防災情報システムの開発会社を選ぶなら、機能数や企業規模だけでなく、災害時の業務フロー、既存システムとの連携、訓練と保守まで一緒に設計できる会社を選ぶことが重要です。候補として、株式会社ripla、NEC、NTT東日本、NTTデータ、日立、パスコが挙げられます。
この記事では、防災情報システムの発注先を比較検討している自治体・公共機関の担当者に向けて、実在する6社の特徴と適性、選定時の確認ポイントを解説します。単なる製品比較にとどめず、情報収集から判断、承認、一斉配信、記録、訓練までの一連の流れで、どの会社に何を相談すべきかを整理します。
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・防災情報システム開発の完全ガイド
防災情報システムのパートナー選びが重要な理由

防災情報システムは、平時の情報整理だけを目的にした業務システムではありません。災害発生時に限られた職員が短時間で情報を集め、被害の全体像を把握し、避難や応急対応を判断し、住民と関係機関へ確実に伝えるための業務基盤です。したがって、開発会社には画面を作る技術だけでなく、災害対応の現場を理解して要件へ落とし込む力が求められます。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
災害時には、現場から届く被害報告、避難所の開設状況、河川水位、雨量、カメラ映像、住民からの通報など、形式の異なる情報が同時に集まります。これを職員が電話や紙、Excelへ転記し続ける設計では、入力の遅れや二重入力が起こり、判断に必要な情報が会議に間に合わない可能性があります。導入前に「誰が、何を、何分以内に入力・承認・発信するか」を決め、その流れを画面と権限に反映できるパートナーを選ぶ必要があります。
内閣府の新総合防災情報システム(SOBO-WEB)は、令和6年4月から運用され、約1,900機関が利用しています。災害対応基本共有情報(EEI)に基づき、情報を地理空間情報として共有する基盤であるため、自治体側のシステムも国・都道府県・周辺自治体とデータを受け渡す前提で設計することが大切です(出典: 内閣府「新総合防災情報システム(SOBO-WEB)について」、2026年確認)です。
発注前に確認すべきポイント
発注前には、既存の防災行政無線、Lアラート、気象庁防災情報XML、河川テレメータ、メール配信、SNS、GIS、避難所管理、被災者支援システムを一覧化します。各データについて、保有者、更新頻度、APIやファイルなどの連携方式、障害時の代替手段、保存期間を整理すると、提案会社ごとの見積条件をそろえやすくなります。
また、庁舎が使えない場合の代替拠点、アクセス急増時の性能、通信断時の手動運用、バックアップからの復旧時間、災害時の連絡窓口を確認します。稼働率だけでなく、RTO・RPO、サポート開始までの時間、現地支援の条件、再委託先、データを取り出せる形式まで契約書に明記できる会社が望ましいです。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの強みは、現場の業務を聞き取り、必要な機能と運用ルールを整理したうえで開発へつなげられる点です。防災情報システムでは、災害対策本部、危機管理、消防、福祉、広報、情報政策、避難所など複数部門の要件が関係します。まず現行の紙・電話・Excelの流れを可視化し、優先する災害シナリオを絞ってPoCを行う進め方であれば、要件が膨らみすぎるリスクを抑えられます。
得意領域・実績
公開されている紹介内容から、riplaは特定の防災パッケージだけを提供する会社というより、業務要件に合わせたシステム構築・導入と定着支援を相談しやすい会社です。既存のGISや配信サービスを活用しながら、職員向けの情報入力、承認ワークフロー、ダッシュボード、庁内データ連携などを段階的に整えたい場合に適しています。自治体固有の帳票や承認経路を含め、まず相談内容を要件定義へ落とし込みたい組織に向く候補です。
日本電気株式会社(NEC)|自治体向け防災情報と運用支援

NECは、自治体向けの防災情報システムを公開している大手システムインテグレーターです。公式情報では、分散して存在する災害データを一元管理・正規化し、AIを活用した分析によって、災害対策本部の被害状況把握や意思決定を支援すると説明しています。自治体全体の情報基盤として、収集から分析、対応までをまとめて検討したい場合の候補です。
特徴と強み
NECの公式ページでは、気象や河川などの外部情報、現場からの報告、自治体内に蓄積された情報を集約し、状況を把握する考え方が示されています。さらに、訓練内容や支援サービスを組み合わせた防災BPOも案内されています。システムを導入して終わりにせず、平時の訓練や有事の情報収集まで含めて運用を設計したい自治体にとって、相談範囲を広げやすい点が強みです。
得意領域・実績
NECは、都道府県・市区町村の災害対応を対象に、被害情報の一元化、外部動的情報の取り込み、分析、訓練支援を一体で提案したい案件に適しています。特に、複数部門の情報を災害対策本部へ集約し、AIなどを使って確認作業を効率化したい場合に検討しやすいです。一方で、自治体の規模や既存設備によって構成が大きく変わるため、標準機能と個別開発の境界、データ移行費、災害時の運用支援費を提案書で分けて確認することが必要です。
東日本電信電話株式会社(NTT東日本)|通信・運用・自治体導入を一体化

NTT東日本は、通信事業者としてのネットワーク・運用基盤と自治体向けのシステム構築を組み合わせて相談しやすい会社です。世田谷区の公式導入事例では、約100か所の避難所状況をリアルタイムに把握し、被害情報や拠点の体制、住民向けの情報発信をシステム化したと紹介されています。紙やホワイトボード、電話に分散していた災害対応を、地図と時系列で共有したい自治体に適しています。
特徴と強み
世田谷区の事例では、避難所や各拠点の状況を入力するだけで全体に共有し、メールやSNSなど複数媒体への情報配信も一括化しています。また、実災害での稼働経験、継続的なソフトウェア更新、災害時のサポート職員派遣条件、実践的なクロノロジー研修が選定の評価ポイントとして紹介されています。システムの操作教育まで含めて、導入後の定着を重視したい場合に参考になる実績です。
得意領域・実績
避難所が多い都市部、拠点間の電話確認が負担になっている自治体、通信回線やクラウド運用も含めて任せたい案件では、NTT東日本が有力な候補になります。比較時には、対応可能な避難所数や拠点数、住民向け配信チャネル、既存の無線・メール・SNSとの連携可否を同じ条件で質問します。特に「災害発生から何時間以内に、どの範囲の支援を受けられるか」を書面で確認することが大切です。
株式会社NTTデータ|広域連携とデジタル防災基盤

NTTデータは、防災・レジリエンス領域で、自治体や公共機関を含む複数の関係者を情報でつなぐ大規模な基盤を提案している会社です。公式サイトでは、災害対応のプロダクトをつなぐデジタル防災プラットフォーム「D-Resilio」を紹介し、危機管理・災害対策本部の情報共有や指揮統制を支援するサービスも公開しています。国・都道府県・市区町村など、複数レイヤーの連携が必要な案件で検討しやすい候補です。
特徴と強み
NTTデータの防災・レジリエンス情報では、気象・地震・津波・観測情報などを集約・可視化する「EYE-BOUSAI」や、災害対策本部の状況認識と指揮統制を支援するサービスが案内されています。行政内部だけでなく、重要インフラ事業者、関係機関、支援者との情報共有を考える場合は、単独システムの機能よりも、データ連携基盤と責任分界を含めた全体設計を相談できる点が強みです。
得意領域・実績
都道府県を中心に広域の防災情報を集約したい場合、既存の自治体システムと外部サービスを組み合わせたい場合、将来のAI・衛星・ドローン活用を見据える場合に適しています。NTTデータは選択肢が広い分、提案時には「今回の本番範囲」と「将来構想」を分けて示してもらうことが必要です。D-Resilioなど既存サービスを利用する部分と、個別開発・他社連携となる部分を明確にし、5年間の費用と改修条件を比較します。
株式会社日立製作所|洪水予測・AI・データ活用の防災DX

日立製作所は、防災DXの技術動向や自治体向けサービスを公開しており、洪水予測、避難・緊急活動支援、秘匿情報管理、映像解析AIなどを組み合わせて検討できる会社です。公開情報では、河川に関する予測システム「DioVISTA」による洪水予測や、浸水想定区域の可視化、避難・緊急活動支援の情報整理が紹介されています。水害対策や観測データの活用を重視する案件で候補になります。
特徴と強み
日立の特徴は、発災後の報告管理に加えて、河川・雨量・地図・シミュレーション・映像などを使った予測と状況把握を重ねられる点です。災害情報に個人情報や要配慮者情報が含まれる場合には、秘匿化・仮名化、権限分離、ログ管理も要件になります。災害現場の映像を共有する場合も、利用目的、閲覧者、保存期間、第三者提供の扱いを事前に決める必要があります。
得意領域・実績
河川氾濫や内水氾濫のリスクが高い地域、センサーやカメラをすでに保有している自治体、AIによる被害把握やドローンの活用を検討する組織に向いています。導入時には、予測結果を誰がどの基準で避難判断へ使うのかを決めます。AIの判定をそのまま住民へ配信するのではなく、職員の確認、承認、発信、事後検証までを業務フローに組み込めるかを評価することが重要です。
株式会社パスコ|GIS・航空測量・衛星画像に強い空間情報会社

パスコは、航空・衛星画像、測量、GIS、災害分析などの空間情報に強みを持つ会社です。公式情報では、災害緊急撮影による航空写真や衛星画像、被災状況分析を自治体や関係機関へ提供し、二次災害の予防や復旧計画に役立てる取り組みが紹介されています。総合SIの主契約者だけでなく、GIS・ハザードマップ・被害想定の専門パートナーとして検討できます。
特徴と強み
パスコは、河川・砂防の調査や計画、ハザードマップ作成、防災アセスメントなど、地域のリスクを地図へ落とし込む業務に適しています。被災前後の画像を比較したり、浸水想定区域、人口、施設、道路、避難所を重ねたりすることで、災害対策本部の判断材料を整えられます。住民向けの情報公開では、専門的な地図をそのまま見せるのではなく、避難行動につながる表現や説明会まで含めて設計することが大切です。
得意領域・実績
土砂災害、洪水、地震、津波などのハザード情報を更新したい自治体、GISを庁内共通基盤として使いたい組織、航空・衛星画像を発災直後の状況把握へ活用したい案件に向いています。パスコへ相談する場合は、総合防災情報システム全体の構築範囲、災害対策本部のワークフロー、通知配信や被災者支援との連携をどこまで担当できるかを確認します。空間情報の専門性を生かし、他社SIと役割分担する提案も現実的です。
防災情報システムのパートナー選びで比較すべきポイント

6社は、同じ基準で機能数を比べて決めるものではありません。自自治体の災害リスク、組織規模、既存システム、職員体制を前提に、同じ災害シナリオを使って提案内容を比較します。おすすめの会社が一社に決まるのではなく、要件によって最適な会社や組み合わせが変わります。
実績と経験の確認方法
実績は、導入社数だけでなく、自自治体と似た人口規模、地形、災害種別、拠点数、既存設備を持つ自治体での稼働経験を確認します。提案会社には、実災害での稼働事例、訓練の実施回数、職員の操作定着策、災害時の支援体制、問い合わせから現地到着までの条件を質問します。NTT東日本の世田谷区事例のように、実災害での実用性や訓練内容を具体的に確認できると、導入後の姿を想像しやすいです。
技術力と専門性の評価
技術面では、SOBO-WEB・EEI、気象庁防災情報XML、Lアラート、河川情報、GIS、通知チャネルとの連携実績を確認します。2026年5月29日から気象庁は新たな防災気象情報の運用を開始し、警戒レベルに対応した情報体系へ改善しています。既存の電文や画面表示を将来変更できる設計か、仕様変更時の改修費が保守料に含まれるかを提案段階で確認することが必要です(出典: 気象庁「新たな防災気象情報について」、2026年)です。
個人情報を扱う場合は、認証・権限、LGWAN接続、ネットワーク分離、暗号化、監査ログ、脆弱性対応、バックアップ、データ削除、再委託管理を確認します。クラウドを利用する場合は、ISMAP登録の有無だけで判断せず、自治体の情報セキュリティポリシー、データ保管場所、障害時の復旧手順、解約時のデータエクスポートを確認することが大切です。
プロジェクト管理体制の確認
防災情報システムでは、要件定義後にデータ仕様や承認経路が変わることがあります。プロジェクト責任者、業務設計担当、連携担当、セキュリティ担当、運用保守担当が誰なのか、自治体側の窓口とどの頻度で会議をするのかを確認します。RFIやRFPでは、必須機能、加点機能、将来拡張を分け、同じ災害シナリオでデモを依頼すると比較しやすいです。
費用も、初期構築、ライセンス、API連携、GISデータ整備、移行、研修、訓練、クラウド、監視、保守、災害時支援に分けて提示してもらいます。小規模な標準クラウドは初期50万〜300万円、年額30万〜100万円程度という下限目安がありますが、これは連携や個別開発を含まない編集部推定です。一方、鳥取県の令和7年度資料では、防災ポータルの機能追加13,744千円、保守・回線12,043千円などが示されており、自治体規模と対象範囲で金額が大きく変わります(出典: 鳥取県「令和7年度当初予算説明書」、2025年)です。
よくある質問

防災情報システムの発注では、費用、開発期間、既存システムとの連携、パッケージとスクラッチの違いについて質問が多く寄せられます。ここでは、会社選びの前に確認しておきたい代表的な疑問へ直接回答します。
防災情報システムの開発費用はいくらですか?
標準クラウドの小規模導入であれば初期50万〜300万円、年額30万〜100万円程度が一つの目安ですが、公開された一律価格ではなく、連携・研修・保守を含まない編集部推定です。API連携を複数追加する場合は数千万円規模になる可能性があり、県規模の機能追加・保守では1,000万円を超える公開予算例もあります。対象機能と5年TCOを分けた見積もりで比較する必要があります。
パッケージとスクラッチ開発はどちらがよいですか?
短期間で標準機能を使い始めたい場合はパッケージやSaaSが向いており、地域固有の業務や既存設備に深く合わせたい場合は個別開発が向いています。ただし、全面スクラッチにすると、制度・API・気象情報の変更に伴う改修費とベンダー依存が大きくなります。標準基盤を採用し、避難所、承認経路、帳票など本当に必要な部分だけを追加開発するハイブリッドが現実的な選択肢です。
開発・導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
標準機能中心の導入は1〜5か月程度、要件定義や複数の外部連携を含む自治体案件は6か月〜1年程度を見込むことが多いです。県・政令市で複数拠点、無線、GIS、被災者支援、冗長化まで含める場合は9〜24か月の計画になる可能性があります。短納期で始める場合も、対象災害・部署・避難所を絞った実証フェーズと、本番拡張フェーズを分けることが重要です。
まとめ

防災情報システムの開発会社選びでは、会社の知名度や機能一覧だけでなく、自自治体の災害対応を実際に改善できるかを確認します。株式会社riplaは業務整理から開発・定着まで一気通貫で相談しやすく、NECは自治体向けの情報集約・分析と訓練支援、NTT東日本は通信・運用と自治体導入、NTTデータは広域連携とデジタル防災基盤、日立は洪水予測・AI・データ活用、パスコはGIS・航空測量・衛星画像に強みがあります。
相見積もりでそろえる要件
相見積もりでは、同じ災害シナリオ、同じ拠点数、同じ連携先を渡し、入力から判断、承認、一斉配信、記録、訓練までの操作をデモしてもらいます。SOBO-WEB・EEI、気象庁XML、Lアラート、河川情報、既存無線・メール・SNSとの連携、庁舎被災時の代替運用、アクセス急増、バックアップ復旧、職員異動後の研修を必須確認項目にします。
最初に取り組むべきこと
最初に、発災前・発災直後・応急対応・復旧の各段階で、誰がどの情報を扱い、何分以内に何を決めるのかを棚卸しします。そのうえで、標準機能で合わせる業務と追加開発する業務を分け、RFIで候補会社へ相談します。価格だけでなく、5年間の総保有コスト、仕様変更への対応、災害時のSLA、訓練と保守の実効性まで比較することで、導入後に使われ続ける防災情報システムへ近づけられます。
▼全体ガイドの記事
・防災情報システム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
