CTI開発の発注は、要件を整理してRFP(提案依頼書)を作り、開発会社を比べて契約したうえで、受入テストと段階移行を経て稼働させる流れです。この順に進めると、業務効率と顧客満足度の向上につながります。
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・CTI(コールセンターシステム)開発の完全ガイド
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CTI開発を外注するメリット・デメリット
外注のメリット
外注の利点は、社内にない通信技術の知見を借りられることです。さらに、投資を必要な範囲に絞れる点や、既存の型を使って期間を縮められる点も挙げられます。
- 専門知識:通信技術に詳しい人材を、すぐに活用できます。
- 費用:必要な開発フェーズに絞って投資できます。
- 開発期間:既存テンプレートを活用すれば、短縮を見込めます。
CTIには、PBX、SIP/VoIP、IVRなど通信特有の技術が必要です。そのため、汎用的なWeb開発会社では、これらの技術に対応できない場合があります。一方、専門会社は、NTT東日本のIP電話やクラウドPBX、Salesforce・ZendeskなどのCRMとのAPI連携に対応できます。
内製には年収600〜900万円クラスのエンジニアが複数名必要な場合があります。また、クラウド型CTIの追加開発なら、外注費が200万〜500万円程度に収まるケースもあります。
CTI専業会社や実績豊富なSIerは、コールセンター向けの枠組みやテンプレートを保有することがあります。その場合、開発期間を30〜50%短縮できるケースがあります。たとえば、自社でゼロから開発すると2年かかるところ、外注で8〜12ヶ月で完成した事例も報告されています。
外注のリスクと対策
外注で起きやすい問題は、要件が広がること、特定の会社に依存すること、顧客情報が漏れることです。いずれも、契約や事前の合意で手を打てます。
- スコープ拡大:詳細な要件定義書と変更管理手順を、契約に含めます。
- ベンダーロックイン:技術選定について、事前に合意します。
- 情報漏洩:顧客情報の扱いを、認証と契約の両面で確かめます。
「着信時に顧客情報を表示する」場合でも、CRMや表示項目、VIP顧客の優先ルーティングなど、仕様は多岐にわたります。特に、要件が曖昧なまま契約すると、追加費用や納期遅延につながります。また、システム開発プロジェクトの約30〜40%は、当初の予算を超過するともいわれます。
独自フレームワークで構築すると、別会社への保守委託が難しくなる場合があります。そのため、オープンソースや標準的な技術を優先します。さらに、ソースコードの著作権と所有権が発注者に帰属することも、契約書に記載します。
CTIは顧客の個人情報や通話録音を扱うため、情報漏洩への備えが欠かせません。そこで、外注先のISMS・プライバシーマーク(Pマーク)の取得状況と、開発環境の情報管理ルールを確認します。加えて、NDA(秘密保持契約)を締結し、情報漏洩時のペナルティ条項も盛り込みます。
CTI開発の発注準備

コールセンター業務の要件整理
発注の前に、現状の業務数値や既存システム、必要な機能を整理しておきます。この情報をもとに、開発規模とシステム要件を決めます。
- 業務数値:1日の入電・発信数、AHT、ASA、回線数、席数を把握します。
- 既存システム:PBXやCRM、SFA、チャット、メールなど、今使っている仕組みを洗い出します。
- 必要機能:受電・発信、レポート、冗長化などを定めます。
AHTはAverage Handling Timeの略で、平均通話時間を示します。また、ASAはAverage Speed of Answerの略で、平均応答時間を示します。これらの数値は、ピーク時と通常時を分けて把握します。
PBXの機種、CRM・SFAの種類とバージョン、連携が必要なシステムを一覧にします。たとえば、オンプレミスPBXから3年後にクラウドPBXへ移る予定がある場合は、その計画を設計に反映します。
受電機能には、商品別に3系統へ分けるIVRやスキルベースの振り分けがあります。ほかに、CRM画面表示、録音、品質モニタリングも含めます。
発信機能では、自動発信のプレディクティブダイヤラーを含め、コールリストの管理方法と発信規制への対応を決めます。レポートでは、対象のKPIと集計粒度を定めます。加えて、障害時の冗長化・バックアップ要件も定義します。
RFP・仕様書の作成ポイント
要件を整理したあとに、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)を作ります。各社に同じ条件を示すことで、提案を比較できます。
- プロジェクト概要:目的、背景、課題、現行システム、目標KPIを記します。
- 要件:機能・非機能、連携先、API情報をまとめます。
- 進行条件:稼働希望日、各期限、予算の参考値を示します。
目標KPIの例として、放棄呼率を8%から3%以下へ、AHTを5分から4分以内へ短縮するケースがあります。
機能要件には業務要件を反映します。非機能要件では、稼働率99.9%以上のSLA、ピーク時300同時接続、録音データの暗号化などを定めます。セキュリティ要件の例には、ISMS認証への準拠もあります。
連携システムの仕様書やAPI情報は、可能な限り添付します。たとえば、SalesforceのAPIバージョンやZendeskの連携情報があれば、見積もりの精度を高められます。
予算は「〇〇万円程度」の想定でも示せます。また、RFPの提示から提案書提出までは、最低3〜4週間の期間を設けるのが一般的なマナーです。
CTI開発会社の選び方

選定基準と評価ポイント
会社選びでは、技術実績と連携、保守、セキュリティの4つの観点を確認します。実績では、席数や業界などの具体性も見ます。
- 開発実績:PBX・SIP・VoIPや導入規模を確認します。
- 連携技術:利用中のCRMやチケット管理との実績を確かめます。
- 保守体制:稼働後の契約や障害対応、引き継ぎの進め方を見ます。
- 安全性:認証や高いセキュリティ要件への対応力を判断します。
官公庁・金融機関向けに小規模から1,000回線超まで構築した実績を持つ例として、NTTデータの開発パートナーがあります。別の例として、クラウドコールセンターに1,825テナント・32,000席以上を導入した実績を持つ会社もあります。
Salesforce、Zendesk、Microsoft Dynamics 365などの製品を例に、自社のCRMやチケット管理とのAPI連携実績を確認します。既製コネクタやアダプターの有無も、見極めの材料になります。
コールセンターは24時間365日稼働する場合があり、障害が業務停止につながります。そのため、重大障害に2時間以内に着手するSLAを設定できるかを確認します。また、担当者が交代しても継続できるよう、文書の整備とチーム体制を評価します。
ISMS(ISO/IEC 27001)やPマークの取得状況のほか、金融・医療機関など高い要件の業界での実績を確認します。個人情報保護法やPCI DSSへの対応が必要な場合は、該当する実績を提示してもらいます。
見積もり依頼と提案比較
相見積もりは3〜5社に依頼すると、価格の妥当性や各社の進め方を比較できます。金額が適正かどうかは、1社だけの見積もりでは判断しにくくなります。
開発方式と席数の規模によって費用の幅は大きく変わるため、方式と規模ごとの目安を並べて比べておきます。
- クラウド型の追加開発:初期費用は200万〜500万円程度です。
- 小規模スクラッチ:50席以下で500万〜1,500万円です。
- 中規模スクラッチ:50〜200席で1,500万〜5,000万円です。
- 大規模スクラッチ:200席超で5,000万円以上の例もあります。
オンプレミス型では、サーバーやPBXなどのハードウェア購入費が別途加算されます。そのため、ハードウェア費用も含めて比較します。
提案比較では、評価表に重みを付けて技術・費用・支援を点数化するほか、提案の具体性と根拠も評価します。たとえば、構成を選んだ理由やリスク管理、スケジュールの根拠を確認します。価格だけを見て提案が曖昧な会社を選ぶと、追加費用や品質問題につながる可能性があります。
上位2〜3社に絞ったら、プレゼンテーションとヒアリングを行います。担当チームの質や技術的な深さを直接確かめられます。また、プロジェクトマネージャー(PM)やリードエンジニアが同席し、質問に答えられるかも判断材料になります。
発注から稼働までの流れ

契約・プロジェクト開始フェーズ
発注先が決まったら、契約形態と条項を精査し、合意後にキックオフを行います。CTI開発の契約形態には、請負と準委任があります。
- 請負契約:完成を約束する形で、対価を支払います。
- 準委任契約:開発作業そのものが、対価の対象になります。
請負は仕様が明確な場合に適し、追加費用を抑えやすい形態です。一方、準委任は要件が流動的な場合やアジャイル開発に向き、変更に柔軟に対応できます。
契約書には、発注者に帰属するソースコードの著作権・所有権を明記します。また、契約不適合責任の期間は、一般に納品後1年です。
SLAには稼働率の保証水準と違反時のペナルティを定めます。加えて、仕様変更の見積もりと合意の流れも記載します。
キックオフには、発注者側のオーナー、業務担当者、情報システム担当者が参加します。開発会社側は、PM、リードエンジニア、インフラ担当が揃う形が理想です。
キックオフでは、目標や範囲、日程を合意します。定例会議の頻度と報告書の形式、課題管理ツールも、そこで取り決めます。さらに、WBS(Work Breakdown Structure)と詳細日程を共有してもらい、節目を確認します。
開発・テスト・受入フェーズ
開発は、要件定義から受入テストまでの順に進みます。
- 要件定義を詳細化してから、基本設計・詳細設計に進む
- 実装後に単体・結合・システムテストを行う
- 業務シナリオに沿って受入テスト(UAT)を実施する
電話回線やPBXを使う結合テストは、開発環境では再現できない場合があります。そのため、テスト用回線やSIP環境を早めに準備します。
受入テストは、発注者が主体となって設計し、実施します。UAT(User Acceptance Test)のシナリオは、業務要件をもとに作ります。そのシナリオでは、実際のコールセンター業務を再現します。
たとえば、IVRの選択肢1で適切なスキルグループに着信するか、通話終了後30秒以内にCRMへログが記録されるかを確認します。また、同時着信100件でも正常に動くかを、具体的なテストシナリオに含めます。
100席程度の中規模システムでは、受入テストに2〜4週間を見込みます。不具合はSeverity別に分け、Severity1(業務停止レベル)とSeverity2(業務に重大な影響)を稼働前にゼロにする基準を合意します。
負荷テストではピーク時の着信・発信数を想定し、応答遅延や接続失敗を確認します。そのほか、クラウド型の追加開発では、基盤の拡張設定も合わせて検証します。
本番稼働・オペレーター研修フェーズ
受入テストが完了し、稼働を承認したあとに、切り替え計画を作ります。研修と稼働後の支援も、事前に準備しておきます。
- 切り替え:旧環境へ戻す手順も用意します。
- 研修:稼働2〜3週間前から操作を練習します。
- 集中支援:稼働直後の1〜2週間は即応体制を確保します。
カットオーバーは、旧システムから新システムへの切り替えです。深夜や休日など、コールセンターの閑散時間に行います。
移行方式には、一斉移行のビッグバン方式と段階的移行があります。段階移行なら、一部の部署や拠点から先に稼働できます。たとえば、全国5拠点の場合は、東京本社の50席で先行し、1〜2週間安定稼働を確認してから残り4拠点へ展開する例があります。
研修では、電話の受け方と転送・保留を扱います。CRM画面の操作と通話後処理も盛り込みます。管理者向けには、モニタリングや割り込み、リアルタイム画面の操作を含めます。
20〜30名のグループで座学を行い、テスト環境で操作を試したあとに模擬通話を実施します。また、操作マニュアルは紙とデジタルで配布します。
開発会社に研修資料の作成や講師派遣を依頼する方法も一般的です。さらに、稼働後もマニュアルを参照できる環境を用意します。
稼働直後は、開発会社のエンジニアが現地または遠隔で対応します。現場の意見を受けて、IVRの文言や振り分けルールを修正できるようにします。軽微な修正に備えて、変更管理の手順も開発会社と事前に合意します。
ベンダー評価の定量KPI
稼働後も、開発会社の対応を数値で振り返れるよう、指標をあらかじめ決めておきます。
- 稼働実績:稼働率を確かめます。
- 障害対応:重大障害件数と平均修復時間を比べます。
- 変更管理:変更依頼の手順と標準工数を数値で確認します。
まとめ
CTIの外注を成功させるには、発注前の準備が欠かせません。専門性や開発速度を得られる一方で、要件、依存、情報管理への対策も必要です。
入電数、AHT、同時接続回線数などを把握し、IVRやCRM連携、録音の要件を整理します。RFPには、目標KPIと非機能要件に加えて、日程や予算目安も含めます。
CTIの実績と連携技術を見て、保守体制やセキュリティを評価します。そのうえで、3〜5社の見積もりを比べ、上位2〜3社へのヒアリングで実行力も確かめます。
契約では、コードの権利と責任期間を明確にし、SLAや変更手順も定めます。発注者主体の受入テストと段階移行、切り戻しの準備に加えて、稼働前の研修を行うことが、円滑な導入につながります。
適切な準備と開発会社の選定により、CTIでコールセンターの業務効率と顧客満足度の向上を目指せます。計画的に発注や外注を進めましょう。
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会社紹介
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
