コンテンツ管理システムの発注・外注は、更新する人と業務の流れを先に整理し、SaaS・パッケージ・個別開発の適合性と5年分の総保有コストを比較して決めることが成功への近道です。
「どのCMSを選べばよいかわからない」「制作会社に何を伝えれば見積もりが比較できるのかわからない」と悩む企業は少なくありません。コンテンツ管理システムは、記事を投稿する画面だけではなく、承認、権限、公開予約、検索、SEO、データ移行、外部システム連携、保守まで含む業務基盤です。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、2026年時点の費用レンジ、委託先の選定、見積書の比較方法、公開後の運用までを順に解説します。
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・コンテンツ管理システム開発の完全ガイド
コンテンツ管理システムの発注・外注は何から始めるべきですか?

結論として、最初に作るべきものは製品名の候補ではなく、コンテンツの種類、更新者、承認者、公開先、既存データ、連携先をまとめた現状整理シートです。ここが曖昧なまま発注すると、CMSの機能比較はできても、自社の運用に合うか、移行や保守まで含めていくらかかるかを判断できません。
目的と更新体制を一枚にまとめます
まず、コンテンツ管理システムで解決したい課題を「更新に時間がかかる」「承認漏れが起きる」「複数サイトで同じ情報を再入力している」「古い情報を公開したままになる」など、業務上の言葉で書き出します。次に、記事、ニュース、製品情報、採用情報、FAQ、資料、動画など、扱うコンテンツの種類を列挙します。種類が違うものを一つの自由記述欄に詰め込むと、検索や再利用が難しくなるため、項目を分けて管理する設計が必要です。
更新者が1人なのか、各部門に編集者がいるのか、法務や広報の承認が必要なのかも明確にします。月間の公開本数、予約公開の有無、公開終了日、緊急時の差し替え手順まで書いておくと、必要なワークフローと権限が見えやすくなります。発注前に現場担当者へ30分程度のヒアリングを行い、理想の画面ではなく、現在の作業手順と困っている場面を確認することが有効です。
5つの軸で優先順位を決めます
製品や開発会社を比較するときは、サイト規模だけでなく、「更新体制」「コンテンツ量」「連携要件」「セキュリティ・公開品質」「予算・納期」の5軸で整理します。例えば、ページ数が少なくても、会員データベースと連携してログイン後に個別情報を表示するサイトは、単純な企業サイトより難易度が高くなります。反対に、ページ数が多くても、構造が揃っていて一括移行できれば、個別登録より工数を抑えられる場合があります。
各要件は「今回必須」「できれば今回」「将来検討」「対象外」に分けます。すべてを初回リリースに詰め込むのではなく、公開に必要な最小範囲を決めることが、予算超過と納期遅延を防ぎます。将来のAPI連携や多言語化を見込む場合も、最初からすべてを開発するのではなく、データ項目と拡張方針だけを要件に含める方法があります。
発注形態はどのように選びますか?

発注形態は、クラウド型CMSを利用するか、商用パッケージを導入するか、オープンソースを基盤にするか、独自開発するかで考えます。選択の基準は「安いかどうか」だけではなく、必要な運用を標準機能で満たせるか、アップデートとセキュリティ対応を誰が担うか、将来のデータ移行が可能かです。
クラウドCMS・SaaSは標準機能を活かせる企業に向いています
クラウドCMSやSaaSは、サーバー構築やCMS本体のバージョンアップを自社で抱えにくく、短期間で始めやすい発注形態です。小規模な企業サイト、更新頻度が高いオウンドメディア、少人数で運用するサイトでは、初期設定とデザイン調整、コンテンツ移行を外注し、サービス利用料を払いながら運用する方法が現実的です。
一方で、ユーザーごとの細かな権限、複雑な承認、既存基幹システムとの同期、特殊なプレビュー、データの保管場所、解約時のエクスポートなどは、サービスごとの差が出ます。シックス・アパートの料金改定資料では、2026年4月以降のMovableType.netに月額3,208円と月額13,750円のプランが示されていますが、これはサービス利用料の例であり、制作・移行・連携の費用を含む総額ではありません。公式価格を起点に、初期設定費と運用支援費を分けて確認します。
商用パッケージとオープンソースは運用責任を見極めます
商用パッケージは、権限、ワークフロー、多言語、ステージング、ログ、サポートなど、企業サイトで必要になりやすい機能が用意されている場合があります。ライセンスの価格だけでなく、導入支援、デザイン、テンプレート開発、既存コンテンツの移行、年間サポートを含めて発注します。オープンソースはライセンスの自由度が高い一方、サーバー、プラグイン、脆弱性、バックアップ、アップデートの責任が自社または委託先に残ります。
PowerCMS公式価格表では、2025年1月1日購入分から、スタンダード版44万円、プロフェッショナル版88万円、エンタープライズ版132万円、アドバンスト版264万円の初期費用が掲載されています。2年目以降のサポートライセンスは初期費用の20%とされ、アクセシビリティ対応や外部連携などの追加費用は別に確認する必要があります。ライセンスの金額をそのままサイト開発費と捉えず、構築・移行・保守を含めた提案書で比較することが重要です。
ヘッドレスCMSとスクラッチ開発は将来要件まで見て判断します
ヘッドレスCMSは、管理画面と表示画面を分離し、APIで構造化されたコンテンツをWebサイト、アプリ、デジタルサイネージなどへ配信する方式です。複数チャネルで同じ情報を使う企業や、表示画面を独自に開発したい企業に向いています。ただし、フロントエンド、プレビュー、キャッシュ、権限、公開予約、障害時の切り分けを別途設計するため、編集者が使いやすいかをPoCで確認します。
スクラッチ開発は、独自の業務フローや会員・商品・契約情報をCMSと一体で扱いたい場合に選択肢となります。しかし、独自仕様が増えるほど、初期開発費だけでなく、担当者の交代時の引き継ぎ、法改正やブラウザ更新への対応、脆弱性修正、将来のリニューアル費用も膨らみます。CMSを作ること自体が目的にならないよう、標準機能で代替できない要件を明確にしてから発注します。
RFPと要件整理はどこまで準備すればよいですか?

RFPは、提案依頼先に自社の目的、現状、要求、予算、期限、提案してほしい内容を伝える文書です。完成した仕様書である必要はありませんが、各社が同じ前提で提案できる程度の情報を揃えると、見積もりの差を説明しやすくなります。CMSでは、ページ数だけでなく、コンテンツの構造、編集者の人数、承認経路、データ移行、外部連携が価格に強く影響します。
RFPには目的・現状・範囲・制約を記載します
最低限、RFPにはプロジェクトの背景と目的、対象サイトと公開先、現行CMSとサーバー構成、管理するコンテンツの種類と概算件数、更新者・承認者、必要な権限、公開希望時期、予算の考え方、社内の体制、既存システムとの連携、セキュリティ・アクセシビリティ要件を記載します。URL一覧やサイトマップ、現行画面のキャプチャ、コンテンツ台帳があれば、提案側の想像による余分な工数を減らせます。
要求は「必須」と「提案に期待するもの」を分けます。例えば「承認者が不在なら公開できない」「公開日時を指定できる」「公開終了日を過ぎたら自動で非公開にする」は業務要件です。一方で、画面をドラッグ操作にしたい、特定のUIにしたいといった要望は解決手段に近いため、背景の課題も添えます。委託先が別の実現方法を提案できる余地を残すと、過剰な個別開発を避けやすくなります。
コンテンツモデルと移行対象を先に決めます
コンテンツモデルとは、記事や製品情報をどの項目で管理するかを定める設計です。タイトル、概要、本文、著者、カテゴリー、タグ、公開日、更新日、関連資料、SEOタイトル、ディスクリプションなどを項目として持たせると、検索や一覧表示、別チャネルへの再利用がしやすくなります。現行サイトのHTMLをそのまま本文欄へ貼り付ける移行と、項目を分解して構造化する移行では、必要な工数と将来の使いやすさが変わります。
移行対象は、全ページを無条件に移すのではなく、アクセス数、問い合わせへの貢献、検索流入、更新日、法定保存の必要性で整理します。重複ページ、古いキャンペーン、リンク切れの資料は、移行前に統合・削除・リダイレクトを判断します。画像やPDFのファイル名、著作権、代替テキスト、公開権限も移行対象に含めると、公開後の手戻りを抑えられます。
API連携はデータの責任範囲まで書きます
会員データベース、商品・サービス情報、営業管理、問い合わせフォーム、マーケティングツール、アクセス解析、SSOなどと連携する場合は、連携先の名前だけでは不十分です。どのデータをどちらが正とするか、登録・更新・削除のタイミング、失敗時の再送、個人情報の扱い、APIの認証方式、連携停止時の手動運用をRFPに記載します。CMSが商品情報を持つのか、商品DBから読み込んで表示だけするのかで、設計も見積もりも変わります。
外部連携は、開発費だけでなく、接続先の仕様確認、テスト環境、データ変換、監視、障害時の責任分界が発生します。既存システムの担当会社が別にいる場合は、三者で接続仕様を確認できる場を設けます。連携を将来対応にする場合でも、将来の拡張を妨げないデータ設計とエクスポート方法を契約前に確認します。
契約形態とプロジェクト管理はどう決めますか?

契約形態は、成果物と仕様を固定して完成責任を求める請負契約、作業時間や役割を定めて一緒に要件を詰める準委任契約、CMSの利用契約と導入支援契約を分ける方法などがあります。重要なのは名称だけではなく、何をいつまでに納品するか、仕様変更をどう扱うか、検収の条件、障害対応の範囲、知的財産権とデータの帰属を文書化することです。
仕様を固定できる範囲は請負契約で管理します
画面、機能、移行対象、連携仕様、テスト項目が固まっている工程では、請負契約で成果物と納期を明確にしやすくなります。例えば、確定したデザインをCMSへ組み込み、指定された100ページを移行し、受入テストを経て公開する工程は、納品物を定義しやすい仕事です。ただし、発注側の確認が遅れた場合、連携先の仕様が変わった場合、移行元データに想定外の問題があった場合の扱いを、例外として契約に入れておきます。
請負で仕様変更を無制限に受けると、委託先はリスクを見込んだ価格を提示し、発注側は変更のたびに追加費用と納期延長を受け入れることになります。変更要求の受付、影響調査、追加見積もり、承認、リリース計画を変更管理表で管理します。画面を少し直すだけに見えても、権限、API、テスト、マニュアルまで影響することがあるため、口頭合意で進めないことが大切です。
要件が変わる部分は準委任で検証します
新しい運用を試しながら要件を決める場合や、ヘッドレスCMSの編集体験を検証する場合は、準委任契約で調査・設計・PoCを進める方法があります。発注側と委託先が週次で画面や運用を確認し、優先順位を変えながら成果を積み上げられるため、最初から不確実な仕様を固定するリスクを抑えられます。
準委任では、成果物がないという意味ではありません。月ごとの作業範囲、担当者、稼働時間の目安、定例会、設計書や検証結果の提出、報告方法を契約書や作業計画書で定めます。リサーチノートで整理された業務システム分野の共通論点では、仕様変更の多い案件で請負の価格が準委任より1.3〜1.5倍程度高くなる傾向が示されていますが、これはCMSに限定した公的統計ではありません。案件の不確実性を価格と契約にどう反映するかを確認するための参考値として扱います。
契約前に検収・保守・データの扱いを確認します
契約前には、検収期間、検収で確認するブラウザと端末、重大な不具合の定義、修正期限、公開後の無償対応期間を確認します。CMS本体の障害と、委託先が作ったテンプレートや連携処理の不具合では、窓口や原因調査の担当が異なる場合があります。CMSベンダー、開発会社、ホスティング会社の責任分界を図にしておくと、障害時に連絡先がわからなくなる事態を防げます。
また、ソースコード、デザインデータ、設定情報、コンテンツデータ、画像、移行スクリプト、管理者アカウント、バックアップの所有者を決めます。委託先を変更したり、SaaSから別のCMSへ移行したりするときに、データを標準形式で取り出せるかは重要です。契約終了時の引き渡し、削除証明、移行支援の単価まで、発注時点で確認しておきます。
コンテンツ管理システムの費用相場はいくらですか?

コンテンツ管理システムの費用は、クラウド利用を中心とする小規模構築で初期50万〜150万円程度、デザイン・移行・権限・承認・フォームなどを含む標準的な企業サイトで150万〜400万円程度、会員・商品・基幹システム連携や多言語、複数サイト、ヘッドレス配信を含む案件で500万〜1,500万円以上が一つの目安です。独自業務フローを大きく組み込むフルスクラッチでは1,500万〜4,000万円超になる可能性もあります。
これらはCMS全体の公的な平均価格ではなく、公式価格、公開事例、同じ業務システム分野の開発レンジを組み合わせた編集上の推定です。J-GoodTechに掲載されたCMS導入事例では、デザイン・HTML受領後の工期4か月、初期費用150万〜400万円、追加開発・運用サポートは別途とされています。事例の条件と自社のページ数、移行品質、連携数が異なるため、相場をそのまま予算確定に使わず、同じ前提の見積もりを取ります。
発注形態ごとの費用を分けて考えます
クラウドCMSでは、月額利用料、初期設定、デザイン、テンプレート調整、移行、フォーム設定、運用教育が主な費用になります。商用パッケージでは、ライセンス、年間サポート、追加モジュール、構築、保守が分かれます。オープンソースでは、ホスティング、開発、プラグイン、セキュリティ更新、バックアップ、障害対応が委託費として表れやすくなります。
ヘッドレスCMSでは、CMS利用料に加えて、フロントエンド、API連携、プレビュー、CDN、キャッシュ制御、公開ワークフローの費用が発生します。表示速度や複数チャネル配信を重視しても、編集者が公開前の画面を確認できなければ運用が止まります。管理画面側と表示側を別々に見積もるのではなく、編集から公開までの一連の操作で費用を確認します。
見積書では構築費・移行費・保守費を分けます
見積書の項目は、企画・要件定義、情報設計、デザイン、環境構築、CMS設定、テンプレート開発、API連携、コンテンツ移行、テスト、教育、公開作業、保守運用に分けてもらいます。「CMS導入一式」とだけ書かれている場合は、何が含まれ、何が別途なのかを質問します。特に移行は、機械的な一括変換、手作業での整形、リンク修正、画像整理、公開後の確認で作業内容が大きく異なります。
ランニングコストには、CMS利用料やライセンス更新だけでなく、サーバー、CDN、WAF、ドメイン、SSL、監視、バックアップ、脆弱性対応、アクセス解析、追加ユーザー、フォーム送信、メール配信、保守窓口が含まれる場合があります。月額の安さだけでなく、5年間で支払う金額と、障害や緊急更新が発生したときの対応費を見積もります。
5年TCOと予備費を用意します
初期費用だけで発注先を決めると、公開後の保守や追加開発で予算が足りなくなることがあります。5年TCOでは、初期構築費、移行費、ライセンス・SaaS料金、サーバー・セキュリティ費、保守費、コンテンツ更新代行、追加開発、リニューアル費を並べます。SaaSの月額利用料が安くても、ユーザー数やAPIコール数、ストレージ、フォーム送信数で課金が増える場合があるため、利用量の前提を明記します。
要件未確定の段階で金額を一つに固定するのではなく、必須範囲、標準範囲、拡張範囲の3パターンで提案してもらう方法が有効です。移行元データの品質、既存システムのAPI仕様、承認者の確認遅れなどは、着手後に判明しやすい論点です。想定外に備える予備費は、根拠を持って別枠にし、予備費を使う条件を社内と委託先で共有します。
委託先の選定と見積比較では何を見ますか?

委託先は、CMS製品を販売する会社、サイト制作会社、システム開発会社、運用代行会社などに分かれます。製品を知っていることと、業務整理・移行・連携・保守が得意であることは同じではありません。自社の課題に近い実績を確認し、どの工程を自社で担当し、どこを再委託するのかまで確認して選びます。
実績は社数ではなく条件の近さで確認します
実績を見るときは、導入社数や受賞歴だけでなく、自社と近いサイト規模、コンテンツ種類、更新人数、承認フロー、連携先、公開後の保守期間を質問します。提案会社には、現行サイトから何を移行したか、移行スクリプトを再利用できるか、公開時にどのような切り戻しを行ったかを確認します。可能であれば、営業担当の説明だけでなく、設計・移行・運用を担当するメンバーにも参加してもらいます。
候補会社の得意領域が異なることもあります。企業サイトのCMS構築に強い会社、ヘッドレスCMSやAPI連携に強い会社、自治体・公共サイトのアクセシビリティに詳しい会社、社内ポータルや会員サイトの権限設計に慣れた会社では、同じRFPでも提案の視点が変わります。実績が自社の目的に合っているかを見極めることが、単純なランキングより重要です。
見積比較は金額ではなく前提条件を揃えます
複数社から見積もりを取るときは、同じRFP、同じページ数、同じ移行対象、同じ連携範囲、同じ公開時期を渡します。A社がテンプレート開発を含み、B社がデザインを別途としている場合、総額だけを比べると誤った判断になります。見積書には、作業項目、数量、単価または工数、担当者、期間、前提、除外項目、追加費用の条件を記載してもらいます。
価格差が大きい項目は、安い理由と高い理由を質問します。移行を発注側が行う前提なら安く見えますが、社内の作業時間と品質確認の負担が残ります。保守費が高い会社でも、脆弱性対応、バックアップ復元テスト、監視、緊急連絡、月次レポート、更新相談まで含むなら、5年TCOでは合理的になる可能性があります。金額の大小ではなく、成果物と責任の対応関係を比較します。
提案時には運用と障害対応を質問します
委託先には、担当者が休んだときの代替体制、問い合わせへの初動時間、重大障害の連絡方法、脆弱性情報を受けたときの対応、CMSやプラグインの更新方針、バックアップの保存先と復元テスト、ログの保管期間を質問します。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、2026年3月公開の第4.0版で「バックアップを取ろう」を情報セキュリティ6か条に追加し、「ウェブサイトを安全に運用する」項目も見直しています。CMSの保守契約にも、バックアップとWebサイトの安全運用を具体的な作業として含めることが重要です。
アクセシビリティも、公開直前に一度検査するだけでは不十分です。見出し構造、キーボード操作、フォームのラベル、色のコントラスト、画像の代替テキスト、エラー表示を、デザイン・テンプレート・運用ルールの段階で確認します。デジタル庁は2026年の方針でJIS X 8341-3:2016とWCAG 2.2を参照し、適合レベルAAを目標にしています。自社サイトに同じ目標を設定するか、対象範囲と検査方法をRFPと契約書に書いておきます。
発注後の移行・テスト・運用はどう進めますか?

CMS開発は、納品された時点で終わりではありません。コンテンツを移行し、編集者が日常業務で使い、公開後に安全に更新できて初めて発注の目的が達成されます。要件定義、設計、開発、移行、受入テスト、教育、公開、安定稼働の順に分け、各段階の完了条件を合意して進めます。
移行は小さく試してから本番に進みます
移行前に、対象ページの一覧、URL、コンテンツ種別、公開日、著者、カテゴリー、画像、リンク、SEO設定、公開状態を棚卸しします。そのうえで、代表的な記事、長い記事、画像が多いページ、フォームを含むページ、特殊なレイアウトを数件選び、試験移行を行います。文字化け、見出しの欠落、画像のリンク切れ、不要なHTML、リダイレクト漏れがないかを確認してから、全件移行のルールを確定します。
大規模サイトでは、優先度の高いページから段階的に公開する方法もあります。旧サイトをすぐに停止せず、DNSやURLの切り替え、キャッシュ、フォーム送信、アクセス解析、検索エンジン向けの設定を確認します。切り戻し条件と、切り戻した場合に新CMS側で登録した情報をどう扱うかも、公開手順書に記載します。
受入テストは実際の業務シナリオで行います
受入テストでは、ログイン、記事登録、画像登録、下書き保存、レビュー依頼、承認、予約公開、公開終了、修正、検索、権限エラー、フォーム送信、通知、バックアップ復元まで、実際の業務シナリオを実行します。編集者には編集者の権限、承認者には承認者の権限を付与し、見えてはいけない情報が表示されないことも確認します。
テスト項目には、通常操作だけでなく、途中でブラウザを閉じた場合、API連携が失敗した場合、画像容量が大きい場合、同じ記事を複数人が編集した場合、公開予約を取り消した場合も含めます。障害が起きたときのエラーメッセージが利用者にわかりやすいか、管理者が原因を追跡できるかを確認します。テスト結果は画面キャプチャや再現手順とともに記録し、残課題と公開判断者を明確にします。
公開後の教育と運用ルールを契約に含めます
管理画面の操作研修だけでなく、どのコンテンツを誰が登録するか、タイトルや見出しをどう付けるか、画像の代替テキストをどう書くか、公開前に誰が確認するかを運用ルールとして残します。マニュアルは機能一覧ではなく、「新しいニュースを登録して承認依頼する」「公開済みページを修正して再承認する」などの業務シナリオで作ると、現場で参照しやすくなります。
公開後は、更新本数、承認にかかる時間、公開ミス、検索流入、フォーム到達率、ページ表示速度、問い合わせ件数などを確認します。操作ログや権限を定期的に見直し、退職者や異動者のアカウントを放置しないことも必要です。新機能の追加は、現場の要望をそのまま個別開発にせず、標準機能や運用変更で解決できないかを確認してから委託します。
よくある質問

ここでは、コンテンツ管理システムの発注・外注を検討するときに、担当者からよく寄せられる質問に回答します。費用だけでなく、発注のタイミング、製品選定、社内体制まで確認しておくと、委託先との打ち合わせを具体化しやすくなります。
コンテンツ管理システムの発注予算はいつ決めればよいですか?
予算は、RFPを作る前に上限だけを決めるのではなく、必須範囲と将来範囲に分けて設定します。初期費用だけでなく、移行、ライセンス、保守、セキュリティ、追加開発を含む5年TCOで考えると、安い導入後に予算が不足する事態を防ぎやすくなります。予算を委託先へ伝える場合は、金額だけでなく、金額に含めたい成果と運用条件を添えます。
WordPressを使っていれば外注しなくてもよいですか?
更新だけなら社内運用できる場合がありますが、既存サイトの大規模移行、権限・承認の設計、プラグインの安全性確認、外部システム連携、表示速度やアクセシビリティの改善まで行う場合は、専門会社への外注が有効です。WordPressを採用するかどうかではなく、アップデート、バックアップ、脆弱性対応、障害時の復旧を誰が担えるかで判断します。
見積もりは何社から取ればよいですか?
2〜4社程度を目安に、同じRFPで比較すると検討しやすくなります。社数を増やしすぎると、質問への回答や提案内容の確認に時間がかかり、前提条件が変わって比較できなくなることがあります。製品ベンダー、導入・移行に強い開発会社、運用保守まで一貫して対応する会社など、異なるタイプを含めると選択肢の違いを把握できます。
公開後の保守は開発会社に依頼すべきですか?
社内にインフラ、セキュリティ、CMS運用の担当者がいて、障害時の復旧手順まで整備できるなら、保守を内製する方法もあります。ただし、CMS本体やプラグインの更新、脆弱性情報の確認、バックアップ復元、ログ監視、緊急公開、外部連携の障害切り分けを継続できない場合は、開発会社や専門会社へ委託する方が安全です。保守契約では、作業内容、対応時間、対象外の追加開発、緊急時の単価を確認します。
まとめ

コンテンツ管理システムの発注・外注では、製品の機能数や初期費用だけでなく、更新体制、コンテンツモデル、承認・権限、データ移行、API連携、セキュリティ、アクセシビリティ、公開後の保守までを一つの業務基盤として比較します。クラウドCMSやSaaSは短期間で始めやすく、パッケージは企業向けの運用機能を組み込みやすく、ヘッドレスCMSは複数チャネルへの配信に向きます。スクラッチ開発は独自業務に合わせやすい一方、保守と引き継ぎの負担まで見込む必要があります。
発注前に現状と優先順位を整理します
最初に、誰が何をどの頻度で更新し、誰が承認し、どのサイトやシステムへ配信するのかを整理します。RFPには、目的、現状、必須要件、将来要件、移行対象、連携仕様、納期、予算、セキュリティ・アクセシビリティの条件を記載します。発注形態は、標準機能で満たせる範囲と独自開発が必要な範囲を分け、要件が変わる部分はPoCや準委任で検証します。
見積もりは総額と責任範囲で比較します
見積もりは、構築、移行、連携、テスト、教育、保守、ライセンス、サーバー、セキュリティを分け、5年TCOで比較します。委託先には、同じ前提で提案してもらい、実績の条件、担当体制、障害対応、バックアップ、データの引き渡し、契約終了時の移行支援まで質問します。ここまで整理してから相談すれば、自社に必要なコンテンツ管理システムと、長く伴走できる発注先を選びやすくなります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
