防災情報システムの発注は、災害シナリオの整理、RFI・RFPによる条件の提示、見積の比較の順に進めます。この流れが、災害時に使える業務基盤につながります。
発注形態、要件整理と契約、費用相場、委託先選定の順に解説します。全体像は、防災情報システム開発の完全ガイドもご覧ください。
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防災情報システムを発注・外注する前に知っておきたい全体像

防災情報システムは、災害情報を集めて表示するだけでなく、現場や住民からの情報収集、災害対策本部での判断、避難所や被災者の状況管理、住民・関係機関への情報発信、復旧・復興の記録までをつなぐ業務基盤です。発注の段階では、画面の見た目より先に、情報の流れと責任分担を決めておく必要があります。
防災情報システムが支援する業務
災害時の情報収集から住民への発信まで、防災情報システムは本部や避難所の業務をつなぎます。
- 情報の収集・共有:災害情報の収集と、GISの地図への表示
- 本部・避難所の業務:クロノロジーや指示、開設・混雑・物資の管理
- 被災者支援・情報発信:被災者台帳や罹災証明の扱い、メール・Web・SNSでの一斉発信
- 外部情報との連携:気象庁防災情報XML、河川情報、Lアラート、防災行政無線、庁内システムとの接続
被災者支援の領域と住民向けの公開情報の領域は、同じ権限で運用しない設計にすることが重要です。
発注書に「防災情報を一元管理するシステム」とだけ書くと、各社の提案範囲がそろわず、比較しにくくなります。そこで、地域の優先シナリオを一つ選び、関係者の役割を具体化します。
- 優先シナリオ:地震、洪水、土砂災害、高潮などの候補
- 情報の役割:「受け取る人」「判断する人」「承認する人」
- 発信と記録:「発信する人」「記録を確認する人」
役割が具体になると、必要な機能と不要な機能を切り分けやすくなります。
公開情報と庁内情報の分離
公開情報と庁内情報は、届ける範囲も管理の厳しさも異なります。そのため、画面と権限は次のように分けて設計します。
- 住民向け:避難情報や通行規制を広く届ける対象
- 厳格な管理が必要な情報:要配慮者情報、被災者台帳、職員の連絡先、未確認の被害報告
- 画面の分離:公開ポータル、職員・関係機関向けの画面、個人情報を扱う業務画面
認証、権限、ネットワーク、データ分類の各面で分離し、誰が閲覧・登録・承認・出力できるかは権限表に書いておきます。
内閣府のSOBO-WEBは2024年4月に運用を開始しました(出典: 内閣府「新総合防災情報システム(SOBO-WEB)について」、2026年確認)。2026年時点では、各省庁や地方自治体など約1,900機関が利用しています。
このシステムは、EEIに基づく情報を地理空間情報として共有し、災害対応機関が被害状況を俯瞰する仕組みです。そのため、自組織のシステムをSOBO-WEBやEEIとどう接続するかは、今後のRFPで確かめておく事項になります。
防災情報システムの発注形態の選び方
発注形態には、SaaS・パッケージ、クラウド上の個別構築、スクラッチ開発があります。さらに、複数のサービスを組み合わせるハイブリッド方式もあります。
自治体固有の業務をすべて作り込む前に、災害時の中核業務と周辺業務を分けておくと、標準化できる範囲が見えてきます。
SaaS・パッケージが合うケース
標準業務から始めたい組織や、保守負担を抑えたい組織には、SaaSやパッケージが合います。導入後に困らないよう、目的に合うか、運用をどこまで任せられるか、契約で何が約束されるかを先に見ておきます。
- 導入の目的:短期間での導入と、情報収集・地図表示・一斉発信からの開始
- 運用負担:保守や機能更新を、自組織だけで抱え込まずに済むかどうか
- 標準機能と制約:共通機能で初期開発を抑えられる一方、独自の承認経路や帳票は再現できない場合があります
- 契約前の確認:アクセス急増時のSLA、データの所在、解約時の出力、API公開範囲
デジタル庁は、防災DXサービスマップ・カタログ、モデル仕様書、デジタルマーケットプレイスの活用を進めています(出典: デジタル庁「自治体における防災アプリ・サービス調達の迅速化・円滑化」、2026年確認)。
候補サービスは、カタログ掲載の有無を判断材料の一つとして、自組織の業務シナリオと連携要件を満たすかを提案依頼で確かめます。
個別構築・スクラッチ開発の判断基準
個別構築が要るかは、連携の深さと地域固有の業務の多さで決まります。方式ごとに、費用と改修の負担がどこに出やすいかを並べて比べます。
- 個別構築:防災行政無線、県のシステム、河川テレメータ、消防・福祉・住民情報と深く連携する場合
- 全面スクラッチ:要件が膨らみやすく、制度や外部APIが変わるたびに改修費が生じます
- 標準基盤への追加開発:独自性の高い承認・帳票・データ連携に絞り、費用と柔軟性の釣り合いを取る方法
ハイブリッド方式では、SaaSの防災ポータル、庁内システム、GIS、独自API、通知基盤などを組み合わせます。
これらをつなぐと、障害時の一次窓口やID連携、データモデル、バックアップの管理者が曖昧になりがちです。そのため、主契約者と再委託先の責任の分け方を、提案書と契約書に書いておきます。
発注前の要件整理の進め方

防災情報システムの発注では、まず現状業務と災害シナリオを整理します。そのあとで、データ、連携先、運用体制へと検討の範囲を広げます。
担当者だけで作ると、災害対策本部や現場の実態が抜けやすくなります。そのため、広報や福祉、消防などの部門と、情報政策の担当も加えて、部門横断のワークショップを実施します。
災害シナリオで決めること
地域の優先リスクを一つか二つ選び、災害対応の順序と担当を決めます。たとえば洪水の場合は、次の流れをシナリオにします。
- 気象情報や河川水位を受信し、地図で危険度を確認する。
- 避難所の開設状況を更新する。
- 避難情報を承認して発信する。
各工程で、誰が入力し、誰が確認して判断し、誰が発信するかを決めます。記録の保存先と目標時間も決めておくと、必要なワークフローが見えてきます。
平時の訓練では、仮想の被害報告を入力し、本部で集約するところから始めます。地図表示から承認、一斉配信まで実際に操作し、クロノロジーの記録も残します。
訓練で入力の重複や、同じ情報を電話・Excel・システムへ三重に登録する事例、未承認情報の誤配信が見つかれば、それを要件に反映します。評価の軸は、初動の遅れと二重入力をどれだけ減らせるかに置きます。機能の数を並べるより、この点を優先して比べます。
既存システムとの連携要件
連携一覧には、接続先ごとに次の情報を書きます。
- データ仕様:データ項目と送受信の方向、更新頻度、形式、認証方式
- 運用条件:障害時の代替手段、データ所有者、テスト環境の有無
- 接続対象:気象庁防災情報XML、河川情報、Lアラート、県・国の基盤、防災行政無線、メール、SNS、Web、消防・福祉・住民情報など
- 仕様書がない場合:RFPで前提条件と追加費用の見積方法を回答してもらいます
気象庁は2026年5月29日から、警戒レベルと対応しやすい新たな防災気象情報の運用を開始しました。大雨や土砂災害、高潮などの情報体系も変わっており、機械判読用XMLの新しい資料とサンプルも公開されています(出典: 気象庁「新たな防災気象情報について」、2026年確認)。
XMLの取り込みは、仕様変更を前提に考えておく必要があります。そのため、仕様変更時の改修費、試験期間、切替手順を契約の範囲に含めます。
セキュリティと災害時継続の要件
個人情報を扱う場合は、情報保護と委託管理に必要な項目を、セキュリティ要件として定めます。
- アクセスと保護:認証、多要素認証、役割別の権限、通信・保存時の暗号化
- 記録と継続:操作ログ、脆弱性への対応、バックアップ
- 委託先管理:再委託を行う場合の承認の取り決め
- 組織・クラウド条件:自治体の情報セキュリティポリシー、LGWAN接続、候補クラウドのISMAP登録状況
ISMAPに登録されていることは、安全性を判断する材料の一つです。ただし、対象サービス、運用責任、ログ保管期間、インシデント時の報告手順も、あわせて見ます。
災害時は、庁舎の被災、停電、通信断、アクセス急増を想定します。そのうえで、RTOは復旧期限、RPOは復元できるデータの時点として明記します。
複数拠点のバックアップや代替回線、手作業への切替を確かめます。加えて、障害時の連絡先と現地支援の到着条件は、契約前に決めておきます。訓練で復旧と切替ができることを、受入条件にします。
RFI・RFPで発注条件を伝える方法
RFIは、市場にどのようなサービスや技術があるかを把握するための情報提供依頼です。RFPは、具体的な提案と見積を求める提案依頼です。
一社の製品仕様に合わせる前に、RFIで選択肢と制約を把握します。そのうえで同じ条件のRFPを配布すると、比較できる提案が集まりやすくなります。
RFIに書く内容
RFIでは、自組織の前提を示したうえで、製品の対応範囲と価格の内訳を尋ねます。
- 示す前提:組織の規模や対象部署、想定災害、既存システム、連携先、導入希望時期、予算検討の前提、運用できる職員数
- 求める提示:製品の機能一覧に加え、標準機能で対応できる範囲、追加開発が必要な範囲、APIの公開条件、データ移行方法、災害時サポート、導入事例
- 価格の内訳:初期費用、月額・年額、連携費、移行費、訓練費、保守費を分けた回答
RFIの回答は、「標準設定」「追加設定」「個別開発」「外部サービスが必要」の四つに分けて比べます。できるかどうかの二択より細かく見ると、提案の差が分かります。
災害時の現地支援や職員向け研修を提供できるかも確かめます。要件を変えた場合は、変更内容と見積への影響を記録しておくと、RFP後の認識違いを抑えられます。
RFPの必須・加点・将来要件の分け方
要件は、導入時に必ず満たす必須条件、提案の評価項目、将来の拡張の三つに分けて書きます。
- 必須要件:登録・承認・履歴管理、外部連携、権限、ログ、バックアップ、可用性、アクセシビリティなど、業務成立に必要な条件
- 加点要件:多言語・やさしい日本語、AIによる情報整理、スマートフォン入力、オフライン入力、訓練シナリオ機能など
- 将来要件:被災者支援、センサー追加、広域連携、分析機能など(初回開発の範囲からは切り分けて扱う)
RFPでは、同じ洪水や地震のシナリオを使ったデモを求めます。候補会社には、「情報受信から地図表示」「現場報告の登録」「本部での集約と指示」「承認後の一斉発信」「対応履歴の出力」までを実演してもらいます。
録画された説明や機能表よりも、実際の操作で二重入力や承認漏れ、誤配信防止を比べることが大切です。通信断やデータ出力のしやすさも、同じ場で確かめます。
提案の評価配点の設計
価格だけで決めると、連携や訓練が別発注になり、結果的に高くなることがあります。そこで評価軸は、調達方式に沿って次のとおり設定します。
- 機能と連携:業務への適合性、データ移行、拡張性
- 安全性と運用:災害時の可用性、セキュリティ、運用・訓練支援
- 体制と費用:導入体制の評価に加え、価格配点を全体の30%以下とする例もあります
- 失格条件:必須要件を満たさない提案を、価格にかかわらず失格とする方法もあります
提案書の実績欄では、導入件数に加えて、同規模の自治体での稼働年数や、実災害・訓練での利用を確かめます。件数だけでは中身が見えにくいため、対応の実際と担当の範囲まで読み取ります。
- 対応実績:障害対応と職員研修の実施回数
- 担当範囲:再委託先が担う範囲
- 課題との適合:会社の得意な災害種別や機能が、自組織の課題に合うか
- 運用改善:知名度や機能数より、平時から災害対応のフローを改善できるか
契約形態と委託範囲の決め方
防災情報システムでは、要件定義、設計・開発、データ移行が一つの契約に見えても、成果物と責任は工程ごとに異なります。テストや研修も、工程ごとに分けて見る必要があります。運用保守や災害時支援も、同じ見方で分けて扱います。
契約形態は業務の性質に合わせて選びます。要件が固まっている部分と、調査や伴走が必要な部分を分けておくと、変更時のトラブルを減らせます。
請負契約と準委任契約の使い分け
契約形態は、成果物の完成を求める工程なのか、専門家の支援を求める工程なのかで使い分けます。
- 請負契約:成果物を完成させ、検査・受入を行う開発です。画面、API、帳票、テスト結果、操作マニュアル、移行結果を定めます
- 準委任契約:現状調査、業務整理、要件定義支援、技術調査、運用改善など、専門家による業務支援
- 二段階方式:要件定義を準委任で行い、確定後の開発を請負にする方法
請負では、受入条件と不具合対応を決めておく必要があります。要件が曖昧なままだと、追加の要望が変更契約になり、納期と費用の調整も難しくなります。
準委任では、善管注意義務のもとで作業を進めます。作業時間や体制に加えて、会議体とレビューを契約に含めます。成果物と意思決定の記録も、契約で定めます。
SLAと災害時サポートの契約事項
SLAと災害時支援では、応答・復旧と連絡体制を契約で定めます。
- 障害対応:稼働率、障害の検知、一次回答、復旧目標、経過報告、再発防止報告
- 緊急連絡:連絡先、24時間対応の有無、休日・夜間の扱い、通信断時の連絡手段
- 現地支援:支援条件と、大規模災害で対象地域が広がった場合の優先順位。事前の協議が必要です
再委託が行われる場合は、再委託先の社名と担当工程を把握します。アクセスするデータ、セキュリティ審査、事故時の責任も、あわせて押さえます。
契約終了時に備えて、データの返却・消去とバックアップを定めます。API仕様書やソースコード、移行支援期間も契約に入れ、標準形式でのデータ出力を明記します。
防災情報システムの費用相場と見積の内訳
防災情報システムには全国共通の定価がなく、費用の桁は機能の範囲で大きく変わります。情報収集や一斉発信だけか、無線や住民アプリ、被災者支援まで含むかで違いが出ます。
ここで示す金額は、公開価格ではなく、公開Q&A、自治体予算、類似の公共システムの情報から整理した発注前の目安です。最終的には、対象機能と連携範囲をそろえた個別見積で確かめる必要があります。
導入パターン別の費用相場
標準クラウドやパッケージを小・中規模で導入する場合は、初期費用、年額、5年間の総保有コストで比べます。
- 初期費用:50万〜300万円の範囲
- 年額:30万〜100万円の範囲
- 5年間の総保有コスト:おおむね200万〜800万円の範囲
この目安は、標準機能を中心にしたものです。連携やデータ移行を加えると上振れし、研修や個別帳票、災害時の現地支援も費用を押し上げます。見積には、SaaSの利用料に加えて、APIや運用設計の費用も含めます。
県規模の公開予算の例として、鳥取県の令和7年度資料には、防災情報ポータルの機能追加13,744千円が記載されています(出典: 鳥取県「令和7年2月定例会 議案説明資料・令和7年度当初予算説明書」、2025年)。
同資料では、令和8年度の債務負担行為が15,495千円、既存ポータルの保守・回線接続費が12,043千円です。
この事例は、河川情報や高所カメラの連携、地図表示、気象庁XMLの仕様変更への対応を含んでいます。そのため、他の組織にそのまま当てはまる価格ではありません。県・政令市など既存システムが多い組織では、連携と保守が大きな費用要因になります。
見積書の費用項目の分け方
見積項目は、次のとおり作業や費用の性質ごとに分けます。
- 設計・利用:要件定義・業務設計と、ライセンスやSaaS利用料
- 構築・連携:画面・ワークフロー設定、GIS・地図データ整備、API・既存システム連携
- 基盤・移行:インフラ・冗長化・バックアップと、データ移行
- 試験・運用:テスト、訓練、本番移行、保守・監視、災害時の現地支援
初年度だけの費用、毎年かかる費用、利用量に応じて増える費用を分けておくと、5年TCOを計算できます。
国のクラウド型被災者支援システムでは、ソフトウェアの開発費を内閣府が負担し、自治体はクラウド環境や通信環境などのインフラ使用料を負担する整理が示されています。
既存の住民情報システムからデータを出力したり連携を改修したりする場合は、住基ベンダーへの個別確認が必要です(出典: 内閣府・J-LIS「クラウド型被災者支援システムに関する主な質問と回答」、2025年)。
公的な支援制度や特別交付税、起債の対象になるかどうかも、予算要求の前に所管部署へ確かめます。
開発期間と5年TCOの見積方法
導入期間は、標準機能で足りるか、連携や個別開発がどれだけ多いかで大きく変わります。構成ごとに、どの幅で見込めばよいかを先に押さえておきます。
- 標準機能中心:1〜5か月
- 一般的な導入:要件定義から本稼働まで6か月〜1年
- 複雑な連携・スクラッチ:県・政令市などで9〜24か月を見込みます
短期で導入する場合は、最初の3か月に対象の災害種別・部署・避難所を限定し、後続の範囲を明示します。拡張の時期と予算が未定のままだと、終盤に要望が追加されて計画が崩れがちです。
5年TCOは、初期費用に5年分の利用料や保守費を加えて考えます。回線費やクラウドの従量費、訓練費も含めます。データ更新費と制度変更への対応費も、同様に加えます。
たとえば、初期構築が1,000万円で保守・利用料が年300万円なら、5年TCOは2,500万円になります。連携を別会社に毎年依頼すると、初期費用が安くても総額は上がります。そのため、同じ期間、連携、訓練回数の条件をそろえて見積を比べます。
委託先の選定と見積比較で失敗しないポイント

防災情報システムの委託先は、得意な領域が会社ごとに異なります。総合SIや通信・運用を得意とする会社もあれば、GIS・空間情報や気象・予測、被災者支援に強い会社もあります。
大手か中小かで絞り込む前に、必要な業務を主契約者が担えるかを確かめます。そのうえで、専門会社との連携を管理できるか、導入後も訓練と改善を支援できるかを見ます。
委託先の実績の確認項目
実績を見るときは、導入件数に加えて、同規模の自治体でどの業務が稼働し、どこと連携していたかを確かめます。
- 稼働業務:災害対策本部、現場入力、避難所、広報、被災者支援の範囲
- 既存連携:気象・河川・無線・GISとの接続実績
- 利用状況:訓練や実災害で使われたかどうか
- 裏付け資料:発注者への照会、操作画面、障害報告書、導入後の改善履歴を求めます
公開情報では、NEC、NTT東日本、NTTデータ、富士通、日立、パスコなどが、防災情報や自治体、GIS、予測分析、通信・運用の実績を公開しています。
知名度や紹介ページだけで順位をつけないために、同じ災害シナリオと評価表をRFPで渡します。標準機能、追加開発、連携、災害時支援を、同じ条件で比べます。
見積の横並び比較の方法
見積の金額の差が何から生じているかは、項目と条件をそろえてから、機能の適合とリスクに照らして初めて見えてきます。順に進めれば、差の理由がつかめます。
- 要件定義、基本設計、設定・開発、連携、移行、試験、研修、本番切替、保守、クラウド・回線、災害時支援を、共通様式の行に分けます。
- 各項目について、数量、単価、期間、前提条件、除外事項、追加時の単価を書いてもらいます。
- 「一式」だけの項目は、作業内容と完了条件の確認が必要です。
- 対応度とリスクを見たうえで、標準機能、設定変更、個別開発、別途契約に分けます。
- データ所有権、API仕様書、解約時の移行、責任の分け方、サポート時間、制度・XML変更対応を、契約条件として確認します。
対応方法を色分けすると、価格差の原因が分かります。そのうえで、最安値よりも、5年TCOと災害時の継続性を含めて総合的に評価します。
導入後に使われるシステムの条件
導入後は、対象を段階的に広げながら、訓練と改善を続けます。
- 小さく開始:数部署、数避難所、一つの災害種別から始め、入力から発信までを訓練する形
- 担当者交代に備える:動画・手順書に加えて、異動時研修を契約に含めます
- 実務の訓練:出水期前や夜間・休日を想定した訓練も、契約の対象にする
- 結果を記録:入力遅延、誤配信、二重入力、未確認情報の滞留、復旧時間
運用開始後も、マニュアル改定や制度変更に合わせて要件を見直します。外部API更新や組織改編も、見直しの対象になります。
委託先には、月次または四半期の運用報告を求めます。障害・脆弱性の報告やログ分析、改善提案も、あわせて求めます。
平時の訓練で運用を改善する契約が、実災害での利用率を高めます。
よくある質問(FAQ)
防災情報システムの発注では、費用や開発期間、既存システムとの連携、運用体制についての質問が多く寄せられます。発注前に判断しやすいよう、よくある疑問に直接答えます。
防災情報システムの開発費用は最低いくらからですか?
標準機能中心の小・中規模クラウドやパッケージなら、初期50万〜300万円、年額30万〜100万円程度が目安になります。
ただし、これは標準機能を前提にした目安です。GISやAPI連携、データ移行、個別帳票、研修、災害時支援を含めると増額になるため、必要な機能と5年分の運用費をそろえた見積で判断してください。
防災情報システムのRFPは自分たちだけで作成できますか?
現状業務と災害シナリオを整理できる担当者がいれば、基本的なRFPは作成できます。
APIやネットワーク、可用性まで抜けなく書くには、情報政策部門や外部の専門家によるレビューを受けると安心です。セキュリティやデータ移行、契約責任も対象になります。
まずRFIで市場の対応範囲を把握し、必須・加点・将来要件を分けてからRFPに落とし込むのが現実的です。
防災情報システムはSaaSとスクラッチのどちらがよいですか?
短期間で標準業務が中心ならSaaSやパッケージ、地域固有の業務や複雑な既存連携が中核なら個別構築が合います。
ただし、全面スクラッチに限らず、標準基盤に独自の承認・帳票・連携だけを追加する方式も有力です。自組織の災害シナリオを候補サービスで実演してもらい、標準機能で足りない部分の費用と将来の改修負担を比べて決めます。
災害時のサポートは契約で保証できますか?
保証できる範囲は、契約で定めます。稼働率に加えて、障害の一次回答や復旧目標、経過報告を定めます。緊急連絡先や夜間・休日対応、現地支援の条件、代替運用、再発防止報告も、SLAや運用仕様書に書きます。
実際に訓練で連絡網と復旧手順を試し、契約どおりに支援できるかを確かめておくことも必要です。
まとめ
防災情報システムの発注・外注・委託では、最初に地域の災害シナリオと業務の流れを整理します。そのうえで、標準機能と独自開発の境界を決めます。
RFIとRFPでは、同じシナリオ、同じ連携条件、同じ5年TCOの条件で、候補会社を比べます。
費用相場は導入範囲によって大きく変わります。そのため、初期構築費だけでなく、連携や移行、保守、訓練、災害時支援まで見積に含めることが大切です。
発注成功のために押さえる三つの要点
発注では、導入範囲の評価、契約条件、運用改善の三点を押さえます。
- 第一に:入力・判断・承認・発信・記録・訓練の流れに沿って導入範囲を評価する
- 第二に:API、データ所有権、バックアップ、SLA、再委託、解約時の移行を、契約条件として扱う
- 第三に:導入後の訓練と利用ログの改善まで委託範囲に含める
2026年の新たな防災気象情報やXML仕様の変更に追随できる体制を確かめておくと、導入後の追加費用と手戻りを抑えられます。
発注担当者が次に行う準備
発注担当者は、関係部署と進め方をそろえ、三つの段階で準備します。
- 一つの災害シナリオを選び、現状の情報経路と二重入力を洗い出します。
- 既存システム、データ、連携仕様、セキュリティ、災害時の代替運用を一覧にし、RFIで候補サービスの対応範囲を確かめます。
- 必須・加点・将来要件と共通見積様式を用意してRFPを配布し、実演と5年TCOを含めて委託先を選びます。
防災情報システムは、平時の訓練と有事の意思決定を支える業務基盤です。そのため、自組織の災害対応を理解し、開発や連携、運用を一緒に改善できるパートナーを選ぶことが、発注の重要なポイントです。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
