クラウドネイティブ開発開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

クラウドネイティブ開発の進め方は、クラウドサービスやKubernetesを先に決めるのではなく、業務の目的と非機能要件を整理し、適切な構成を選び、設計・開発・テスト・稼働・定着までを段階的に進める方法です。

「クラウドに移したのに運用費が高い」「マイクロサービス化したものの障害対応が難しい」「開発会社からKubernetesを勧められたが、自社に必要か分からない」と悩む企業は少なくありません。この記事では、クラウドネイティブ開発の全体像から6つのフェーズ、費用相場、見積もりの確認項目、稼働後の定着までを実務で使える判断基準として整理します。

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クラウドネイティブ開発の全体像

クラウドネイティブ開発の全体像

クラウドネイティブ開発とは、クラウドの伸縮性、自動化、マネージドサービス、API連携を前提に、アプリケーションの作り方だけでなく、リリースと運用の仕組みまで見直す開発アプローチです。単にオンプレミスのサーバーをクラウドへ移す「クラウド移行」とは異なり、変更を安全かつ短いサイクルで届け、利用量の変化や障害へ仕組みで対応することを目指します。

クラウドに置くだけではなく、変更と運用を速くする考え方です

クラウド移行は、既存のサーバーやデータベースをクラウド上へ移し、設備の保有や調達を減らす取り組みです。一方、クラウドネイティブ開発では、コンテナ、API、CI/CD、IaC、可観測性、マネージドデータベースなどを組み合わせ、コード変更から検証・デプロイ・監視までを連続した仕組みにします。目的は技術用語を増やすことではなく、リリース頻度を高める、アクセス急増に耐える、障害から早く復旧する、運用を標準化するといった事業上の成果です。

2026年1月公表のCNCF Annual Cloud Native Surveyでは、コンテナを利用する組織の82%がKubernetesを本番運用しているとされています(出典:CNCF Annual Cloud Native Survey、2026年)。ただし、この数字はKubernetesを導入すべきという意味ではありません。小規模な業務アプリであれば、PaaS、コンテナアプリ基盤、サーバーレスを選んだ方が、運用担当者の負担と総費用を抑えられる場合があります。

主要技術は目的から逆算して組み合わせます

コンテナは、アプリケーションと依存ライブラリを一つの実行単位にまとめ、開発・検証・本番の差を小さくする技術です。マイクロサービスやAPIは、業務機能を疎結合にして個別の変更をしやすくします。CI/CDはビルド、テスト、脆弱性検査、承認、デプロイ、ロールバックを自動化し、IaCはネットワークや権限などのインフラ設定をコードで再現します。ログ、メトリクス、分散トレース、SLOを整える可観測性は、稼働後の原因究明に欠かせない要素です。

一方で、最初から全機能を細かいサービスへ分割すると、ネットワーク、データ整合性、認証、監視、リリース管理が複雑になります。単一の業務アプリをコンテナ化し、マネージドDBとCI/CDを整えるだけでも、クラウドネイティブの効果は得られます。技術選定では「何を採用するか」より「何を自動化し、どの指標を改善するか」を先に決めることが重要です。

向いている業務と、無理に適用しなくてよい業務があります

クラウドネイティブ開発は、利用量や機能の変更が多いWebサービス、外部APIとの連携が多い業務、複数チームが並行して改善するプロダクトに向いています。繁忙期のアクセス変動が大きい、短いサイクルで新機能を出したい、環境構築を標準化したいという課題がある場合は、伸縮性と自動化の効果を測りやすいです。

反対に、変更がほとんどなく利用量も一定の小規模システム、既存パッケージで十分な標準業務、厳しいレイテンシや設備制約がありクラウド化の効果を出しにくいシステムでは、オンプレミスやSaaSを残す選択も合理的です。業務ごとにリホスト、リプラットフォーム、リファクタリング、廃止を使い分け、全社一律で「クラウドネイティブ化」しないことが失敗を防ぎます。

クラウドネイティブ開発の進め方

クラウドネイティブ開発の進め方

クラウドネイティブ開発は、要件整理、選定、設計・開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで区切ると進捗と責任範囲を管理しやすくなります。各フェーズには、次へ進むための成果物と合格基準を置きます。特に要件整理と稼働後の定着を省くと、技術的には動いても業務で使われない、または運用費だけが増える結果になりやすいです。

1. 要件整理:目的・業務・非機能要件を決めます

最初に「クラウドにすること」ではなく、解決したい業務課題を言語化します。例えば、月1回のリリースを週1回にする、繁忙期の応答時間を一定にする、障害復旧を4時間以内にする、手作業の環境構築をなくす、といったKPIへ落とします。MUST、WANT、将来検討に分け、今回のリリースに含める範囲を明確にします。

同時に、同時利用者数、ピーク時のリクエスト数、許容停止時間、RTO、RPO、データ保持期間、個人情報や決済情報の有無、外部連携、監査ログ、予算上限を確認します。現行業務の例外処理や属人化も棚卸しし、業務フロー、データ項目、システム間依存関係を図にします。成果物は、業務要件一覧、非機能要件一覧、現行課題、対象範囲、KPI、リスク一覧です。

要件整理のチェックポイントは、(1)誰のどの作業を改善するか、(2)成功を何で測るか、(3)ピークと障害時に何を守るか、(4)稼働後に誰が運用するか、(5)今回やらないことは何か、の5点です。ここが決まらないままベンダーへ丸投げすると、技術仕様だけが膨らみ、業務価値と費用の対応関係が見えなくなります。

2. 選定:SaaS・PaaS・コンテナ・Kubernetesを比較します

選定では、業務機能、変更頻度、運用スキル、可用性、セキュリティ、将来の拡張を軸に、SaaS・パッケージ、PaaS、マネージドコンテナ、Kubernetes、サーバーレスを比較します。標準化できる業務はSaaSやパッケージ、変更頻度の高い独自機能はPaaSやコンテナ、競争優位に直結する部分だけをスクラッチとする組み合わせが、費用と柔軟性のバランスを取りやすいです。

AWS、Azure、Google Cloudを選ぶときは、機能数の多さだけでなく、社内の認証基盤、既存データ、監視、契約、技術者の経験、リージョン要件を確認します。マルチクラウドは障害対策や調達上の理由がある場合に有効ですが、監視、権限、ネットワーク、スキルが複数化し、初期設計と運用が難しくなります。目的が曖昧なまま採用しないことが大切です。

Kubernetesを使う判断基準は、複数サービスを高頻度でリリースするか、ワークロードの配置や自動復旧を標準化する必要があるか、運用チームがアップグレードと障害対応を担えるかです。小規模な業務アプリであれば、EKS、AKS、GKEなどのマネージドKubernetesでも、クラスター以外にノード、DB、ストレージ、通信、ログなどの費用と運用が発生します。Kubernetesを使わない選択肢を含めて比較できる提案を依頼します。

3. 設計・開発:業務単位の小さな縦切りで作ります

設計では、アプリケーション、データ、ネットワーク、認証、監視、デプロイ、バックアップを一つの運用モデルとして考えます。開発・ステージング・本番のアカウントやネットワークを分離し、IAMやRBACを最小権限にします。TerraformなどのIaCで環境を再現し、コンテナイメージや依存ライブラリをレジストリで管理します。

開発は、画面だけを先に作るのではなく、認証、API、データ保存、ログ、アラート、障害復旧まで含む業務単位の縦切りで進めます。最初のMVPには、代表的な業務フロー、外部連携、データ移行の一部、負荷の高い処理を入れます。CI/CDでは、プルリクエストを契機にテスト、静的解析、脆弱性検査、承認、デプロイを行い、失敗時のロールバック方法もコード化します。

設計レビューでは、サービス境界が業務責任と一致しているか、分散トランザクションを増やしていないか、タイムアウトとリトライで障害を連鎖させないかを確認します。サービスメッシュなどの高度な機能は、必要な課題がある場合だけ導入します。技術の新しさよりも、担当者が説明でき、運用手順まで引き継げることを合格条件にします。

4. テスト:性能・障害・セキュリティを本番条件で検証します

テストは、機能テストだけでは不十分です。単体、結合、E2E、データ移行、負荷、可用性、バックアップ復元、障害注入、権限、脆弱性、運用手順のリハーサルを計画します。ピーク時の同時利用者数や許容応答時間を要件と照合し、オートスケールが実際に動くか、急増後に不要なリソースが縮小するかも確認します。

セキュリティでは、クラウド事業者と利用者の責任共有を明確にします。2025年7月公開のIPA「クラウドにおける脅威検知」は、IAM、仮想マシン、コンテナ、コンテナ管理ノード、PaaS、ストレージ、データベース、FaaSなどを分けて検証しています(出典:IPA「クラウドにおける脅威検知」、2025年)。アプリだけでなく、CI/CD、イメージレジストリ、秘密情報、管理面、監査ログを検査対象にします。

受入条件には、復旧目標を満たすことだけでなく、誰が何分以内に判断し、どの手順で切り戻すかも含めます。復元テストでバックアップが使えない、アラートが多すぎて重要な通知が埋もれる、権限が広すぎて監査できないといった問題は、本番稼働後では修正コストが高くなります。テスト結果、未解決リスク、暫定対応、稼働判定者を記録してから次のフェーズへ進みます。

5. 稼働:段階リリースと監視で安全に切り替えます

稼働時は、ビッグバンで全機能を切り替えるのではなく、利用者、機能、地域、トラフィックを分けた段階リリースを検討します。カナリアリリースやブルーグリーンデプロイを使う場合は、切替条件、観測時間、ロールバック条件を事前に決めます。既存システムを残す場合は、データ同期、二重更新、整合性確認、旧システム停止の条件を明文化します。

稼働初日は、アプリ担当、基盤担当、セキュリティ担当、業務責任者、クラウド事業者、開発会社の連絡先と判断権限を一本化します。ダッシュボードには、可用性、レイテンシ、エラー率、リクエスト数、CPUやメモリ、キュー、DB接続数、コストを表示し、アラートに対応するRunbookをリンクします。24時間監視を契約する場合は、一次対応、二次エスカレーション、復旧作業、報告書の範囲を分けて確認します。

6. 定着:運用・改善・内製化を90日単位で回します

稼働して終わりにせず、最初の30日、60日、90日で確認項目を分けます。30日ではエラーや問い合わせ、コストの想定差を確認し、60日ではアラートの精度、デプロイの失敗率、復旧時間を見直し、90日ではSLO、運用体制、改善バックログ、内製化の範囲を再評価します。開発会社から引き継ぐのは設計書だけではなく、IaC、パイプライン、ダッシュボード、Runbook、障害事例、判断基準です。

定着のチェックリストには、Kubernetesやミドルウェアのバージョンアップ、依存ライブラリの脆弱性対応、秘密情報のローテーション、バックアップ復元、コスト予算アラート、アクセス権レビュー、障害訓練を含めます。クラウドネイティブは運用をなくす仕組みではなく、運用を測定し、自動化し、改善しやすくする仕組みです。社内に残す業務と外部へ委託する業務を決め、契約にも反映します。

クラウドネイティブ開発の費用相場とコストの内訳

クラウドネイティブ開発の費用相場

クラウドネイティブ開発の費用は、画面数だけでなく、基盤、データ移行、セキュリティ、負荷試験、監視、運用体制で変わります。以下は公開価格の一律相場ではなく、リサーチノートの一次Q&Aにあるエンジニア単価月80万〜120万円、一般的なチーム構成、クラウドネイティブ固有の作業をもとにした記事制作向けの推定レンジです。実際の見積もりでは、要件と非機能要件をそろえて再計算します。

初期開発費は規模と非機能要件で変わります

小規模PoCやAPI・Webサービスで、1〜3サービス、マネージドDB、基本的なCI/CD、開発環境までなら、初期開発費は500万〜1,200万円、期間は2〜4か月が目安です。業務MVPとして3〜8サービス、認証、外部API、監視、バックアップ、本番移行まで含める場合は、1,200万〜3,000万円、4〜8か月程度が一つの目安になります。

既存システムの刷新で、複数業務、データ移行、段階リリース、冗長化、DevSecOpsまで含めると、3,000万〜8,000万円、8〜15か月程度のレンジになります。多拠点、厳格なSLA、ディザスタリカバリ、24時間運用、複数クラウドを含む大規模・ミッションクリティカル案件では、8,000万〜2億円超、12〜24か月超となる可能性があります。これらは案件の前提で大きく変わる推定です。

例えば、5人の開発・基盤チームを6か月、平均100万円/人月で稼働させると、人月費だけで約3,000万円です。ここに要件定義、プロジェクト管理、テスト、移行、教育、セキュリティ診断、予備費が加わります。請負契約では仕様変更や成果物責任のリスクが価格へ反映され、リサーチノートの一次Q&Aでは準委任より1.3〜1.5倍高くなる傾向と整理されています。契約方式と変更管理の条件を分けて確認します。

月額費用はクラウド料金と運用料金を分けて考えます

ランニングコストは、コンピュート、マネージドDB、ストレージ、ロードバランサ、通信、ログ・監視、WAF、秘密情報管理、バックアップ、サポート、24時間運用を積み上げて算出します。小規模な開発環境は月5万〜20万円、本番の小規模業務システムは月20万〜150万円、大規模・高可用性・大量ログ・24時間運用では月150万円超を記事上の推定目安とします。利用量、リージョン、契約割引、監視保持期間によって変動します。

例えばAWSのEKSは、Kubernetesバージョンの標準サポートでクラスターごとに0.10米ドル/時間、730時間換算で約73米ドル/月です(出典:Amazon EKS公式料金、2026年8月確認)。ただし、これはクラスター料金の一部であり、ワーカーノードのEC2、EBS、パブリックIPv4、データ転送、ログなどは別に発生します。クラスター料金だけで安いと判断せず、開発・検証・本番それぞれの構成で見積もります。

実例として、住友生命のAWS公式事例では、ミッションクリティカルなシステムを移行し、インフラコストを従来比で約15%削減したとされています(出典:AWS「住友生命保険相互会社」導入事例)。ただし、この結果は移行設計、サイジング、運用改善を含む個別事例です。自社の削減額を同じように断定せず、移行前後のTCO、運用工数、ライセンス、設備償却を同じ条件で比較します。

コスト管理はタグ・予算・利用量の三つを最初に設定します

クラウド費用を抑えるには、アカウント、環境、サービス、部門、案件ごとにコストタグを付け、月次予算と異常増加アラートを設定します。開発環境の停止、ログ保持期間の見直し、不要なスナップショットの削除、適切なインスタンスサイズ、予約やコミットメントの検討は、稼働後の改善候補です。削減だけを目的にすると、バックアップや監視を削り、障害時の損失を増やすため注意が必要です。

見積もりでは、初期開発費、移行費、クラウド利用料、保守・監視費、セキュリティ費、将来のバージョンアップ費を分けます。開発会社の作業費とクラウド事業者への従量課金も別欄にし、為替や利用量の前提、上限予算、増加時の承認ルールまで明記します。これにより、初期費用が安い提案と、稼働後も予測しやすい提案を同じ基準で比較できます。

クラウドネイティブ開発の見積もりを取る際のポイント

クラウドネイティブ開発の見積もりポイント

複数社へ見積もりを依頼するときは、機能一覧だけでなく、非機能要件、運用条件、受入基準、引き継ぎ範囲を同じRFPへ記載します。提案書の技術用語を比べるのではなく、同じ業務成果を実現するための工数、体制、リスク、将来費用を比較することが重要です。

RFPには機能・非機能・運用・移行の条件を入れます

RFPには、対象業務、利用者、画面やAPI、データ量、外部連携、移行対象、リリース時期、予算上限を記載します。非機能では、可用性、ピーク負荷、応答時間、RTO・RPO、バックアップ、監査ログ、データ所在地、個人情報、暗号化、脆弱性修正期限を定義します。運用では、監視時間、オンコール、障害通知、保守窓口、クラウド費用の上限、バージョンアップ、SLAを指定します。

成果物は、要件定義書、アーキテクチャ図、API仕様、データモデル、IaCコード、CI/CD設定、テスト計画と結果、運用設計書、Runbook、教育資料、ソースコード、ログ設計、セキュリティ診断報告に分けて記載します。ソースコードやIaCの所有権、リポジトリの管理者、契約終了時の返却形式、データ消去、他社クラウドへの移行支援も、見積もり段階で確認します。

開発会社は技術実績だけでなく、運用と内製化を比べます

開発会社を選ぶときは、クラウドの認定資格や導入社数だけでなく、自社と似た業界・規模・データ特性の実績を確認します。特に、要件整理を担当する人、設計を担当する人、稼働後の運用責任者が同じ提案書に明記されているかを見ます。担当者の経験を聞くときは、成功事例だけでなく、障害、性能問題、コスト超過、計画変更をどう収束させたかを質問します。

比較時は、初期開発費、月額クラウド費、保守費、追加変更の単価、24時間対応費、セキュリティ診断費、バージョンアップ費を同じフォーマットにします。準委任か請負か、成果物の検収条件、仕様変更の扱い、再委託先、障害時の責任分界、契約終了時の移行を確認します。安価な提案でも、運用を自社だけで担う前提なら、社内採用・教育の費用を含めて比較します。

失敗リスクはPoCの合格基準と契約で先に抑えます

PoCでは、画面が動くことだけを合格にしません。代表的な業務フローが完了すること、想定ピークで性能要件を満たすこと、障害から復旧できること、デプロイとロールバックを自動化できること、ログから原因を追跡できること、担当者が運用手順を実行できることを合格基準にします。分割し過ぎ、分散トランザクション、ログ費用、スキル不足を早期に確認します。

セキュリティとサプライチェーンでは、MFA、最小権限、秘密情報管理、イメージ署名とスキャン、依存関係、SBOM、監査ログ、バックアップ、再委託先、インシデント通知期限を確認します。公共・準公共領域では、デジタル庁がガバメントクラウドに関して305項目の技術要件を示しているため(出典:デジタル庁「ガバメントクラウド」、2024年公開情報)、適用範囲と調達条件を担当部署へ確認します。

最後に、クラウド事業者の停止、開発会社の撤退、料金改定、サービス終了を想定した出口戦略を決めます。データを標準形式で取り出せるか、コンテナやIaCを別環境で再利用できるか、契約終了後に何日間支援を受けられるかを見積もりに含めます。ベンダーロックインは技術だけでなく、運用知識と契約の偏りから生まれるため、移行可能性を定期的に点検します。

よくある質問(FAQ)

クラウドネイティブ開発のよくある質問

ここでは、クラウドネイティブ開発を検討するときに、経営層、情報システム部門、開発会社へよく寄せられる質問に回答します。技術の採否は、業務要件、運用体制、費用、セキュリティを一緒に確認して決めます。

クラウドネイティブ開発ではKubernetesが必須ですか?

Kubernetesは必須ではありません。複数サービスの配置、ローリング更新、オートスケール、運用標準化が必要で、社内または委託先が継続運用できる場合に候補となります。小規模な業務アプリでは、PaaS、マネージドコンテナ、サーバーレスの方が、構築・アップグレード・監視の負担を抑えられる可能性があります。

既存のオンプレミスシステムもクラウドネイティブ化できますか?

可能ですが、すべてを一度に作り直す必要はありません。まずリホストで移設し、次にマネージドDBやコンテナへ移すリプラットフォーム、変更頻度の高い業務から再設計するリファクタリングを段階的に選びます。データ連携と整合性を確認しながら、旧システムと新機能を併用して切り替える方法が、業務停止のリスクを抑えやすいです。

クラウドネイティブ開発の期間と費用はどれくらいですか?

小規模PoCなら2〜4か月、500万〜1,200万円、業務MVPなら4〜8か月、1,200万〜3,000万円が記事制作向けの推定目安です。既存刷新や高い可用性、データ移行、24時間運用を含むと、8か月以上、3,000万円超となる可能性があります。機能数だけでなく、非機能要件、チーム人数、契約方式、移行範囲、クラウド利用料を分けて見積もることが必要です。

開発会社へ依頼するときに最も確認すべきことは何ですか?

最も重要なのは、設計・開発だけでなく稼働後の責任者と運用方法が提案に含まれているかです。担当チームの類似実績、SLOや障害対応、脆弱性修正、費用の内訳、IaCやソースコードの引き渡し、契約終了時の移行を確認します。技術選定の理由を業務KPIと費用へ結びつけて説明できる会社を選ぶと、技術先行の過剰設計を避けやすくなります。

まとめ

クラウドネイティブ開発のまとめ

クラウドネイティブ開発の進め方は、要件整理、選定、設計・開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで、業務成果と運用責任を確認しながら進めることが基本です。クラウド、コンテナ、Kubernetes、CI/CD、IaCは目的を実現する手段であり、導入そのものを成功条件にしないことが重要です。

まずは業務KPIと6フェーズの成果物を決めます

着手前には、リリース頻度、応答時間、許容停止時間、RTO・RPO、予算、データの制約、稼働後の担当者を決めます。そのうえで、MUSTとWANTを分け、SaaSやPaaSを含む選択肢を比較し、代表的な業務フローを縦切りにしたPoCで性能・復旧・運用性を検証します。初期費用だけでなく、クラウド利用料、監視、セキュリティ、バージョンアップ、教育を含むTCOで判断します。

見積もりでは運用と出口戦略まで確認します

開発会社へ依頼する場合は、同じRFPを複数社へ渡し、技術選定の理由、費用の前提、運用体制、障害時の責任分界、成果物の所有権、契約終了時の移行を比較します。NTTドコモの公式事例では、1日10億アクセス超のAPI連携基盤などをクラウド上に構築し、開発スピード4倍、開発コスト約40%削減という成果が示されています(出典:AWS「NTTドコモ」導入事例、2024年)。これは個別条件による成果ですが、クラウドネイティブ化の価値を業務指標で測る好例です。

小さく検証し、測定し、改善できる体制を作ることが、クラウドネイティブ開発を定着させる近道です。自社の業務と運用体制に合う範囲から始め、必要な技術だけを段階的に採用してください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。