クラウドでシステムを開発・構築する場合、多くの企業は初期の設計・構築費用に注目しがちですが、実際に経営へ効いてくるのは稼働後に発生し続ける保守・運用費用とランニングコストです。クラウドは従量課金を基本とする仕組みであり、使った分だけ料金が発生するため、システムを稼働させ続ける限りインフラ利用料が毎月かかり続けます。加えて、システムの監視、障害発生時の一次対応、OSやミドルウェアのセキュリティ更新、権限やネットワーク構成の見直しなど、安定稼働を支えるための保守作業も継続的に必要です。さらに近年は、特定のクラウド一社にすべてを預けるのではなく、複数のクラウドを組み合わせて使い分けるマルチクラウドの運用も広がっており、どこにどれだけ費用が発生しているのかを全社で把握し、継続的に最適化していく視点が欠かせなくなっています。つまりクラウド開発は「作って終わり」ではなく、自社で資産を持たない代わりに、利用料と運用体制のコストを毎月支払い続けるモデルへと発想を切り替えることが、予算計画の出発点になります。
本記事では、特定のクラウドベンダーの個別サービスに深く踏み込むのではなく、クラウド全般に共通する保守・運用費用とランニングコストの考え方を、経営・情報システム部門の視点から体系的に解説します。具体的には、インフラ利用料と保守運用費用の違い、オンプレミスとクラウドの総保有コスト(TCO)構造の比較、年間保守費用の目安と5年で見たときの運用コストの重み、複数クラウドを併用する際に生じるコスト管理・可視化の難しさと全社的なガバナンス、継続的なコスト最適化の取り組み、そして内製と外部委託を組み合わせた運用体制づくりまでを取り上げます。これからクラウドでの構築を発注する方はもちろん、すでに運用中でコストの見直しを検討している方にとっても、費用構造を正しく理解し、無駄を抑えながら安定稼働を維持するための判断軸が身に付く内容です。
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クラウド開発後にかかる費用の全体像

クラウドでシステムを運用していく際にかかる費用は、大きく「インフラ利用料」と「保守運用費用」の二つに分けて捉えると全体像がつかみやすくなります。クラウドは初期投資を抑えて始められる一方で、稼働させ続ける限りこの両方の費用が毎月発生するため、導入前の見積もり段階から「月々いくらのランニングコストになるか」を具体的に試算しておくことが、後々の予算超過を防ぐうえで欠かせません。しかもこの費用は、特定の一社のクラウドだけを使うか、複数のクラウドを組み合わせるかによっても管理の難しさが変わってきます。ここではまず、費用構造の全体像を押さえたうえで、オンプレミスとクラウドで総保有コストの構造がどのように異なるのかを整理し、クラウドならではのコストの考え方を明らかにしていきます。
インフラ利用料と保守運用費用の違い
クラウドのランニングコストを正しく理解するうえで最初に押さえておきたいのが、インフラ利用料と保守運用費用がまったく別物であるという点です。インフラ利用料は、仮想サーバーの稼働時間、データベースの性能やストレージ容量、保存したデータ量、そして通信量やデータ転送量など、実際に使ったリソースに応じてクラウド事業者へ支払う従量課金です。この費用は利用状況によって月ごとに増減し、アクセスが増えれば自動的に膨らむ性質を持ちます。一方の保守運用費用は、システムの監視、障害発生時の一次対応、OSやミドルウェアのセキュリティパッチ適用、権限やネットワーク構成の見直し、バックアップの確認、性能の調整といった、人が手を動かして安定稼働を支えるための費用です。こちらはインフラの利用量が多少変わっても必要な作業量が大きくは変わらないため、体制を維持するための固定費に近い性質を持ちます。発注時には、見積書に含まれているのがインフラ利用料なのか、保守運用費用なのか、あるいはその両方なのかを明確に切り分けて確認することが、費用の見通しを誤らないための第一歩になります。特にクラウドの場合、インフラ利用料は事業者への支払いであり、保守運用費用は自社の人件費または委託先への支払いというように、支払い先も性質もまったく異なるため、両者を混同したまま予算を組むと、稼働後に想定外の負担が生じやすくなります。
オンプレミスとクラウドのTCO(総保有コスト)構造比較
クラウドの費用を考える際に有効なのが、システムを保有し運用し続ける総費用を指すTCO(総保有コスト)の視点で、オンプレミスと比較することです。オンプレミスでシステムを構築する場合、サーバーの調達だけで数百万円単位の初期コストがかかり、それを設置するためのデータセンターや、電源、空調といった設備も必要になります。稼働を始めた後も、機器の物理的なメンテナンスや、電気代・保守要員の人件費といった固定費が重くのしかかり続けます。加えて、将来の負荷増加を見越してあらかじめ余裕を持たせた構成にしておくのが一般的なため、実際の利用が想定に届かない期間は、使っていない性能に対しても費用を払い続けることになります。これに対してクラウドは、自社でサーバーを購入する必要がなく、初期コストをほぼゼロに近い水準まで抑えてスモールスタートできる点が大きな違いです。月々のランニングコストも、小規模なシステムであれば数百円から数万円程度に抑えられるケースがあり、物理的なメンテナンスも不要なため、運用負荷やインフラ維持費を大きく軽減できます。ただし、TCOで見た場合にクラウドが常に安くなるとは限りません。利用量が大きく安定したシステムを長期間動かし続ける場合には、従量課金が積み上がってオンプレミスの固定費を上回ることもあります。だからこそ、初期費用の安さだけで判断するのではなく、数年単位で運用コストまで含めた総保有コストを試算し、自社のシステムがどちらの構造に向いているかを見極めることが重要になります。
年間保守費用の目安と内訳

クラウドで構築したシステムの保守費用は、どのくらいの水準を見込んでおけばよいのでしょうか。ここでは、開発費に対する保守費用の一般的な目安と、その内訳を整理したうえで、単年度ではなく5年といった中期のスパンで見たときに運用コストがどれほどの重みを持つのかを解説します。予算計画では、初期の構築費用に目が向きがちですが、実際には運用フェーズの累積費用が経営に与える影響のほうが大きくなることも珍しくないため、時間軸を広げて費用を捉えることが欠かせません。
年間保守費用の目安(開発費の10〜20%)
クラウド環境の年間保守費用は、一般的に初期の開発・構築費用の10〜20%程度が目安とされます。たとえば500万円で構築したシステムであれば、年間の保守費用は50万〜100万円程度、月額に換算すると4万〜8万円程度を見込んでおくイメージです。ただしこれは人が手を動かす保守運用費用の目安であり、これとは別に、仮想サーバーやデータベースなどを動かし続けるためのインフラ利用料が毎月かかる点に注意が必要です。保守費用の内訳としては、システムの監視と障害検知後の一次対応、アクセスログや操作ログを用いた監査・セキュリティ確認、OSやミドルウェアの脆弱性対応とパッチ適用、定期的なバックアップ、権限やネットワーク構成の棚卸し、そしてクラウド事業者側のサービス仕様変更への追従といった作業が含まれます。これらは目に見えにくい作業ですが、放置すればセキュリティインシデントや障害の長期化に直結するため、システムの重要度に応じて相応の予算を確保しておく必要があります。特に24時間365日の稼働が求められる業務システムでは監視体制のコストが大きくなり、営業時間内のみの運用で足りるシステムとは費用感が大きく異なります。自社が本当に必要とする可用性の水準を見極めたうえで、保守レベルと予算を設計することが、過不足のない運用計画につながります。
5年TCOで見た際の運用コストの重み
保守費用や運用コストは、単年度で眺めているとそれほど大きく感じられないかもしれませんが、システムのライフサイクルである5年といったスパンで累積させて考えると、その重みは一気に増します。年間の保守運用費用が初期開発費の10〜20%程度だとしても、これを5年間積み上げれば初期開発費の5割から1倍に達し、さらにインフラ利用料が毎月加わることを踏まえると、5年間のTCOで見た運用コストは初期の開発・構築費用と同等以上になることも珍しくありません。つまり、システムにかかる費用の半分以上が、実は稼働後の運用フェーズで発生するという構図です。この事実は、発注時の意思決定に大きな示唆を与えます。初期構築費用を数十万円安くする交渉に労力を割くよりも、運用フェーズで毎月発生する費用を数%でも継続的に抑えられる設計や体制を選ぶほうが、5年トータルで見れば桁違いに大きな効果を生むことが多いのです。だからこそ、システムを企画する段階から「5年間でいくらかかるのか」という総保有コストの視点を持ち込み、初期費用だけでなく運用フェーズの費用まで見通した予算計画を立てることが、投資対効果を最大化するうえで欠かせません。単年度予算の積み上げではなく、中期の累積コストで判断する姿勢が、クラウド時代のコスト管理の基本になります。
マルチクラウド運用におけるコスト管理・可視化の課題

クラウド活用が進むにつれ、一社のクラウドだけにすべてを預けるのではなく、複数のクラウドを用途に応じて使い分けるマルチクラウドを採用する企業が増えています。可用性を高める、特定ベンダーへの過度な依存を避ける、各社の強みを適材適所で活かすといった狙いから合理的な選択である一方、コスト管理の観点では単一クラウドにはない難しさが生じます。ここでは、複数クラウドを併用する際の請求管理・可視化の難しさと、それを乗り越えるために必要となる全社的なコストガバナンスの体制について解説します。なお、この節で述べるマルチクラウドのコスト可視化に関する論点は、本記事の元とした調査資料に直接の記載があるわけではなく、一般的に指摘されている知見として整理している点をあらかじめお断りしておきます。
複数クラウドを併用する際の請求管理・可視化の難しさ
複数のクラウドを併用する場合にまず直面するのが、請求が事業者ごとにばらばらに発生し、全社としてのコスト全体像がつかみにくくなるという課題です。各クラウド事業者は独自の料金体系、独自の課金単位、独自の請求書フォーマットを持っているため、単純に金額を足し合わせるだけでは、どのシステムに、どの部門が、どれだけの費用をかけているのかが見えにくくなります。ある事業者は仮想サーバーの稼働時間で課金し、別の事業者はサーバーレスの実行回数で課金するといったように、費用の発生の仕方そのものが異なるため、同じ「サーバー費用」でも横並びで比較しづらいのが実情です。加えて、通貨や請求サイクル、割引の適用条件も事業者ごとに違うため、経理や情報システム部門が月次でコストを突き合わせる作業は煩雑になりがちです。こうした状況を放置すると、使われないまま課金され続けているリソースがあっても気づけず、無駄な費用が全社の各所に散在してしまいます。この課題への対応として、近年ではFinOpsと呼ばれる考え方が注目されています。これは財務(Finance)と運用(Operations)を組み合わせた造語で、クラウドのコストを技術部門だけの問題とせず、財務・事業・エンジニアリングが協働して継続的に最適化していく実践を指します。なお、FinOpsという用語や、ここで述べたマルチクラウドのコスト可視化に関する論点は、本記事の元とした調査資料に直接の記載があるものではなく、一般に広まっている知見として紹介するものですが、複数のクラウドにまたがるコストを一元的に可視化し、部門やサービス単位で費用を配賦して責任の所在を明確にするという発想は、マルチクラウド時代のコスト管理を考えるうえで有用な視点になります。
全社的なコストガバナンス体制の必要性
複数クラウドの費用が各所に散在しやすいという課題に対しては、技術的な工夫だけでなく、全社的なコストガバナンスの体制を整えることが有効だと一般に考えられています。これも調査資料に直接示された内容ではなく一般的な知見としての整理になりますが、まず必要になるのは、クラウド費用を誰がどのように管理し、誰が最適化の責任を負うのかという役割分担を明確にすることです。従量課金のクラウドは、現場のエンジニアが必要に応じてリソースを立ち上げられる手軽さが利点である反面、その手軽さゆえに、承認プロセスを経ないまま費用が増えていくことがあります。そこで、部門やプロジェクトごとに予算の上限を設け、一定額を超えたらアラートが上がる仕組みを整えたり、リソースにタグを付けてどの費用がどの用途に紐づくのかを識別できるようにしたりといった、費用を可視化し統制するルールづくりが重要になります。また、コストの現状を月次で経営層や各部門に共有し、増加の要因を全社で議論する場を設けることで、コスト意識を組織全体に浸透させることができます。こうしたガバナンスは、単に費用を締め付けるためのものではありません。どこに投資して事業を伸ばし、どこの無駄を削るのかという意思決定を、正確なコスト情報に基づいて行えるようにすることが本来の目的です。特にマルチクラウドでは、全体を俯瞰できる横断的な管理の仕組みがないと、各クラウドの担当者がそれぞれ最適化を図っても全社最適にはつながりません。財務・情報システム・事業部門が同じ数字を見ながら継続的に最適化を進める体制こそが、クラウドのコストを適正に保つ土台になります。
継続的なコスト最適化の取り組み

クラウドは従量課金制が基本であるため、いったん構築したまま放置してしまうと、使われていないリソースやオーバースペックな構成に対して無駄な料金が膨らみ続けるリスクがあります。逆に言えば、利用状況を定期的に見直し、必要に応じて構成を調整していく取り組みを続ければ、ランニングコストを継続的に圧縮できるのがクラウドの利点でもあります。ここでは、コスト最適化ツールを使ったリソースの棚卸しと、利用状況に応じた最適化という、実務で効果の大きい二つのアプローチについて具体的に解説します。いずれも一度やって終わりではなく、運用のリズムの中に組み込んで継続することが成果を左右します。
コスト最適化ツールの定期活用とリソースの棚卸し
コスト最適化の出発点となるのが、いまどのリソースにどれだけ費用がかかっているのかを可視化し、定期的に棚卸しすることです。主要なクラウド事業者は、いずれも自社の利用費用を分析するためのコスト管理ツールを標準で提供しており、これらを使えば、どのサービスに、どの期間に、どれだけ費用が発生したのかを時系列で把握できます。こうしたツールを月に一度など決まったタイミングで確認する習慣をつけることで、起動したまま忘れられている仮想サーバー、使われていないストレージ、不要になった古いバックアップやスナップショット、そして実際の負荷に対して明らかに過大な性能を割り当てているオーバースペックなリソースといった、無駄な費用の温床を発見できます。実際、こうした無駄なリソースの整理やオーバースペックの見直しを行うだけで、月額のインフラ利用料を10〜30%程度削減できるケースは少なくありません。ポイントは、費用が急に増えたときだけ慌てて確認するのではなく、平常時から定点観測を続けることです。前月比で費用が増えていれば、その原因となったリソースを特定し、必要なものか無駄なものかを判断していく。この地道な棚卸しの積み重ねが、コストが静かに膨張していくのを防ぎます。複数のクラウドを併用している場合は、各クラウドのツールをそれぞれ確認する手間が増えるため、横断的にコストを集計・可視化する仕組みや、後述する外部の請求代行・運用サポートの力を借りることも選択肢になります。
利用状況に応じた最適化(稼働時間調整・長期契約割引)
棚卸しによって無駄を洗い出したら、次はリソースの利用状況に応じた最適化に踏み込みます。効果が大きい取り組みの一つが、常時稼働が不要なリソースの稼働時間を調整する方法です。開発環境や検証環境、あるいは日中しか使わない社内システムのサーバーは、夜間や休日に自動で停止する設定を入れることで、稼働時間そのものを減らせます。停止している間は課金が発生しないため、こうした稼働スケジュールの調整だけで、対象リソースのコストを最大50%程度削減できることもあります。人が毎日手作業で停止・起動するのは現実的ではないため、スケジュールに沿って自動で停止・起動する仕組みを組んでおくと、手間をかけずに継続的な効果を得られます。もう一つの柱が、常時稼働が前提のリソースに対する長期契約割引の活用です。多くのクラウド事業者は、1年から3年といった一定期間の利用をあらかじめ約束する代わりに、都度課金で使い続ける場合と比べて大幅な割引を提供しており、条件によっては最大72%程度の割引となるケースもあります。したがって、負荷が安定していて確実に使い続けるベースラインのリソースには長期契約割引を適用し、変動が大きい部分やスパイク的な負荷には都度課金を組み合わせるという、負荷特性に応じた使い分けが有効です。ただし長期契約は、途中で利用をやめても約束した分の料金が発生するため、まずは数か月間、都度課金で運用して実際の利用量を見極め、安定して使い続けることが確実なリソースに絞って適用していくのが、無駄のない進め方になります。稼働時間の調整と長期契約割引を組み合わせることで、性能を落とさずにランニングコストを大きく圧縮できます。
運用体制構築とコスト管理のポイント

クラウドのランニングコストを適正な水準へ抑えていくには、技術的な最適化だけでなく、どのような運用体制を組み、どんなパートナーに委託するかという体制づくりの視点が欠かせません。運用を社内で内製するか、外部の専門事業者に委託するかは単純な二択ではなく、両者の強みを組み合わせる発想が費用対効果を左右します。ここでは、内製と外部委託それぞれの特徴とハイブリッドな運用体制の考え方、そして実績あるパートナーや請求代行サービスをどう見極めるかについて解説します。
内製 vs 外部委託・ハイブリッド運用体制
クラウドの運用を内製する最大のメリットは、長期的に見て外部への支払いを削減でき、運用ノウハウが社内に蓄積されていく点です。自社のエンジニアが構成やコスト構造を熟知していれば、障害対応や構成変更を迅速に行え、事業の変化に合わせた柔軟な運用が可能になります。しかし内製には相応の課題も伴います。クラウドを安全かつ効率的に運用するには、ネットワーク設計、セキュリティ、コスト管理、監視といった幅広い知識を持つエンジニアが必要であり、こうした人材の採用・育成には時間とコストがかかります。エンジニアの単価は、一般的なクラスで月額50万〜80万円程度ですが、クラウドアーキテクチャの設計経験が豊富なシニアクラスや認定資格保有者になると月額80万〜120万円以上となり、100万円を超えるケースも珍しくありません。とりわけ大きな負担となるのが、24時間365日の監視体制を内製で構築する場合の人件費です。夜間や休日も含めて障害に即応できる体制を維持するには複数人によるシフト勤務が必要となり、人件費が大きく膨らむうえ、少人数のチームでは属人化も進みやすくなります。そこで現実的な解として有力なのが、内製と外部委託を組み合わせたハイブリッド運用体制です。事業に密着した日常的な運用や、自社の業務理解が必要な構成変更といったコア業務は社内で内製し、高度なクラウドアーキテクチャの設計や24時間の監視といった専門性が高く負担の大きい領域は外部の専門ベンダーに委託する、という分担です。この体制であれば、社内には運用ノウハウを残しながら、希少な専門人材の採用・育成コストや高額な夜間シフト人件費を外部に切り出して抑えられ、費用対効果を高めやすくなります。自社の人材リソースとシステムの重要度に照らして、内製と委託の線引きを明確に設計することが重要です。
実績あるパートナー・請求代行サービスの見極め方
運用の一部または全体を外部に委託する場合、その担い手がクラウドにどれだけ精通しているかの見極めは、長期的なコスト最適化に直結します。まず確認したいのは、委託先が対象のクラウドについて豊富な構築・運用実績を持ち、認定資格を保有するエンジニアを擁しているかどうかです。認定資格は、設計・運用・セキュリティに関する体系的な知識を持つことの目安になります。委託先を選ぶ際は、料金の安さだけで決めるのではなく、監視や障害の一次対応にとどまらず、リソースの棚卸しや稼働時間の調整、長期契約割引の活用といったコスト最適化まで踏み込んで提案してくれるかを見極めることが重要です。あわせて有効なのが、請求代行サービスや運用サポート企業の活用です。こうしたサービスを使うと、複数のクラウドにまたがる請求を取りまとめてもらえるだけでなく、利用状況のレポート作成や、無駄なリソースの指摘・コスト最適化の提案まで受けられる場合があり、社内の運用負荷を軽減する有効な手段になります。特に、複数クラウドを併用していて請求管理が煩雑になっている企業にとっては、費用の可視化と最適化提案を専門家に任せられる意義は小さくありません。委託先を選定する際は、緊急時の連絡体制や応答時間、契約に含まれる対応範囲を事前に精緻に確認しておくことが欠かせません。ここを曖昧にすると、想定していた障害対応や構成変更が範囲外として追加費用になったり、対応が営業時間内に限られていたりといったギャップが生じます。外部委託は丸投げではなく、何を任せ何を自社で握るのかを明確にしたうえで契約内容を精査し、実績とコスト最適化への踏み込みまで見極めて選ぶことが、費用と品質のバランスを保つ鍵になります。
まとめ

本記事では、クラウドで開発・構築したシステムにかかる保守・運用費用・ランニングコストについて、特定のベンダーの個別サービスに寄らず、クラウド全般に共通する考え方を経営・情報システム部門の視点から解説しました。クラウドのランニングコストは、使った分だけ支払う従量課金のインフラ利用料と、システムを安定稼働させ続けるための保守運用費用という二つの軸で構成され、年間の保守費用は初期構築費の10〜20%程度が目安となります。オンプレミスとの総保有コスト(TCO)を比較すると、クラウドは初期投資を抑えてスモールスタートできる一方、5年といったスパンで累積させれば運用コストが初期開発費と同等以上になることも珍しくなく、初期費用だけでなく運用フェーズまで見通した予算計画が欠かせません。複数のクラウドを使い分けるマルチクラウドでは、請求が事業者ごとに分かれてコストの全体像が見えにくくなるため、費用を一元的に可視化し部門やサービス単位で責任を明確にする全社的なコストガバナンス、すなわち財務・事業部門も含めて継続的に最適化していくFinOps的な発想が有用な視点となります。日々の運用では、コスト管理ツールによるリソースの棚卸しで無駄を洗い出し、稼働時間の調整で最大50%程度、長期契約割引で最大72%程度といった削減余地を継続的に取り込むこと、そしてコア業務は内製し専門領域と24時間監視は外部に委託するハイブリッド運用や請求代行サービスの活用によって、運用品質とコストを両立させることができます。クラウドは初期投資を抑えて始められる一方で、稼働させ続ける限りコストが発生し続ける仕組みであるという前提に立ち、導入時から運用フェーズの費用まで見通した予算計画を立てることが、安定稼働と適正なコストを両立させる出発点になります。
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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
