CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

CLM開発は、要件定義、設計・開発、テスト・リリース・定着化の3段階で進みます。開発の前に、契約業務や権限、既存システム、データ移行、運用体制を整理しておくことが欠かせません。

ただし、「どの機能から着手すべきか」などの判断は難しく、長期化や費用超過も少なくありません。詳しくは、下のガイドもご覧ください。

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・CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の完全ガイド

CLM・契約ライフサイクルマネジメント開発の全体像

CLMで必要な機能と運用条件は、契約業務の範囲や法務体制によって変わります。そのため、整理する対象を業務、情報、連携の3つに分けると、要件を洗い出しやすくなります。

  • 業務:作成・審査・承認・締結・更新の流れ
  • 情報:契約書・権限・期限・リスク・監査に関する情報
  • 連携:電子署名・ERP・会計・通知・分析などとの連携

CLMシステムとは・主な機能

CLMシステムとは、契約ライフサイクル全体をデジタル化し、契約の発生から終了までを一元的に管理するソフトウェアです。従来は紙書類やメール、Excelを組み合わせた属人的な手作業に頼っていましたが、CLMは業務を自動化・可視化し、法務部門の生産性を大きく高めます。

国内大手企業では、年間1万件を超える契約書をCLMで管理し、法務部門の残業時間を月平均30時間以上減らした実績も報告されています。

CLMの主な機能は次のとおりです。締結済みの契約書はクラウド上に集約し、AI-OCRで契約内容を自動で読み取ってデータベース化します。契約書の作成から分析までを、一つのシステムで担います。

  • テンプレート管理機能:契約書の雛形をWord・PDF・HTML形式で登録・管理し、作成時に必要事項をフォーム形式で入力できるため、記載ミスや漏れを防ぎます。
  • 承認ワークフロー機能:金額や種類に応じた承認フローを設定し、案件がどの担当者の手元にあるかをリアルタイムで把握します。
  • 電子署名連携機能:クラウドサインやDocuSignなどと連携し、ペーパーレスで締結します。
  • 契約書リポジトリ・期限アラート機能:契約更新日や自動更新期限の到来前に、システムが自動でリマインド通知を送ります。
  • 分析・レポート機能:契約数・契約金額・リスク分類をダッシュボードで可視化し、経営判断の迅速化に寄与します。

2024〜2025年には、AIで契約書を自動分類しリスクを検知するCLMが急増し、レビュー時間を従来比で最大60〜70%削減できる事例も登場しています。

CLM導入で解決できる課題

CLMシステムの導入前に多くの企業が直面している課題は、大きく5つに分類されます。そのうち所在管理については、調査によると、日本企業の約60%が契約書の保管場所を部門や担当者ごとに個別管理しており、一元化されていないと回答しています。

  • 契約書の所在管理が煩雑であること:紙、PDF、メールが混在すると、必要な契約書をすぐに参照できず、法的リスクを把握しにくくなります。
  • 更新・終了期限の管理ミス:自動更新条項を見落として不要なコストが続くケースや、重要な取引先との契約が失効するケースが起きます。
  • 契約書作成・審査に要する時間の長さ:法務のレビューを待つ時間が平均5〜10営業日かかる企業も多く、ビジネスのスピードを損なっています。
  • コンプライアンス・法規制対応の複雑化:個人情報保護法や下請法、独占禁止法など法規制が年々厳格化し、契約条項の標準化と統制が欠かせなくなっています。
  • グローバル契約管理の難しさ:多言語・多法域の契約をExcelで管理する限界が生じ、グローバル展開する企業ほどCLM導入の必要性が高まっています。

CLMは、製造・金融・商社・IT・医療など幅広い業種で導入が進んでいます。

ポイント

必要な機能は、契約業務の範囲と法務体制で変わります。自社の課題が、契約書の所在、期限管理、審査時間、法規制、海外契約のどれに当たるかで、優先する機能を決めます。

CLM開発の進め方・フロー

CLM開発の要件定義から設計・開発、テスト・定着化へ進む3段階を示した図。
最初の業務分析から利用定着まで、工程は順につながります。

要件定義・業務プロセス分析フェーズ

CLM開発は、現状の契約業務を徹底的に見える化する業務プロセス分析から始まります。法務・調達・営業・経営企画など、契約に関わるすべての部署にヒアリングを実施し、契約の発生から締結・保管・更新に至るまでの全プロセスを洗い出します。その際、年間の契約件数や起案から締結までの平均営業日数、ボトルネック、利用中のシステムを定量的に押さえておく必要があります。

要件定義では「機能要件」と「非機能要件」の両面を明確にします。機能要件は、テンプレート管理やワークフロー、電子署名連携、リポジトリ検索など、システムが実現すべき具体的な機能の一覧です。非機能要件は、処理速度や可用性、セキュリティなどの品質基準で、検索を3秒以内に返すことや稼働率99.9%以上、TLS1.2以上の暗号化、年間10万件の契約書を管理できることなどが例です。

このフェーズには通常4〜8週間かかり、プロジェクトの成否を大きく左右するため、開発会社と発注者が密に連携して進めることが不可欠です。既存のERPやCRM、電子契約システムとの連携要件も要件定義の段階で明確にしておくと、後工程での手戻りを防げます。

設計・開発フェーズ

要件定義の後は設計に進み、「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」の2段階で行います。基本設計では画面、帳票、データフロー、API連携、システム構成図を決め、特にワークフローエンジンは承認ルートや条件分岐、差し戻しを詳細に定義します。詳細設計では、データベーススキーマやクラス設計、アクセス権限マトリクスなどのセキュリティ設計を行います。

開発の進め方は、アジャイル開発かウォーターフォール開発のどちらかで、CLM開発では業務要件の変化に柔軟に対応できるアジャイル(スクラム)が近年主流です。スクラムは、2週間〜4週間のスプリント単位で機能を順次リリースし、利用者のフィードバックを取り込みながら改善を繰り返す手法です。

開発工程では、次の4つの領域を並行して進めます。

  • フロントエンド(UI/UX):ReactやVue.jsがよく使われます。
  • バックエンド(API・ビジネスロジック):Java(Spring Boot)やPython(Django/FastAPI)が採用される傾向があります。
  • データベース:PostgreSQLやMySQLがよく選ばれます。
  • インフラ(クラウド設定):AWS・Azure・GCPが採用される傾向があります。

スクラッチ開発では、設計から開発までの工程だけで6〜18ヶ月程度を見込む必要があります。

テスト・リリース・定着化フェーズ

テストは、単体テスト・結合テスト・システムテスト・ユーザー受け入れテスト(UAT)の4段階で行います。単体テストでは、エンジニアが各機能モジュールを仕様どおりに検証し、結合テストでは、データ連携とワークフローの動作を確かめます。システムテストでは、負荷テスト(例:同時アクセス500ユーザー時の応答速度)やセキュリティ脆弱性診断も行います。

UATでは、法務・調達・営業などの実務担当者がシナリオに沿って操作し、業務要件を満たしているかを最終確認します。テスト後は、まず1〜2部門で試験運用し、問題がないことを確認してから全社に広げる段階的リリース(フェーズドロールアウト)が推奨されます。定着化では、操作マニュアルの整備、社内トレーニング、ヘルプデスクの設置が欠かせません。

CLMは法務・調達・営業など多くの部門が使うため、部門ごとにカスタマイズした研修が定着率の向上につながります。運用開始後の3〜6ヶ月は、システムに慣れることと改善要望を集める期間とし、開発会社と協力して改善を回すことが成功の鍵です。定着後は、AI契約レビューや予測分析機能の追加など、CLMを段階的に高度化できます。

ポイント

迷ったら、要件定義で契約件数や承認の所要日数を数字で示せるかを基準にします。定着化の段階では、運用開始後の3〜6ヶ月を改善の期間として見込めるかも確かめます。

CLM開発の費用相場

CLM開発の小規模、中規模、大規模それぞれの初期費用を3枚のカードで示した図。
規模が上がるにつれて、初期費用の目安も大きく広がります。

CLM開発の費用は、規模や機能によって幅があります。

開発規模・機能別の費用目安

規模が大きくなるほど、初期費用は大きく膨らみます。利用者数と年間契約数で分けた規模ごとに、費用の目安を見ておくと判断しやすくなります。

  • 小規模(〜100名・年間契約数1,000件以下):SaaSパッケージをそのまま使う場合、初期費用は0〜50万円、月額利用料は5〜30万円が目安です。
  • 中規模(100〜500名・年間契約数1,000〜1万件):初期費用は300〜800万円、月額ランニングコストは20〜80万円が一般的な相場です。
  • 大規模(500名以上・年間契約数1万件超・グローバル対応):初期開発費は2,000万〜1億円以上です。

この目安は、ユーザー数・機能に応じて変動します。軽微なカスタマイズ(ロゴ変更・ワークフロー設定など)を加える場合でも、総コストは年間60〜400万円程度に収まるケースがほとんどです。

また、投資対効果の面では、導入後2〜3年で初期投資を回収できた企業事例が多く報告されています。法務人件費や紙のコスト、更新ミスによる損失を合算すると、年間1,000万〜3,000万円以上のコスト削減効果が生まれるケースもあります。

中規模では、パッケージのカスタマイズや既存システム(ERP・CRM)との連携開発が発生します。初期費用の内訳は、カスタマイズ、連携開発、導入支援です。そのため、初年度の総コストとして500万〜1,500万円を見込む必要があります。

大規模では、スクラッチ開発か、エンタープライズグレードのパッケージを基盤にした大規模カスタマイズ開発が必要です。多言語・多通貨対応や海外拠点との連携が加わると、費用はさらに増えます。また、年間の保守・運用費は500万〜2,000万円規模になることも珍しくありません。

パッケージ導入とスクラッチ開発の比較

CLMシステムの構築は、パッケージ(SaaS)導入とスクラッチ開発の2種類です。

パッケージ(SaaS)導入のメリット・デメリット:最大のメリットは導入スピードと初期コストの低さで、クラウド型なら最短1〜3ヶ月で開始できます。国内主要パッケージの月額は1ユーザーあたり3,000〜20,000円程度が相場で、保守もベンダーが担うため、社内IT運用の負担を減らせます。

一方、パッケージには次の注意点があります。

  • カスタマイズの限界:必要になると費用が跳ね上がります。
  • ベンダーロックイン:サービス終了やコスト改定の影響を受けやすい点も考慮が必要です。

スクラッチ開発のメリット・デメリット:自社の業務や業界特有の契約慣行に合わせた独自の要件に対応できます。

たとえば、独自の契約書テンプレート体系や複雑な多段階承認フロー、基幹システムとの深い統合など、パッケージでは実現が難しい要件も実装できます。また、データを自社サーバーやプライベートクラウドで管理できる点は、情報漏洩リスクを最小化できるとして大手企業に支持される理由のひとつです。

スクラッチ開発のデメリットは、開発期間が6〜24ヶ月と長く、初期費用が最低でも1,000万円以上(中〜大規模では3,000万〜1億円超)かかる点です。開発後の保守や機能追加のコストも継続して発生します。

一般的に、年間契約数が5,000件以上で複数システムとの連携が必須、高度なセキュリティ要件がある場合はスクラッチ開発、それ以外はパッケージ活用が効率的です。

ポイント

費用の幅は、まず対象規模で見ます。年間契約数が5,000件以上で、複数システムの連携やセキュリティ要件が高い場合はスクラッチ開発、それ以外はパッケージ活用が効率的です。

開発会社選定のポイント

CLM開発会社を選ぶ際の業務理解、セキュリティ対応、意思決定体制の3観点を示した図。
候補各社を同じ3領域で見比べると、確認漏れを抑えられます。

CLMシステムは、業務プロセスと密接に絡み合う専門性の高いシステムです。単なる文書管理ツールとは違い、法務・調達・営業の仕事の進め方そのものに関わります。そのため、開発会社を選ぶときは、システム開発の技術力に加えて、契約業務や法務オペレーションへの理解の深さを重点的に確かめる必要があります。

1つめはCLMまたはリーガルテック領域の開発実績で、法律事務所や大手企業の法務・調達部門向けの導入社数や、解決した課題の事例を示せるかを確かめます。2つめは要件定義での業務ヒアリング体制で、法務・調達・情報システムなど複数部門に体系的にヒアリングできる業務コンサルタントを置けるかを見ます。CLM開発では要件定義の品質がプロジェクトの成否を左右するため、ヒアリングの進め方も確かめます。

3つめは既存システムとの連携実績で、SAP・Oracle・Salesforceなどの主要ERPやCRM、DocuSign・クラウドサインなどの電子契約サービスとのAPI連携経験があるかを見ます。4つめはアジャイル開発への対応力で、業務要件が途中で変わることも多いため、スプリント開発、ユーザーストーリー管理、デモによるフィードバックを回せる体制かを確かめます。

セキュリティ・コンプライアンス対応力

契約書には機密情報や取引条件、個人情報が含まれるため、セキュリティ要件は極めて厳格で、開発会社は5つの観点で確かめてください。第1に第三者認証の取得状況を見ます。ISO/IEC 27001やSOC2 Type IIレポートを取得している会社は、情報セキュリティ管理が適切に整っていることの証左となり、CLM開発では認証の取得を必須要件として設定することが推奨されます。

第2に暗号化・アクセス制御の設計能力を見ます。通信のTLS1.2以上の暗号化、保存データのAES-256暗号化、ロールベースアクセス制御(RBAC)による細かな権限設定を実装できるかを、技術の面から確かめます。第3に監査ログ・証跡管理の設計経験を見ます。

契約書の全履歴は改ざん防止のため記録し、金融・医療・製薬では保存期間(最低7年以上など)が規制で定められています。第4にコンプライアンス対応の実績として、APPIや電子帳簿保存法、電子署名法への対応経験を確かめ、海外展開ならGDPRやCCPAへの対応も見ます。第5にペネトレーションテスト・脆弱性診断の実施体制を確かめ、開発完了後の外部診断と、脆弱性への対応プロセスが整っているかを見ます。

マイルストーンと意思決定体制の設計

CLM開発では、要件定義・設計レビュー・UAT・本番切替の各マイルストーンで、誰が何を承認するかを事前に決めておくと、手戻りを防げます。

関係者が多いほど、その場の合意に頼るより、文書化された判定基準(例:外部電子署名の採用可否、AIレビュー機能のスコープ)に沿ったエスカレーションルールを用意しておくことが大切です。社内PMとベンダーPMでRACIを一緒に作り、週次でリスクレジスタを共有する習慣をつけると、長期のプロジェクトでも進捗が見えやすくなります。

ポイント

開発会社は、技術力に加えて、法務・契約業務の理解、セキュリティ認証、API連携実績を総合して比べます。承認者はマイルストーンごとに事前に決めておきます。

まとめ

CLM・契約ライフサイクルマネジメントシステムの開発は、要件定義・業務プロセス分析から始まり、設計・開発、テスト・リリース・定着化という3つのフェーズを経て完成します。

各フェーズを丁寧に進めることが、プロジェクトの成功と導入後の高い定着率につながります。

費用は、SaaSパッケージを使えば年間60〜400万円程度から始められます。スクラッチ開発の場合は、規模に応じて1,000万〜1億円超まで幅があります。

自社の契約数、業務の複雑さ、セキュリティ要件を正確に把握し、そのうえで最適な開発アプローチを選ぶことが、費用対効果の最大化につながります。

開発会社は、システム開発の技術力に加えて、法務・契約業務への深い理解、ISO 27001などのセキュリティ認証の取得状況、既存システムとのAPI連携実績を総合的に評価することが重要です。

CLMは一度導入すると、長期間にわたって契約業務を支える基盤になります。そのため、パートナー選びは慎重に行ってください。

弊社では、CLMシステムの要件定義から設計・開発、運用保守まで一貫してご支援できる体制を整えています。CLM開発・導入の検討段階から、お気軽にご相談ください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。