが見られるようにします。
さらに、誰がいつどの契約にアクセスし、何を変更したかを記録するアクセスログや操作証跡があれば、不正や情報漏えいの抑止と、万一の際の追跡が可能になります。コンプライアンス機能では、承認が完了するまで送信を止める制御や、バックデート(契約日の遡及操作)を防ぐ仕組みが必要です。未承認契約の誤送信や不適切な日付操作は、ガバナンス上の重大なリスクです。
権限制御は、組織変更への追従性も評価ポイントです。人事異動や組織再編の際に権限を一括で見直せれば、退職者や異動者が機密契約に触れ続けるリスクを防げます。一方、手作業でしか更新できない製品では、運用が追いつかず権限が放置されがちです。
まとめ
CLMの機能は、契約の一生に沿って並べると全体像がつかめます。
作成フェーズではテンプレート管理と起案、審査フェーズでは条件分岐を備えた承認ワークフローが中心です。締結フェーズでは立会人型・当事者型の電子署名とタイムスタンプ、電帳法対応を備え、締結後は全文検索・バージョン管理・更新期限アラートで一元管理します。
さらに、AI契約レビューやAI-OCRは効果が大きい一方で、標準かオプションか、誤認識リスクをどう扱うかの見極めが必要です。
機能を選ぶときは、自社の契約業務のどのフェーズに課題があるかを起点に、必要な機能の優先順位を付けます。製品の機能一覧は、その優先順位と照らし合わせる材料として使います。
たとえば、一元管理ができないという最多の課題には検索やアラートを、審査の滞留には承認ワークフローを優先して検討します。
riplaはフルスクラッチ受託と業務伴走を組み合わせ、自社の契約類型と業務フローに合わせた機能要件の整理を支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドが役立ちます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
