CTI・コールセンターシステムは、電話とCRMなどの業務システムを連携させ、応対の効率化と顧客満足度の向上を支える仕組みです。導入を検討するなら、まず機能と方式の違いを押さえ、開発の進め方、費用、開発会社の選び方を確認すると、判断材料がそろいます。
▼関連記事一覧
・CTI(コールセンターシステム)開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・CTI(コールセンターシステム)開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・CTI(コールセンターシステム)開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・CTI(コールセンターシステム)開発の発注/外注/依頼/委託方法について
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
CTI・コールセンターシステムの概要


CTIの定義・主な機能
CTI(Computer Telephony Integration)は、コンピュータと電話システムを連携・統合する技術の総称です。CTIは、PBX(構内交換機)と連携して、電話回線上の情報をデジタルデータとして処理・管理します。
コールセンターやカスタマーサポートでは、電話とCRM(顧客管理システム)や業務システムを連動させます。これにより、オペレーターは顧客情報へすぐにアクセスできます。
CTIの機能は、着信時の顧客確認や担当者への振り分けから、通話の録音、発信、稼働状況の把握まで、応対の流れを支えます。
- ポップアップ:着信番号から顧客情報を検索し、顧客名や問い合わせ・購入履歴を画面に表示する機能。
- IVR(自動音声応答):音声メニューの選択をもとに、顧客を担当部署や担当者へ振り分ける仕組み。
- ACD(着信自動分配):着信を、待機中の担当者へ均等に、または優先度・スキルに応じて配分する仕組み。
- 通話録音:全通話またはサンプリングで録音し、品質管理やクレーム対応、研修に使います。
- クリックtoコール:CRM上の番号をクリックするだけで発信でき、アウトバウンド業務の効率化に役立つ機能。
ポップアップがあれば、顧客への確認の手間を省けます。IVRで担当先へ振り分ければ、誤転送が減り、担当者の負担も軽くなります。
ACDは、繁忙時間帯に特定の担当者へ着信が集中するのを防ぎ、待ち時間を短縮します。さらに、スーパーバイザーは、稼働中のオペレーターの通話・待機状況を一覧で確認し、必要に応じてサポートに入れます。
クラウド型とオンプレミス型の特徴
CTIシステムは、導入・運用の方式によって、主にクラウド型とオンプレミス型に大別され、両者を組み合わせるハイブリッド型もあります。規模・予算・セキュリティ要件を踏まえて、どちらが合うかを判断します。
- クラウド型:サービス会社のサーバーを、インターネット経由で使う方式。
- オンプレミス型:自社内のサーバーにシステムを構築します。
- ハイブリッド型:機密データはオンプレミスで管理し、一部機能をクラウドで補います。
クラウド型は導入が速く、最短5営業日程度で運用を始められます。また、初期費用0円のサービスも多く、月額費用は1席あたり5,000円〜15,000円が一般的な相場です。
PC・ヘッドセット・インターネット環境があれば、場所を問わず利用できます。そのため、テレワークや急な席数の増減にも合わせやすい方式です。
一方で、クラウド型はインターネット接続が必須で、回線品質が通話品質を左右します。さらに、独自の特殊な通話制御への対応にも限界があります。
オンプレミス型は、データを自社内で管理でき、金融機関・医療機関・官公庁などで採用されています。また、高いカスタマイズ性も特徴で、自社独自の業務や特殊な通話制御にも対応できます。
ただし、初期費用は50万円〜数千万円規模になることが多いです。導入までには平均2〜3ヶ月かかり、サーバー機器の調達やネットワーク構築、システム設計も必要になります。加えて、障害対応や定期メンテナンスなどの運用コストも継続して発生します。
ハイブリッド型CTIは、クラウド型とオンプレミス型の利点を組み合わせる選択肢です。
CTIシステム開発の進め方

CTI開発は既存業務への影響が大きいため、計画的に進める必要があります。工程は、要件定義・業務分析から始まり、設計と開発を経て、テストと本番導入へと進みます。
各フェーズに確認点を設けることが、導入を成功させる鍵です。詳細な進め方は、CTI(コールセンターシステム)開発の進め方の記事をご覧ください。
要件定義・業務分析フェーズ
要件定義の質が、CTI開発の成否を左右します。そのため、まず現状の業務フローと指標を数値で把握し、改善対象を絞り込みます。
- 業務量:1日の受電・発信件数と通話時間。
- KPI:AHT(平均処理時間)、応答率、放棄呼率の現状値を押さえる。
- 課題:顧客情報の検索時間、転送ミス、後処理時間を数字にする。
- 連携先:CRM・SFA・基幹システム・データベースのAPIとデータ形式を調べる。
- 機能の優先度:MoSCoW法で必須機能と追加機能に分ける。
業界平均のAHTは約11.5分で、通話時間6.75分と後処理時間4.8分からなります。そのうえで、自社の数値と比べて改善指標を定めます。
課題の例として、顧客情報の手動検索による平均30秒のロスがあります。また、担当部署への転送ミスは月平均50件、通話後の入力は平均5分というケースもあります。
課題を明確にしておくと、導入後の効果測定の基準を事前に設定できます。なお、古い基幹システムとのAPI連携は、仕様調査だけで2〜4週間かかる場合もあります。
MoSCoW法は、Must have / Should have / Could have / Won’t haveに分ける手法です。この分け方は、予算超過や開発長期化を防ぐ助けになります。
要件定義にかかる期間は、規模によりますが通常1〜2ヶ月程度です。
開発・テスト・導入フェーズ
電話回線・PBX・CRMと連携するCTIでは、開発からテストを経て、段階的な導入と運用後の確認へ進みます。
- 連携設計:電話回線・PBX・CRMとのインターフェースとAPI仕様を明確にする。
- 開発サイクル:アジャイル型で機能を段階的に作り、2週間ごとのデモで意見を反映する進め方。
開発後は、ピーク時の負荷や障害時の動作を確かめてから、段階移行と導入後の検証へ進みます。
- 単体・結合・システム試験の後に、負荷テストとフェールオーバーテストを行います。
- 席数を絞って本番稼働を始める、段階的移行(フェーズドロールアウト)。
- 導入後のKPIを、定期的に数値で確認します。
特に負荷テストでは、ピーク時の最大接続数の例として200席で動かし、通話遅延や音質劣化がないかを確認します。また、フェールオーバーテストでは、主要コンポーネントの障害時に自動切替と縮退運転が機能するかを検証します。
まず全体の10〜20%の席で稼働させ、問題がないことを確かめてから全席へ広げます。一方で、全席一斉に切り替えるフルカットオーバーでは、障害時にコールセンター業務が全停止する恐れがあります。また、導入後2〜4週間は旧システムと並行稼働させ、問題が起きた場合の切り戻し手順も事前に整えておきます。
導入後は、AHTの改善幅や応答率の変化、放棄呼率の低下をもとに、継続的な改善サイクルを回します。
CTI開発の費用相場
CTIの費用は、導入方式、席数や機能数、カスタマイズの程度によって変わります。そのため、方式別の費用構造を把握して、予算を計画します。
費用の詳細は、CTI(コールセンターシステム)開発の費用相場の記事をご覧ください。
規模・機能別の費用目安
クラウド型は、初期費用と月額費用が基本になります。席数や追加機能によって、月々の負担が変わります。
- 初期費用:0円〜30万円程度です。
- 月額料金:1席(1ライセンス)あたり2,400円〜15,000円で、一般的な相場は5,000円〜15,000円です。
- 10席:月額2.4万円〜15万円程度が目安。
- 50席:月額12万円〜75万円ほど。
- 100席:月額24万円〜150万円ほど。
低価格帯には、月額2,400円/IDから使えるサービスもあります。ただし、機能が限られることが多く、録音ストレージや高度なレポートが別料金になる場合があります。
オンプレミス型は、機器・構築・ライセンスの費用を含むため、席数ごとの初期費用を比べながら予算を検討します。
- 小規模(10〜20席):150万円〜500万円程度。
- 中規模(50席前後):500万円〜2,000万円程度。
- 大規模(100席超):2,000万円〜1億円以上に及ぶケースもあります。
保守・運用費用は、初期構築費の15〜20%を年間費用として見込むのが一般的です。
スクラッチ(フルカスタム)開発の総費用は、500万円〜5,000万円以上です。費用には要件定義から本番稼働までが含まれ、金額は機能数・連携システム数・開発期間によって変わります。
コスト削減のポイント
CTIの開発・導入コストを抑えるには、着手範囲、連携方法、見積もりを順に見直すことが有効です。
- スモールスタート:ポップアップ・通話録音・ACDを10〜20席で始め、効果を見て広げる。
- 連携調査:既存システムのAPI仕様を事前に確かめる。
- パッケージ活用:市販クラウドCTIを使い、独自開発はAPI連携に絞る。
- 相見積もり:複数社の見積もりを比べ、SIer費用を見直す。
全機能と全席を一度に始めず、段階的に広げることで、初期投資のリスクを最小限に抑えられます。標準APIがあるシステム同士の連携は、比較的低コストで済みます。一方で、APIのないレガシーシステムでは、画面スクレイピングやCSVインポートなどの代替策に追加費用がかかります。
連携先のAPI仕様を事前に調べると、見積もりの精度が上がります。さらに、クラウドパッケージを活用すれば、開発費用をゼロに近づける選択肢にもなります。
特殊なIVRルーティングや専用の後処理フローがある場合は、カスタム開発が必要です。なお、同じ要件でも、ベンダーにより見積もりが2〜3倍異なる場合があります。
相見積もりは、最低3社から取ることが推奨されています。要件をそろえたうえで、金額や提案内容を確認します。
開発会社の選び方と発注ポイント
開発会社は、自社の要件と課題を理解し、CTI領域での実績や技術力を備えた企業から選びます。
おすすめの会社については、CTI(コールセンターシステム)開発でおすすめの開発会社の記事で紹介しています。
選定基準と確認事項
選定の際は、技術実績、保守体制、見積もりの透明性を確認します。CTI特有の経験については、事例や担当者の技術から見極めます。
- 開発実績:CTI・コールセンターシステムの納品事例を確かめる。
- 保守体制:障害時の応答と復旧目標。
- 見積もり:工程別の内訳と、追加費用が生じる条件。
Webの一般的な開発と比べると、CTIではPBX連携とSIPプロトコル、CTIミドルウェアやリアルタイム処理に関する知識が求められます。
「50席規模の構築」や「基幹システムとのCTI連携」といった具体例を、3件以上確認しておくとよいでしょう。
コールセンターは24時間365日稼働する場合が多く、夜間や休日にも障害対応が必要になります。そのため、SLA(サービスレベルアグリーメント)で一次応答時間とRTO(復旧目標時間)を、契約前に明記しておきます。
見積もりには、要件定義から運用保守までの内訳を含めてもらうことが必要です。あわせて、追加費用が生じる条件も確認します。
曖昧な見積もりは、追加費用をめぐるトラブルにつながりがちです。項目が細かく記載された提案を選ぶことが賢明です。
発注前の準備と流れ
発注前には、現状の課題と希望機能を整理します。規模、予算、スケジュールも整理しておくと、情報がそろい、各社の提案を同じ条件で比べられます。
- RFI(情報提供依頼書):候補会社に情報提供を求め、技術理解度や提案の質を比べる。
- RFP(提案依頼書):具体的な要件を示し、提案書と見積書を依頼する。
RFPには、席数や月間受電件数、連携システムとAPI仕様、希望機能と優先度を記載します。さらに、予算上限、稼働希望日、保守要件も含めます。
発注は、相見積もりから契約、プロジェクト開始へと順に進みます。そのため、発注の予定は、比較検討やデモにかかる期間も踏まえて立てます。
- 3〜5社へ相見積もりを依頼します。
- 提案書・見積書を受け取り、2〜3週間かけて比べる。
- 1〜2社の候補とデモ・ヒアリングを行う。
- 最終候補と条件の交渉。
- 契約を締結する。
- キックオフを行い、プロジェクトを始めます。
比較では、提案の具体性、課題理解、営業・エンジニアの対応品質も、価格とあわせて評価します。
契約書には、仕様変更の手続きと追加費用の算出基準を明記します。加えて、知的財産権や個人情報の取り扱い、瑕疵担保期間も盛り込みます。
発注から稼働までは、クラウド型の標準導入なら1〜3ヶ月、カスタム開発を伴う場合は4〜12ヶ月程度が目安です。
発注方法の詳細は、CTI(コールセンターシステム)開発の発注・外注方法をご覧ください。
CTI導入の成功事例
コールセンター業務効率化の事例
業務効率化につながった2社について、規模と導入方式を比べます。
- A社:従業員約300名の食品宅配会社。100席の受電窓口でクラウド型CTIを導入。
- B社:売上高500億円規模の通信機器メーカー。複数拠点、200席でオンプレミス型を導入。
A社では導入前、顧客情報を口頭で確認して入力しており、1件あたり平均14分かかっていました。導入後は、CTIとCRMで情報を表示する形になり、AHTは14分から9分へ約36%短縮されました。
また、A社はIVRで担当部署へ自動で振り分け、転送ミスを従来比90%削減しました。さらに、オペレーターの精神的ストレスも軽減したとの報告があります。
B社は、通話負荷の分散とAI FAQ連携による一次解決率の向上を目指しました。IVRとAIチャットボットで単純な問い合わせを自動対応したところ、着信は月間約3,000件となり、導入前より約15%減りました。
B社の後処理時間は、平均5分から3.5分へ短縮されました。加えて、音声認識AIで通話をテキスト化・要約したことにより、B社の品質チェックは週8時間から2時間に減りました。
顧客満足度向上の事例
顧客の過去情報を応対に活用した2社について、導入前の課題と仕組みを比べます。
- C社:精密機器メーカー。顧客は問い合わせのたび、製品・シリアル番号・過去の履歴を説明していました。
- D社:タクシー配車サービス。常連客がよく利用する乗り場・目的地を画面に表示しました。
C社はCTIとCRMを統合し、電話番号で顧客を識別して履歴を表示するようにしました。これにより、担当者は「前回ご報告のXX症状についてご連絡いただいたのですね」と文脈を把握して応対できます。
C社のアンケートでは、「対応の丁寧さ」が68点から84点へ16ポイント向上し、リピート率も8ポイント上昇しました。
D社はクラウド型CTIをディスパッチシステムと連携しました。その結果、乗り場・目的地の確認が通常1〜2分から10〜20秒になり、配車完了まで平均2分短縮しました。
顧客アンケートでは、スタッフが自分を覚えているという感想が増えました。応答率も82%から94%へ12ポイント上昇しました。放棄呼の削減による機会損失の回避額は、月間売上換算で年間約800万円と試算されています。
まとめ
CTIは、コンピュータと電話を統合し、コールセンターの効率化や顧客満足度の向上を支える仕組みです。主な機能は、ポップアップやIVRによる着信対応を中心に、通話録音やクリックtoコールなどがあります。
クラウド型は初期費用0円〜、月額5,000円〜15,000円/席が相場です。一方、オンプレミス型は初期費用が50万円〜数千万円で、方式ごとに特徴と費用の構造が異なります。
導入の検討では、まずKPIを把握し、連携先のAPI仕様を確かめてから要件を定めます。会社選びでは、CTIの技術実績、サポート体制、見積もりの透明性を確認します。
本番導入は段階的に行い、導入後もKPIで効果を測定します。また、検討の初めに自社の課題を整理し、複数の開発会社に相談します。
▼関連記事一覧(再掲)
・CTI(コールセンターシステム)開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・CTI(コールセンターシステム)開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・CTI(コールセンターシステム)開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・CTI(コールセンターシステム)開発の発注/外注/依頼/委託方法について
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
