受託開発の発注方法|契約形態の選び方から発注成功のポイントまで

受託開発の発注は、要件と契約範囲を固めてから見積もりを比べ、開発中の確認や検収まで発注者が関わって進めるものです。追加費用や品質、納期のトラブルを避けるには、発注の流れと契約、進行管理の要点を押さえておくことが欠かせません。

  • 発注準備:要件を整理し、RFPと見積もりの条件をそろえます。
  • 契約選択:作業範囲と変更の可能性を踏まえ、契約形態を選びます。
  • 進行管理:開発中の確認と検収の条件を、事前に取り決めます。

本テーマの全体像は、次の記事でご確認いただけます。

▼全体ガイドの記事
・受託開発の完全ガイド|進め方・費用・おすすめ会社を徹底解説

受託開発の発注の基本的な流れ

受託開発の発注を、要件整理から検収・納品まで4段階の矢印で示した図解。
要件と見積もりの前提をそろえてから契約へ進みます。

受託開発の標準的な流れをつかんでおくと、社内の準備と開発会社とのやり取りが整理され、スムーズな進行が可能になります。

要件整理→RFP→見積→契約→開発→検収の流れ

受託開発の発注は、大きく6ステップで進みます。①要件整理では、自社の課題や目的を社内で洗い出し、必要な機能や予算、スケジュールを決めます。関係部署の意見を集約し、優先順位をつけておくことが大切です。

そのうえで、②RFP作成・提案依頼では、整理した要件をRFP(提案依頼書)にまとめ、候補となる開発会社3〜5社に提案を依頼します。③見積・提案評価では、各社の見積もりと提案書を比べ、価格・技術力・体制・スケジュールを総合的に評価します。④契約締結では、発注先が決まったら、契約書・作業仕様書・NDA(秘密保持契約)を締結します。

⑤開発・進捗管理では、開発の途中で定期的に進捗を確認します。⑥検収・納品では、完成物が要件どおりかを見て、合格すれば検収完了・代金支払いとなります。

ポイント

要件と予算、スケジュールを社内で揃えてからRFPに進むと、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。契約前に、流れの各段階で誰が判断するかを決めておくことが目安です。

契約形態の選び方

受託開発では、契約形態を正しく選ぶことが、費用、リスク、柔軟性のバランスを取るうえで欠かせません。主な契約形態の違いを押さえておきましょう。

請負契約 vs 準委任契約

受託開発の主な契約形態は、「請負契約」と「準委任契約(SES含む)」の2種類です。請負契約は、「成果物(納品物)の完成」に対して報酬を支払う形態で、開発会社が完成責任を負い、瑕疵担保責任(民法上の契約不適合責任)も適用されます。

一方、準委任契約は「作業(工数)」に対して報酬を支払う形態で、月額単価×稼働月数で費用が計算されます。要件変更に柔軟に対応できる反面、成果物の完成責任は受注者にないため、発注者側での品質管理が求められます。仕様が明確で変更が少ない場合は請負、アジャイルで要件を変えながら進める場合は準委任が適しています。

一括発注 vs 分割発注

発注方法には、「一括発注」と「フェーズ分割発注」があります。一括発注は、要件定義から保守までを1社にまとめて委託する方法で、管理コストが低く、コミュニケーションもシンプルです。

一方で、フェーズ分割発注は、要件定義・設計・開発・保守の各フェーズを別々に発注・契約する方法です。各フェーズで成果物を確認してから次に進むため、リスク管理がしやすくなります。

初めての受託開発では、まず要件定義フェーズだけを発注して開発会社との相性を確認し、そのあとで次のフェーズを発注する分割発注が、リスク軽減に有効です。要件定義フェーズ単体の費用は、50〜200万円程度が目安です。

ポイント

契約形態は、仕様がどこまで固まっているかと、途中で変更が出そうかどうかで選ぶのが基本です。準委任では完成責任が受注者にないため、発注側の品質管理も見込んでおく必要があります。

発注時の注意点

発注時に確認する仕様書の精度、追加費用のリスク、知的財産権を3枚のパネルに整理した図解。
契約前に論点ごとの確認先をそろえると、抜けを見つけやすくなります。

受託開発の発注では、見落としやすいリスクがいくつもあります。契約の前に、一つずつ確かめておくことが大切です。

仕様書の精度・追加費用リスク・知的財産権

発注時に注意したいのは、①仕様書の精度、②追加費用のリスク、③知的財産権の3点です。仕様書が曖昧だと、開発会社との認識がずれ、後で「言った・言わない」のトラブルになります。そのため、画面モックアップや業務フロー図、データ定義書など、視覚的に分かりやすい資料を整備しておくと有効です。

②追加費用のリスクとして、請負契約では当初の仕様範囲の外の変更に追加費用がかかります。変更管理のルール(変更依頼→見積→合意→対応)を契約書に明記しておくことも大切です。特に、「想定外の作業」が発生しやすい外部連携、データ移行、セキュリティ対応は、仕様を詳しく定めておく必要があります。

③知的財産権では、開発したシステムのソースコードの著作権が、どちらに帰属するかを契約で明確にしておきます。発注者に帰属させるのが一般的ですが、開発会社が帰属を求めるケースもあるため、注意が必要です。

ポイント

契約前に、仕様の具体性、変更時の費用の扱い、ソースコードの著作権の3点が決まっているかを確かめます。どれか一つでも曖昧なら、契約書に入れる前に開発会社と話し合うのが目安です。

発注を成功させるポイント

受託開発の発注を成功させる体制整備、コミュニケーション、マイルストーン管理を3つのチェック項目で示す図解。
役割・進捗共有・節目の確認が運営を支えます。

受託開発の発注を成功に導くには、発注者として意識すべきポイントを押さえ、体制と進め方を整えておくことが欠かせません。

体制整備・コミュニケーション・マイルストーン管理

発注を成功させるための3つのポイントは、体制整備、コミュニケーション、マイルストーン管理です。①体制整備では、発注者側にプロジェクトオーナー(意思決定者)と担当窓口(PM)を明確に設置し、業務側の担当者(要件を知っている人)と技術側の担当者(ITを理解している人)の両方を置くのが理想的です。開発会社からの質問や相談に迅速に答えられる体制が、プロジェクトの遅延防止につながります。

②コミュニケーションでは、週次の進捗報告会を設け、課題やリスクを早期に共有する流れを作ります。さらに、Slackなどのチャットツールを活用して、リアルタイムの情報共有を促すことも有効です。

③マイルストーン管理では、要件定義完了・設計完了・開発完了・テスト完了・リリースなどのマイルストーンごとに、成果物の確認基準を事前に設定します。各マイルストーンで承認の流れを明確にしておくことで、後工程でのトラブルを防ぐことにつながります。

ポイント

発注側の担当窓口と意思決定者を先に決め、進捗報告とマイルストーンごとの承認の流れを整えておくことが、トラブルを防ぐ目安です。

まとめ

受託開発の発注を成功させるには、四つの点を押さえておくことが大切です。①要件整理→RFP→見積→契約→開発→検収の流れを理解し、②プロジェクトの性質に合った契約形態(請負か準委任か)を選びます。③仕様書の精度、追加費用リスク、知的財産権に注意して契約書を整備し、④発注者側の体制整備、コミュニケーション、マイルストーン管理を徹底することが重要です。

初めての受託開発では、フェーズ分割発注で要件定義フェーズから始める方法が、リスク軽減に有効です。信頼できる開発パートナーを見つけ、早めに相談することをおすすめします。

▼全体ガイドの記事
・受託開発の完全ガイド|進め方・費用・おすすめ会社を徹底解説

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。