CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

CLM(Contract Lifecycle Management)・契約ライフサイクルマネジメントとは、契約の発生から締結、運用、更新・終了に至るまでの一連のプロセスをシステムによって一元管理する手法です。グローバルのCLM市場は2026年に約81億ドル(約1.2兆円)規模に達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は約18%と急拡大しています。国内でも電子契約の普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の波を受け、法務・契約業務のシステム化ニーズが急速に高まっています。

一方で、CLMシステムの開発・導入は「どの機能から着手すべきか」「パッケージとスクラッチのどちらが自社に合うか」「どの開発会社を選べばよいか」といった判断が難しく、プロジェクトが長期化・費用超過するケースも少なくありません。本記事では、CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の全体像から具体的な進め方・フロー、費用相場、開発会社選定のポイントまでを体系的に解説します。

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・CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の完全ガイド

CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の全体像

CLM契約ライフサイクルマネジメントの全体像

CLMシステムとは・主な機能

CLMシステムとは、契約ライフサイクル全体をデジタル化し、契約の発生・作成・審査・承認・締結・保管・更新・終了という各フェーズを一元的に管理するためのソフトウェアです。従来、契約業務は紙書類やメール、Excelを組み合わせた属人的な手作業に依存していました。CLMシステムはこの非効率な業務フローを自動化・可視化することで、法務部門の生産性を劇的に向上させます。

CLMシステムの主な機能は以下の通りです。第1にテンプレート管理機能です。契約書の雛形をWord・PDF・HTML形式で登録・管理し、作成時に必要事項をフォーム形式で入力できるため、記載ミスや漏れを防ぎます。第2に承認ワークフロー機能です。契約書の種類や金額に応じた審査・承認フローをノーコードで設定でき、案件がどの担当者の手元にあるかをリアルタイムで把握できます。第3に電子署名連携機能です。クラウドサインやDocuSignなどの電子契約サービスと連携し、ペーパーレスでの締結を実現します。第4に契約書リポジトリ機能です。締結済み契約書をクラウド上に集約し、AI-OCRによって契約内容を自動読み取り・データベース化します。第5に期限アラート機能です。契約更新日や自動更新期限の到来前にシステムが自動でリマインド通知を送付します。第6に分析・レポート機能です。契約数・契約金額・リスク分類などをダッシュボードで可視化し、経営判断の迅速化に寄与します。

2024〜2025年にかけてはAIによる契約書の自動分類・リスク検知機能を搭載したCLMが急増しており、契約レビューにかかる時間を従来比で最大60〜70%削減できる事例も登場しています。また、国内大手企業では年間1万件を超える契約書をCLMで管理し、法務部門の残業時間を月平均30時間以上削減した実績が報告されています。

CLM導入で解決できる課題

CLMシステムの導入前に多くの企業が直面している課題を整理すると、大きく5つに分類されます。第1の課題は契約書の所在管理が煩雑であることです。紙・PDF・メールと媒体が混在していると、必要なときに契約書をすぐに参照できず、法的リスクの把握が困難になります。調査によれば、日本企業の約60%が契約書の保管場所を複数の部門や担当者が個別に管理しており、一元化されていないと回答しています。

第2の課題は更新・終了期限の管理ミスです。自動更新条項を見落として不必要なコストが継続するケースや、逆に重要な取引先との契約が失効してしまうケースが発生します。第3の課題は契約書作成・審査に要する時間の長さです。法務部門のレビューを待つ時間が平均5〜10営業日かかる企業も多く、ビジネスのスピードを損なっています。第4の課題はコンプライアンス・法規制対応の複雑化です。個人情報保護法の改正、下請法、独占禁止法など法規制が年々厳格化しており、契約条項の標準化・統制が不可欠になっています。第5の課題はグローバル契約管理の難しさです。多言語・多法域にまたがる契約をExcelで管理する限界が生じており、グローバル展開する企業にとってCLM導入の必要性は一層高まっています。CLMシステムはこれらの課題を一括して解消する手段として、製造・金融・商社・IT・医療など幅広い業種で導入が進んでいます。

CLM開発の進め方・フロー

CLM開発の進め方フロー

要件定義・業務プロセス分析フェーズ

CLM開発の出発点となるのが、現状の契約業務を徹底的に可視化する「業務プロセス分析」です。このフェーズでは、法務部門・調達部門・営業部門・経営企画など契約に関わるすべての部署にヒアリングを実施し、契約発生から締結・保管・更新に至るまでの全プロセスを洗い出します。具体的には、「どの種類の契約書を年間何件扱っているか」「起案から締結まで平均何営業日かかっているか」「現状のボトルネックはどのフェーズか」「どのシステム・ツールを使っているか」を定量的に把握することが重要です。

業務プロセス分析が完了したら、要件定義フェーズに移行します。要件定義では「機能要件」と「非機能要件」の両面を明確化します。機能要件とは、テンプレート管理・ワークフロー・電子署名連携・リポジトリ検索など、システムが実現すべき具体的な機能の一覧です。非機能要件とは、処理速度(例:検索結果を3秒以内に返すこと)、可用性(例:稼働率99.9%以上)、セキュリティ(例:通信のTLS1.2以上暗号化)、スケーラビリティ(例:将来的に年間10万件の契約書を管理できること)などの品質基準を指します。このフェーズには通常4〜8週間を要し、プロジェクトの成否を大きく左右するため、開発会社と発注者が密に連携しながら進めることが不可欠です。また、既存のERPやCRM、電子契約システムとの連携要件も要件定義時点で明確にしておくことで、後工程での手戻りを防ぐことができます。

設計・開発フェーズ

要件定義完了後、システム設計フェーズに進みます。設計は大きく「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」の2段階で構成されます。基本設計では、画面レイアウト・帳票仕様・データフロー・API連携仕様・システム構成図を策定します。特にCLMでは、ワークフローエンジンの設計が核心部分であり、承認ルート・条件分岐・差し戻しロジックを詳細に定義する必要があります。詳細設計では、データベーススキーマ・クラス設計・セキュリティ設計(アクセス権限マトリクスなど)を行います。

開発フェーズでは、アジャイル開発またはウォーターフォール開発のいずれかが採用されます。CLM開発においては、業務要件の変化に柔軟に対応できるアジャイル(スクラム)開発が近年主流になっています。2週間〜4週間のスプリント単位で機能を順次リリースし、利用者のフィードバックを取り込みながら改善を繰り返す手法です。開発工程では、フロントエンド(UI/UX)・バックエンド(API/ビジネスロジック)・データベース・インフラ(クラウド設定)の各領域で並行開発が行われます。技術スタックとしては、バックエンドにJava(Spring Boot)やPython(Django/FastAPI)、フロントエンドにReactやVue.js、データベースにPostgreSQLやMySQL、インフラにAWS・Azure・GCPが採用されるケースが多い傾向にあります。スクラッチ開発の場合、設計〜開発工程だけで6〜18ヶ月程度の期間を見込む必要があります。

テスト・リリース・定着化フェーズ

開発が完了したら、テストフェーズに移行します。CLMシステムのテストは、単体テスト・結合テスト・システムテスト・ユーザー受け入れテスト(UAT)の4段階で実施します。単体テストでは、各機能モジュールが仕様通りに動作するかをエンジニアが検証します。結合テストでは、複数のモジュールを組み合わせた際のデータ連携・ワークフロー動作を確認します。システムテストでは、負荷テスト(例:同時アクセス500ユーザー時の応答速度)やセキュリティ脆弱性診断も実施します。UATでは、実際の業務担当者(法務・調達・営業など)がシナリオに沿って操作し、業務要件を充足しているかを最終確認します。

テスト完了後、段階的なリリース(フェーズドロールアウト)を実施します。最初に1〜2部門の試験運用から開始し、問題がないことを確認した後に全社展開するアプローチが推奨されます。リリース後の定着化フェーズでは、操作マニュアルの整備・社内トレーニング・ヘルプデスク設置が重要です。CLMは法務・調達・営業など多部門が利用するため、部門ごとにカスタマイズされた研修を実施することが定着率向上につながります。運用開始から3〜6ヶ月はシステムへの慣れや改善要望の収集期間として設定し、開発会社と協力して継続的な改善サイクルを回すことが成功の鍵です。定着化が軌道に乗った後は、AI契約レビューや予測分析機能の追加など、CLMの高度化を段階的に進めることが可能です。

CLM開発の費用相場

CLM開発の費用相場

開発規模・機能別の費用目安

CLMシステムの開発・導入費用は、対象規模と採用手法によって大きく異なります。以下に開発規模別の費用目安を示します。

小規模(〜100名・年間契約数1,000件以下):SaaSパッケージをそのまま活用する場合、初期費用が0〜50万円、月額利用料が5〜30万円(ユーザー数・機能に応じて変動)が目安です。軽微なカスタマイズ(ロゴ変更・ワークフロー設定など)を加える場合でも、総コストは年間60〜400万円程度に収まるケースがほとんどです。

中規模(100〜500名・年間契約数1,000〜1万件):パッケージのカスタマイズ開発や既存システム(ERP・CRM)との連携開発が発生します。初期費用(カスタマイズ・連携開発・導入支援)で300〜800万円、月額ランニングコストで20〜80万円が一般的な相場です。プロジェクト全体では、初年度総コストとして500万〜1,500万円を見込む必要があります。

大規模(500名以上・年間契約数1万件超・グローバル対応):スクラッチ開発またはエンタープライズグレードのパッケージを基盤とした大規模カスタマイズ開発が必要になります。初期開発費だけで2,000万〜1億円以上、年間保守・運用費が500万〜2,000万円規模になることも珍しくありません。多言語対応・多通貨対応・海外拠点との連携が加わる場合はさらに費用が増加します。なお、CLMシステムの投資対効果(ROI)については、導入後2〜3年で初期投資を回収できた企業事例が多く報告されており、法務人件費・紙コスト・更新ミスによる損失を合算すると、年間1,000万〜3,000万円以上のコスト削減効果が生まれるケースもあります。

パッケージ導入とスクラッチ開発の比較

CLMシステムの構築アプローチには大きく「パッケージ(SaaS)導入」と「スクラッチ開発」の2種類があります。それぞれの特徴を比較します。

パッケージ(SaaS)導入のメリット・デメリット:最大のメリットは導入スピードと初期コストの低さです。クラウド型SaaSであれば最短1〜3ヶ月でサービスを開始でき、初期費用を大幅に抑えられます。国内主要CLMパッケージの月額費用はユーザー数課金で1ユーザーあたり3,000〜20,000円程度が相場です。また、ベンダーがシステムの保守・バージョンアップを担うため、社内IT運用の負担が軽減されます。デメリットとしては、自社固有の業務フローや独自の契約書式への対応に限界があり、カスタマイズが必要になると費用が跳ね上がる点が挙げられます。また、SaaSはベンダーロックインのリスクがあり、サービス終了やコスト改定の影響を受けやすい点も考慮が必要です。

スクラッチ開発のメリット・デメリット:スクラッチ開発の最大のメリットは、自社の業務プロセスや業界特有の契約慣行に完全に合わせたシステムを構築できる点です。独自の契約書テンプレート体系・複雑な多段階承認フロー・基幹システムとの深い統合など、パッケージでは実現困難な要件も実装できます。また、データを自社サーバーやプライベートクラウドで管理できるため、情報漏洩リスクを最小化できる点も大手企業に支持される理由のひとつです。デメリットとしては、開発期間が6〜24ヶ月と長く、初期費用が最低でも1,000万円以上(中〜大規模では3,000万〜1億円超)かかる点が挙げられます。また、開発後の保守・機能追加コストも継続的に発生します。一般的に、年間契約数が5,000件以上・複数システムとの連携が必須・高度なセキュリティ要件がある場合はスクラッチ開発、それ以外はパッケージ活用が効率的です。

開発会社選定のポイント

CLM開発会社選定のポイント

CLMシステムは、単なる文書管理ツールではなく、法務・調達・営業などの業務プロセスと密接に絡み合う専門性の高いシステムです。そのため、開発会社を選定する際には、システム開発技術だけでなく、契約業務・法務オペレーションへの深い理解を持っているかを重点的に確認する必要があります。

具体的な確認ポイントとして、まずCLMまたはリーガルテック領域の開発実績を確認してください。過去に法律事務所・大手企業の法務部門・調達部門向けのシステム開発を手がけた実績があるか、具体的な導入社数・解決した課題事例を提示できるかを確認します。次に、要件定義フェーズでの業務ヒアリング体制を確認してください。CLM開発において要件定義の品質はプロジェクト成否を左右します。法務・調達・情報システム部門など複数部門のステークホルダーに対して体系的なヒアリングを実施できる業務コンサルタントをアサインできるかが重要なポイントです。また、既存システムとの連携実績も重要な選定基準です。SAP・Oracle・Salesforceなどの主要ERPやCRM、DocuSign・クラウドサインなどの電子契約サービスとのAPI連携経験があるかを確認することで、開発後の統合工程でのリスクを低減できます。さらに、アジャイル開発への対応力も確認が必要です。CLM開発では業務要件が途中で変わることも多いため、スプリント開発・ユーザーストーリー管理・デモを活用したフィードバックサイクルを回せる開発体制を持つかを見極めてください。

セキュリティ・コンプライアンス対応力

契約書には企業の機密情報・取引条件・個人情報が含まれるため、CLMシステムのセキュリティ要件は極めて厳格です。開発会社のセキュリティ対応力を評価する際は、以下の観点で確認してください。

第1に第三者認証の取得状況を確認します。ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)やSOC2 Type IIレポートを取得している開発会社は、情報セキュリティ管理が適切に整備されていることの証左となります。CLM開発を依頼する際は、これらの認証取得を必須要件として設定することが推奨されます。第2に暗号化・アクセス制御の設計能力を確認します。通信経路のTLS1.2以上暗号化、保存データのAES-256暗号化、ロールベースアクセス制御(RBAC)による細粒度の権限設定が実装できるかを技術的な観点で確認してください。第3に監査ログ・証跡管理の設計経験を確認します。CLMシステムは契約書の閲覧・変更・承認の全履歴を改ざん防止のうえで記録する必要があります。特に金融・医療・製薬業界では規制要件として監査証跡の保存期間(最低7年以上など)が定められているため、業界固有の要件に対応できるかを確認することが重要です。第4にコンプライアンス対応の実績を確認します。個人情報保護法(APPI)・電子帳簿保存法・電子署名法など、日本の法規制への対応経験を持つ開発会社を選定することで、システムのリーガルリスクを最小化できます。また、グローバル展開を想定している場合は、GDPRやCCPAなど海外の個人情報保護規制への対応実績も確認してください。第5にペネトレーションテスト・脆弱性診断の実施体制を確認します。開発完了後に外部の専門機関によるセキュリティ診断を実施する体制を持っているか、また発見された脆弱性への対応プロセスが整備されているかを確認することで、リリース後のセキュリティリスクを大幅に低減できます。

マイルストーンと意思決定体制の設計

CLM開発では、要件定義・設計レビュー・UAT・本番切替の各マイルストーンで「誰が何を承認するか」を事前に決めておくと手戻りを防げます。ステークホルダーが多いほど、場当たり的な合意形成よりも、文書化された判定基準(例:外部電子署名の採用可否、AIレビュー機能のスコープ)に沿ったエスカレーションルールを用意しておくことが重要です。社内PMとベンダーPMのRACIを一緒に作り、週次でのリスクレジスタ共有を習慣化すると、長期プロジェクトでも進捗が見えやすくなります。

まとめ

CLM開発まとめ

CLM・契約ライフサイクルマネジメントシステムの開発は、要件定義・業務プロセス分析フェーズから始まり、設計・開発、テスト・リリース・定着化という3つのフェーズを経て完成します。各フェーズを丁寧に進めることが、プロジェクトの成功と導入後の高い定着率につながります。費用面では、SaaSパッケージ活用なら年間60〜400万円程度から始められ、スクラッチ開発の場合は1,000万〜1億円超まで規模に応じて幅広いレンジがあります。自社の契約数・業務複雑性・セキュリティ要件を正確に把握したうえで、最適な開発アプローチを選択することが費用対効果の最大化につながります。

開発会社の選定においては、システム開発技術だけでなく、法務・契約業務への深い理解、ISO 27001などのセキュリティ認証の取得状況、既存システムとのAPI連携実績を総合的に評価することが重要です。CLMは一度導入すれば長期間にわたって企業の契約業務を支える基盤となるため、パートナー選びは慎重に行ってください。弊社では、CLMシステムの要件定義から設計・開発・運用保守まで一貫してご支援できる体制を整えています。CLM開発・導入の検討段階からお気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。