受託開発の進め方|要件定義から納品まで発注者が知るべき全ステップ

受託開発は、要件を明確にして開発会社と合意し、各工程で作られたものと確認事項を発注者側でも管理しながら進めていく流れです。

要件定義から納品後の保守まで、発注者が関わる主な段階は下のとおりです。

  • 要件・契約:目的や機能、範囲をまとめ、開発会社と合意する段階です。
  • 設計・開発:作られた部分と進み具合を確認しながら、判断を重ねていきます。
  • テスト・納品後:受け入れ条件を確かめ、運用・保守へ引き継ぎます。

受託開発の詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・受託開発の完全ガイド|進め方・費用・おすすめ会社を徹底解説

受託開発の全体像

受託開発を依頼する前に、全体の流れと基本的な知識を押さえておくことが役立ちます。開発手法や種類によって、プロジェクトの進め方は大きく変わるためです。

受託開発の定義

受託開発は、企業や個人がシステム、アプリ、Webサービスなどの開発をシステム開発会社に委託する形態です。自社でエンジニアを雇用する「自社開発」や既製品のパッケージを使う「SaaS」とは異なり、受託開発は自社の業務要件に合わせたシステムをゼロから構築できる点が最大の強みです。

発注者は、どのようなシステムが欲しいかを定め、受注者である開発会社が設計と実装を担います。さらに、開発後の保守や運用も、契約次第で委託できます。

開発手法の種類(ウォーターフォール型・アジャイル型)

受託開発の手法は、主に2種類に分けられます。

  • ウォーターフォール型:要件定義から順に工程を一方向へ進める手法です。仕様が明確な場合に向いています。
  • アジャイル型:短いサイクル(スプリント:通常2週間)で開発、フィードバック、改善を繰り返す手法です。

アジャイル型は、変化への対応力が高いため、要件が流動的なプロジェクトに適しています。

どちらが適しているかは、プロジェクトの性質や発注者の関与度によって変わります。そのため、どちらを選ぶかは、開発会社と事前に話し合って決めることになります。

スケジュールの目安は、小規模で3〜6ヶ月、中規模で6ヶ月〜1年程度が一般的です。

ポイント

受託開発を検討するときは、自社開発やSaaSとの違いを押さえたうえで、仕様が明確かどうかを手法選びの目安にします。どちらが向くかは、プロジェクトの性質と発注者の関与度によって変わります。

受託開発の進め方(全ステップ解説)

受託開発の要件定義からリリース・保守運用までを4つのパネルで示した図。
前半で仕様を固め、後半で動作確認と運用へつなげます。

受託開発は、大きく6つのフェーズで構成されます。各フェーズで発注者が果たす役割を押さえておくと、進行中の判断に迷いにくくなります。

ステップ1:要件定義

要件定義は、プロジェクト全体の土台となる最も重要なフェーズです。ここで「何を作るか」を明確にしておかないと、後の手戻りや追加費用につながります。

発注者は、業務フローや課題、必要な機能を整理し、システムに求める要件を文書にまとめます。そのうえで、開発会社がヒアリングをもとに要件定義書を作成し、双方で合意を形成します。

機能要件(システムが何をするか)と非機能要件(処理速度、セキュリティ、可用性など)の両方を定めておくことが大切です。また、期間の目安は規模によって変わりますが、中規模プロジェクトでは1〜2ヶ月程度です。

ステップ2:設計(基本設計・詳細設計)

設計フェーズでは、要件定義の内容をもとに、システムのアーキテクチャや画面設計、データベース設計などを行います。

基本設計(外部設計)では、システム全体の構造やユーザーインターフェースを設計します。一方、詳細設計(内部設計)では、プログラムレベルの仕様を定めます。

発注者は、基本設計の段階で画面モックアップや業務フロー図をレビューし、イメージのズレを早めに解消しておくことが大切です。設計段階での確認が足りないと、開発に入ってから大きな手戻りを招くおそれがあります。

ステップ3〜4:開発・テスト

開発フェーズでは、設計書をもとに実際のプログラミングを行います。アジャイル型の場合は、機能ごとに短いサイクルで開発とテストを繰り返します。テストフェーズでは、単体テストから始め、結合テストとシステムテストを経て、ユーザー受け入れテスト(UAT)まで段階を追って品質を確認します。

特にUATは、発注者が実際にシステムを操作し、要件どおりに動くかを確かめる欠かせない工程です。テスト仕様書どおりの確認に加えて、実際の業務シナリオでの動作確認も行うことが望まれます。

見つかったバグは、優先度をつけたうえで、リリース前に修正します。

ステップ5〜6:リリース・保守運用

リリースフェーズでは、本番環境へのデプロイと移行作業を行います。既存システムからの移行がある場合は、並行稼働期間を設けて、リスクを小さくするのが一般的です。

リリース後の保守運用フェーズでは、不具合対応、機能改善、インフラ管理などを継続的に行います。保守契約には月額固定型と従量型があり、システムの規模や変更頻度に応じて選びます。

保守契約の相場は、月額10〜50万円程度が目安です。リリース後も安定して稼働させるには、監視体制や障害対応の流れを事前に取り決めておく必要があります。

ポイント

発注者の関与は要件定義から納品後まで続きます。各段階で作られたものと確認事項を開発会社と一緒に見ていくと、手戻りや追加費用を減らせます。

発注者として準備すること

RFPを中心に、プロジェクトの概要と背景、課題、希望する機能・システム要件を結んだ図。
依頼の背景と実現したい内容を一つの提案依頼書に集めます。

開発会社に依頼する前に、発注者側で準備しておきたいことがあります。準備が不十分だと、プロジェクトの遅延や追加費用のリスクが高まります。

RFP(提案依頼書)の作成

RFP(Request for Proposal)は、開発会社に提案を依頼するための文書です。

RFPを作成すると、複数の開発会社に同じ条件で提案を依頼できるため、比較検討がしやすくなります。

開発会社が提案を組み立てられるよう、RFPには材料をそろえて記載します。

  1. プロジェクトの概要と背景
  2. 解決したい課題
  3. 希望する機能・システム要件
  4. 予算の目安
  5. 希望スケジュール
  6. 評価基準と選定方法

最初から完璧なRFPを作れなくても、骨子だけ用意して、開発会社とのヒアリングで肉付けしていく方法で進めても問題ありません。

要件の整理と優先順位付け

発注前に、「必須要件」と「あれば嬉しい要件」を分けておくことが大切です。すべての要件を同じように扱うと、見積金額が膨らみ、予算オーバーになりがちです。

要件の整理には、MoSCoW法(Must/Should/Could/Won’t)などのフレームワークを活用するとよいでしょう。また、システムを使う現場担当者の声をヒアリングしておくと、要件の漏れを防げます。

発注側は、社内の関係者(IT部門、業務部門、経営層)の意見を事前にまとめておきます。そのうえで、プロジェクトオーナーが意思決定できる体制を整えることも欠かせません。

ポイント

依頼前にRFPで背景や要件、予算を伝え、必須要件と希望要件を分けておけば、提案を比べやすくなり、見積金額の膨らみも抑えられます。

受託開発の注意点

ベンダーロックインを中央に置き、権利帰属、標準的な技術、複数ベンダー体制で囲む図。
権利、技術、開発体制の複数面から依存を抑えます。

受託開発には多くのメリットがある一方で、発注者として注意したいリスクもあります。事前に把握しておけば、対策を立てられます。

ベンダーロックインのリスク

ベンダーロックインとは、特定の開発会社に依存しすぎて、他社への切り替えが難しくなる状態を指します。独自フレームワークの採用、ソースコードの非開示、ドキュメントの不整備などが原因で起こりがちなリスクです。

対策としては、①契約時にソースコードの著作権・所有権を発注者側に帰属させる条項を設けること、②標準的な技術スタックを採用させることが有効です。さらに、③設計書・仕様書などドキュメントの整備を義務付けること、④複数ベンダーで分担する体制を検討することも挙げられます。

発注者は、保守や運用の段階でも、複数社から見積を取れる状態を保っておくことが大切です。

仕様変更による追加費用リスク

開発の途中で仕様が変わると、追加費用や納期の遅れを招く主な原因になります。なお、請負契約では、契約書に記載された仕様以外の変更に追加費用がかかるのが一般的です。

仕様変更が生じた場合のルール(変更管理プロセス)は、契約前に明確にしておきます。たとえば、「変更依頼書を提出し、工数を見積もり、合意してから着手する」という流れを定めておくと、想定外の費用増加を防げます。

また、要件定義を丁寧に行い、仕様を固めておくことが根本的な対策になります。ただし、アジャイル型を選べば要件変更に柔軟に対応できますが、そのぶん管理コストが増える点も押さえておく必要があります。

ポイント

受託開発で特に注意したいのは、ベンダーロックインと仕様変更です。契約時に著作権や変更のルールを決めておくと、追加費用や他社への切り替えの難しさを避けられます。

受託開発を成功させるポイント

受託開発を成功に導くために、発注者として意識したいポイントを取り上げます。

密なコミュニケーションと迅速な意思決定

受託開発が失敗する原因の多くは、発注者と受注者のコミュニケーション不足にあります。そこで、週次の進捗報告会を設け、開発状況を定期的に確認しておくと良いでしょう。

不明点や懸念が出た場合は、速やかに情報を共有して、意思決定を遅らせないことが重要です。そのためにも、発注者側の窓口担当者(PMO)を明確にし、開発会社からの質問に素早く答えられる体制を整えておく必要があります。

  • マイルストーンごとのレビュー:発注側が機会を設けて、作られたものの品質を随時確認しておくと、最終的な受け入れテストで大量のバグが見つかるのを防げます。
  • 担当者以外への共有:担当者だけでなく、経営層も定期的に状況を把握しておくのが望ましいです。

ポイント

週次の進捗報告を続け、発注側の窓口担当者(PMO)を決めておくと、不明点への対応が遅れにくくなります。発注者の関与が成功の鍵です。

まとめ

受託開発を成功させるには、発注者自身が各フェーズの役割を理解し、積極的に関わることが欠かせません。

要件定義を丁寧に行い、設計段階でイメージのズレを解消したうえで、テストやリリース後の保守体制まで見据えた計画を立てることが大切です。また、ベンダーロックインや仕様変更のリスクへの備えも必要です。

良い開発パートナーを選び、密なコミュニケーションを取り続けることが、プロジェクト成功の最大の鍵です。受託開発を検討しているなら、まずは信頼できる開発会社への相談から始めてみてください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。